ナマのベトナムが分かる、週刊ベトナムニュース第61号
ウィークリー・ベトナム・ニュース
■ 平成18年5月6日 土曜日 第61号
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■ こんにちは!!
今日もここ一週間のベトナムの主なニュースをご笑覧下さい。
翻訳は直訳とせず、日本語に馴染む意訳としておりますので、ご注意下さい(笑)また、訳者の独断と偏見を交えた辛口寸評を入れてみました。内容が片寄り、言葉が多少過ぎる箇所も多々あろうかと存じますが、これもベトナムを愛するゆえの諫言とお許し下さい。
誤字・脱字はご愛敬ってことでお願いします<(_ _)>
尚、記事の転送は営利目的以外なら原則自由ですが、自己責任において行い、その中で被った被害・損害に対し筆者は責任を負えませんのでご了解下さい。
ベトナム・ニュース その61 今週のヘッドライン
* 5月01日(月) これからの労働者確保
* 5月02日(火) ベトナム株式の動向とゆくえ
* 5月03日(水) 新しい顔ぶれ
* 5月04日(木) 瞼に蘇る故郷の風景
* 5月05日(金) 輸入関税障壁撤廃だけでは??
* 5月06日(土) 護送船団方式再考
5月01日(月) これからの労働者確保
*少なくともベトナムに直接投資した外国企業の25%が、慢性的な労働者不足に悩まされていると全国調査結果が出た。これらの企業は平均27%の管理者と70%の労働者を必要としていると、労働傷病兵社会省の労働社会科学研究所が行ったアンケート調査で判明した。
ハノイ市・ホーチミン市・ドンナイ省・ハイフォン市・ダナン市で5年以上操業している外国企業約250社に対し聞き取り調査を行ったものだ。
同研究所、Nguyen Lan Huong副所長に因れば、南部・中部の殆どの企業は若者労働者を必要としており、ホーチミン市だけでも労働者不足をおこしている外国企業の割合は全体の76%にも及び、ダナン市では50%が、ドンナイ省では74.73%の企業が同様の問題を抱えているのだという。多くの労働者たちが既存の職場を捨て新しい職場を求める傾向が強くなった為に、外資系企業の多くが、操業必要人員の30~40%を下回る活動を余儀なくされているというのだ。
労働傷病兵社会省の試算では、2001年以来 労働人口は年間2.5%(百万人強)ずつの増加傾向にあり、昨年度の統計で就業可能年齢総員は凡そ450万人、全人口の53.4%を構成している。労働人口の内57%は第一次産業に従事しており、18%が第二次産業に、25%が第三次産業といった具合だ。総労働人口の内49.3%は、小学校卒に留まっている。2001~2005年の間に職業訓練を受けた労働者数は983,000人となって下り、就業者総数にカウントされているものの、特に都市近郊の経済ゾーンなどでの労働者数は減少し続けているのだ。
(辛口寸評)
都市近郊の労働者数減少の主たる要因は、以前にも書いたように、これまで地方の出稼ぎ工に多くの労働力を頼ってきたのだが、近年ベトナム近代化の波がが地方にも押し寄せ、態々遠くまで働きに出て行かずとも近くで雇用の場が生み出され、そこで勤務する労働者が増えてきたためなのだ。弊社でも、同様な問題を抱えて下り、新しい雇用に取組みだしたところだ。どの様な方法かと言うと、これまで企業で採用を敬遠されてきた人々の積極的な採用を開始したのである。
ベトナムには様々な理由で孤児院や施設に入れられた大勢の子供たちがいる。中には戸籍さえ無い子たちも含まれており、小学校教育さえまともに受けられない気の毒な境遇の人たちを、施設が保証人になってくれるのであればとの条件付で採用に乗り出したのだ。もちろん、暫く雇用し様子を見た上で、本人にやる気と能力があれば働きながら学べるように環境作りのお手伝いもしたいと考えている。この方法の結論は如何なるものかは、今の段階では言えないし、それなりの苦労も伴うだろうが、先ずTake an action to see how it goesの精神で根気強く推し進めて行く積もりだ。
5月02日(火) ベトナム株式の動向とゆくえ
