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2015/10/28

メルケル婆さんも、そろそろ川で洗濯する頃かと!

ドイツの人は真面目に突き詰めてモノ事を考えすぎる傾向がある。
ナチズムに対しても真剣かつ真面目に取り組んだ。
ヒトラーの主張には真面目に応えた。

思えば欧州大陸において出遅れたドイツ帝国は、周辺を簒奪しようにも意のままにならず、癇癪を起こして「第一次世界大戦」を余儀なくされた。
それを真面目に戦いそして敗れた。
莫大な戦時賠償を科され、それにもナンとか応えようとした。
その結果、ドイツ帝国改め「ワイマール共和国」を強いられたドイツ経済は破綻の淵に追いやられた。

これを敢然と拒否し「偉大なドイツの復活」を掲げ、ゲルマンの民を刺激したのがヒトラーであり、それにドイツ中が熱く真剣に応えた。
そして、欧州大陸の大半を支配できたが、偏見に満ちた稚拙で高圧的な統治は続かず、短期間に再び破滅する事態になり、悲しいかな国土は二分された。
ゲルマンの民は様々な贖罪を強いられた。

そして1989年の冬(クリスマス)を前に再びドイツは希望に湧いた。

大男のコールが率いたドイツ連邦がドイツ民主主義共和国を統一する事になった。
イギリスにはサッチャーが居た、ロシアにはゴルバチョフが居た。
その後もゲルマンの民は贖罪を強いられ続けたが辛抱強く困難に耐えた。

やがて、歴史的妥協の時が訪れ「欧州連合(EU)」として欧州大陸は統合される事になり、耐えに耐え抜いたドイツ経済が抜群の強みを発揮する事になった。
最初は小国が主導する小さな「EEC」だった、それが欧州共同体としての「EC」として理念を共有した上で12カ国による「EU」が誕生した。
ドイツはその盟主の座(責任も)を得た。

時は流れ、ドイツ連邦共和国の首相に東の占領地出身のメルケルが就いた。
メルケルは痛みの分かる「モノ分かり」の良い首相を演じた。
しかしEUは一枚岩ではなく、メルケルのドイツを好ましく思わない国も周囲にはあるのが国際社会というものだ。
ドイツ経済が「EU」をリードしている事は誰にも異論はない、だからと言って快く思っているワケではない。

第2次世界大戦の贖罪をドイツは理念上から今も問われる立場にある。
それと「シリア」を始めとする「中東難民」は基本的に別の問題である。

しかし、理念に忠実なメルケルはシリア難民の受け入れを感情論で決定した。
(勿論、ドイツ国内にも多数の異論がある)
「EU」を構成する周辺各国に対し、各国の経済力に合わせシリアなどの難民受入数を割り当て、目標として掲げ受け入れるように強制した。
この瞬間に「ギリシャ危機」の解決に際しても、強硬なメルケルの主張を支持した「EU」各国は、強烈な反論を行いメルケルとドイツを批判した。
この時点でメルケルに対する歯車は一気に逆転し始めた。
それは「EU」だけでなく、足下のドイツでも歯車は空転し逆回転しそうな勢いである。

思い上がりに対し強烈な反発の火の手が上がっているのだと。

引用開始→ [FT]メルケル時代の終わりが見えてきた 
(日本経済新聞/Financial Times 2015/10/27 14:35)

今年初めの時点で、アンゲラ・メルケル氏は世界で最も成功した政治家と言ってもよかった。ドイツ首相のメルケル氏は3期連続で総選挙に勝利。欧州の支配的地位に立つ政治家で、国内の人気も極めて高かった。

しかし、ドイツを見舞った難民危機がメルケル時代に終わりを告げることになる公算が大きい。今年だけで難民申請希望者の受け入れが100万人を超える見通しの中で、国民の不安が高まっている──そして、メルケル氏に対する与党内の批判も同様だ。同氏の政治的盟友の間でも、2017年の次回総選挙を待たずに退陣を余儀なくされる可能性が目に見えてきたと認める声が出ている。首相任期を全うしたとしても、ほんの数カ月前まで広く取り沙汰されていた第4次メルケル政権が現実となる可能性は、今や乏しいように思える。

いくつかの点で、これはとても不公平な現実だ。メルケル氏がシリアの内戦、あるいはエリトリアやアフガニスタンの問題を引き起こしたわけではない。紛争下の国を逃れた何百万人もの難民の窮状へのメルケル氏の対応は、勇敢で思いやりがある。メルケル首相は戦後ドイツの最良の伝統を貫こうとした──人権の尊重と、国際的な法的義務に従う決意を含めて。

