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2005/10/16

ベトナム航空はサービスを改善せよ!

ベトナム航空が「業績絶好調」と発表?!

logo_top01 このほど、ベトナム航空は、業績がすこぶる好調というより絶好調と発表し、鼻高々とのことらしい。この談話を聞いた事情通は収益の大半が「日本各地との路線(関西・成田・福岡・中部)」を始め、お隣の「ソウル線」に加え「香港線」で稼ぎ出していると考えるわけです。邦貨換算で1,400億円程度まで業績を伸張させたことは立派なことで評価に値します。しかし、収益を稼いでいる中身について、VN(ベトナム航空の国際識別コード)の経営陣は、自社便のサービスについて検証(国際比較)したことはあるのかと正直に疑いたくなります。いま以て、何よりも乗せてやっているというキャビンクルーの姿勢、機内サービス(機器を含めたソフト)のレベル、提供機内食のレベル、詰め込めばよいという姿勢の座席(少しは真面目にメンテナンスをされたらどうですか)、ベトナム国内でのチェックイン時の混乱(これは民族性か?列を守ろうとしないし、カウンタースタッフも順序を考えない)を整理できない、などなど言い始めたら際限なく続く。トータルな顧客サービスの再設計が必要ですよ。本当に一人前の航空会社になりたいなら、真剣に改革すべきです。機材だけを新規に導入してもソフトが付いてこなければ話になりませんからね。特に、キャビンクルーは自己の職務維持(任務)には熱心でも、搭乗客の希望など配慮しようともせず、クレームを出すとすぐ自己保身に走り延々と自己防衛のために自己主張を繰り返す。「あれ、定期航空輸送事業ってサービス業じゃなかったっけ?」と、何かを求めかけた客が思わず自己反省させられるような気分が連続するサービスって一体何なのだろう?と思わず考え込んでしまわずにはいられない。

日本人乗客は許してしまう?!諦めているのだ!

日本人客は、それでも「許してしまう。許してくれる」って思っていたら大きな間違いですよ。本当に救いようのないまでに大変な勘違いをしているのでしょうね。韓国人の乗客は絶えず搭乗中のいろいろな出来事に対し「文句と不平」を言い続けるようですが、日本人客の大半は「言っても仕方がないし、余計に不愉快になるから」って諦めているのですよ。つまり相手にしないようにしているのですよ。それを、「自分達は受け容れられている」と考えているところが凄いというか脳天気というか、正直に申し上げて次の言葉がありませんよね。それでも収益が上がったと自慢たらしく、いかにも誇らしげに成功しているとの談話を出す経営陣のセンスって相当酷い状態ですよね。もちろん、彼らが自社便に搭乗するときは「超超VIP」だろうから「不平も不満」も感じるわけないですしね。というより、何が標準かということの基本認識が異なるようですから最初から話になりませんし、噛み合わないですよね。単に甘えているだけじゃないですか?少なくとも、純然たるプロパーチケット(今どき正規料金を支払う人はいませんが)を購入しない日本人ビジネスマンは、この路線では何事も絶対選択できないわけで、6時間ほどのことだからって辛抱する人が大半のようですけれど、一般的には何とか快適に往還する方法はないものかと思案算段大変なのですよ。日本路線が開設された当初は、ベトナム航空と日本航空が同レベルで運航し合いましたが、最近は日本航空が国内線、国際線ともに経営上の大きな問題を抱えたこともあると思いますが、機材繰りの都合を理由にハノイ線とホーチミン線のごく一部を除き、ベトナム航空の機材を使用した「共同運航便」が大半(搭乗客の状況を考え、路線運航を実質的にVNに譲り華を持たせているわけです)となりました。JALの客はJALに運賃を支払って搭乗しますが、実際に、提供されるサービスはVN機材による運航では、当たり前のことですが輸送を含めてVNAのサービスです。このサービスが前述のとおり恐ろしく低レベルな仕儀ですから、大変な損を強いられたと感じ落ち込みます。言葉が悪くて申し訳ありませんが「軽微な詐欺」と言い換えることも許されるのではないかと考え込んでしまいます。キャビンクルーが「にっこり」笑って迎える「売り」で誤魔化されては均衡が保てないと思います。この「にっこり」も時と場合によるわけで、考えようによれば「いつもヘラヘラしているだけで、しまりがないのだ」と鋭く指摘する声もあります。「ニコニコ」が一転して自己保身に走るのは、搭乗客からクレームが出たときです。出した側は「うんざり」させられ自己嫌悪を招くことになります。VNのキャビンクルーはベトナム各地の路端屋台の給仕係と勘違いしているのではないかと思わず疑ってしまいます。

VNはJLに比べて輸送コストは総体的に低いのに?

