ナマのベトナムが分かる、週刊ベトナムニュース第65号
ウィークリー・ベトナム・ニュース
■ 平成18年6月3日 土曜日 第65号
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■ こんにちは!!
今日もここ一週間のベトナムの主なニュースをご笑覧下さい。
翻訳は直訳とせず、日本語に馴染む意訳としておりますので、ご注意下さい(笑)また、訳者の独断と偏見を交えた辛口寸評を入れてみました。内容が片寄り、言葉が多少過ぎる箇所も多々あろうかと存じますが、これもベトナムを愛するゆえの諫言とお許し下さい。誤字・脱字はご愛敬ってことでお願いします<(_ _)>
尚、記事の転送は営利目的以外なら原則自由ですが、自己責任において行い、その中で被った被害・損害に対し筆者は責任を負えませんのでご了解下さい。
ベトナム・ニュース その65 今週のヘッドライン
*5月29日(月) 誇り高きベトナムの民よ
*5月30日(火) 物心両面を豊かに育てる
*5月31日(水) エコ・ツーリズムに活路を
*6月01日(木) 定年時期延長か現状維持か
*6月02日(金) ベトナム企業海外進出手続き簡素化
*6月03日(土) Hoi Anのニューリゾート
5月29日(月) 誇り高きベトナムの民よ
*商務大臣Truong Dinh Tuyen氏に因れば、7月開催予定の多国間交渉準備がベトナムに伴えば、今年末までにWTO加盟が果たされるであろうという。首相特使としてアメリカに派遣されたTuyen商務相は、ブッシュ大統領宛のPhan Van Khai首相の親書を手渡した。彼を含む派遣団はアメリカ議会のメンバーと国会議員を含んだ事務協議を行い、2005年、Khai首相の訪米後の越米二国間関係の発展について意見交換をした。
席上、Tuyen商務相はベトナムの20年に渡る改革の断行と成果を述べると共に、ハノイで今年下旬に予定されているAPEC経済会議主催に向けた決意を語り、アメリカ大統領ジョージW.ブッシュ氏の早期、訪越を希望した。また、最近のWTO加盟問題に関し越・米の友好的な協力関係を謝意を示し、今後ともこれを踏まえワシントンで引き続きアメリカとの協議を進めて行きたいと希望した。
今回のTuyen商務相の訪米で出会ったアメリカの政治家や財界人たちから、急速に発展しつつある米越関係に歓迎の意向を見せ、一様に米越が一体となりベトナムをWTOに加盟させ、アメリカ議会がベトナムに対し恒久貿易関係ステータスを与えるだろうと口にした。ベトナムは現在、7月開催予定の多国間協議に向け準備に励んでいる。この協議で本年度末のWTO加盟を目指す上には、ベトナム国家一丸となって行くことが重要だとTuyen商務相は結んだ。
(辛口寸評)
ベトナムのWTO加盟がいつになるのか云われて久しい。国家としてWTOに加盟することが如何に経済的なメリットをもたらすかは今更云うまでもないが、筆者はしばしやるせない思いにさせられる。WTO加盟がベトナムにとってのアメリカの餌のように映るからだ。そうまるで人が犬に餌を与える振りをして、犬はその餌に懸命に飛びつこうとする姿がまさしく当て嵌まるのである。アメリカはもったいをつけベトナムから更なる譲歩を引き出そうとするに違いない。よしんばベトナムが晴れてWTOに加盟したとしても、結局,
それにより旨味を得るのはベトナム国民ではなく、一部の既得権益者のみなのだ。
勿論、現状、アメリカを中心とした世界コミュニティー化に抗う事は経済的に不利益であるばかりか、好むと好まざるとによらず避けて通るわけには行かないだろう。しかしながら、ベトナムの人々はWTO加盟が福音を奏で明るい未来をもたらす万能薬と勘違いしてはならない。一度、その枠組みに留まったならば“金”という甘美な魔物に取り憑かれ出口のない無間地獄に陥ることを知るべきなのだ。気がつけば、アメリカの思惑に見事に嵌り込み、経済的な植民地として蝕まれるだろう。日本のように戦争に負けた国であれば、それでも甘んじて受けなくてはならないのだろうが、苟もベトナムはアメリカに勝った、とは云わないまでも負けなかった国である。個人的に筆者はベトナムは金で魂をアメリカに売ることだけは断じてすべきではない。
