ナマのベトナムが分かる、週刊ベトナムニュース第62号
ウィークリー・ベトナム・ニュース
■ 平成18年5月13日 土曜日 第62号
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■ こんにちは!!
今日もここ一週間のベトナムの主なニュースをご笑覧下さい。
翻訳は直訳とせず、日本語に馴染む意訳としておりますので、ご注意下さい(笑)また、訳者の独断と偏見を交えた辛口寸評を入れてみました。内容が片寄り、言葉が多少過ぎる箇所も多々あろうかと存じますが、これもベトナムを愛するゆえの諫言とお許し下さい。
誤字・脱字はご愛敬ってことでお願いします<(_ _)>
尚、記事の転送は営利目的以外なら原則自由ですが、自己責任において行い、その中で被った被害・損害に対し筆者は責任を負えませんのでご了解下さい。
ベトナム・ニュース その62 今週のヘッドライン
* 5月08日(月) 判っていて後手に回る増え続ける自動車への対応
* 5月09日(火) 最新 鳥インフルエンザ対策
* 5月10日(水) 手綱を引き締め前進だ!
* 5月11日(木) ベトナムお年寄り健康維持法
* 5月12日(金) Bai Chay橋接続と物見遊山
* 5月13日(土) 計数に明るいベトナム人
5月08日(月) 分かっていて後手に回る殖え続ける自動車への対応
*仮にバイク一台買えるお金で自動車が買えたとしたらあなたはどうしますか?この質問はベトナムの消費者が政府の輸入自動車への課税見直しに期待していたときにされたものである。しかし、その一方で課税の問題より現行の道路事情を改善する事の方がより重要だとの意見も出たが、大多数の人々のこの質問に対する答えは、都市に住んでいるのか地方なのか、あるいは暮らし向きが裕福か貧乏に関わらずお金にゆとりさえあれば「はい」と云うものだった。
ホーチミン市在住のHoang Duy Thongさん(46歳)は躊躇することもなくお金があれば一台といわず家族ひとりひとりが所有するバイクを売ってその代わりに自動車を一台ずつ所有させたいという。Thongさん曰く、自動車を所有するメリットは計り知れないという。例えば家族揃って出かける時に、経済的で安全に移動可能な輸送手段であることに加え、車はファッションアイテムのひとつなんだと力説する。実際、ホーチミン市やハノイ市のような都市部の生活水準は過去3年間で目覚ましく向上しており、自動車を所有することは、ニューリッチの仲間入りを果たしたという証で、車の免許を持たない者までも自分たちのエゴと見栄を満たす為だけに買う人たちも現れてきたほどだ。
もし、あなたがハノイ市やホーチミン市のラッシュアワーの時間帯に遭遇する機会があれば、現在ベトナムには多くのハイソカーを見ることが出来るだろう。しかし実際にはベトナムで自動車が有効な輸送手段として人気がある方法であるとはいえない。特に渋滞の多い都市部の交通事情の悪さや開発が遅れた地方の悪路ではてきめんだ。このような問題を心配する人たちにとっては、自動車の購入なんて云うのは以ての外と相成る。
ハノイ在住のNguyen Hoang Thu Trangさんは、市内の交通事情が改善される迄は自動車なんか絶対に買わないという。「狭い道が自動車で溢れたらどうなるの?既にバイクだけで街は一杯になっているじゃない。もし、今のバイクが全て自動車にとって変わった事を想像するだけでぞっとするわ」とTrangさん。Trangさんの意見が決して例外的なものでない証拠に、同じくハノイ在住のTruc Binhさんの場合、自動車の値段が仮にバイクの半額で納まったとしても自動車を買うことなどあり得ないと息巻く。何故なら、自動車の駐める場所がなく、あったとしても高すぎるからだというのだ。しかし、Binhさんの意見はより現実的で事実、ハノイの駐車場整備行政当局は駐車場サイトを探す為に腐心しているほどなのだ。
