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2016/04/24

元よりEUに懐疑的で賛否両論が拮抗した英国がEUを離脱する事は悪なのか?

これまでもフィナンシャルタイムズは一貫して、英国のEU離脱を批判している。
今回も前回の記事と同様にEUを離脱すると経済的打撃が大きいと見てきた様な主張を掲げている。
それでは尋ねるが、EUは当初に掲げた「理念」の実現を得たかも知れないが、「理想」に到達できたか。
今はその途上にあるとするなら、そこに掲げる途上はどれ程遠い途筋かを示す必要がある。

ギリシャ危機は力尽くで抑え込んだが、それでもスペイン、イタリアの財政危機は克服に程遠いし、元の東欧諸国はEUの当初の構成国経済(市場)に依拠する指向を崩していない。
いまや国民国家でもある英国として、英国民の過半がEUに疑念を持ち発する疑問に応えられないEUには嫌気が差している。

EUの維持を主張する側は、あらゆる機会に英国がEU内で減免を受けているとするが、EU内でいわゆる後発国に該当する側は、更に大きな減免を受けている。
それらの主張は「為にする議論」に過ぎず、現状の打破に向けた生産的な議論ではない。

英国と称される「連合王国」がEUを離脱するのは自然の理に敵っている。

引用開始→ [FT] 英国EU離脱 その時、世界は 
(Financial Times / 日本経済新聞 2016/4/24 3:30)

英国が6月23日の国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めたら、将来の歴史家はどう評価するだろうか。あれで欧米が瓦解し始めたと見るかもしれない。オバマ米大統領が「BREXIT(ブレグジット)」への見解を示す権利を持っているだけではない。西側世界の指導者として、示さなければならないのだ。

英国がEUに加盟している限り、離脱という選択肢は常にある。だが離脱すれば再び加盟する選択肢はない。従ってそう決めるのは、その価値が高いだけでなく、それ以上高まりそうにない時だ。離脱を先送りするより暮らし向きがよくなると確信したら、その場合に限り、英国は投票で決めればよい。だが今はそうではないし、永遠にそうならないかもしれない。

経済損失、大きく
実際、筆者のように残留支持派は離脱は利益どころか即、損失を生むと考えている。英財務省がその経済的コストを見事に分析し、4月18日に公表した。EU加盟に代わる最も現実的とされる3つの選択肢を分析しているが、どれを選んでも暮らし向きは大きく悪化するという。選択肢は、欧州経済領域(EEA)への加盟(ノルウェーが選んだ道)、2者間貿易協定の締結(カナダが選んだ道)、世界貿易機関(WTO)加盟に基づく共通ルール構築の3つだ。

最初のシナリオでは、EU加盟を継続した場合に比べ、損失規模は2030年までに国内総生産(GDP)比3.4~4.3%に上る。第2の選択肢では4.6~7.8%、第3の選択肢では5.4~9.5%になる。これらの数字を信じるべきか。ノーだ。損失の規模は恐らく小さすぎる。要するに、英国経済は離脱した場合、そうしなかった場合より貿易と外国直接投資(FDI)に対する開放度が下がるということだ。これは英国の生産性レベルに打撃を与え、それゆえ経済生産を損なうだろう。

一部の離脱支持派は、英国経済は規制が緩和されダイナミックになるから、これは間違いだと主張する。だが英国はすでに高所得国の中では最も規制の緩い国の一つだ。加えて英国の最悪の規制である土地利用を巡る規制は、自国で作ったものだ。

離脱派「今より孤立することはない」
離脱派は、英国経済が今より孤立することはないとも主張する。だがこの議論には誤りがある。英国が(EEA加盟により)EU市場への特権的アクセスの維持を望むほど、取り戻せる主権は減る。つまり、英国は移民をコントロールできず、全く影響を与えられない単一市場の規則をそのまま受け入れなければならない。WTO型の選択肢を選び、EUへの関税をゼロに維持すると決めた場合は、他のすべてのWTO加盟国に同じ条件を与えることを余儀なくされる。そうした一方的な自由貿易は一つの選択肢だ。ただ、これは非EU市場への優先的アクセスを交渉する際のすべての材料の放棄を意味する。こうした交渉では、独自に行動するよりEUを介した方が、断然大きな影響力を行使できるのに、だ。

離脱派は、英国にとってEU市場の重要度は低下しているともいう。だが14年までの10年間の英国の対EU輸出は、伸び率こそ低かったが、増加額としてはなお、ほかのどの市場向けより大きかった。これは貿易額が圧倒的に大きいからだ。英国はEU域内における対内FDIの最大の受け入れ国でもある。英国がEU市場に対してEU加盟国と同様のアクセス権を持たなければ、投資家にとって英国の魅力は減退するだろう。

しかし、こうした議論は長期的なものでしかない。離脱決定後に何が起きるか誰も知らないというのも事実だ。離脱派はどの選択肢を追求するかでも合意していない。EU諸国が何を求めるかも分からない。愚かにも友好国は寛大だろうと思い込んでいる人もいる。

だが、拒絶されたパートナーが離婚で寛容な態度を取る可能性は低い。残るEU諸国としては一体性を保つことが重要課題となるため、どんな離脱も苦痛なものにしようとするだろう。英国の離脱は長期に及ぶ混乱と不確実性を意味する。

欧米結束にひび
こうした理由から、外国の友人たちは英国離脱がもたらす潜在的な損害に愕然(がくぜん)としている。英国だけでなく、より広い世界に対する損害だ。そうした友好国の先頭に立つのが米国だ。英国の主権が侵害されているというくだらない話をしている人は、米国が関与しなかったら、英国は今頃ナチスか旧ソ連の衛星国だったということを思い出すべきだ。第2次大戦と冷戦の間、米国の資力と意志が西側を支えた。

米国は自らも様々な問題を抱えるため、向こう数十年、負担を分かち合う力を持つ豊かで外向きな欧州を望んでいる。米国は欧州大陸における英国の積極的関与と、英国が大陸の一部であることを重大な利益と見なしてきた。英国はもはや大国ではないが、その行動にはまだ影響力がある。

英国はEUの様々な負担や過ちから免れてきた。それでも英国が、欧州大陸の方向性に対し発言権を与えてくれる欧州との関係を絶つことを検討しているのを見て、ほかの西側諸国はどう反応するのだろうか。英国は正気ではないと思うだろう。←引用終わり
By Martin Wolf
(2016年4月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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