平穏なうわべの下にパニック
問題は、メルケル政権が明らかに状況を制御できなくなったことだ。ドイツ政府の当局者は表向き、メルケル氏の「私たちはこれをできる」という宣言を支持している。しかし、そのうわべのすぐ下にパニックがある。費用が膨れ上がり、社会サービスがきしみ、メルケル氏の支持率は低下し、極右勢力の暴力が台頭している。独ニュース誌「シュピーゲル」は今週、こう書いている。「今のドイツは、人々が憎悪と外国人嫌悪を全くはばからずに表現できると感じる場所になっている」

ドイツ社会の平穏なうわべに乱れが生じるなか、移民の経済的、人口的なプラスの効果に関する主張も行き届かなくなっている。代わって、かくも多くの新来者──特に内部崩壊する中東から──を受け入れることで社会と政治に生じる長期的な影響への不安が広がっている。その一方で、なおも1日1万人前後のペースで難民がドイツを目指し続けている(これと対照的に、英国は4年間で2万人のシリア難民を自発的に受け入れている)。

これまでメルケル氏が放ってきた落ち着きと制御、つまりニックネームの「ムッティ(お母さん)」が表すものとは対照的な状況だ。ユーロ圏の危機とロシアのクリミア編入への欧州の対応をメルケル氏が率いた2014年を通じて、ドイツの有権者は首相の判断にかつてない信頼を置く方向に傾いているように見えた。

しかし、難民危機がメルケル氏に別の一面を突きつけた。有権者の一部が「ムッティ」は気がふれたと結論づけたようにみえるのだ──悲惨な連中にドイツの国境を開け放つとは、と。

もちろん、これは過度の単純化もいいところだ。シリア人の難民申請希望者を最初の到着国へ追い返さないとするドイツの先月の決定には、もはやそうした措置は実際問題として無理があるという現状認識が絡んでいた。それにもかかわらず、メルケル氏は「門戸開放」を発表したと広く見なされた。この印象が定着し、ドイツは(スウェーデンと共に)欧州連合(EU)域内で難民申請希望者が目指す国となっている。

受け入れ分担策、EU他国は反発
この状況を速やかに転換する唯一の方法は、ハンガリーのオルバン政権が設置したのと同様のフェンスを国境に築くことだろう。ドイツの一部の保守派は今、まさにそうした措置を求めている。しかし、メルケル氏がオルバン流の選択肢を取る可能性はおよそ薄い。そのような措置はEU内の人の自由な移動に幕を引くことになるばかりか、難民が足止めされるバルカン諸国の重大な不安定化につながるということも承知しているからだ。

代わりに、メルケル氏はEU全体にわたる解決策を求めている。しかし、EU各国に難民受け入れの分担を義務付けるというドイツ案──加えて費用分担のための緊急基金の設置──は強硬な反発を受けている。その結果、すでにユーロ圏危機で緊張していたドイツとEU諸国との関係がさらに悪化している。今週、ポーランドの総選挙での反移民を掲げる政権の誕生もプラスにはならない。

メルケル氏が状況を転換することはなお可能なのか。ドイツ政府が幸運に恵まれれば、冬の到来が難民の流れを細らせる中で、難民申請希望者の受け入れ態勢を整え、特にトルコなどの通過国と新たな取り決めを結ぶ余裕ができる。

メルケル氏が状況を統制する力を取り戻せたなら、20年先に、活力を増した多文化的な今と異なるドイツ──試練のときに自らの価値を貫いた国──の「母」と見なされることになる可能性は残る。

しかしながら、ドイツに流れ込む難民の数がしばらく現在の水準で続き、メルケル氏がこのまま国境の開放を守り通そうとするなら、退陣への圧力が増すだろう。現時点で明白なライバルはいない。しかし、継続する危機が間違いなく誰かを浮かび上がらせるだろう。

首相の個人的な運命と評判がどうなるかにかかわらず、難民危機は転換点を示している。メルケル氏が首相に初就任した2005年からの10年間はドイツにとって、世界の混乱とは安全な距離を取り、平和と繁栄と国際的尊敬を享受できた幸せな時期だったようだ。その黄金時代は今やもう終わった。←引用終わり
By Gideon Rachman
(2015年10月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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