ハノイ駐車場整備公社のHoang Duy Hung課長曰く、仮に市場が中古輸入車の販売を開始すればハノイ市は直ぐに駐車場不足に頭を抱えるに違いないと断言する。駐車場用地として使用可能な面積はハノイ全体の0.45%しかなく、近隣諸国と比較しても平均値で10分の1しかない状況という。月間3千台の新車登録がなされるハノイで、一台の車に必要な駐車スペースを23平米とすれば一ヶ月辺りに必要となる駐車スペースは実に75000平米にも及ぶのだ。
駐車場不足は結果的に高額な駐車料に繋がっている。仮に一台の自動車を駐車すると2時間で5000ドン(US0.31$)で月極なら650000ドン(US40.63$)にもなってしまう。加えて自動車台数の増加は大気汚染に繋がり市民の生活環境を脅かすようになるだろう。要約すると、輸入中古車に高い関税をかける事にした政府決定は、抗議もかなり出たものの結果的にそれほど不合理な考え方でもないといえるだろう。
「輸入中古車の高額関税は不合理どころか若くて競争力の乏しい国内自動車産業を助けるものだ」と訴えるのは、自動車エンジニアのMai Huy Quangさん。そして現状、低税率で中古車輸入を促進するほどベトナム国内の機が熟しておらず、ましてやQuangさんに言わせれば、輸入中古車そのものは海外の“お古”に過ぎず、そんなものに市場が惑わされる事なく、国産自動車開発に焦点を当てて行くべきだという。
(辛口寸評)
つい一昨日の夕方近くの事だ。友人と食事をするためバイクに跨りホーチミン市中心部へ移動する途上、激しい交通渋滞に遭遇してしまった。既に、小半時ほど前に降った激しいスコールは上がりまさか渋滞なんかに出くわすとは考えてもいなかったのだが、雨宿りを決め込んでいた人々が一斉に動き出した事に加え道が冠水し、自動車やバイクがその水に浸かって道の真ん中でエンストを起こし渋滞を更に悪化させていた。お陰で、通常なら30秒で通り過ぎる区間を通過するのに40分以上も費やす羽目になってしまった。
もちろん雨季の冠水は道路のアスファルト舗装が随分進んだ今もあちこちで良く見られる。これは下水道の整備が遅れている為だ。これは一例に過ぎず他にもインフラ整備の遅れにより目に見えない部分で問題を抱えているのがベトナムの実情で、それを処理することなく、性急な輸入中古車のベトナムへの参入は時期尚早といえるだろう。
5月9日(火) 最新、鳥インフルエンザ対策
*ベトナムは2006~2010年にかけて鳥インフルエンザから国家を守るための対策費としてUS400m$が必要となるという。農務大臣Cao Duc Phat氏に因れば、既に各国からの寄付により、必要額の半分が提供されているとのこと。
この発表は4月29日 ハノイで開催された会議の席上なされたもので、ベトナム政府自体既に健康対策向上費として1tドン(US62.9m$)と家禽対策部門に100bドン(US6.29m$)の拠出を採決済みだとPhat大臣の談。会合は10日間に渡る鳥インフルエンザ問題を話し合う共同評価審議会終了後に行われたものだ。
審議会は政府に対し今後とも強力且つ適切な鳥インフルエンザ対策に関与し、人体への発症が起きた場合や感染地が出た時に迅速で正直な報告を行って行くよう申し入れをした。また審議会は併せて、2006年1月 北京で開催された鳥インフルエンザ国際宣誓会議後に設立された政府の専門部会が2006~2010年の感染症行動計画策定に対し褒め称えた。
各審議委員は政府に対し鳥インフルエンザ対策として人感染への早期対応並びに適切な薬品使用による感染拡大を防ぎつつ人体への被害リスクを最小限に杭止め、中長期視野に立った徹底した管理・監督を行うよう求めた。今回の会合は結果的に参加者全員に対し強い共通認識と連帯感を深める事になり、これからの鳥インフルエンザ対策の重要性を各関係機関・部署へ再認識をもたらす事に繋がった。
農務大臣は、ベトナムがこれまでコスト削減を果たしながらも鳥インフルエンザ問題をそつなく達成してきた事を強調し、感染症管理は想定されるリスクを基幹としつつも目標を定めたワクチン投与やアンケート調査の実施などにより費用対効果を主軸に置き行うべきと述べ、家禽業界と連携し進歩的な方法によって生計を守りつつ同時に環境汚染を最小限に喰いとどめるよう努力することが大切だと結んだ。
