ナマのベトナムが分かる、週刊ベトナムニュース第60号
ウィークリー・ベトナム・ニュース
■ 平成18年4月29日 土曜日 第60号
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■ こんにちは!!
いつもお世話になっておりますベトナムから、ニャットアインです。
今日もここ一週間のベトナムの主なニュースをご笑覧下さい。
翻訳は直訳とせず、日本語に馴染む意訳としておりますので、ご注意下さい(笑)また、訳者の独断と偏見を交えた辛口寸評を入れてみました。内容が片寄り、言葉が多少過ぎる箇所も多々あろうかと存じますが、これもベトナムを愛するゆえの諫言とお許し下さい。誤字・脱字はご愛敬ってことでお願いします<(_ _)>
尚、記事の転送は営利目的以外なら原則自由ですが、自己責任において行い、その中で被った被害・損害に対し筆者は責任を負えませんのでご了解下さい。
ベトナム・ニュース その60 今週のヘッドライン
* 4月24日(月) 生活しやすい都市 第三位!
* 4月25日(火) 経済成長率年8%堅持
* 4月26日(水) 広報需要増加傾向
* 4月27日(木) やさしいベトナム人
* 4月28日(金) ビル・ゲイツをたらそう
* 4月29日(土) 将来に対する大きな懸念
4月24日(月) 生活しやすい都市 第三位!
*最近、ホーチミン市はアジア各都市の中で現地駐在員にとって第3番目に生活がし易く物価が安い場所にランキングされたと、最近、ECAインターナショナルの主催したアンケート調査結果で判明した。
ホーチミン市は、バングラデシュのダッカ、フィリピンのマニラに続いてのランク入りで、ハノイ市は第8位となっていた。アンケートはアジア39都市と250箇所の地方を対象としたもので、125種類の生活必需品と生鮮食料品・アルコール・タバコ・衣服・家電製品・自家用車・レストランでの食費などの価格を比較して割り出された。
このところアジアの物価はインフレ・現地通貨の値上がりなどで駐在員にとって高くなりつつあるもののアジア各都市の平均的生活費は世界の他の都市に比べればまだまだ生活がしやすいといえそうだとアンケートの結果は示唆している。
(辛口寸評)
常々、ベトナムに生活をしていて感じることは、自動車や高級家電製品などの耐久消費財・住居などの購入を別にすれば衣食住、非常に物価が安く生活がしやすいということだ。例えば、ベトナムの朝の定番、フォーは法貨で60~170円、ジーパン一本1500円、タバコ一箱が20~90円。時に出張で日本へ来ると、1万円札に羽が生えているかのように、直ぐなくなってしまい改めて物価の高さを思い知らされるのだ。
生活の豊かさはつくづく収入や給与の額面だけで測れるものではないと実感する。仮に日本で月収50万円、4人家族でで住宅ローンを抱えていれば、実質生活費に回せるお金は、30万円前後となうだろう。
そこから子供の学費・塾の月謝・自動車ローンなどを差し引けば20万円ほどしか残らず、かつかつの生活で到底、ゆとりなど感じられぬだろう。
ではその20万円の生活費をベトナムに持ってきたとしたらどうなるだろうか?恐らく10万円は貯蓄に回せ、残りで余裕の生活が保障される。
我が家(5人家族)で掛かる月平均の生活費を参考までに言えば、凡そ5万円見当、そして残りは僕の小遣いというか家族でのレジャー費(日本帰省の旅費や外食費)に回している。定年を迎えるサラリーマン諸氏には是非、老後の生活をベトナムで送り、これまで日本で培った社会経験や技能などをベトナム発展のため有益に活用してもらえればと思う。
4月25日(火) 経済成長率年8%堅持
*ベトナムは今後5年間の経済成長を環境保護及び、安定した発展に注意を注ぎながらも速やかな発展に向けて取り組んでゆくと、投資計画省のTran Dinh Khien副大臣は発言した。発言は第10回党大会記者会見の席上でなされたもので、過去数年間で社会経済発展の経験は行政を司るすべての職員に対し経済成長の重要性をより認識させ、一体となって邁進してゆくことの大切さをもたらしたと、副大臣は続け、さらに、今後五年の各年ごとの年成長率政府目標値を8%以上と掲げ、その達成に向けて各員一層奮起するよう要請した。この数値目標を達成可能とするためには、社会資本投資がGDP全体で40%なされることが必要で、内65%は国内投資家より、そして残りが外国資本家の参入によってもたらされなければならないという。
