ゴルバチョフ氏とのオープンフォーラム
「ペレストロイカ20年後の世界」
神戸学院大学(神戸市西区)は11月17日、ミハイル・ゴルバチョフ氏(元ソ連邦初代大統領・ゴルバチョフ財団総裁)を招き、オープン・フォーラムを開催した。
フォーラムは同大学が主催。前学長でアジア太平洋研究センター長の谷口弘行教授がコーディネーターを務め、パネリストは、ゴルバチョフ氏を中心に、井戸敏三兵庫県知事、北口寛人明石市長、新野幸次郎神戸都市問題研究所理事長・神戸大学名誉教授と同大学法学部の学生、井上雅弘さん、稲澤宏行さんの二人を加え6名。
一般にも公開されたフォーラムへは市民300人を含め800人が参加し熱心に耳を傾けた。
ゴルバチョフ氏は冒頭の基調講演で
冷戦終結後のグローバル化や、深刻化する貧困問題などについて熱弁を振るった。
「ペレストロイカ20年後の世界」と題し、基調報告したゴルバチョフ氏は、冷戦後、経済のグローバル化が進む一方で「貧しい人と、富める人の開きが広がっている」と先進国と発展途上国の間に横たわる問題を指摘。改革の必要性を認め指摘し「国連には非常に大きな可能性がある」と期待を寄せた。
グローバル化による功罪
グローバル化の進展により、相互依存関係が深まり、世界の貿易は30%増加し、多国籍企業と呼ばれる巨大資本による生産者の製品が全貿易量の75%を占め、ヘッジファンドと呼ばれる1兆ドルの資金が世界を駆け巡り利益を獲得し続けている。
グローバル化した貿易システムに乗じ利益を得る側に位置した、極めて少数の者はこの間に収入を300倍に高め莫大な富を手にしたとされている。一方において、不幸にも収奪される側に位置してしまった者は2ドルに充たない収入すら得られない生活に追い込まれている。
このように富と貧(60%を超える)が急拡大した状態を放置すれば世界が安定するわけがない。貧困な社会に放置された人たちは基本的な教育も受けられない。先進諸国があらゆる人に人としての公正さを要求するなら、多くの発展途上国には人としての教育を受けることができない子供たちがたくさんいることを忘れてはならない。この子供たちが平等に教育を受ける権利を保障しなければならない。
貧困の撲滅が必要
かつてリオデジャネイロで、「持続可能な発展」の可能性を考える会議が提起され、多くの国からたくさんの人が集まり議論した。しかし、富める側に位置する国(者)は、その後、どれだけ貧困撲滅に資金を使用しただろうか。貧苦に喘ぐ国では、自らが生きるために急激な環境破壊が起きている。先進諸国はこの事態にどう立ち向かうのか。
リベラルに位置する者は勝者か
グローバル化は、リベラルと呼ばれる側が、コミュニズムに対する勝ちを意味するわけではない。自らを勝者と考える側も「社会的公正さを喪失した」ことにより勝者としての限界を招き、自ら混乱を収拾できないままだ。
'80年代以降、世界は新しい思考方法が求められているにも関わらず、世界は未だ創出し得ていない。
アメリカの独善思考
さらに、ソ連邦の崩壊により「唯一の超大国」となったアメリカについて「軍事力で民主主義を移植しようとしている。米国流の判断(価値観)を押し付けている」と、イラク攻撃などを挙げながら、強硬な外交姿勢を批判した。
米国の価値観を絶対視した世界観の押しつけは、永く伝統的な価値観やそれによる歴史や文化を持つ「イスラム社会」を押しのけることになり、「イスラム社会」に位置する側は世界から排除されようとしている。世界の人口構成で多数を占める「イスラム社会」の人たちを押しのけ、世界の秩序を維持することは可能だろうか。
パネルディスカッションで
また、井戸敏三知事らを交えたパネルディスカッション「地域活性化とグローバリゼーション」では、地方分権についても言及。
自らが推進したペレストロイカの過程で、各共和国への権限委譲を試みた経験を踏まえながら「地方に資金を与えずに権限を与えると、地方で税収源をつくらねばならず、これは非常に難しい」などと、ペレストロイカの過程で自らが経験した数々の困難について、あるいはロシア共和国との税源を巡る軋轢についても率直に言及し、失敗の経験を「自己批判」する場面もあり、日本政府が進める「三位一体の改革」について、自らの経験による思考として慎重な吟味が不可欠と苦言(自己反省)を呈するような意見もあった。
他に、パネルディスカッションのテーマ「地域活性化とグローバリゼーション」について、グローバリゼーションが進行する中で、地域社会が果たす(せる)役割について、真剣な意見交換がなされた。井戸知事から、兵庫県では、世界のいくつもの地域と、県内のそれぞれの地域が国境を越え直接交流を推進していることや、その方法の説明と国際交流の具体的な中身も紹介があった。、これに対し、ゴルバチョフ氏は、地域が互いに交流し理解を深め合うことは素晴らしい、積極的な意味があると見解を述べた。
お断り:このブログは、当日のノートから大要をまとめ紹介しています。
| 固定リンク


コメント