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2006/12/09

「外国人技能研修実習生」制度の実態を論じる!

もう一度、「外国人技能研修実習生」制度について意見を述べます。

Jpnationalflag_39現在、日本は「単純労働力不足」が深刻化しています。「このままで推移すれば、日本の製造業はどうなるのか?」と製造分野に携わられる皆さんにとっては、最大の関心事でもあります。
「若年労働力は不足しているか?」と問われると、深刻な不足という現実に直面しています。それは誰もが人口動態(推移)をご覧になればお分かりになることです。少子高齢化の進行は極端な進行速度です。
加えて、職業教育を怠ってきたツケが廻り、実際には、適正労働人口が「生産現場」を選択するのではなく「サービス業」の分野に集中している現実もあります。しかも、その実態たるやは「アルバイト」「パート」「期間雇用」の使い捨てともいえる情況です。
つまり全体の傾向として「モノ」の生産ではなく「モノ」の販売に注力しているわけです。しかも「学生」に分類される種類の若年層が、「アルバイト」労働力として、サービス業務を支えていると言い切っても過言ではありません。

このため、中小企業の「モノ」造りの現場は「適正労働力」を確保できる見込みが立たず実に深刻です。開発に従事する人材はもとより作業に従事する人材の確保は至難の業となりつつあります。
一方では、サービス業に従事してみたものの適正さを欠く人材は山積しつつあります。この人達は「生産スキル」を欠いたまま加齢し続けているのが実態です。

この局面で、経済のグローバル化の進展と共に、巨大製造業の海外投資に付いていける中小事業者は、生産現場を海外へ移転する途を選び、餬口を凌ぐこともできつつあります。
しかし、その資本力や事業開発力を持たない中小事業者は、国内に残り生産を維持する以外に方法がありません。
海外移転した事業者と同じ製品コスト(国際価格)を要求されると、「たちまち、行き詰まります」。この点に目をつけ、表向きの建前とは異なる方法による「外国人技能研修実習生」制度の悪用と、様々な抜け道利用が横行するようになりました。

加えて、製造現場の深刻な人手不足に目をつけた、「人材派遣業」が登場し、一部では「外国人技能研修実習生」制度で来日した「研修生・実習生」を巧妙に逃亡させ、「不法残留者」として「入管法」違反を承知で使用(労働従事)させる事業者が登場しています。本邦の関係機関は真剣に摘発しているとはいえません。

また、実際に適法な事業では立ち行かなくなった「中小事業者」による、驚くばかりの「低賃金労働」に押し込める実態を、以前から指摘主張され告発されているにも拘わらず、本邦の各機関は見て見ぬふりを繰り返してきました。

その結果、現在の情況が本邦の隅々まで及ぶことになりました。
全ての事業者が、法律の定めに従い運用すれば問題は少ないのですが、「上に政策があれば、下には対策があり」を平然と行う事業者を野放しにしてきたこともあり、今日の問題を生じさせています。

昨今、なぜ、この種のテーマが報じられるようになったかと言えば、現在の滞日年限(研修生1年+実習生2年)を、合計5年に延長しようということを考慮していることもあり、制度を抜本的に改正するには、必要な「通過儀礼」として、国の関係機関が実態調査を形式的に行い、「一定の改善を見た」と主張するために行われている(つまり通過儀礼)と考えるのが普通の考えと指摘しておきます。

一体全体、日本は、製造業と製造技術および競争力の維持について、どのように考えているのでしょうか?「外国人技能研修実習生」制度は、所詮は急場凌ぎに他ならないわけで、本質的な解決にはほど遠いといえます。

これらの事実を知る側として、讀賣新聞社が掲げた論説は当を射た主張と賛同しています。どのようにすれば内閣が掲げる「美しい国」へ至るのか、真剣に考える時期といえましょう。

これまで「コラコラコラム」が紹介した、外国人労働力に関わるテーマ:

2005/10/09 メイドインジャパンは誰の手で維持されているか
http://febnet.cocolog-nifty.com/column/2005/10/post_6f63.html

2006/10/09 発展途上国への援助は、ODA(政府開発援助)のみでよいか
http://febnet.cocolog-nifty.com/column/2005/10/oda_be99.html

2005/12/09 「ベトナム人技能研修生」派遣元機関を、本邦の受入元締機構が視察訪問
http://febnet.cocolog-nifty.com/column/2005/12/post_8105.html

2006/06/15 外国人労働力により支えられることになる日本経済!
http://febnet.cocolog-nifty.com/column/2006/06/post_cd3f.html

2006/09/10 日本は、医療・介護分野でも、外国人労働力導入へ転換!
http://febnet.cocolog-nifty.com/column/2006/09/post_2fe5.html

2006/09/23 外国人労働力について、自民党と法務省は綱引きか?!
http://febnet.cocolog-nifty.com/column/2006/09/post_8af9.html