鳥インフルエンザ防止に関して、農務省は健康セクターが直面する2つのシナリオを提出するために今後も関係各機関と連携し共同の防止策及び治癒策の中期展望を準備を推し進めて行く。先ず、同省は感染患者用の集中治療を行うべく国内各病院医療設備の向上を図り、医療品の確保及び感染症発生時の対応方及びそれに備えた訓練を施して行くとしている。
(辛口寸評)
世界に脅威を与える存在までに成長した鳥インフルエンザ問題は、ここベトナムでも重要な政治課題である。事実、4年前のSARS騒ぎではベトナムの経済成長率を2%強押し下げたといわれるほど深刻な問題に発展し、観光業界はもとより全産業に暗い影を落とした。WHOに拠れば、今後 鳥から人への感染は既に時間の問題とされているだけに迅速な対策が講じられる必要があり、今回の記事はベトナムの取り組みを端的に顕したものなのだ。
幸いにも海外からの援助が随分、この取り組みを支えていることが、大きなベトナムの救いとなっている。尤も、世界各国としても東南アジアは鳥インフルエンザ発祥国である以上、対岸の火事とばかりにやり過ごすにはリスクが高いので、応分の負担は自国を守る意味に於いても重要だろう。願わくば、これらの援助で得たお金が不正にベトナムで流用されず、感染症の撲滅費用として一ドンまで無駄にせず有効に使って行って欲しいものだ。
5月10日(水) 手綱を引き締め前進だ!
*Phan Van Khai首相は国家の急速な経済成長は、飢えと貧困を減らし、社会文化の構築並びに環境保護を網羅し安定した開発プログラムに則り、今後5年間で行って欲しいと述べた。
彼のこのコメントは定期閣僚会議で発言されたもので、投資計画省が設定した目的に同意しつつも、来年は社会経済発展に必要な人材育成に邁進して行かねばならぬと付け加えた。首相はまた、ベトナムにはまだまだいくつか乗り越えなければ課題が山積しており、早急に改善される必要があると指摘したうえで、ベトナムの現在の経済成長は質・競争力共に実力を出し切れていおらず、これはひとえに金融・不動産・科学技術分野での人材不足が起因しているのだと語った。
Khai首相は投資計画省が給水を確実にするために潅漑システムへの投資を優先させることを望む一方、農場とアクア文化センターのための排水装置システムは現段階で満足行く結果を出しているものの、今後、5年間にわたって農業生産と処理センターを持続発展させるとした。農業生産のバイオテクノロジーアプリケーション、小規模および中規模の企業を拡張するための優先方針と農村地帯の確立しているジョブ・ヴィレッジは将来の成長の全ての重要なポイントととし、そして腐敗の脅威を減らすために、政府は独立した監督と諮問機関を設立する予定で省内で投資家、契約者、コンサルタントと監督間のなれあいを避ける事が必要であると述べた。
Nguyen Tan Dung副首相は、2007年までに全国的な土地使用システムを完結させ、監督・審査・土地使用手続きの検査などを強化して行かねばならないと発言した。投資計画省代表は、今年に入って4ヶ月間の社会経済発展は成長を遂げているとし、4月の産業生産総額は43兆ドン(US2.69b$)に達し、昨年同期で17.7%の伸びを示し、全体的な工業生産品については15.6%増加したと報告した。
閣僚会議出席者各位は、今年に入り鳥インフルエンザ発生の報告がないことや、ガソリン・オイル・化学肥料・セメントなどの主要物資の価格は安定基調にあることに加え、今年4ヶ月間の外国人観光客数は128万人を数え、昨年対比で15.9%の増加を指摘した。これまでの4ヶ月間のベトナム総輸出額はUS12.1b$と試算されており、昨年対比で25.1%の増加で政府年間輸出目標額の32%を構成するに至った。同時期の輸入総額はUS12.3%だった。
