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2007/11/02

ベトナムでの「橋梁桁崩落事故」を扱わない理由

「ベトナム南部メコン川流域・ビンロン省で発生した『橋桁崩落事故』について、最近、特に問い合わせというか、コメントを求める件数が増加の一途」だ。この件で「コラコラコラム」が沈黙している理由を尋ねる中身も増えてきた。

この度の、『メコン川流域での橋桁崩落事故』は、悲しみに堪えない」その一言である。当該地域は、タイのバンコクからタイ国内とカンボジアを通過し、ベトナム領内で数多くのメコン川を橋で越え、ホーチミン市からブンタウ港(バリア・ブンタウ省)を結ぶ、「ASEAN南部回廊」と呼ばれる高規格道路計画の一端である。当該橋の建設費用は、本邦政府のODA(政府開発援助:有償)が充てられている。これに本邦のゼネコン「大成」+「鹿島」+「新日鐵エンジニアリング」が企業連合を組み受注したわけである。他には「日本工営」が従来から行ってきたベトナムでの長い工事実績を評価され参加とされている。

事故の発生とその後の流れは、既報のとおりである。NHKは特番を流したとも聞いた。

事故発生時、直ちに、(現場の)状況把握をしようと「コラコラコラム」は、ベトナム南部のネットワークへ電話とメールを入れた。当然ながら、ハノイでの反応を探る必要があり、両国の関係機関へ接触を試みてもらった。大切なベトナムの友人達、在住日本人で当該案件の周辺にいる知人友人からも、様々な情報がもたらされた。中には真贋を疑うモノもあるけれど、概ね、パズルのように組み合わせると一定のストーリー(推論)を描き出す事ができる。そこで、今度は、描いたストーリーを3本の仮説に置き換え、ホーチミン市とハノイを中心に幅広いネタを保持する、ベトナム内の週刊誌編集部門の辣腕有力編集者へ裏付けを得たいとのコメントを加え送信した。

東京でも、同じ内容の仮説を、必要な組織や機関の枢要な人へ、何とはなく立ち話程度に流し反応を探ってみた。

両国で、当該工事について(現場ではなく)必要な知見を持つ人達からは、素早い反応が戻された。そこに示された反応を見たとき、「コラコラコラム」は扱うべきかどうか、判断を逡巡させられた。

ひとつは、当時、事故に巻き込まれた作業者の何人かがまだ発見されていなかった事もある。しかし何より、この度の事故が、日本とベトナムの友好協力関係に与える深刻な影響を考え、マスコミ報道に暫く委ねる事を結論とした。そして、現在まで数週が経過した。

すると、徐々に「質問、叱声が届くようになり、検索キーワードから判断しても、どうすべきか、いまも考えている」。

日本が、ODAで支援した「海の大橋」が、北部クァンナム省の「バイチャウ」にある。基本的には「清水」が能力を発揮したが、表向きは「三井住友建設」になっている。正直なところ、「三住」の方には申し訳ないが、あれだけの橋を受注しても建設施工し完工できる技術力も能力もない。それでも、公式発表ではそのようになってしまうのである。「鹿島」は南部で現空港の改修工事はもとより新空港の受注に必死だ。元請け狙いで盛んに蠢動している。

トンネル工事や穴掘りでは、物凄い技術力と能力を持つ「間組」は、中部のハイバントンネルを完工させたが、本邦内では行き詰まり傾向を依然打開できないままだ。従って、ベトナムでの工事は、土木と建設で中堅的な技術と能力を持つ「奥村組」を誘い込み、次に備えようとしている。次とは何か、それは①「ホーチミン市」での地下鉄工事。②南北間の鉄道高速化事業に懸かる工事。③南北間の高規格道路工事。以上の三本柱が美味しさを誘うのである。今年度の対ベトナムODA供与は総額で1000億円を越えている。

世界の各国から、喧しく批判され続ける本邦のODAは、初期の頃は当事国の事情を考慮した部分が多いけれど、そのうち、どの国でも当事国の事情よりも本邦内の事情が優先する傾向にあることは今も否定できない。ベトナムで生じた「橋桁崩落事故」は、その種のモノが輸出されたといえなくもない。原則的には「ASEAN南部回廊」という「アジア開発銀行(ADB)」が提唱する正当な地域開発案件の一環事業である。

