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2008/02/12

松下電器(Panasonic)、世界市場ナンバーワンへ!薄型テレビ・パネル生産で社運をかける!

松下電器産業(パナソニック)の姫路工場新設は間違いないのか?
と、姫路に住む大切な友人から質問を受けたので。

と言っても、前のシャープのときと同じで、こちらは当事者ではない。
以下は、本業の「マーケティング・マネジメント」に加え、最近はクライアントの海外事業展開との兼ね合いで「国際経済政策」「多国籍企業論」「開発経済政策」などを実践面を兼ねて研究することになった者としての高見の見解(物言い)である。

シャープが姫路へ工場進出」とガセネタが流れたときは、シャープの工場立地論として姫路(妻鹿地先)には無理があった。
その根拠とする点を考えた理由の多くはシャープの液晶事業を支える部品工場の配置であり、内製化に対するシャープの企業姿勢の面で難を残していた。何よりも、基本的には堺への進出を大枠で合意しながら、それがリークされる事を恐れた(受注予定の)スーパーゼネコン某支店の上位管理者による線から、自社の本質的な意図を隠すため後方撹乱目的の悪意に充ちた「目眩ましガセネタ情報」が、さも正しい情報のように囁かれた事実があった。
この隠された事実関係を察知できた側として、100%あり得ないと流布されたネタの根源を踏まえて地元の人たちへ警告したのである。
事実、ネタ元とされるスーパーゼネコンは見事にシャープ堺工場の建設を受注しているではないか。天晴れな事である。一方で、スーパーゼネコンというのはこの程度の事しか発想できない思考回路に愕然とさせられた。

この度報じられる、松下電器産業(パナソニック)の姫路(妻鹿地先)工場建設はガセネタではないようだ。

まず、現在の「家電生産」とりわけ「テレビジョン製造と市場」の状況について説明しておく必要がある。(長くなるができるだけ手短に)
はっきり言って、簡易なテレビならカラーでもモノクロでも、部品さえ手に入れる事ができれば誰にでも造れるのである。
例えば、自宅で電球(あるいは蛍光灯でもよい)が切れた、そのとき、普通は代わりの新品の電球か蛍光灯と交換する。新品と交換すれば電気は灯る。

「分かり切った事を言うな」とお叱りを受けそうだが、この点が実に重要なポイントなのだ。実は、テレビの製造も電球の球切れを修理するのと同じと考えればよい。テレビが各家庭へ普及し始めた頃、一番よく潰れたのはブラウン管である。
電球や蛍光灯と同じだから、すぐに潰れるのである。
この修理は、実に簡単で「ブラウン管」を交換するだけの話だ。
交換すればテレビは映る。分かりやすい話である。

テレビを構成する主なモノは、①ブラウン管、②チャンネル回路、③受信回路、④フレーム、⑤スピーカーである。これに別売のアンテナが加わるが、アンテナを家電メーカーが供給することはない。中でも一番大切な部品は「ブラウン管」である。ブラウン管を欠くとテレビではないからだ。

東京大学丸川知雄教授の調査要旨(*で示す:原資料が表組みなのでここでは文章化により要旨を示す)では、
1950年代に日本でブラウン管を製造していた会社は、松下、東芝、日本コロンビア、三菱電機、日立、日本電気(NEC)、神戸工業の7社であった。
当時テレビを製造販売していた会社は、早川(シャープ)、松下、東芝、八欧(ゼネラル)、日本コロンビア、三菱電機、三洋、日立、日本ビクター、日本電気(NEC)の10社だった。大切な事は、松下、東芝、日本コロンビア、三菱電機、日立、日本電気(NEC)、この6社以外は、テレビとブラウン管を同時に製造できなかった。つまり内製化(垂直統合という)できなかったという事実である。他の会社は、他社からブラウン管を仕入れテレビを組み立てていたのである。神戸工業に至ってはブラウン管のみ製造していたのである。