出席者はそれぞれここ数ヶ月の社会経済発展の好調な結果に満足感を顕したものの、特に国際的な原油価格高騰の煽りを受け、ベトナム経済は難題や挑戦を強いられるであろうと認識をひとつにした。今年一年、ベトナムが定めた社会経済発展目標を確実に達成するために全ての省庁及び自治体は変化に応え、経済生産を促し、倹約を行いコストの削減を図り、競争力を高めなければならず、関係機関は緊密に連携し市場価格管理及び将来の価格安定に適切な措置を執って行くよう首相は求めた。そして主要プロジェクトの検閲は国家予算・国際借款並びに基金を有益に使って行うべきであるが、検査そのものが進歩の妨げにならないよう努めなければならないと釘を刺すことも忘れなかった。
(辛口寸評)
ベトナム政府自体、順調な経済発展を望みつつも、急速な変化に国民生活が二極化に向かう中、今厳しい舵取りを強いられているというのが読み取れる記事だ。この舵取りを誤れば、現在の日本が置かれた状況を生み出すことになるだろう。経済発展の恩恵を享受しながら産まれ育った筆者ではあるが、儲かれば何でもありで、人として他人に対する思いやりや配慮を忘れ去り、挙げ句、責任の転嫁・擦り合いに明け暮れるギスギスした、そんな国にならぬよう常に反省を踏まえ足場を固めつつバランスの取れた発展を目指して欲しいものだ。
5月11日(木) ベトナムお年寄り健康維持法
*76歳になるNguyen Thi An婆ちゃんを和ませることがいくつかある。その中でも趣味で続けている太極拳は格別で、今も70歳をとうに超えた20名の婆さん仲間たちと共に毎朝、欠かさず近くの運動場へ出掛けては訓練に励んでいるという。ベトナムでは広く太極拳や拳法が学ばれており、多くのお年寄りたちは若い頃から身体の鍛練と健康維持の為、練習に励んでいるのだ。太極拳はお年寄りにとってストレス発散になるのよと語るのは、練習を始めて今年で12年になるAn婆ちゃん。
An婆ちゃんの師範Cao Van Khue爺ちゃん曰く、彼が35歳の時、交通事故に遭い頭に怪我を負ってから急激に体重が減り深刻な状態に陥った。彼の家族は頭の怪我がもとで長く生きられないと諦めていたが、リハビリの先生の勧めで太極拳を手始めに拳法を習うことにしたという。その後、毎日毎日、少しずつ練習に励みんだところ医師も驚くほどのスピードで体調が元に戻っていった。お陰で爾来、健康で今ではハノイ市やHung Yen省でこうして師範を務め後進の指導に当たっているですよと微笑む。
現在、Khue爺ちゃんはHung Yen省Khoai Chau区内の25カ所の地区で太極拳と拳法の指導を子供からお年寄りまで相手に行っている。Khue爺ちゃん自身 過去から現在に至るまでハノイ市で開催された国際選手権大会で1つの金メダル、2つの銀メダル、そして3つの銅メダルを獲得している猛者だ。指導歴は既に20年に亘るものの、常にお年寄りにとって効果的な太極拳・拳法の鍛練法を考えては取り入れ実践しているという。
多くの拳法家は板やタイルを手や足、頭などで割るものだが、お年寄り練習者には予め亀裂を入れておいたプラスチック製のタイルを練習に使わせているとのこと。もちろん、練習といってもお年寄りに乱取り(組み手)をさせることはせず、専ら暴漢から身を防ぐ技の習得に重点を置き指導に当たるそうだ。
An婆ちゃんのグループで最年長のメンバーHoang Thi Hoa婆ちゃんは、練習にはゆったりとした動きとストレッチ、それに呼吸法に力点を置いているという。彼女は太極拳を習い始める以前、長年にわたり糖尿病と関節炎に悩まされていた。鍛練をするようになって以前は階段を5段上ることが出来なかったが今では50段以上のぼることが出来るようになったそうだ。Hoa婆ちゃんが友達の薦めで太極拳を習いに来たときは、息子の肩を借りなければ歩くこともままならなかったが、練習を続けるうちに自分の足で一人で通う迄になった。「病院へ行くくらいなら私たちと一緒に太極拳を習いましょう!」とHoa婆ちゃんは友達を誘っているという。
