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2007/03/23

元「米軍兵士」サイゴンへ、クチの村を訪問し過去の戦闘を告白!

俺たちゃ、いまも「ベトナム」を愛しているよ!熱烈にね!

気の善いジョンは、ミネソタからやって来た。
今は、カリフォルニアで暮らすケントも、太りきった腹を抱えて陽気さは変わらない。
隣にいるのは、ケントの嫁で太さは失礼ながら旦那のケントと変わらない。
ビリーは、古傷を庇いながら、相変わらず「くだらないジョーク」を所構わず撒き散らしている。ミズーリに住みついているという。
マッキーは、知的な風貌が崩れはしたが、やはり鋭い目で静かに思索する姿は往年のままだ。
後のメンバーは、名前を聞いても記憶がないため分からない。

かつて、彼らは、USソルジャーだった。
USソルジャーとして、サイゴンを闊歩していた。
あれから(1973年1月の休戦協定発効)、既に34年の年月が経過した。
ツーズー通りは、ドンコイ通りと名前を変えた。

それでも、陽気な元ヤンキー・ソルジャーたちは、
「マッキー、オメエ覚えているかぃ?あそこの角にバーがあったろうぉ?」
「そんなモノ、直ぐに消えちまうよぉ~!」
「だいたい、『ブロダール』だって、最近、洒落たカフェ『グロリア・ジーンズ』に変わっちまったってよ!」
「オイラ、『ブロダール』なんて、お呼びでなかったから、分かんないよぉ」
「オォ!マック・ティ・ブオイは、前と同なじ名前だなぁ~!」
「ロン(執筆者)、そう言やぁ、近くに因業なババァの店があったねぇ」
「懐かしいなぁ~、そうじゃねぇかぁ~、懐かしいよねぇ!」
「建物は、変わっちまったんだろうけど、こうなんて言うのかなぁ、雰囲気ってぇのかぁ、この街は変わらないじゃねぇかぁ!イイ街だよ」
「それじゃぁ、なんだね『ブロダール』へ繰り出してみるかぁ」
「何言ってんだよぉ、『ブロダール』はなくなったってぇ言ったじゃねぇかよぉ」
「分かってるよぉ、カフェになったんだろぉ~、じゃぁ、行こうじゃねぇか」
「俺たち、みてえなのが行くとさぁ、ビックリするんじゃねぇかぁ」
「いいじゃねぇかよぉ、驚かせてやろうじゃねぇか」
「でもな、俺たちの格好見てみなよ」
「この街のヤツラの方が、よほど小マシだぜぇ」
「そうかなぁ~」
「オイラ、タバコ、買ってくらぁ~」
「どこでも行け、ビリー、迷子になんじゃねぇかぁ~、そうなっても捜索隊出さねぇぞぉ」
「イイヨ、そこで買うんだから」
「ロン(執筆者)、オメエ、この街へは、よく来てんのかぁ?」
「そうだよ、アンタ達が帰ってからは、やっぱり当分の間は来られなかったけど、20年ほど前からは、ちょこちょこ来てるよ」
「そうか、オメエさんの国からは、近いからなぁ~、イイなぁ。でぇ、オメエ、ここで嫁でも見つけたのかぃ?」
「いや、そうじゃないね」
「俺たちゃ、ここへ来るにゃぁ、たっぷり2日がかりだぜぇ。ケントの野郎が一番近いんだけど、それでもなぁ、余り変わりゃあしねぇよ」
「ケント、アンタはいまも、ヒマさえあればビール飲んだくれてんのかい?」
「そうじゃねぇよぉ、みんなして、オイラをバカにするけど、オイラはそこまでしてビール飲まないよぉ、第一、連れ合いが見張ってんだぞぉ、変な事言わないで貰いたいなぁ」
「ロン(執筆者)よぉ、『マジェスティック』は、まだあるのかい?」
「アンタ達が、そう言うだろうと思ってさぁ、夕食はダイニング予約してやったさぁ」
「そうかいっ!でかしたな、オメエはホントにイイ野郎だぜぇ!」
「よっし、そんじゃ、今夜は『マジェスティック』へ繰り出そうじゃねぇか」
「ロン(執筆者)、この格好じゃ悪いかねぇ~?」
「大丈夫だよ、イイから気にすんなよ」
「それよりさぁ、明日、クチの村へ行こうよ」
「どこだぁ~、クチってのは?」
「サイゴンとタイニンの間だよ、ゲリラ村だったとこだよ」
「鉄の三角地帯って、言ってたとっかよぉ~」
「行けるのかぁ、俺たちが行ってもいいのかよぉ」
「イイんだよ、もう観光施設だから、見学させてんだよ」
「見学って、クチの村をかぁ?」
「そうだよ。トンネルもさぁ、入れるんだよ、体験しろよ」
「ネズミの穴みたいなのをかぁ」
「そうだなぁ~、アンタ達の躰じゃ、誰も入れないかもなぁ」
「ビヤ樽のケントなんてさぁ、絶対に入れないだろうよ、入りゃぁ抜け出られないだろうよぉ、まぁいいや、行こうぜ、ぜひ!オメエが案内してくれるのかぁ?」
「また、オイラのこと、バカにするじゃねぇか、イヤな野郎どもだぜホントに」
「そんでも、村長なんかに会ったとき、どう言やぁ善いんだろうなぁ」
「会うわけないじゃねぇか」
「黙って行くのかぁ~、そいつは卑怯ってもんじゃねぇのかぁ」
「いいんだよ、アンタ達は、いまは単なる観光客なんだからさぁ」
「そうだった、そうだった、俺たちゃぁ観光客なんだよぉ~」
「クチの村のトンネルは、人民軍が管理してんだよぉ~」
「よっし、明日行こうぜぇ、一緒に写真を撮ろう」
「ジョンよぉ~、なんで、アンタ達の話は、いつもそんな風になっちゃうのかなぁ?」