副大臣は投資環境の改善をより一層図ってゆくと共に、党中央並びに政府で最優先課題として打ち立てられた汚職の根絶。そして投資家のベトナムと牛に対する信頼度を増してゆく努力を約束した。今後5年間のあいだに現地ローカル企業と外資系企業の差別撤廃を推進して行き、特にプライベート企業及び外資系企業に対しビジネス活動を円滑にしやすい環境作りに取り組んでゆくという。過去20年にわたる社会資本主義経済の流れを纏めた報告によれば、2010年にはGDPがUS1100$が見込まれ、現行のUS640$に対すほぼ倍増するという。第二次産業が そのうち34~44%の数字を担い、第三次産業が41%と続き、第一次産業が16%と続くとされる。
Khien副大臣は、農林水産部門に対し、今後5年間で生産性を高める努力を積極的に推進し、国内需要及び輸出増加に繋げるよう注文をつけた。製造業界全般の発展に於いては、品質の向上を至上命題とし、競争力を高めてゆくことが望まれると述べ、同時にハイテク関連製品・工作機械での高品質部品生産を最優先事項としたいと付け加えた。サービス分野では、伝統的なサービスの質を保持しながらも、同時に可能性の高い観光業・航空事業・海運事業・通信・金融業の開発し競争力を向上することに焦点を当ててゆかねばならないと語った。
(辛口寸評)
第10回党大会は、開始前になると裏では凄まじい権力闘争を繰り広げる反面、一旦、党大会が始まると各指導者たちは華々しく、今後の展望を打ち上げる。今回、今後5年間の年間経済成長率を投資計画省が8%(以上?)と発表したわけだが、これは恐らく黙っていてもこのまま行けば無事達成がなされる数値に過ぎない。ベトナムのポテンシャルとして多分に10%を超えたとしても驚くべきものでもない。しかし、懸念材料がないわけではない。それは海外労働者輸出法がこの4月に施行されたことにより、将来、ベトナム国内での製造業の担い手が海外に流出し、労働力の国内需要が賄いきれない事態に発展する可能性がとても高いのだ。相手国の法律の枠組みもあるため、一概に危機感を煽るものではないものの、無制限な労働者海外輸出を奨励するようなことが起きないようにすべきで、海外で技術を取得してきたベトナム人労働者が母国に帰ったとき、それがベトナムで活かせる環境作りを今、ベトナムが推進してゆかねば、折角の目標値も水泡に帰してしまいかねないだろう。
4月26日(水) 広報需要増加傾向
*ハノイ大学外国語学部で勉強をしてきたにも拘らず、Nguyen Thi Le Hangさんはベトナムでは新しくそして、成長性の高い分野である広報のキャリアに取り付かれているという。Hangさんと同様 多くの彼女の同級生が製造や化学などを学んできたのに、やはり広報に惹かれているのだと、、、。
大勢の若者は挑戦することが好きで、広報の仕事は活動的であり創造性豊であり、またそのような人材を求めている。その一方で広報では幅広い分野の多くの人々と知り合うことが可能であり、彼らから吸収できるものは計り知れないのだと彼女は語る。
現在、広報の仕事はベトナムのビジネスシーンにおいて最も人気の職種であり、故に専門家は今年、ベトナムでの広報市場は流行に火がつくと見ている。ベトナムの広報産業は、特にマスコミ分野に於いて急成長を遂げる職種となることが確実視されている。今のところ各企業の広報で使われるの経費について公的な調査・研究は行われていないものの、私はこの分野の成長率は年20~30%であると信じていると、Venus Communications社代表Pollynne Ibasco氏。
市場関係者は、広報を抜きにした宣伝活動は考えられず、従来の広告だけでは効果が得られないとの見方を示し、今後、多くの企業が広報活動に力を入れて行くだろうと断言する。前出のIbasco女史は、これから10年間、ベトナムでは広報の黄金時代を迎え、企業の多くが広報活動を有効に取り入れている企業を模範に参加してくることになると推察する。とはいえ、この分野は新しい故に強力な外国PR企業がシェア獲得に乗り出すに相違なく、ローカルPR企業はそれに対峙してゆかねばならないだろう。広報の人材育成のため、社会人文大学では新しくプレス学科を設け最近、わが国初のトレーニングコースを開講し、既に大勢の学生が学び始めているという。
(辛口寸評)
テレビ広告も打てない現地企業の僕が広報に関してコメントをつけるのはいささか気が引けるのだが、確かにこれからのベトナムにとってこの分野は大きく成長してゆくことだろう。これまでは、商品の刷り込みとしてテレビ・新聞・ラジオなどで現地企業は広告だけを出してきた。しかし、今後は企業のイメージ作りやクレーム処理法・顧客満足度などを体系的に取り入れた広報活動の重要性が増してくるだろう。