怪我にさえ注意すれば太極拳や拳法はお年寄りの健康維持に有効だという。またこれらの格闘技は、心血管エクササイズと筋力トレーニングの組合せにより体に柔軟性を持たせるため心臓関連の病気に効果があるという。その上、ストレス解消に役立ちは老化を遅めると、拳法クラブのNguyen Thi Lien女医は結んだ。
(辛口寸評)
以前、うちのハノイ支店を開設準備の為、ハノイのホアンキエム湖湖畔のホテルを定宿にしていた頃、毎朝5時になると湖の周りに大勢のお年寄りが現れ、思い思いのグループが太極拳だの拳法だの旗振り(バトントアリングの中国版みたいなもの)だの、腱突体操だのを楽しんでいたのに出くわしたことがある。どこからこれほどの大群が出てきたのかと思うほど、湖畔一周の空いたスペースはお年寄りで埋め尽くされていた。
やがて、筆者自身も自分のダイエットの為にサイゴンに戻ってから、早朝4時に起き小一時間ほど軽いジョギングをするようになると、ここでも多くのお年寄りたちが道ばたを使って運動をしていた。尤も、サイゴンでは年寄りばかりか若者たちも熱心にそれぞれのスポーツに勤しんでいた。ここベトナムは日中の平均気温が29~30度になるため、昼間は暑さでとても運動を出来る環境にない。しかも、交通量が激しいので危険極まりなく挙げ句、排ガスが溢れているのでとてもスポーツどころではないのである。
結局、筆者は少し無理して走ったせいか膝を痛めてしまい、その後、ジョギングを行っていないが、今日のベトナムでは以前と違い、スポーツ競技場の整備も進んでいるので、ベトナムの老若男女のスポーツ愛好家たちは、道を使わずともそれらの施設でスポーツをエンジョイしていることだろう。
5月12日(金) Bai Chay橋接続と物見遊山
*4月30日Quang Ninh省のBai Chay橋はBai Chayサイドと北部Hon Gaiサイドが最終的に繋がり完成にこぎ着けた。運輸省のMU18プロジェクトと日本の清水・住友建設とのJVで架橋工事が始まったのは2003年。今後は橋上工事を急がせ3ヶ月後の9月には6レーンを備え自動車の通行が可能になる。
運輸省のPham The Minh副大臣曰く、政府は総建設費にUS117m$を計上し、その内US65m$が日本国政府からのODAで賄われた。Bai Chay橋の長さは903メートル、幅25.3メートルで橋架下は50メートルの高さを持ち、8万トンまでの船舶の航行が可能となる。
この橋の完成で国道18号上のルートになり、Ha Long市とハノイ市を結ぶことになり、これまで100年に渡り利用されてきたBai Chayフェリーは運航の歴史の幕を閉じることとなる。
また橋の完成はQuang Ninh省はもとよりHai Phongやハノイにも多大な経済効果をもたらすこととなるだろう。
Bai Chai橋接続式の式典で、日本側パートナー清水・住友建設JV代表、小宮博士は、Bai Chay橋が世界中でも質の高い事業として保証すると高らかに述べた。この橋は鉄骨を入れる前のコンクリートケーブルサスペンション橋としては国内で最長だが、世界的に見ても主要スパンの長さは五指に入る。
(辛口寸評)
本格的な開通までには後数ヶ月掛かるようだが、きっと完全通行が出来る頃にはBai Chay橋は暫く地元の人々の観光スポットになるだろう。何故、このような事を断言するかといえば2000年5月にCan Thoの先に完成した当時 ベトナム一の長さを誇った吊り橋My Thuan橋が完成した時、物珍しさで大勢の人々がつめかけ、橋の上は人でごった返し自動車はおろかバイクの通行が一時的に禁止されてしまったのである。
このため橋上では、ありとあらゆる物売りが集まりムシロを敷いて臨時の店が建ち並び、その光景はまるで渋谷のセンター街通りの様相を呈したほどだった。このような状態は1ヶ月ほど続き折角、物流の新しい流れを生み出したのに、人出というなのコレステロールに阻まれて動脈がうまく機能しなかった。
今でこそ随分落ち着きを見せてはいるが、先ず間違いなくQuang Ninhでも同様の事が起きることだろう。
5月13日(土) 計数に明るいベトナム人
