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2005/10/12

「日本ファッション・ウィーク」と「東京コレクション」

日本ファッション・ウィーク:若手デザイナーら紹介--10月31日から東京で

日本が“ファッション発信地”であることを、世界にアピールするイベントが10月31日~11月9日、東京で開催される。「東京発:日本ファッション・ウィーク」。経済産業省と繊維・アパレル業界、デザイナー組織などが共同で取り組む初の大イベントだ。 毎日新聞【 2005年9月26日東京夕刊 】

日本ファッション・ウィーク:概要固まる

日本のファッションを海外に売り込もうと、10月31日から東京都内で開かれる「東京発:日本ファッション・ウィーク」の概要が固まった。初めて本格的な集中開催となるファッションショー「東京コレクション」には、若手から大御所まで52のデザイナーズブランドが参加する。 日本ファッション・ウィーク:概要固まる
経済産業省の主導により、官民共同で行う初の試みだ。主会場は港区・明治神宮外苑の絵画館前特設テント。業界イベントとして一般公開はほとんどなかったが、今回は屋外に大型スクリーンを設け非公開のショーも生中継する。繊維メーカーとデザイナーが提携した展示会(10月31日~11月9日)、新人デザイナーの合同ショー(11月6日)などの公開イベントもある。「ウィーク」は、これまでばらばらに行われてきた春夏向けコレクションのショーやメーカーの展示会を、10日間に集約する。
【 毎日新聞2005年10月3日東京朝刊 】

「ファッション・ビジネス」は知財立国にふさわしい

知財立国を目指すとか、先端工業技術や先端金融論の分野などについては、結構高い関心を集めているようですが、地味ながら「ファッション・ビジネス」は日本の「生活文化」を支える大きな要素を占めています。これまで、日本は政策分類上で、「ファッション・ビジネス」について「製造面」では「繊維産業」というとらえ方、「消費市場」については「流通産業」というような大雑把な括りで捉えてきたように思います。「ファッション・ビジネス」は構築次第で、膨大な付加価値を生む要素を抱えた「宝の山」ですが、すべてを「自由競争」に委ね、公的セクターが政策面で「刺激」を加えようという今回のような意志を示すことはありませんでした。しかし、ようやくと言うべきでしょうか、遅まきながらと捉えるべきでしょうか、官民あげて、日本の「ファッション・ビジネス」を世界に向け発信し振興を図ろうという動きが見えるようになったことはとても良いことです。アジアの各地域はもちろん、ヨーロッパ、アメリカからも一定の目を持つバイヤーを集めることが成否を決定づけるのでしょうが、一回や二回でマイナス評価せず、あるいはへこたれることなく、地道にしかし確実に維持されることを望みます。
フランスは「ファッション・ビジネス」の振興を、まるで国是のように政策面で手厚く支援し取り組んでいます。30年ほど前に、官民あげてルーブル宮の一角に巨大なテント村を設け、当時のプレタポルテ界で注目を集める有力クリエイターを集合させ「パリ・コレクション」として競わせ、世界から集めたバイヤーあるいはジャーナリストに自由に評価させることを通じ、同時に受注を得るという仕組みを築き上げ今日の隆盛をみています。'70年代には、従来の森英恵さんとは別に、パリ在住の高田賢三氏を始め、東京から三宅一生氏、川久保玲氏、山本耀司氏が参加し、彼らの手で発表されたデザインに熱い眼差しがおくられ高い評価が示されました。その後も、日本人クリエイターに対する熱烈な支持は続き、その中で前述の四氏はとりわけクリエイティビリティの高さから確固たる地位を築かれました。今に至るも、その評価は不動だにしません。
東京がこれを期に、パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークに続く、「ファッション情報を世界に向けて発信する拠点」として、官民一体で整備されることを期待して止みません。