5月30日(火) 物心両面を豊かに育てる
*今日のベトナムの若者たちは以前に比べ条件の良い生活や教育・仕事を謳歌できるようになってきた。しかし、このような環境が若者たちにもたらすものは、自分勝手な個人主義であり社会性を無視するものだと大人たちは恐れている。
私の友人Ngoc Linhはホーチミン市の裕福な家庭に生まれ、ホーチミン工科大学卒業後、運良く高級優遇の職場に就職できた。Linh自身、高学歴で有名大学を卒業しお金の心配をすることもなく、彼女が欲しいと思ったキャリアもお金も幸福な家庭も全て手に入れられたのだった。しかし、この頃の彼女は自分のもので金遣いが荒くなったと打ち明けた。
仕事を終えると彼女はストレス発散の為、市内のお店へ最新ファッションを求め徘徊するようになったばかりか、夜もバーやカフェ・ディスコなどに入り浸る毎日を過ごすようになったという。そして彼女曰く、人生は毎日バラ色で自分の事にお金を使うのは当然とし、他へ使うなんてとんでもないと、、、、。
ある日、Linhとボーイフレンドが職場から家路を急いでいると、泥棒が老女から財布を引ったくり、転倒する場面に出くわした。近くに居た人々が老女に集まり助け起こし、病院へ連れて行ったのだが、二人はそれを無視し遠ざかっていった。彼らの行いは多くの若者たちに見られるもので、多くの若者たちの人生の目標は名声とお金を得ることに捧げられ、社会奉仕なんてものは時間の無駄遣いに過ぎないと考えているようなのだ。
こんな昨今の若者たちの行動を危惧し、ベトナム青年同盟は、ホーチミン市・ハノイ・ダナン・カントーで「学生生活技術向上」と題した3年間のプログラムを立ち上げた。主催者は若者たちに多くの社会活動プログラムを設定し、地域奉仕活動を実践させる事にした。
学生生活技術向上プログラム代表のTran Ba Cuongさんはプログラムの目的は単に社会活動のみならず、若者たちに環境・薬物汚染・感染症などの啓蒙を行うためのものだと説明する。また、プログラムに参加することにより、社会問題の知識吸収に役立ち、問題にぶちあったった時の対処法などを学ぶことができるという。
人生をよりよくするため、大勢の若者たちが空いた時間を清掃・貧しい子供や身体の不自由なお年寄りの介護などの社会活動に従事している。元麻薬中毒患者だったTran Thanh Huyenさんは、このプログラムによって自分自身の生活が改善し、社会復帰を果たすことができたという。しかも、自分が人の助けとなっている事実に生きる意味と喜びを見いだしたそうだ。ホーチミン運輸大学の学生で貧しい病人に4回献血をしたというTran Minh Thuanさんは、生活が良くなり暮らし向きも向上した今こそベトナムの若者は社会を忘れてはならないと訴える。このプログラムの参加者が増え、ひとりでも多くの若者が助け合いの精神をもてるようになるといいですねと、Thanhさんは結んだ。
(辛口寸評)
先日、門前仲町の駅で人と待ち合わせをしていた。そこへ自転車に乗った二人組が併走して歩道を筆者の方に向かってやってきた。一人は50代の婦人、もう一人は60代だろうか。筆者の目の前を通過しようとした途端、二台の自転車のペダルが接近しすぎ互いに接触し、老婦人はそのまま転倒してしまった。
転倒といっても、ずれるような形で歩道に着地した為、たいした事はなかったようだが、そのとき筆者は間もなく落ち合う事になっていた相手が間もなくやってくるだろう事を優先し、目の前で事件が発生したにも拘わらず、頭の中が弛緩し事の有様をじっと見つめていただけだった。
そうこうしているうちに近くの通行人が老婦人を助け起こしに行ったのだが、この日、一日、その老婦人になんの手も貸さなかった自分に嫌悪感を持った。心にもう少し余裕を持って生きなきゃいかんなと反省しきりで、衣食足りて礼節忘れないよう心がけねばと考えたのだった。