*ナマズ加工後に出る脂肪分はメコン河水質汚染に繋がりかねないが、この度、An Giang省の水産加工会社Agifish技術職員Ho Xuan Thienさんが、それをバイオ燃料への転化に成功したという。これによりきれいな軽油が精製され、自家用車燃料として1リットル当たりのコストが6500ドン(US0.41$)で済むようになるとのことだ。
メコンデルタ地域では年間3万トンにも及ぶナマズ脂肪分が取り出され、その大部分は養殖魚の餌に加工されるもの、余剰生産分は河に投棄され環境破壊を指摘されてきた。植物性オイルは既に世界各地で古くからバイオ燃料として使われてきているが、Thienさんはイギリス・オックスフォード大学大学院で学ぶ子息から、ナマズの脂肪で転用できないかと勧められ、研究に入ったそうだ。「元々、製品に関する膨大な知識と、それに息子が提供してくれた資料によって今回のナマズ脂肪の軽油への転化が成功したのです」とThienさん。
しかしながら、研究初期段階では思いもよらぬハプニングの連続で複雑な仕組みであった為、実験道具を自らいくつもこさえ実験に実験を重ねたのだという。又、彼の下で働く開発チームの技術者Vu Tran Quocさん、An Giang大学の農学博士Vo Thi Dao Chiさん、そしてChi博士の愛弟子Nguyen Quynh Nhuさんなどから開発協力を得、産学連携チームとなって研究を追い求めた。
最初の試作品はベトナム国家規格技術研究所を喜ばせるもので、2番目の試作品は料理油の色が無排気(訳者?)であったために、同研究所から代替燃料として承認を受けるに至った。バイオ燃料は、限りありしかも環境汚染が指摘されて久しいガソリンに変わるエネルギーとして期待される。それらは環境に優しく、安価で精製可能なのだ。今回のナマズの脂肪から作り出されたバイオ燃料は公害を減少させ、ナマズにこれまで以上の付加価値を与えることになると語るのは、An Giang大学Vo Tong Xuan学長。
Thienさんは現在、60件の顧客に月間2000リットルのバイオ燃料を供給しており、ナマズ脂肪からは、他にもグリセリンなどを作り出すことが可能で、染色・薬品・化粧品・化学肥料などへの転用もはかれるという。
(辛口寸評)
Thienさんが開発したバイオ燃料は記事だけ拝見すると、人類史上画期的な発明のようにも思えるが、ここには科学的な根拠など書かれていないので、果たしてどの程度の有効性があるかを伺い知ることはできない。尤も、筆者自身、化学については門外漢なので、難しい数式を出されたところでおてあげでしかないが、、、。
そんなことはさしおき、本日の寸評は、如何にベトナム人が一般的に理数系に強い民族かご紹介しよう。小学生レベルまでは、日本の理数教育が1年ほど先を行くものの、中学生からは、徐々に逆転の形をとるようになる。ベトナムの大学進学率は5%と低く、日本の44.2%と比較すれば取るに足らない数字でしかないものの、高卒までに小中学校で学んだ理数学の理解度は平均6割を超えていると言われている。高卒で終える生徒の多くが大学進学を諦めるのは専ら本人の学力よりも親の経済的事情が主をなしている。つまりどこぞの“なんちゃって大学”と異なり大学生になって分数や小数点が解らないという学生がいないわけだで、ベトナムの高卒レベルを日本の理数系学力に均せば、日本の大学二回生に相当すると言っても過言ではない。
ボートピープルで難民としてアメリカに渡った多くのベトナム人は、ベトナム人の特性を見事に発揮し、次の世代である子供たちへ理数系の教育に力を注ぎ、その結果だけでは無かろうが、現在、米国のMITを含む有名工科系大学ではトップ5をベトナム系アメリカ人で占めるとまで云われている。
尤も、「偉そうに書いているそういうおまえはどうなんだ?!」と言われれば返す言葉の無い筆者ではあるが。。。。(-_-;)
以上
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