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2006/01/08

公私協働としてのNPOを育成しよう!

NPOは形成途上(発展途上)ながら、様々な分野で、大きな可能性を秘めている。自律し健全な市民社会を形成する上からも、税制を含めた制度整備と政策改革を求めたい。

大阪経済大学が春季・秋季の通年にわたり主催された「NPOについての講座」を聴講した感想レポートです。

時代環境や社会の急激な発展の過程で生じる様々な社会的要請(主として、行政的な分野における役務の提供)に対し、既存の行政システムが、その全てについて、必要にして迅速かつ充分な対応ができるわけではありません。その主な理由は行政の組織が、現実に複雑化し続ける社会に対し柔軟に処する仕組みやモデルの準備を基本的に欠いているためです。

行政の機能は、公的社会要請に対応する仕組みを自ら組織し処することを原則にしていますが、担当する係員は、必ずしも、対象となる公的社会要請に精通しているわけではありません。ときには正確精緻に対応する技術や能力を備えているか否か、疑問を払拭できない場合もあります。

公的性格の強い社会的要請と行政役務に生じる隙間を、自律した民間(市民)組織が埋めることができれば、少なくとも、実際の社会はもう少し快適に機能させうるのではないかと思量します。この主題は地域社会ではもちろん、国のレベルでも求められる機能を同様に発揮しうる可能性を保持していると思量します。社会的要請という、いくつかの主題に基づいた様々な分野、部分をNPOが自らの領域と認識し、行政機能の下請けではなく、自律性を保ち主体的に担うことができれば、少なくとも、現行の行政制度や行政機能より効果的で有益な機能や役務を社会的に提供できるものと思量します。

例えば、社会的要請に対する行政機能とNPOの機能領域を議論し検証する上で、この度は、尼崎市や神戸市東灘区での貴重ないくつかの事例についてご報告を受け、必要な開示を得ることができました。聴講されました皆様には、行政機能とNPOが担う機能や活躍の場についての違い、あるいは具体的な役務(事業)案件についての理解促進には有益だったものと考えます。

行政組織は、市場論理に馴染まない原則で構築されています。ところが公的社会要請は時代や環境の変化により多様な影響を受け続け変化し続けることもあり、これらへの対処を確実にするには、市場の論理や民間の視点に基づく論点が不可欠です。行政は「(民間では社会的に)無駄(と指摘されること)を政策により制度化(し社会的安定を保つ)する」ことを目標に掲げてきたこともあり、行政組織に市場原理を求め、正面から成果主義を論じるのは制度上からも論理的にも無理が生じます。従って、この公的社会要請と行政機能の隙間領域を埋める機能や役務がNPOに期待されるものと思量するわけです。

公私協働論としてのNPOが期待を受ける分野は多いものと考えますが、今回の講座では、講師としてお立ち頂きました様々な分野の皆様により、たくさんの事例紹介を受け、現実には、提供役務と獲得対価の不均衡に改めて驚愕させられた次第です。これでは、NPOを堅実に発展成長させる上から考えても大きな障害であり、克服すべき社会的課題と改めて考えさせられました。やはり、高い社会的貢献性を求められる分野では、参加する側が「高いストイックな精神」を維持していないと現実には困難であると改めて考えた次第です。

NPOをボランティアの延長とお考えになる方も、一般的には、まだまだ多いように見受けました。より多くの方が、日常的にボランティアとして社会参加され役務を提供されることは、非常に有益であり素晴らしいことです。ただ、ボランティアは一時的、瞬発的には大きなエネルギーを発揮できますが、一時的なエネルギーだけで、社会的有用性の高い事業や役務を反復継続的に維持するには、いわば職業として専門的に従事しないと困難であることは、役務の提供を継続的事業として抱えられると直ちに理解できます。講座でのやりとりを拝聴することで、NPOが、社会的にどのように見なされているかについての一端も、今回の講座で多少は理解できました。

NPOは純粋に自律性の高い民間(市民)組織として機能する必要があります。しかし行政機構も本質的に抱える制度上の無駄を自ら克服し、公的社会要請を埋める社会機能としてのNPOへ緊張関係を保つ多様性のある相互扶助も不可避ではないかと思量します。一方、行政機構から何らかの支援を受ける組織で公正さを維持した組織は皆無に近く、腐敗堕落する懸念を抱えますから、提供役務と獲得対価の適正均衡を保つこと、また運営資金を確保することは、個々のNPOに課された大きな宿題といえなくもありません。その意味で、健全で自律性の高いNPOを育成し、豊かな社会を目指す上からもNPOへ多様な寄付を促進できる税制の改革が不可欠と思量します。

  今回の講座を聴講させて頂き、いろいろな実情に触れることができ、多くの検証をすることもできました。深甚より感謝申し上げます。大阪経済大学の諸先生方、関係各位の皆様、本当にありがとうございました。

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