彼らは、34年ぶりに「ベトナム」へやって来た(彼らの言葉では帰ってきた)。
いずれもが185センチ、100キロは超える男達だのに、サイゴンで、小さなホテルに宿泊して、これから可能な範囲でかつて暮らした街を懐かしみ、同時に、チャリティーをいくつもの団体や施設へ届けようとしている。
下級兵士だった彼らは、小さなホテルが安心できるというのだ。有名なホテルは、上級将校が利用していたから、敷居が高くて入りにくいし、自分たちの身分に合ってるホテルがよいと、ホントにミニホテルを選ぶのだ。

「あの戦争に従軍した側として、国の命令とはいえ、人としての良心の呵責もある」。
米軍が、解放勢力に追い落とされ、全面撤収し母国へ帰国した後、それぞれが功成り名を遂げ家族にも恵まれ、一廉の人生を送ることができた現在、過去の部隊に所属した仲間が平和の中で大挙して押しかけ、邂逅を懐かしむ傍ら、少しでも国家の罪を個人でも償おうという努力を見せる。

本当に気の善いヤツラだ。純粋で何も知らなかった勇敢な元下級兵士たちだ。
帰国後、全米に散らばり、音信を絶やす者も出る中、ジョンを中心に連絡網を維持し、ようやくの思いで「ベトナム」へ帰って来たのだ。
以前、クリントン前大統領による公式訪問に続き、昨秋のブッシュ大統領によるAPEC出席を兼ねた訪問。今年はベトナムの首脳が公式訪米する予定だ。
米越間は過去の歴史を清算するため、友好関係を一気に加速し強化している。

よくよく話し合えば、お互いがお互いを必要とするのだから、
なぜ、50年ほど前に「膝詰めで、話し合う事ができなかったのだろうか」。

故・ホーチミン主席による、1945年9月2日の「ベトナム独立宣言」は、「フランス革命の精神」と「アメリカ合衆国独立宣言」に用いられた文言を駆使している。
これは、当時の両超大国に対する外交メッセージだったにも拘わらず、偏狭な思考論理と植民地占有を継続したいという愚かな都合で、凡そ400万人を超える尊い生命を無にしたのだった。
「戦争は『悲劇と恩讐』以外に何も残さない」。
「世界は、それぞれの主権国家が、それぞれの相手を尊重することで『平和』を保つことができる」。
これほど単純で分かりやすい事が、国家という組織になり、そこに集約される様々な「利害」を代表することになった瞬間に、利害対立から争いが生じる。
争いが大きくなると戦争になる。

国家を形成する基本は
①領土
②国民
③統治機構 である。それが揃っておれば基本的には主権国家なのである。

国力を考えると
①文化力
②経済力
③戦力 だろうと考える。国家と国力が備わり始めて世界の中で伍することができる。

1950年代、アメリカは「ベトナム」を甘く見て、「ベトナム」への介入意志を固めたわけだが、それは30年ほど後に、ベトナム人の強い団結と固い意志により打ち破られる。
「アメリカ合衆国」の威信は地に落ち、以来、「アメリカ合衆国」は苦悩と混迷を続けることになった。
いま、「アメリカ」は「ベトナム」で様々な権益確保に余念がない。
現時点で投下されようとする資本や技術また様々なノウハウは、「ベトナム」にとり殊のほか有益なようだ。
この過程で生じる、アメリカによる財は、32前に撤収するまでに、この国へ投じた額の数分の一に過ぎない。
何よりも一人の生命も失われる事はない。

ジョンに率いられた元ヤンキー・ソルジャーは、クチの村というよりトンネルを管理する人民軍に歓迎された。
わざわざ言わなくてもよいのに、そこは陽気なヤンキーだ。
ついつい
「自分たちは、元USアーミーの兵士で、この地域で戦う南政府の軍を支援していた」と告白してしまうのだ。
ところがどっこい、ベトナム人民軍の兵士も、
「よく来てくれた、私たちは、いつかあなた方と平和に出会う日を、楽しみにしていた。今日、ここで出会えた事は、何よりも素晴らしいことだ。お互いが、この地で戦ったことは残念だが、それは政治による問題であり、非公式なこととは言え、一人の人間として友情は大切にしたい」と英語で話したものだから、ジョンを始め元ヤンキー・ソルジャーたちは緊張の余り直立不動姿勢になった。気の善いヤツラなのだ。
後は、水とコークを分け合っていた。
もうビリーは、相手が理解しようがしまいが、下手なジョークをブッ放している。
その姿や光景は、彼らが若い兵士だった頃、じゃれ合っていた姿と変わらない。

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