*このところベトナム証券インデックスは数々の新株公開による拡大の思惑と、今後、多くの企業が証券取引所に参加するかも知れないという期待感から軒並み記録的な上昇を続けていると、メリルリンチ証券のベトナム経済成長報告書は指摘した。ベトナムインデックスは先週金曜日週末時点で3.8%の上昇で591.4ポイントを付け、2001年7月以来の新記録デ先週火曜日に打ち立てた571.2ポイントを更新した。ホーチミン市証券取引所で公開されている全ての会社の指標は今年に入り92%にも急増し、ホーチミン市証券市場全体の株式価値をUS1.9b$に押し上げた。
製菓メーカーKinh Do社(京都食品)は昨年12月に上場を果たし、その後、最も人気の高い銘柄のひとつとなった。今年はじめの1月、Kinh Do社は、株価を公開時の倍にしたベトナム乳産品メーカーとして知られるVinamilk社を抜き去っている。Vinamilk社は現在、ベトナム乳産品のトップメーカーとして君臨し、SABMillerと合弁でビール醸造工場建設を計画中だ。「Kinh Do社は地元の主要銘柄である一方、手堅い堅実な成長を遂げている事を誰でも知っているVinamilk社。
今回のメリルリンチの報告書は益々、外国人投資家をベトナムに呼び込むことになりそうだが、地元の投資家にどのていどのインパクトを与えるかは未知数」と語るのは、VinaCapital社会長でありロンドンに拠点を置くベトナム機会ファンドマネージャーのHorst Geicke氏。
52頁に及ぶメリルリンチの報告書は、経済成長・政策の転換、そしてベトナム資本市場に対する需要喚起の流れの三つ巴基調が相まって10年に一度の株買いのムードを醸し出している。メリルリンチ証券アジア太平洋地域主要資産ストラテジストSpencer White氏は、昨年11月下旬から12月上旬にかけて、アメリカの各ヘッジファンドの動きの調査途上、ベトナムに興味を持ち、追うことにしたという。外国人投資家は、10月にベトナム政府は初の外貨売りを行いUS750m$を負債の返済に充てた際、不快感を露わにした。今年2月インテル社は、US605m$のベトナム投資を発表し、傘下企業で台湾のTa Ya Electric Wire& Cable社は、その持ち株をベトナム系列企業に販売し、外国企業初のベトナム株式上場を果たしている。この動きを受け、ホーチミン市証券取引所のTran Dac Sinh所長は、恐らく今年7月にはSaigon Thuong Tin商業銀行の株式が銀行では初めての株式店頭公開される事になるだろうと語った。
(辛口寸評)
家訓により株だけには手を出すなと言われてきた筆者は、この方面、全く暗く思いきったコメントが出せない。しかし、なぜベトナム人の多くが安易に株に飛びつかないのかは十分理解可能なので、今日はその話をしてみたい。博打好きのベトナム人気質にあって、株式投資と言えば渡りに舟といった感があるのだが、ベトナム人の根底に流れる物を紐解けば、基本的に通貨に対する信頼がまるで無い事が挙げられる。歴史を振り返ればそれは明らかで、急なデノミなどしばしば行われて来た為に、お金が一夜にして紙切れになってしまう現実を骨の髄まで身に沁みてDNA化された彼らは、極端な現物主義に走り物であれば「ゴールド」だけが頼りである。
そんな具合であるから、現在においても銀行利用率は低く、余程、ビジネスをしていて銀行融資が必要とかの事情が無ければ預けることは稀で、たんす預金或いは不動産に切り替え財産を保全するわけで、突き詰めて言えば通貨ドンに対する信頼感は磐石なものと云えず、ましてや株券やその他の有価証券が出て来たところで安易に過去の苦い記憶を打消せるものではないのだ。それ故、今後、ベトナムの株式市況は外国人投資家たちによって形成されて行く事を念頭においておくべきだろう。それに追随する形で、ローカル投資家の参入も増えて来るだろうが、いずれにせよ、外国人投資家の動向を見ながらベトナム投資をされて行くのが賢明だろう。
5月3日(水) 新しい顔ぶれ *ベトナム共産党の第10回党大会が4月14日からハノイで行われ、Nong Duc Manh 氏が第10代ヴェトナム中央委員会書記長に再び選ばれた。総会では、14名の政治局員と8名の書記局員及びと14名の監査委員会委員を選出した。以下に掲げるのがその名簿である。
The Political Bureau:(政治局員)
Nong Duc Manh氏
Le Hong Anh氏
Nguyen Tan Dung氏