ここでは主に、本邦における推論を示したに過ぎないが、「コラコラコラム」は、このような背景や事情を考え、発生当初に収拾した情報を整理しているものの、それに基づく推論を公表せず推移を見守り続けている。

主として毎週ベトナム在住の友人から届けられる「週刊ベトナムニュース」で、配信者の目線で捉えられた「事故に懸かるニュース」を、そのまま転載する事だけに止めている。これに対し、多くの方から、「ハッキリしろ!ハッキリ言え!」との要望が日増しに強まっているように感じている。

「コラコラコラム」の立場は、ハッキリ言ってベトナム寄りである。いつもそうだ。これは大体において変わる事はないが、別に代弁者でもない。しかしながら、この度、生じた「橋桁崩落事故」はベトナムの側にも原因の一部と責任がある事は否定できない。しかし、何よりも、本邦内の河川での架橋工事と同じ思考力、管理方法しか想像しなかった、頭は良くても現地事情を知らない、逃げ腰の日本側の管理責任が免れることもない。

この事故が原因で、ハノイ在住日本人会は、恒例の「秋祭り」で、派手な催し(別に大した内容でもない)を自粛したと聞いた。(真に日本の大企業駐在者や外交関係者、それに括られる日本人らしい発想だ)

大半のベトナム(人)は、中国人とは異なり、在住日本人が自粛しようがしまいが、そんな事は、なんとも思っていない。事故が生じた事を誠心誠意詫びる姿勢があればそれでよいのだ。仮に日本の技術力が世界最高峰だとしても、建設工事で事故をゼロにする事は到底不可能だ。日本も過去に大事故を繰り返しながら学んだ事が多いのだから。事故は残念だが仕方がないともいえる。

建設に関わる事業会社や関連業界、同業者が、日本人商工会の「秋祭り」参加を自粛するのは分かるが、大使館を始めとする行政官僚が、ことさら自粛を暗に指示する事も無かろう。その一方で、日本人商工会の秋祭りの集いとは別に、服部則夫大使がゴルフに出かけたことがハノイの日本人社会で、その是非について喧しくなり論じられていると聞こえてくる。

このゴルフ是非論を、ベトナムの有力者に問うと、「ナンで、そんな事が問題になるのか?日本人は、少しオカシイのではないか!、服部大使のゴルフと、橋桁崩落事故とどんな関係があるというのだ。バカみたいな話に付き合うヒマはない」と実にハッキリしている。だから、日本人商工会が「秋祭り」を自粛する必要なんてサラサラないのだ。取り間違えてはいけない。情けない話だ!

従って、「橋桁崩落事故」について、推論3本を公開してもと考えるが、そこは毎日毎日、逡巡を繰り広げるばかりである。

面白い事を最後に注釈すると、本邦内のゼネコン各社から、メールが届くわけではないが、ゼネコン各社、とりわけ「T」や「K」のホストコンピューターを発信源とする、検索キーワードとアクセスが最近とみに急増している。当該事故の件が、気にかかるのだろう。そのため、報じられる事は、マスメディアからブログに至るまでチェックしているようだ。そんなヒマな事を繰り返している時間と人材があるなら、現場の工事責任者の日頃の業務管理と日常生活について厳しくチェックする方が事態の解明には役立つだろうが、生活習慣や思考回路が理解できないと、空振りに終わる事は必定と先に言っておいてやろうかなぁ!?

「コラコラコラム」は、事態の成り行き次第では、ほぼ間違いない推論3本を公表してもよいと考えている。一方で、これまでの友好協力関係を潰したくないとも考えている。

当月末に予定される、グェン・ミン・チェット国家主席(大統領)の国賓訪日を控えた、この時期に、敢えて議論を喚起するほどの事もない。今日、早朝にハノイから国家主席国賓訪日を準備するベトナム側の先遣隊が到着した。この時期に取り上げる事の是非について思う。また、本邦政府がどのように表明するかについても、静かに見守りたいと考えている。

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