5月31日(水) エコ・ツーリズムに活路を
*今年57歳になる農家の主婦Tran Thi Langさんには夢がある。それは毎日10時間も田畑や川辺でのタニシ漁で馬車馬の如く働かなくてもお金が稼げるようになることだ。「毎朝4時に起き働き始めるのですが、収入は不安定。調子の良い日には一日5万ドン(US3.12$)の稼ぎがありますが、そうでない日は5千ドン・1万ドン。或いは全く収入が0の時もあり、天候と運に左右される仕事なのですとLangさんは語る。しかし、ハノイから南東150キロ離れたNam Dinh省にあるXuan Thuy国立公園で水産資源保護開発センター(MCD)が実験的に行われているエコ・ツーリズムが、Langさんの夢を現実のものにするかも知れないのだ。
最初の事業には15000ヘクタールのマングローブの森に囲まれた湿地帯に暮らすGiao Xuan村村民が参加に招かれた。MCDのコンサルタントNguyen Viet Vinhさん曰く、地元の農家は一世帯当たり僅か360平米の耕作地しか持たぬ為、生活を維持してゆくには水産資源を活用し、そこから得られる収入を教育費や医療費にあてがわなければならないのだ。彼ら地元の農家の人々は代々 この土地に住んできて国立公園内で獲れる水産資源利用はやむを得ないとしても、一方で無知な乱獲によるエコシステムの破壊が問題が浮上してきていると憂う。
Vinhさんに因れば、農民たちは魚にしろ貝にしろ大きさに拘わらず全て採り尽くしてしまい、通常、人の食用に適さないものも肥料として使ってしまうというのだ。しかし、MCD事業が始まって以来、この流れは大きく変わりつつあるという。MCD事業の目的は、Giao Xuan村民がこれまで行ってきた漁法を研究し、その上で別の生活方法を創造し環境と共に共生させてゆくことに加え、現在、Giao Xuan村の51%を占める女性たちにエコ・ツーリズムの重要性を認識させ参加させてゆくことにあるのだ。
2年間の実験期間で、エコ・ツーリズムに関する技術の習得を村人たちに計らせ、そして実際のエコツアーを催行し、モデル地区のガイドラインを設定して行くことになる。エコ・ツーリズムのモデル地区開発を行うことで、国立公園内にある他の4つの村落もこの事業を推進させるのである。またエコ・ツーリズム開発は環境保護と地域文化の保全に役立つばかりか、村民に対する環境教育、そして新たな雇用の創出に繋がると理解されている。勿論、現状、Giao Xuan村の村人たちにとって、今の試みの次に何が見えてくるのか100%と理解しているとはいえないが、それでも故郷が観光業で潤うことに全ての人々が熱い期待をかけている。
Giao Xuan人民委員会のNguyen Van Khuyen委員長は、今回の試みが村人の生活向上に大変役立つものになると考えており、困難もあるだろうが先ずは実践してみることが重要であり、それが成功の第一歩だと語る。Tran Thi Langさんは既に来たるべきエコ・ツーリズム事業においてどんな商売を興して行くかを検討中だという。「うちの亭主にはツアーガイドをして貰い、私は民宿でも経営するつもり。宿泊客は我が家のエビ養殖場に泊まり、食事はそこで彼ら自ら獲ったシーフードを満喫して貰うの。涼しい茅葺きの部屋で過ごせば、エアコンなど要らないわ。それに付近には多くの教会やお寺があり、地元に伝わる民謡にふれて貰うのも良いわね」とLangさんは微笑んだ。
Giao Xuan村ではユニークなことに同じ家族でありながら、信教がそれぞれ異なっているというものだ。実際 Langさんは仏教とご亭主は敬虔なクリスチャンだ。こんなことも観光業によってクローズアップされるであろう。しかし村人たちが目標を達成するには観光業に不慣れなことに加え、インフラの立ち遅れなど解決して行かねばならぬ課題は多い。ハノイから国立公園にやってくる行楽客は今のところデコボコ道を片道4時間かけて来なければならず、宿泊施設もないのである。