しかし、既にベトナムではマスコミを利用した広告の内 実にシェアの70%強が外国企業で占められており、国内広告代理店は苦戦を強いられているのが実情で、広報についてもこれまでと同じようなやり方をして行けば、あっという間に経験に長けた外国資本にシェアを取られてしまうだろう。社会人文大学で広報の人材育成が始まったというが、政府はWTO加盟を視野に入れながらも、当面の間 国内業界を支援するような保護をした方が良いと思う。
4月27日(木) やさしいベトナム人
*「仕事を辞め無給でボランティアを始めた時、多くの人々はそんな私を見て馬鹿げていると陰口を叩かれたのよ。でも、お仕事は魅力的で、この道を選んだ事に後悔していないわ」と当時の模様を話してくれたのは、ホーチミン市自然人文科学単科大学の学生たちに因って、設立された社会奉仕センター代表のLe Quy Haさん 23歳。センターの代表として彼女は多くのボランティア団体を訪れる。しかし、その中でも特に身障者に熱心になるそうだ。そこで彼女は、障害を持つ学生への社会活動プログラムを立ち上げた。その一環として、彼女は障害を持つ学生の為のオンラインフォーラムをはじめることにしたという。彼女と助手の二人で対象学生たちが持つ問題点を炙り出し、問題解決の手助けを行っている。そんなふうに毎日 忙しく過ごすHaさんだが、とても幸せだという。「障害者の自立を促す活動に参加するのは待ち遠しいし、何よりも自分自身の健康に感謝し社会の役にたてることが嬉しいの」とHaさんは元気に手を振り立ち去っていった。
(辛口寸評)
一般的なベトナム人の印象と云えば、プラクティカルで目聡く他を押し退けてでも、自分に有利な環境を創り出す事に長けている。ビジネスシーンでは特に在りがちで、時に鼻白む思いをさせられる事も多いのだが、プライベートな生活の中では、多くのベトナム人は弱者に対して優しさを見せる国民性だと思う。例えばローカルなカフェや屋台に入ると、乞食、盲目の流しや宝くじ売り、本売りなどが入れ替わり商売を始めるがほとんどの店の従業員は彼らを邪険にすることなく、文句も言わず勝手に商売をさせている。又、客もそんな彼らを日常の風景として受け入れ、特に必要の無いものは手を振り断るものの、それでも相手がお年寄りだったり障害者だったりすると、お金を渡している。多くの日本人は(僕も含め)このような場面に出食わすと極力、無視を決め込んでしまうものだけど、自分より身形の貧しいベトナム人たちのその行動に癒されるのもまた日本人なのである。
4月28日(金) ビル・ゲイツをたらそう
*「よちよち歩きのベトナムIT産業に昨日わが国に到着したマイクロソフト社会長ビル・ゲイツ氏の今回の訪越は一條の光明を与えるかもしれないとIT産業界は歓迎ムードに包まれている」と語るのは逓信郵政相Do Trung Ta氏。続けてTa大臣は「今度のゲイツ氏の訪問によって、氏がベトナムへの認識を増し、わが国のこの分野に対する真摯なコミットメント、そしてITが国家最重要産業政策の一環で開発・育成に勤しんでいることを理解してもらえればと期待している。
ゲイツ氏との会談ではベトナムが今後 IT分野でのワールドプレーヤーになってゆくことを発表した。」と述べた。
今回のゲイツ氏の2日間に亘る来越は昨年6月Phan Van Khai首相が訪米した際、マイクロソフト本社見学をしたときに氏を招聘したものが実現したものだ。政府経済専門家Pham Chi Lan氏によれば、ゲイツ氏のこの訪越でベトナムは直接氏を通し世界中のIT企業家に対し、ベトナムへの投資環境を喧伝する機会を得たとともにベトナムの青少年が準備されている氏とのオンラインフォーラムに参加し、質疑応答をすることが出来る希少な機会を持つことになるという。
現在、5年に一度の党大会開催中であるも、本日、Phan Van Khai首相並びにTran Duc Luong大統領よりゲイツ氏の歓迎レセプションが催される。昨夜遅く日本から到着したゲイツ氏は午前中にハノイ工科大学の学生1000人とのチャットで双方向の対話に臨み、午後にはハノイ近郊のBac Ninh省へ赴き地方でのIT産業の様子を見学することになっている。世界一の規模を誇る半導体メーカーのインテルは今年初め、US300m$を投じ、商業地区のホーチミン市に半導体組立工場と検品工場建設を発表している。インテルのこの投資はベトナムIT関連産業の中では、最大規模のものとなる。ハードのインテル、そして今回のソフトウェアのマイクロソフトのゲイツ氏の訪問により、世界に対しベトナムのIT環境が有望であることを広く知らしめることになるだろうと、FPT社(the Corporation for Financing and Promoting Technology)CEO兼代表取締役社長のTruong Gia Binh氏は自信を覗かせた。