Nguyen Minh Triet氏
Truong Tan Sang氏
Nguyen Phu Trong氏
Pham Gia Khiem氏
Phung Quang Thanh氏
Truong Vinh Trong氏
Le Thanh Hai氏
Nguyen Sinh Hung氏
Nguyen Van Chi氏
Ho Duc Viet氏
Pham Quang Nghi氏
The Secretariat:(書記局員)
Nong Duc Manh氏
Truong Tan Sang氏
Truong Vinh Trong氏
Nguyen Van Chi氏
Pham Quang Nghi氏
Le Van Dung氏
Tong Thi Phong女史
To Huy Rua氏
The Commission for Inspection:(監査委)
Nguyen Van Chi氏
Nguyen Thi Doan女史
Tran Van Truyen氏
Pham Thi Hai Chuyen女史
Tran Hoa氏
Pham Chi Hoa氏
Pham Thi Hoe女史
Le Hong Liem氏
Le Van Giang氏
Nguyen Van Dam氏
Sa Nhu Hoa氏
Nguyen Minh Quang氏
Bui Van The氏
To Quang Thu氏
Nguyen Van Chiは、監査委員長に選ばれた。
(辛口寸評)
特にコメントなし。個人的には日本国政府と共にベトナムと進めている日越共同イニシアチブをどんどん推進して行ってくれる面子であれば、、、、。
5月4日(木) 瞼に蘇る故郷の風景
*数年前のある夏の日、私は5歳になる娘の手を引き昼食を求めて歩いていたときのこと、私たちは一人の老婆に出会った。老婆はしきりに篭の中のものを奨める。娘は好奇心に我慢できなくなったのか、篭の中を覗くと”エビだ!”と奇声を上げた。私は娘の誤りを笑顔で訂正すると、彼女が見間違えたものが、バッタだということを教えてあげたのだった。そして、それらバッタはこの地方では食用となっていることも添えて、、、。バッタが食用になることを知らずに来たことに娘は気恥ずかしさを覚えたようだが、それは仕方の無いことである。我が家は都市の生活に心から慣れ親しんで暮らしてきたのだから。そして娘の世代は既に、この国が苦労して歩んできたことなど何も知らず、それでも生きていることに不思議なものを感じてならないのだ。
私たちが子供の頃の生活と娘が生きる現代のそれは根底から異なっている。私の故郷はどこまでも地平線が広がる雄大な畑に覆い尽くされたところで、自然に包まれていた。蟹・魚・鰻・貝・海老、そしてもちろんバッタも含め日々、子供時代、常に身近に居た存在だった。幼馴染の皆と毎晩 日が暮れるまで裸足で野山を駆け巡り、バッタを追い求めたものだった。捕まえたバッタを虫籠に入れて家に持ち帰っては、家族の晩御飯のおかずになった。バッタ売りの老婆との出会いがもたらしたものは、遠い昔の私の記憶を蘇らせただけでなく、同時に今が如何に急速に変わってしまったのかを考えさせずにはいられなくなった。
過ぎ去った過去を懐かしむなど、詮無きこととは承知しているものの、土地は次々に造成されコンクリートが打たれ、家々が立ち並び自然と環境破壊は着実に進んでいる。果たしてこのまま進んで行って良いのだろうか?今一度 我々は我々がやろうとしていることを見直し注意を払ってゆくべきではないだろうか?毎週、土曜日の朝、放映される人気コメディータッチテレビバン組「週末ランデブー」でコメディアンのXuan Bacと、その仲間たちは”祖母に捧げるバラード”を歌い盛んな拍手喝采を浴びた。その歌詞の中で、彼等は都市化の波に浚われた地方の暮らしの変貌を嘆いている事が人々の共感を誘ったのかも知れない。ハノイ市中心より凡そ10キロほど離れた郊外にあるフンコアン村が郊外化ではほぼ完璧な見本になるだろう。この村で牛や稲の天日乾燥など見る機会は昨今、非常に稀になった。田や畑は整地し潰され、その代わり外国人用の土産物店が建ち並んでいる。