事業のパートナーでありXuan Thuy国立公園管理事務所所長のNguyen Viet Canhさんは、事業を推進して行くための費用は少なくともUS100000$が必要になるという。ただNam Dinh省当局が観光インフラの掛かる費用を投資するのでいくらかの救いにはなると付け加え、後は村人たちが一致団結し様々な問題を努力解決して行くことが成功の鍵になるだろうと結んだ。
(辛口寸評)
要約すれば、不毛の湿地帯で貧しく暮らす半農半漁の民をエコ・ツーリズムを導入することに因って、自然と共存共栄を図り村民の生活を向上させる一石二鳥の取り組みなのだろう。
現在、ベトナムの至る所でリゾート開発が進められている。しかし、同時に環境破壊も起きており、途上国において観光業は最もてっ取り早い外貨獲得の手段であるとはいえ、既に憂慮する事態は国内の至る所で発生している。
エコ・ツーリズムについては、近年、ホーチミン郊外のカンザー地区などでも行われている。参加される観光客も環境や自然保護に意識の高い人々が集まるせいかゴミの持ち帰りマナーなど徹底していると聞いている。しかし、これは参加者の多くが外国人であることに負うところが大きいのだろう。本格的なエコ・ツーリズムがベトナムの人々のものになったとき、果たしてマナーをどれほど徹底させられるのか未知数だが、施設やインフラはたまた村人の人材育成のみならず、このことも含めMCDに携わる人々は事業を根付かせて行って欲しいものである。
6月01日(木) 定年時期延長か現状維持か
*女性労働者の定年を5年延ばして60歳にする法案が提出され立法府とこの法律が社会に悪影響を及ぼすと否定的な女性たちの間で物議を醸している。男女機会均等法の一翼を成すこの法案は近代化を形成する上で男女の退職時期格差是正を目指し、国会が法制化を目指している。法制化支持派は、1960年代とは異なり労働者の社会環境も変化する中においていつまでも退職年齢で男女間の格差があるべきではないと訴えている。また、現行の55歳定年は女性が社会に貢献できる歳月を妊娠・出産・子育てなどを含めると男性に比べ極端に短く国家の損失にあたるという。
外郭団体職員Nguyen Thanh Khuyenさん53歳は法案支持派で健康で働く意欲があれば職場で継続して働けるようにすべきで、彼女自身、健康が維持できれば55歳以降も働きそこに生き甲斐を持ち続けたいと語る。しかし一方でNguyen Lan Dung教授のように反対の意見を持つ人々も存在する。Dung教授に因れば、定年後、仮に女性が働き続けたいとするなら、プロパーなスタッフとしてではなく、Dung教授自身のように労働契約書に基づいた暫定的なスタッフとして働くべきだという。加えて、重要なのは高齢者がいつまでも職場に留まることにより若者の雇用の場を狭めてしまう可能性を危惧すると教授。
労働傷痍兵社会省の2005年の統計に因ると、毎年、ベトナム労働市場は140万人の若者を雇用する。定年例の引き上げは同時に若者の雇用を阻害することに繋がるのだ。この傾向は失業率を雪だるま式に増やしかねないといわれている。2005年度の失業率は5%だった。経験豊富で仕事に熟達した高齢者の定年延長は極限られた専門分野のみで有益であり、それ以外は若者を雇用した方が効率が良いと同意するのは40歳の地方公務員Nguyen Thanh Lanさん。彼女自身は専門家でも何でもないが、一女性の見方としての意見が次の言葉に集約されている。
ベトナム女性連盟が強く押すこの法案にLanさんは異を唱える。元来、男女平等の本来の意味は男女が全ての面で同等に扱われなければならぬものではなく、双方が不足の部分を補いつつ法も下で安定した生活を送れることが大切なのだとする。