平たく言えば、神戸工業は、他社へ自社の「ブラウン管」を部品として販売していたのである。
つまりテレビは必要な部品を買い集め、組み立てる技術さえあれば、誰でも組立製造することができる製品なのである。
テレビが普及するに従い、それぞれの製品は普及促進する上からも、接続部分の標準化が進み、電球や蛍光灯と同じようになるわけだ。ブラウン管は基本的に電球だと考えれば分かりやすいのである。

テレビの組立に代表される家電品の製造は、例えば冷蔵庫でも洗濯機でも殆ど同じである。簡単な部品は標準化が進んでいる。だから基幹部品で差をつけない限り大きな差は現れないのである。従って価格勝負に出られたら日本国内製造なんてひとたまりもないのだ。現在の不況にも繋がる要素となり、付加価値を生産できない多くの産業で経験した事だ。白物家電はその典型だろう。
このように標準化された部品を「モジュール化」部品を「モジュール部品」と規定する。
この逆は、絶対に「インテグラル化(統合化)」された「インテグラル部品」と規定する。モジュール品が自由に取り替え組み合わせできるのに比べ、インテグラル品は予め設計された部品同士でない限り組み合わせる事はできない。
例えは悪いが市場で自由に買える「インテグラル部品」の典型はオモチャの「レゴ・ブロック」である。レゴのブロックは、市場で自由に買えるが、絶対にレゴのブロック同士でなければ接合できない設計になっている。

モジュール化された部品は市場で自由に売買されている。だからだれでも自由に手に入れる事ができる。これを「オープン型(開放型)」の(部品)供給と呼ぶ。
インテグラル化された部品は自由に売買する前提はなく何より開発に伴い製造されるから市場に出ない、これを「クローズ型(閉鎖型)」と呼ぶ。

ここで整理すると、
①モジュール部品(標準化された部品)
②インテグラル部品(用途別に設計された摺り合わせ部品)
③オープン型(市場で自由に売買)
④クローズ型(開発製品と一体不可分) の4つのキーワードが登場する。

ここで漢字の「」の字を想像して下さい。
田の字は「口」が4個集合して形成されていると考える。
①左上を標準仕様開放型×モジュール部品
②左下を囲い込仕様閉鎖型型×モジュール部品
③右下を完全閉鎖型×インテグラル部品   と規定する。
④右上は基本的に存在しない。

①の場所を占める典型的な家電品では、デスクトップPCである。これは部品さえ手に入れる事ができれば誰でも簡単にオリジナルモデルを組み立てる事ができる。
自転車もこれに当たる。お分かりですね。
②の場所には、家電品の多くがこの象限に入る。少しはオリジナリティがあるワケだ。
③の典型は、自動車である。自動車は基本的に組み合わせ(摺り合わせ)を行い、それぞれの部品を統合する設計構成だ。従って、部品開発と製造はいまも系列下が維持されている。

★それでは、日本の携帯電話端末はどれに当たるのか。
現在は、完全閉鎖型摺り合わせ統合型部品により組立製造されている。
基幹部分は、キャリアと呼ばれる回線提供の電話会社が設計しノウハウを保持している。
だから、世界での互換性がない。しかし一方では世界最高水準の技術力を誇るし、提供されるサービスは他国の携帯電話サービスを寄せ付けない。
能なしバカの政治利権屋どもは、お抱え能なし学者を抱き込み、携帯電話開発技術を含め中国へ売り飛ばそうとしている。
その中国で世界一のシェアを目指した、携帯電話端末の開発者モトローラは、中国でのパクリ・モノマネによるノウハウ流出に加え、その流出技術で足下を掬われ中国市場からの撤退と携帯電話端末事業の売却へ追い込まれている。(2/05のブログに掲出)

★日本の自動車産業とドイツの自動車産業は同じように、世界最高の技術水準を誇っている。他国のそれを寄せ付けない。この自動車分野へも中国は執拗にパクリ・モノマネを被せようと懸命である。パクリ・モノマネに細心の注意を払わなければならない。