「ファッション・デザイン」も「情報システム」もソフトウェア(=知財)そのものだ

「学ぶ」ことは「真似る」ことに始まりますが、現在、日本の「ファッション・ビジネス」を支える基盤は、「真似る」などという非難めいた指摘を受けなければならないような状況ではありません。製造能力でも構築能力でも独自の領域を構築しています。確かに表面に見える消費市場では、美味しい上位の分野を意味無く為す術もなくヨーロッパのブランドに押さえられ一方的に押しまくられています。中位から下位の部分はアメリカのブランドに巧みに押さえられようとしています。
日本の「ファッション・ビジネス」はIT技術の発達と一体化しつつ高度な情報システムを構築しています。そこから得た店頭情報を生産分野へ反映できるよう、商品製造と展開の段階で実に多様な情報を仕組んでいます。これらのプログラム構築それ自体が誇るべくソフトウェア(=知財)そのものです。これらの構築力と、他国に比べるとまだまだ均質性の高い所得配分を保ち、新聞・テレビ・ラジオ・雑誌というメディア媒体に加え、インターネット網がこれだけ整備された国も稀ですから、極めて高質の情報伝播力を保つ日本のファッション市場は、海外から見たらとても美味しい市場なのです。
一方で、日本の「ファッション・ビジネス」は「ファッション・デザイン(=知財そのもの)」の面でも独自の領域を顕し、その表現領域を徐々にしかも確実に高めています。前述の四氏を凌ごうという気概を持つ、新進気鋭の高いクリエイティビティーを持つデザイナーが現れ始めました。これからの日本をリードするに足り得る人材が競い合うことは大きなエネルギーを生み出すことでしょう。最初は、稚拙でも気にすることはありません。日本のクリエイティビリティーの高さを示してもらいたいと、大きな期待を寄せています。

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コメント

石井さんへのお礼を込めて。
ファッション・ビジネスは知恵の集積です。知恵がなければ人まね(コピー)はできても、本質的な意味で創造的な仕事はできません。デザイン活動や音楽活動に対し、ときおり冷たい視線を浴びせる方もあるようですが、悲しいことですね。
コンピューターを作動させるプログラム設計も、そのプログラムを応用し、次の分野のプログラムやグラフィックスを創出するのもそれぞれの分野の知力がなければできません。
衣服は、それぞれの人が所属する社会や自然環境により規定されます。従って、その環境や背景を充分に考慮した提案できる機会が多いのです。
ファッション・ビジネスについての知力やソフトウェアは、個別の人のセンスに包まれ大切に保持されていますからより一層オリジナリティーが高いわけです。その意味で、知恵は多様な展開を創出できるファッション・ビジネスは高い付加価値を生み出しています。まさに知財そのものといえます。

投稿: 閑臥彌 | 2005/10/16 17:32

<<ファッション・ビジネス」は「ファッション・デザイン(=知財そのもの)」

まさにそうなんでしょうね。
ベトナムも、お役人たちが「最先端の技術を使ったハイテク産業を誘致せよ!!」なんてまだ、梱包材ひとつ、まともなものを供給できない状況で言っていましたが、結局「ちょっとした雑貨でもデザイン一つで大きな価値が生まれる。」ということが大きな力になってきたように思います。

どうしようもない古びた中国的おみやげ物に、フランス帰りのデザイナーたちの感性が加わって、15年前には想像できなかったほど大きな産業となっているのはご存知の通り。


<<<日本の「ファッション・ビジネス」はIT技術の発達と一体化しつつ高度な情報システムを構築しています。そこから得た店頭情報を生産分野へ反映できるよう、商品製造と展開の段階で実に多様な情報を仕組んでいます。これらのプログラム構築それ自体が誇るべくソフトウェア(=知財)そのものです。これらの構築力と、他国に比べるとまだまだ均質性の高い所得配分を保ち、新聞・テレビ・ラジオ・雑誌というメディア媒体に加え、インターネット網がこれだけ整備された国も稀ですから、極めて高質の情報伝播力を保つ日本のファッション市場は、海外から見たらとても美味しい市場ですなのです。

この話、すごいですね。確かにJJなどの雑誌が若い人のファッションに絶大な力を持って、同じようなファッションに身を包む人街を闊歩するという状況は日本以外であまり見ませんが
それを仕組んでいる人たちの力というのもすごいですね。

<<<美味しい上位の分野を意味無く為す術もなくヨーロッパのブランドに押さえられ一方的に押しまくられています。中位から下位の部分はアメリカのブランドに巧みに押さえられようとしています。


確かに、インドで生まれたペーズリー模様もイタリアのエトロにとられ、日本の家紋もルイビトンのモノグラムになっています。アジアも伝統的な技術やデザインがあるにもかかわらず
日本人をはじめ最近は中国人までもが欧米ブランドを買いあさって、欧米のブランドに大量のお金が流れていくというのもな。。といつも思います。

国策としてファッション産業が後押しされ、ビトンのようなアジア発の超有名ブランドが出来る日を楽しみにしています。
また面白いお話聞かせてください。

投稿: 石井良佳 | 2005/10/16 01:16

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