物議を醸している法案では女性が55~60歳の間で自由に定年を選択する権利を有しているものの、Lanさんはベトナムの女性に定年延長の機会を与えるより、彼女たちが働き続けることに因って、更なる家族の犠牲を強いることに繋がり、これでは肉体的にも精神的にも男性以上にダメージが高くなる述べ、寧ろ女性の年金を男性のそれより10~15%高めに設定し、早期退職女性との経済的損失のバランスを計るべきだと訴える。
前出のDung教授はベトナムの全ての階層-労働者・教員・技術者・科学者-など幅広く意見を募りそして最終決定に漕ぎ着けることが大切だと結んだ。
(辛口寸評)
日本なら定年延長と聞けば歓迎の意向を示すサラリーマン諸氏が多いことだろう。少子化に伴いリストラも一段落した企業サイドでは景気の上向きに従い、経験豊かな能力の高い人材確保の必要に迫られているし、他方 技術の次世代への伝承を期待される技術者などは、ひょっとするとこれまでの嘱託扱いで給料が減る再雇用制度の見直しが検討されるかも知れない。
残念ながらベトナムの場合は日本とは全く状況が異なり、記事の中にも触れられていたように、何せ国民の5割が30歳未満のお国柄」このため上の人間が辞めて行かないことには若い人々が仕事にあぶれてしまう。個人的な意見だが、ベトナムの定年は現行のままで今しばらくは据え置くのが無難だろう。何分、ベトナムは長く国策として二人っ子政策を実施してきたお国柄。好んで少子化を実践して来たにも拘わらず、若い人々が溢れる国であることを忘れてはならない。今年のサラリーマン川柳ではないが「片付けろ 言ってた上司が かたづいた」で、まだまだベトナムは大丈夫だと思う。
最近、日本マクドナルドが定年制を廃止し、自己申告制を導入したそうである。
6月02日(金) ベトナム企業海外進出手続き簡素化
*国際的なプロジェクトに投資を検討しているベトナムの民間企業曰く、彼らの国内投資環境はベトナム投資をしている外国人投資家たちより著しく劣っているとする。昨年度、ベトナムの海外投資は力強い伸びを新規プロジェクト及び投資額で見せ、計画投資省が発表した統計では、国内投資家の37件の国際投資プロジェクトに対する昨年の投資総額は実にUS367.6m$を超えたという。この数字はプロジェクト数で2倍、資本金でほぼ32倍を記録したことを顕している。
総投資額US293$となる11件のプロジェクトは第二次産業分野で、US65.8m$の10件は第一次産業に投資が集められている。
ベトナムゴム工業社とダックラックゴム社はラオスでUS57.8m$のゴム生産事業を立ち上げた。第三次産業分野においてはUS8.5m$で14件の小さなプロジェクトに投資された。海外投資を行っているベトナム企業は、海外投資を行うメリットは輸送費やその他のコスト削減を挙げる一方 資金の海外送金手続きが煩雑で結果的に時間が掛かりやすいデメリットも存在するという。
Viet-Laoジョイントストック社代表Nguyen Thang Long氏は、どんなに高収益が見込めそうな投資案件があったとしても、その手続きに掛かる膨大な時間や煩雑な流れが国内投資家の投資意欲を削いでしまうのだと語る。加えて、大型案件の許認可を得るには首相府の最終決済を仰ぐまでに6~7つの中央省庁の認可を取らなければならないと付け加えた。T&T貿易技術社社長Do Quang Hien氏は、Long氏と似た経験を持ち、現在、手続き中の海外投資案件は既に2年の月日を費やしているにも拘わらず未だ結論が出されていないという。
また別の側面から眺めると、ベトナム企業には投資当事国に外交窓口や通商代表部などがない限り、トラブルが起きても国家支援が受けられないのだ。尤も、7月施行予定の新投資法ではこれまで認められて来なかった活動分野の多くが解禁されることになっている。ベトナム企業は先頃、政府と関係省庁に対し、海外投資プロジェクトの許認可を中央官庁より下のレベルで行うように求めると共に、手続きの簡素化を提案した。計画投資省は現在、投資総額US620m$、149件の海外投資事業が操業されており、そのうちUS366.16m$ の49件はラオス・カンボジア・ロシアへの投資となっていると発表した。