詳細に論じているといつまでも続ける事になるので簡単な例証に止めておく。

中国は、80年代に日本の家電メーカーの協力を得てブラウン管の製造技術を確立し、テレビ組立製造で国内化を達成し市場供給を開始した。
以来、いまもテレビの組立製造はGDPの成長と共にラッシュ状態で急成長を続けている。個別の事業者が儲かっているかどうかは明らかでない。
まだ中国市場では全国平均GDP2000米ドルということもあり、安価、低廉価格のテレビの需要が多い。

しかし、一方で、上海のGDPは7000米ドルを超えているから、上海や北京では、富裕層を中心に「薄型テレビ」つまり「プラズマテレビ」や「液晶テレビ」への要求が爆発的な高まりを見せている。

つまり付加価値の高い製品と低廉で安価な製品への二極化を示している。
中国の沿海地域人口は全土の10%ほどである。しかし13億の人口を考えると1億3千万で、ほぼ日本の人口と同じになる。

この市場をどう攻略するかは、耐久消費財、とりわけ家電品を製造販売する世界の事業者、とりわけ日本の家電業界には魅力溢れるマーケットに映る。
この市場をどう攻めるか?当然、付加価値の高い上位の市場を取るべきである。
そして、これまで損失を続けた中国市場でどう利益を上げるか。
これは、一家電会社、一家電業界というレベルの問題ではなく、日本という国の国家戦略でもある。最も得意とする家電製品で中国市場を失うとか、その先端技術をブラウン管テレビと同じように無償提供するような事になれば、何をしているのか分からない。
国の生き方も問われかねない事情となる。

既に、世界の液晶テレビ市場は、日本勢と韓国勢の戦いになっている。
そのシェアを巡る戦いを、
①松下を軸にするグループ、②シャープ、③ソニー、と一般的な日本人は考える。
答えは、①松下を軸にするグループ、②シャープ、であるがシャープの液晶テレビ事業は世界市場では低位にあり完全な内弁慶企業の典型だ。③ソニーは全て韓国のサムソン(三星)製品である。ソニーは開発を捨てたのである。
世界市場は、事実上、日本(松下を軸にしたグループ)と韓国(三星)の戦いが展開されているワケである。
プラズマテレビになると、実際には日本(松下+日立+東芝+パイオニア)の独断場だろう。
ここへ中国メーカーを簡単に参入させない事が何よりのポイントで、現在の中国は容易く薄型テレビへ参入する技術の蓄積がない。
とすれば、例によって例のごとく、日本のお馬鹿さん政治家に泣きつき、工場投資を求めてくる事が予想される。もう、今度はこの尻馬には乗らない事だ。
これを国(政治)が守れないようなら、日本の生きる道はない。国(政治)が自らの国を売ってはいけない!

★日本の新幹線技術は、中国から完全に手玉にとられ日本と欧州連合が競争させられた挙げ句、ぬけぬけと、両勢力は虎の子のノウハウを殆ど無料に近い費用で提供してしまった。つまり両天秤にかけられ白昼堂々と外交戦で盗まれたわけだ。これを推進したのは、日頃頭がよいと嘯く日本の無責任売国官僚どもと、それにからみつく日本の能なし政治利権屋どもの輩である。実に情けない国だ。
唯一、JR東海は「新幹線技術の輸出(売却)に」反対したが、あっさり政治判断で無視され圧殺された。川崎重工は喜々として新幹線車両と技術の売り渡しに協力した。

さて、薄型テレビの基盤はパネルの製造技術である。パネルはブラウン管に代わる部品であるが、これは回路設計をブラックボックス化できるから基幹部品として守り抜ける。何よりも、部品の開発から製造に至る全過程で「完全閉鎖型」の「インテグラル化」が不可欠で内製化することになる。再び国内での内製化による産業の垂直統合が始まるのである。
従って、これを日本で大量に生産し、中国へ輸出し中国には組立だけ担当させるのである。安価で低廉な労働コストを誇る国だから、それでよいのだ。
パネルを基幹部品としてブラックボックス化してしまえば、中国は手に入れたパネルを解体しても当分パクリ・モノマネできない。追いつける基礎技術がないからだ。