逓信郵政省に因れば、昨年2005年のベトナムソフトウェア及びIT関連の年間総売上はUS170m$で対前年40%の伸び、またその内輸出総額はUS45m$を占めるという。ベトナムには現在600社のソフトウエア関連会社があり15000名を雇用、その多くがホーチミン市とハノイ市に集中しており、1999年時のソフトウエア会社総数170社、雇用数5000名から大きく躍進している。
(辛口寸評)
ベトナムのソフトウェア産業は、先進諸国に比べればまだまだ未熟であり、しかも技術者が外国語を話せる割合は低く、外国IT企業の下請けとして現地企業は活動しているものの競合のインドや中国を思えば今ひとつの感は拭えない。加えて優秀な技術者ほど、国外で活躍の場を求めようとするため、恒常的な人材難でもある。しかし、これはプログラマー人材育成がシステマテックに行われて来なかった事に起因する。
現状、大学や高専、或いは民間の教育機関などでプログラムに関する知識を学べる場はあるものの、その方法はまちまちで到底卒業して来ても企業に入り即戦力にならないレベルのもので、各々の企業で訓練を施さねばならないのだ。
ベトナムは、この問題点に気づいている。確かに、マイクロソフトがベトナムに金銭的な投資してくれる事はベトナムにとって世界に対するIT立国としてのプレゼンスを高めるには好都合だと思われるのだが、生産拠点作りもさることながら、それ以上にビル・ゲイツが技術者育成の為の教育的投資をして貰えるよう、ベトナムは官民一体となって、ゲイツ氏をベトナム好きさせ、将来、この国のIT産業発展の基礎固めを担ってくれる運動をしてゆくのが肝要だ。人懐っこいベトナム人ならではのアプローチで、、、(笑)
4月29日(土) 将来に対する大きな懸念
*ベトナム共産党は200名の公務員が政府の基金からUS7m$をヨーロッパのサッカーゲームに賭け金に流用していたことを知り、大規模な体質改善に乗り出すことにした。昨年のヨーロピアンマッチで、元運輸省幹部職員Bui Tien DungはUS1.75m$を流用し賭けサッカーに興じマンチェスターユナイテッドタイアーセナル戦では一度にUS320,000$を、バルセロナ対リアルベッティ戦ではUS265,000$も使う有様だった。省内のパソコンのログ記録から約200名の職員が同様の行為を行った事が判明しており、しかも賭け金は道路・橋の建設資金を失敬し、ゲームに興じていたという。
自身の生涯年俸の実に158倍に匹敵するUS10m$にも及ぶ不正蓄財を働いたDungは、違法ギャンブル参加。汚職・贈賄罪のかどで監獄に入れられている。この結果 Tran Duc Luong大統領とPhan Van Khai首相はスキャンダルの責任を取り、引退を表明するだろうと言われている。
(辛口寸評)
この程度の汚職は政府高官になれば、大なり小なりベトナム全土で行われている。尤もここまで露骨に直ぐばれるような汚職は珍しいというべきだろう。それよりも、共産党と政府主導で近年 汚職追放キャンペーンを強化して来ているの中、汚職の方法も地下に潜り巧妙化している事に厳しい目を向けてゆく必要があるだろう。というのも、法律や条例などを新たに策定する際 その中に予め自己の権益や利益を盛り込んで取り繕ってしまうのだ。つまり、役人が直接関与せずとも法の運用が開始される前に、集金システムが完全に作られた状態になっているという次第なのだ。簡単に云えば、インサイダー取引が横行しているので、役人の身内や友人が実行部隊として機能し、黙っていてもお金が入って来るのである。
現在のところベトナムは日進月歩の発展を遂げており、外からお金も直接投資で流れて来るため、毎年高い成長率を達成しているので、トータルで見れば社会の底辺を成す層も以前と比べれば潤っているように感じる為 それほど問題が顕在化していないのだが、実質、彼らの水準は10年前と比較して一日US1$の生活がUS2$になったに過ぎない一方、役人たちは一日US10,000$が懐に転がり込むような集金システムを機能させている事を覚えておかねばならない。筆者はベトナムに14年ほど暮らしているが、いつか底辺の人々たちが、実態に築いた時、国政を揺るがすような大きな暴動に発展するのでは無いかと密かに心配をしている。
以上
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