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2012/08/01

大学卒業者の就職率70%の現実を前に、厚労省はハローワークを500大学に開設するという

霞ヶ関で、このネタを初めて耳にしたとき、最初はわが「耳を疑った」、聞き間違ったのかと思ったからだ。
そこで聞き返した「本当の話なの!?」と。
その場に居合わせた3人が、
「そうですよ、そうでもしなきゃぁ、どうにもならないじゃないですか」と返してきた。

そうなのか!?
では、厚生労働省は、
「(厚労省は)そのような施策を採用するとして、どうして文科省へ、(現状の大学数は780ほど)大学の再評価と閉鎖命令を要請しないの?凡そ下位の40%にあたる320の大学は存在価値がないじゃない!」と押し返した。
彼らは、
「それは、文科省の仕事だから、我々はなんとも言えない(立場上関与できない)」と、これまた分かりきった答えだった。

それでも、まだ文科省は「大学増設」を止めようとしない。

全体の構図に触れると
2009年の統計では、
大学総数773校:2,845,965人(国立86校:621,788人、公立92校:136,914人、私立595校:2,087,263人)
短期大学総数406校:160,977人(国立2校:3人、公立26校:9,973人、私立378校:151,001人)
この他に高等専門学校が64校で59,386人という数値が示されている。
このうち136大学(16%)71万人(25%)が東京にある。

私立大学の下位45%に当たる270校、国公立大学の50校は本来の役割を果たしていないと考える側は、大学の整理を断行する事で「大学生の質を上げる事が先決では」ないのかと愚問を重ねる事になった。

大学卒というには、大きな疑問が付く学生みたいなものを、大学卒人材として採用しろと言われる側には、かなり辛いものがある。
(大学に関わる側が、ここまで踏み込むのは、正直なところ辛いが)

でも、一定の質量を求める大手・中堅事業者、あるいは高い競争力を持つ中小の事業者も、自社のポジションを保持する上から、志望する学生に一定の「質量」を求めるのは当たり前だと思う。
求められる「質量」を保持しない学生は、様々な事由により退けられるのは当然と考える。

「質量」を求めない「労働力」というか「前線兵士」としての員数のみを確保したい事業者は、いくらか毒のある「ブラック企業」が含まれいるのは当然だろう。

それもハローワークの求人には紹介先企業としてリスト化されている事実もある。
(実際に、引っかかった学生もいる)
こんなのは公権力が調査すれば直ぐに判明する事だ。

「ブラック企業」に送り込み、そこを短期間に退社し、再び別の「ブラック企業」へ収容されてしまい、人間不信や社会不信に陥る学生も一方で存在している。
ハローワークが大学へ出張り、窓口を設置する事は悪い事だとは思わないが、その前に現在の環境を冷静に分析した上で、その危険性も含まれている事を説明しなければ意味がないと考える。
では、「ブラック企業」は公権力が公表すべきではないか!?

何か、どこか、縦割り行政の悪弊が全面に出た、ちぐはぐな感じがしてならない。

「WEDGE」誌上で、原田 泰 氏が掲題のテーマについて、興味深い指摘をされたので引用し紹介しておきたい。

引用開始→  ハローワークを大学に置くのは 効果があるのか
(WEDGE 2012年07月30日掲載) 2012年7月30日(月)配信

原田 泰(はらだ・ゆたか)
早稲田大学教授・東京財団上席研究員
1950年東京生まれ。東京大学農学部卒。経済企画庁国民生活調査課長、財務省財務総合政策研究所次長などを経て現職。『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(新潮社)など著書多数。

2012 [大学進学率、就職率の推移]

政府が6月にまとめる若者雇用戦略の柱として、ハローワークを500の大学内に設置するという。その他の対策として、「就職体験のために自治体、学校、労使が協力する」「職業教育の充実」などが挙げられている(5月13日、日本経済新聞)。

就職体験はすでに行われているし、職業教育もすでにしている。ハローワークを除いてはあまり目新しさがないが、大学にハローワークは効果があるだろうか。

大卒の採用は? 伸びていた
その前に、大卒の若者の就職状況を整理しておこう。右の図は、大学進学率と就職率、大学進学率と就職率を掛けたものを示している。大学進学率を長期にわたって見ると、1960年代まで人口の10%程度しか大学に行けなかった。大学に進学させるのは、貧しい時代には大変なことだったのだ。70年代、豊かになるにつれて進学率が高まるが、それも70年代末には頭打ちになる。

その後、90年代以降、進学率が再び上昇する。70年代末以降は大学の定員(および大学の新設)を抑え、90年代以降には増やしたからだ。

ところが、大学進学率の上昇とともに就職率が低下している。大学進学率と就職率を掛けたものを見ると、70年代初期から2002年までほぼ2割で一定である。ここから、大学卒業者に相応しい職の数には限度があり、それは2割しかない。だから、4年制大学卒業者の就職状況が悪いのは大学を造りすぎたからだという意見も出てくる。