2006/11/25 「外国人技能研修実習生制度」は、低賃金労働搾取を推奨する制度ではないぞ!恥を知れ!恥を!
http://febnet.cocolog-nifty.com/column/2006/11/post_3a6c.html

2006/12/02 「外国人技能研修実習生制度」は低賃金で労働搾取をする制度ではありません!
http://febnet.cocolog-nifty.com/column/2006/12/post_570d.html

引用開始→ 12月6日付・読売社説(2)       (讀賣On Line)
[外国人研修制度]「受け入れ体制見直しが先決だ」

途上国の人に日本の技術を習得してもらう「外国人研修・技能実習制度」が、不法残留や不正雇用の温床になっている。

看過できない問題だ。法務省の調査で、工場などで研修・実習中の失跡者は、今年上半期までの5年半に9500人に上る。

失跡後は大半が不法残留し、犯罪に走るケースもある。警察庁の把握分だけでも、失跡者の刑法犯は今年上半期、殺人1人、窃盗13人など17人を数えた。

大量失跡の要因は、低賃金や長時間労働など、受け入れ企業の違法行為だ。外国人を、人手不足を埋める安価な労働力としか見ないからだ。

青森県の縫製工場では先月中旬、中国人実習生3人が時給370円の過酷な残業に耐えかね、労働基準監督署に駆け込んだ。千葉県の養豚場では8月、中国人研修生が手当や待遇に不満を持ち、受け入れの仲介をした団体職員ら3人をナイフで殺傷した。

受け入れ企業に対する厚生労働省の昨年の立ち入り調査では、約8割の730社で労働基準法、最低賃金法違反があった。虚偽の給与明細書での偽装工作やセクハラなどの人権侵害もある。

問題の根源は、低賃金の労働力確保のために、企業が制度を“悪用”し、無原則に受け入れを拡大したことにある。

制度の対象は元来、海外に進出した日本企業の現地従業員らだったが、1990年から中小企業でも業界団体を通じ、受け入れ可能になった。93年からは最長1年間の研修後、技能実習生で2年間就労できるようになった。

受け入れは、増加する一方だ。最近の景気回復とともに、さらに受け入れ拡大を求める声さえある。

政府は3月に決めた規制改革・民間開放推進3か年計画で、制度適正化について今年度中に結論を出すとしている。

研修中の在留資格が「非就労」であるため、企業は労基法の規制を受けない。実習中も含め、法的保護を受けられる仕組みが必要だ。

受け入れ企業の低賃金などの不正雇用には、3年間の新規受け入れ禁止の罰則があるが、抑止力になっていない。罰金など、罰則を強化すべきだ。

国の補助金を受け、企業の巡回指導に当たる財団法人・国際研修協力機構も問題だ。理事は法務、厚生労働など5省OBの天下りで、指導が極めて甘い。自民党も組織の見直しを求めている。

単純労働が制限されている外国人就労を企業が受け入れるための“抜け道”になっている研修制度の現状を早急に改めねばならない。
(2006年12月6日1時37分  読売新聞) Copyright © The Yomiuri Shimbun.    ←引用終わり

引用開始→ 東日本の縫製工場、イスラム教徒研修生に「礼拝禁止」  (讀賣On Line)

外国人研修・技能実習制度で来日したイスラム教徒のインドネシア人女性の受け入れ条件として、東日本の縫製工場が日に5回の礼拝や断食を禁止する誓約書に署名させていたことが、わかった。

読売新聞が入手した誓約書では、宗教行為のほか、携帯電話の所持や外出など生活全般を厳しく制限している。

法務省は、入管難民法に基づく同省指針や国際人権規約に反した人権侵害行為の疑いがあるとしている。

誓約書は、禁止事項として〈1〉会社の敷地内でのお祈り〈2〉国内滞在中の断食〈3〉携帯電話の所持〈4〉手紙のやり取り〈5〉家族への送金〈6〉乗り物での外出――の6項目のほか、午後9時までに寮に帰宅、寮に友人を招かないという2項目の「規則」も明記している。

支援団体「外国人研修生問題ネットワーク」(東京)によると、20歳代の女性実習生は3年前に来日した際、工場側から誓約書への署名を求められた。こうした条件があることは知らされていなかったが、出国時に多額の費用を使っており、帰国するわけにはいかず、やむなく応じた。この工場には女性以外にも約10人のインドネシア人研修・実習生が働いているという。

女性は同ネットワークに「礼拝は休憩時間でも認められなかった。他の研修・実習生も同じ誓約書を取られていた」と話したという。

法務省によると、入管難民法に基づく同省指針で、企業による人権侵害行為は、受け入れ停止などの処分の対象。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナル日本は「人権に対する企業側の認識不足もはなはだしく、外国人研修・技能実習制度のひずみを象徴する事例」と指摘している。(2006年12月4日14時47分  読売新聞)
Copyright © The Yomiuri Shimbun.   ←引用終わり

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