総運航便数(総座席提供数)の問題もありますが、ベトナムより遠いタイやシンガポールへ行く航空券の方が市場価格では安いのです。国内はもとより当事国との二国間航空輸送をほぼ独占し、他の選択肢を一切与えず、単に甘えた状況の中で、一向にサービスの改善を図ろうとせず、事業収益の拡大のみを単純に喜び誇らしげに話す経営陣の姿勢に恐ろしさを禁じ得ません。これだけ寡占を許されているのだから、もっと搭乗顧客の利便性や快適性(提供機内サービスを高めるとCクラスの座席だけは良好ですが)を考えるべきです。しかし競争のないところではサービスも価格も変わりませんね。一輸送コストに占めるVNの人件費総額は最高に見積もってもJLの2割程度、後のコストは同程度ですから、自ら提供できるサービスの質(コスト)に応じた経営努力はできる筈ですが考えもしません。もちろん、共同運航相手であるJLのコスト水準を考え合わせてもいるのでしょう。JLもVNに値下げされたら追いつけないしベトナム路線から撤退するしか途は残されません。それは国益上も許されないわけで。このような事情を背景に、VNはVN基準のサービス(恐ろしく低位の)提供をJL水準の路線価格(国際水準では高価な方)で維持しその差額で「ニンマリ」ということになり、日本各地との路線で大いに収益を上げているわけです。なにぶん、日本とベトナムの間を往還する人の数は、ほぼ30万人前後で推移しています。総座席提供数から推定すれば、この7割~8割をVNが独占していることになります。このコラムをここまで読まれた方は「そこまで言うか?!」って思われるかも知れません。ついこの間、初めてベトナムを旅行され「素晴らしい経験をされた方は、どうしてそこまで言うの?」と、少なからず不快な思いを持たれることでしょう。しかし「同情は甘えを呼ぶだけ」に過ぎないので、長い年月ベトナムと共に歩んできた一人の者として警鐘を鳴らしたいと思います。「浮かれるな!」「付加価値生産性が低いのに、偉そうな態度で自慢たらしくいうな!」。国際線を運航する定期航空事業者としての国際水準をせめて搭乗客に提供できるようにして貰いたい。その後、現在の経営水準が保てるのであれば今回のように誇るのも大いに結構だろうが。そう巧くはいくまい。

原油代金は高騰中!既に平均的な水準の3倍になっています。

このような環境の中で、搭乗客は、ベトナム路線については運航する定期航空事業者を選べませんから、いまのような低いサービスレベルで独占運航が続くことを渋々受け容れざるを得ないのです。ベトナムはあらゆる分野の政策面で、例えば航空輸送の分野でも当然ながら「量的拡大」を目指してきました。そのため、VNは政府から国営航空会社として特別な便宜提供を受けています。つまり本当の意味でVNは「ナショナル・フラッグ・キャリア」として国を代表しているのです。ベトナム全体の印象を代表していると言っても過言ではありません。しかも、今は、量的拡大の維持を図る必要と同時に、「質的拡大・向上」を追究しなければ事業の拡大も維持も困難な状態に直面しつつあります。経営陣がそれを弁知していれば問題はありませんが、一切の改善もないまま運賃だけが高騰する航空燃料費(原油価格は従来平均の3倍)に合わせて無批判に上昇し利用者へ転化されるなら、ベトナムへの投資も観光もパスされることになるでしょう。また移動のための航空会社選択はシビアになることでしょう。その際、VNが日本人乗客に支持されるかどうか疑わしい限りですね。

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コメント

本当にこの問題、私も相当言いたい事が溜まっています!!!
こういう独占状態を続けている限り
ベトナムが国際的なスタンダードにあがる事は限りなく難しいと思います!!!
がんがん言ってやって下さいよ!!!

私もいろいろ書きたいのですが今日は時間がないので
また今度。。。

投稿: 石井良佳 | 2005/10/25 17:19

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