確かに道を整備し家屋を建設し、生活基盤の向上を目指さなければならないことは同情もするが、市民は我々が祖先から引きついた伝統と習慣を慈しみ長期視野に立って保存してゆくことも大切ではないだろうか?子供の頃、食べ物や衣服の不足はついて回ったけど、少なくとも新鮮で綺麗な空気は辺り一面にあったというのは、科学単科大学市民教育担当のNguyen Xuan Nguyenさん。今日では衣食に関し心配することが無くなったが、逆に大気汚染でバイクに乗るときはマスクを被らねばならなくなってしまった。開発と発展は、貧困の撲滅を促し初等教育の拡充を図り、物資の選択の自由をもたらしたことは何人たりとも否定できぬ事実ではあるが、私の心の中では何か割り切れない寂しさが常に渦巻いているのだ。我々の子供たちは都市生活に慣れ、我々が当然と考えて来た野山を裸足で駆け周り苗の湧き出るような草いきれの匂いを知らずに成長をしてゆくかと思うと遠い目になりがちだ。
(辛口寸評)
我々、日本人にとって身につまされる話で、「大切な“何か”をどこかに置き忘れてきてしまった」感慨を持つ人は大勢いるだろう。ここへ来て発展を遂げつつあるベトナムでも、人々は発展の仕方に途惑いが見て取れるような内容の記事にふとため息がこぼれた。幾度となく、筆者は、ベトナムを愛する理由を、我が子供の頃の原風景が残っているからだと書いてきたが、それは決して目に見える景色だけではなく、近所の雷おやじの存在や、放課後、宿題もせず学校から帰るとランドセルを放り投げ、三角ベースや缶蹴りに興じた時代、そのものがこの国にあるから、そこに安らぎを覚えるのである。
願わくば、日本と同じ道だけは歩んで欲しくないと心からそう思う。
最近、東京で暮らしているのだが、既に電車の中で若いのを3人、叱り飛ばしてやった。混んだ電車の中にも拘わらず、渡り戸のところにぺたんと座り傍若無人に携帯電話で話していた専門学生。夜10時過ぎにJR池袋駅のコンコースで20人ほどで大声で叫きあって周囲の音をかき消していた女子高生の固まり。京王新宿駅の混んだ階段を後ろから無言で押す、おばさん。日本の友人に云わせれば、「おまえそのうち刺されるよ」とのことだが、言わぬ無責任な大人たちがガキたちを調子付かせていることに気がつかないのか、障らぬ神に祟りなしなのか、社会で子供を育てることを完全に放棄してしまったようだ。こうならない為に、何をすべきかをベトナムは日本の失敗から学び、よりよい社会を構成して行って欲しいものだ。
5月5日(金) 輸入関税障壁撤廃だけでは??
*輸入税が大幅に削減されてから4ヶ月経つが、1万種以上の品々が域内特恵及び自由貿易協定(CEFT)の下、ASEAN諸国よりベトナムに輸入されたのだが、これによって国内経済と国産品に与えた影響は少ないと財務省はいう。削減前の関税率は概ね20%台を維持して来たが、削減後 2006~2013年は5%台で推移して行き、来年から自動二輪車及び自動車については2015年迄に段階的に輸入税を下げて行き最終的に完全撤廃に移行する。
適応輸入品リストに掲げられた産品は特恵により今後8年間で域内特恵協約に基づき税率は0~5%となる。因みに現行の平均課税率は2.48%だ。財務省職員に拠ると、低額関税が国内産品に与えた影響は輸入品の価格自体が割高なことに加え、ベトナム経済成長力が引き続き高いことが相まって大きな問題ではないという。ASEANからの輸入高は全体的に小さく、その割合は全世界からの輸入量に占める25%弱に過ぎない。しかも、特恵協約に関わる輸入品は9~10%でしかない。
輸入税を削減した商品アイテム数はかなりの数量に上るものの、これらの価格の上代が便乗値下げという図式にはなっていないという。
というのも輸入税削減は、値下げ要因のひとつのインパクトではあるが、価格削減の主要因として市場では位置づけされていないからだと前出の財務省職員は説明する。
特恵優遇措置を講じられるアセアン域内から輸入される商材については、少なくともその中身の40%以上が輸出先国で生産されたことを証明する原産地証明書の添付が不可欠である。例えば、家電製品に対する関税引き下げは以前、国内同製品への脅威と捉えられて来たが、蓋を開けて見ればさにあらず。何故なら、これらASEAN域内で組み立てられベトナムに輸入される製品の中身はほとんど低額関税の恩恵を受けぬ日本・韓国・アメリカなどから持ち込まれたものだからだ。故にベトナムが低額関税をASEAN諸国に適応されたとしても、実際の相互の取引額が飛躍的に向上するという形にはならないのだ。