しかし、02年以降、大学進学率と就職率を掛け合わせたものは、リーマン・ショックで不況になるまで、3割を超えて上昇していた。

これは小泉政権の時代である。小泉政権下、大卒の就職状況は大きく改善していたのである。これが小泉純一郎元総理と新自由主義の経済政策のおかげだとまで主張する気はないが、経済はうまくいっていた。若者の就職状況は好転していたのである。金融の量的緩和政策で円が安定し、輸出が好調だったことも大きな要因だろう。より広範な大学の若者がチャンスを?め、格差が縮小していたのである。

なぜ、小泉経済政策で格差が広がったとなるのか、私はまったく理解できない。大学卒業者に相応しい仕事の数には限度があるかもしれないが、それは景気が良くなれば増えるのだ。

ハローワークを大学にという議論は、景気を良くして、大卒者のために全体の職の数を増やすより、与えられた数の中でうまく分配しようという話だ。

もちろん、いくら景気が良くても、企業と学生がお互いを知って、お互いに相応しい仕事を見出すことは必要だ。

現在、就職活動はエントリーシートの提出から始まっているが、企業にも学生にも大変な手間であるのは間違いない。昔は、応募できる大学を企業が決める指定校制度で数を減らしていたのだろうが、それはできないとなって、知能検査のようなSPI2と英語能力を見るTOEICが応募者を減らすために使われている。企業は、人材を採用するだけが仕事ではないから、応募者を減らすのは当然のことだ。

問題は、どうやって減らすのが合理的、かつ、若者の意欲を引き出し、将来必要な勉学をするのに役立つかだ。

応募者を減らすために大学の成績を使うという手段もあると思うが、誰もそんなことは考えていないようだ。大学の教師としては、大学の授業はなんら評価されていないのだから情けない。

昔の指定校制度でも、別に大学の教育内容が評価されていた訳ではなく、入学テストの難しさが評価されていただけだ。私が大学生だったころは、授業は休講だらけで、まあ自分で勉強するなり、遊ぶなり、何かに打ち込んだ経験は無駄になりませんよと言われていただけだった気がする。

ところが、時代は変わって、大学教師もしっかり教えて、学生にも勉強させないといけないとなっているが、やはり企業は学生の成績は気にしないようだ。

SPI2とTOEICだけでなく、もっと多様な方法で学生の能力を評価すべきではないだろうか。岩波書店が定期採用の応募資格について、「岩波書店の著者や社員の紹介があること」と堂々とホームページに載せたのは正しいと私は思っている。

岩波の本の執筆者に推薦状を書いてもらえば、紹介があることになる。銘柄大学の学生であれば、より多くの執筆者と知り合う機会が多いが、岩波の執筆者は多彩であって、やる気のある学生なら、知人のつてを頼って紹介状を書いてもらうことは可能だろう。それは、見知らぬ著者を口説き落として執筆してもらう能力に近いものがある。岩波に依頼されれば喜んで書く著者は多いだろうから、そんな能力は要らないかもしれないが、学生の能力と適性とやる気の指標にはなる。

他にも、もっと多彩な方法で、企業にとって手間がかからず、学生の能力を知る方法があるはずだ。折角、岩波という有名出版社が考えたのに、コネはいけないと言って潰そうとしたのは残念だ。

ハローワークに
マッチングできるか
そもそも、ハローワークに、企業の本当の希望、学生の本当の適性を知る能力があるのだろうか。多くの企業は、ハローワークよりも、新規採用でなければ、取引先、下請け、元請け、同業者、友人、知人、それらの関係者から人を探す。仕事の能力を確実に知っている人から選べるからだ。ハローワークにその能力があるとは思えない。

ハローワークの職員は役人だが、本来、役人にきちんとできる仕事がある。規制すること、チェックすることである。ところがハローワークは、斡旋するだけで、求人票の記載事項が正しいかどうかチェックしていない。ブラック企業の排除もしていない。

確かに、何がブラック企業かの判定が曖昧なままで、公権力がある企業をブラック企業だと決めつけるのは問題かもしれない。しかし、多くの大学はしているようだ。私立大学なら、担当者がブラックだと思えばブラックだと言い張ってしまえばそれでかまわないと私は思う。

しかし、公権力でも、求人票の記述と実態に違いがあれば、それは違反のはずである。500の大学内ハローワークが、このような企業をブラックリストに載せれば、かなりの牽制になる。

私は、ときどき、日本の役人は、本来、役人がするべき仕事をできない人たちだと思うことがある。もちろん、原発を正しく規制するのは難しいが、これぐらいならできるだろうと思うのだ。企業の本当の希望、学生の本当の適性を知ることなど諦めて、虚偽記載の取り締まりだけでもきちんとした方が良いのではないか。←引用終わり
◆WEDGE2012年7月号より
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