日本国内で販売する程度なら、現在の生産ラインを強化すれば間に合うのだ。
しかし、いずれの事業者も、薄型テレビにおけるPCの「インテル」に相当する事を目指し、世界市場の制覇を目標にしているはずである。
PCはインテルのチップが不可欠だ。これがなければ誰もPCを組立られない。
「インテル」は日々刻々と製品開発し大量に生産する傍ら、製品のリニュアルを繰り返すから、追いつこうにも追いつけず、市場占有率は高いし圧倒的な支配力を持っている。

薄型液晶テレビを作るには、パネルが不可欠だ。パネルの中にあらゆる回路をブラックボックス化して組み込まのである。これは日々刻々と開発を続ければよいのである。中国のパクリ・モノマネ技術では追いつけないのだ。ほぼ絶対に追いつけないのである。
中国は、日本か韓国から買い(輸入し)続ける以外に途はないのだ。

韓国のサムソン(三星)が裏切ったらどうするか?
その時は仕方がない。しかし、サムソン(三星)は裏切らない。自分たちも生きていく途がなくなる事を知っているから、国を挙げても中国へ売り渡す事は阻止するだろう。
むしろ、日本の能なし政治利権屋どもが心配だ。

松下は、プラズマテレビ(フルライン)の組み立て工場を尼崎の末広に建設中だ。
対するシャープは、大型液晶パネル工場を堺に建設中だ。

松下は、緊喫のテーマから大型液晶のパネル工場を必要としている。
緊喫のテーマとは、薄型テレビ(液晶テレビとプラズマテレビ)を効果的に投入し世界で圧倒的に勝つという目的である。

そのためには、効率の良い液晶パネル工場を必要とするし、大量輸送に対応する目的からも船舶輸送を考慮する必要がある、そのためには安定した着岸のできる専用岸壁が必要だ。
それは、日本中を探してみても、とりわけ近畿の中で求めるなら、姫路(妻鹿地先)にしか残された立地はないのである。

世界に展開する松下電器(パナソニック)の組立工場へ輸送し、市場に一番近い低廉で安価な労働力を得られる国で組立を行う事になる。勿論、現在公表された範囲では、日立とキャノンが共通の液晶パネルを使用する事を前提にしていると聞いている。
松下電器(パナソニック)は、部品工場の配置と内製化を含めたアーキテクチャ、海上輸送を含めたエンジニアリングに自信を持っているのだろう。

幸運な人物がいる。
このプロジェクトが完成する事を考えれば、現在の石見姫路市長がその人物に当たる。
別に、企業誘致をしたワケではない。
出光興産兵庫精油所が撤収して広大な空き地ができ、兵庫県も姫路市も持ち倦ねていたのである。企業誘致に挑戦しても、明確な誘致政策や産業政策があるワケではないから、相手にされるようで相手にされない状況が続き、正直なところ手詰まりだった。
それが、一転、脚光を浴びたのである。最初に浴びたのは、ガセネタのシャープ進出案件だ。色めき立ったのが姫路市役所と地元、そして兵庫県庁である。いずれも政策がないにも関わらずである。
そこへ、姫路市には若干の思い入れがある役員を抱える松下電器産業(パナソニック)が、緊喫のテーマを解決するためにその意志を表明したのである。
石見姫路市長は実に幸運な人物である。昨春の統一地方選挙の市長選でも対立候補が現れず無投票当選だったし、この5年間、政策らしい政策は何もせず、ただ市長の役職を名誉職のようにこなしているに過ぎない。
しかし、やがて名市長と後世の歴史に名を残すのであろう。
当に「棚からぼた餅」とはこの事を言うのである。
人の運不運というものは捕らえどころがない。

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コメント

貴重な情報満載で、大変勉強になりました。
私の仕事パートナーの不二越が製造するクリーンロボット(液晶パネルを搬送・ラックに収納するもの)は、最初サムソンで採り上げられ、それを評価したシャープが後追いで採用しました。パナソニックがどうするか注視しています。

投稿: 横部 雅昭 | 2008/02/16 19:20

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