(辛口寸評)
ベトナムの企業が海外へ進出しようとする背景は、安い工賃に因るものでなく記事にも書かれていたように、寧ろ安価な現地での原料直接調達と輸送コストに負うものなのだ。実際、ベトナムの直ぐ隣にあるカンボジアなどでは、意外にも政府はWTO加盟国なので、労働者保護の社会保障が整備されているため、ベトナム人労働者よりも会社側の負担は3割ほど高くなってしまうのだ。ベトナム企業「但し、元または現国営大手が殆ど」としては、ベトナムに投資する海外企業並の投資環境格差是正を求めるのは自然の流れだと思うが、筆者は時期尚早と感じる。
大手各社は年を追うごとにハードである設備面は近代化を遂げつつある。しかしながら、肝心のソフト、運営面での人材面の供給が追いついていないのが実情なのだ。海外へ進出する野心は大いに結構であるものの、その前に国内での経営基盤を盤石にし、知識的にも技術的にも世界に通用する人材面の育成を計って行くことが大切だと思われる。
6月03日(土) Hoi Anのニューリゾート
*五つ星リゾートホテル名を欲しいままにその名も“ゴールデン・サンド・リゾートは、中世の佇まいを今に残すHoi AnのCua Daiビーチの内400メートルのプライベートビーチを所有している。紺碧の海、黄金の砂浜、そして常緑の木々は、このリゾートにソフトな雰囲気を与えており、暑さをしのぎ人々を浜辺に誘い師玉の安息をもたらしてくれるだろう。4万平米の敷地内には多くの椰子の木々が植え込まれ、212部屋を持つHan河川辺近くに建つリゾートホテルには150メートルの長さを誇るプールが併設されているばかりか、別途、遊技施設が備えられた2つの子供用プールまである。
その一方で大人が楽しめるサウナ・マッサージ・テニスコート・ビーチバレーコート・サッカー・バドミントンなどの多くの娯楽施設も用意されているのだ。泳ぎにスポーツに汗を流した後はカフェバー“Sand 007”での飲食が可能で疲れた身体を癒してくれることだろう。食事施設は西洋料理・アジアン料理のふたつがあり、美味しい料理を堪能できる。その中でも伝統的なベトナム料理ではHoi An名物蒸し魚や揚げ牡蠣塩檸檬仕立てがお奨めで、地元名産のPhuoc Trachワインで併せれば味も一層引き立つことだろう。
フィリピンバンドやベトナム伝統音楽を聴きながら夕食に舌鼓を打つことが可能な一方、プライベートでお食事を望まれる人にはビーチのコテージで食事を摂ることができる。ゴールデン・サンド・リゾートは、国内外の観光客に対し様々なプロモーションキャンペーンを行っているが、その中で現在、目を引くものは一人当たりの宿泊代がUS39$があり、これには空港までの無料送迎代金と朝食が含まれている。
(辛口寸評)
ニャチャンの穴曼荼羅リゾートは大きな成功を収めている。それを追ってかベトナムでは観光地の可能性がある土地は開発が益々盛んになっている。リゾート開発が増えれば海外から大勢の観光客がベトナムに訪れるだろうし、比例してそこから上がる観光収入も増えるのは判る。しかし、何も無かった頃のベトナムを知る筆者としてはベトナム人の笑顔についてここで考えてみたい。
舗装道路もなく、毎日どころか一日のうちで停電がしょっちゅう起こったあの当時、物はなかったけれど、人々の気持ちの中に本物の真心が宿っていたように思う。そして屈託ない素敵な笑顔、、、、。ほんの些細な事でも、そこには人としての心のふれあいが存在していた。旅先での得難い経験はそんなところから多くが生まれたのも事実だである。
確かに今もベトナムの笑顔に接する機会は多いだろう。しかし、俗化した中でのお金に対する笑顔であり、心からのそれであることは少ないと思われる。ベトナムに関わらず発展の名の下に移ろい行く人の心と云えばそれまでだけど、豊かさの反面で人情が薄れる寂しさを想うと、ベトナムが経済的に伸びることが喜ばしいその裏側で複雑な心境になるのである。
以上
| 固定リンク
コメント