ベトナムは1996年以来、ASEANからの輸入品の関税引き下げを段階的に行って来ており、2015年の完全撤廃を目指している。それまでにベトナム国内産業が力を蓄え、国内市場を独占するレベルまでに成長し、近隣ASEAN製品との競争力を高めなければならないと、財務省職員の談。最新の関税政策で全ての輸入品に特恵が適用されることになった。そのリストの中には、完成品並びに半完成品のバン・ピックアップトラックなどが含まれている他、ビールやアルコール飲料・セメント・紙・スチール・電気製品などがある。
ASEANフリートレード構想実現の一環として導入されたCEPTは1992年1月に施行され、その目的はASEAN域内の関税障壁撤廃を計り域内に住む5億人の消費者に自由市場を設けるというものである。
(辛口寸評)
ベトナムの目論見は2015年までに国内企業の競争力をつけさせる事に拠り、関税撤廃を導入してもASEAN域内からの輸入品に対抗出来るだけの商材を自国で賄えるようにするとの事だが、果たして寸なり行かと考えると懐疑的である。なにぶんベトナムは中国と比較すると、特に製造業の分野でその裾野をなす中小企業の進出が遅れているため、国内での部品の調達力が低いのだ。
これは、以前にも述べたように今を去ること10年前、ベトナムが日本でも「最後の投資楽園」などというキャットフレーズで先進諸国から投資先国として持て囃されたが、この時、行政に携わった役人たちは自分たちの判子(許認可権)が、金の卵を産む鶏になった事に気付き、ひたすら実入りの大きい億単位の大型投資案件だけに力を注ぎだしたのだ。その結果、コスト削減の至上命題としていた先進諸国の中小製造業者は、投資金額の余りの高騰にベトナムへの投資を諦めなければならなくなり、その多くが中国に新天地を求めたのだった。
もちろん、ベトナム政府も以前の間違いを悟り5年も経ってから軌道修正を始め今日に至っているが、この遅れは致命的で既に中国との間で10年の開きが産業の裾野分野の構築に生じており、それを縮めて行くのは容易ならざる事態となっているのだ。ベトナムが進歩すれば同様に中国にしろASEAN諸国にしろさらなる進歩を遂げている訳で、技術力に関していえば技術立国の日本やアメリカなどと国策レベルで歩調を取った産業育成に重きを置いて行くことが、今後、ベトナムに課せられた課題の様な気がする。
5月6日(土) 護送船団方式再考
*韓国の牽引的存在の投資管理会社の韓国投資信託管理株式会社(KITMC社)は、4月27日ベトナム初の投資ファンドを立ち上げた。KITMCベトナム成長ファンドで知られるこのファンドは、ベトナム資金調達マーケットとして初の認可を受けた。同社は手始めにUS50m$をファンド資金として韓国の個人投資家から資金を集め、ベトナムでのクレジット産業開発に寄与して行く一方で、実際に操業し、韓国個人投資家へベトナム経済や成長の可能性を広く流布し今後の収益増加に繋げて行く狙いがあるという。
(辛口寸評)
韓国は、ベトナムに限らず所謂、途上国に対する各産業の投資は日本にいると見えて来ないが、海外で暮らすとそのプレゼンスの高い事に圧倒される。中央アジア諸国でも町へ出ればハングル文字が目に飛び込んで来るなどというのは当たり前の光景だし、中南米でも状況は変わらない。
これは韓国が国策として企業と連帯を計り、ひとつのプロジェクトを立ち上げ政府レベルのバックアップが行われているかのだ。日本人に馴染みの深い言い方をすれば「護送船団方式」が今も力強く脈打ち、と同時に日本のそれよりも更にバージョンアップした方式でブルドーザーのような意気込みで地均しをし市場獲得に取り組んでいる。
日本では「護送船団方式」といえば、既に死語となり、今もそれを使おうものなら「この人大丈夫?」と誤解を招き兼ねない言葉に成り下がってしまったが、海外で暮らす日本人にとって、官民挙げての進出は、それが本人の関与する仕事でないにせよ、日本人であることに誇りを感じさせるものだ。使い古された言葉だけど、「日本人は企業はあっても顔が見えない」と余所の国の人はいう。国が関与することが即ち、日本人の顔が出る事には繋がらない迄も、国と民間企業の深い連携を取りつつ海外事業に取り組むのは今後とも続けて行くべきだと思うのだが如何なものか。
以上
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