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2006/06/27

先進工業国の側に位置する人は、本当に発展途上国支援を、どう考えているのか?

考え方が大切な途上国支援  (「カオスの顔」:6月8日掲載)

前回に続いて、ベトナムが成長する上での嘆き。

Vnnationalflag_21 ベトナムは極めて近い将来、その人口が一億人を超えると予想されている。ASEAN諸国の中ではインドネシアに続き一億人を超える国家となると想定されている。これは ASEAN 10 では周知のことである。
日本を始め、先進諸国の側に位置する工業国は、巨大市場としてのベトナムへ熱い視線を送っている。とりわけ、アジアの代表は日本であり、韓国が続き、中国も狙いを定めている。アメリカは誰に憚ることもせず堂々と焦点を絞っている。欧州諸国は、やはりフランスが一番手でありドイツが続く。イギリスは控えめだが、実際にはオーストラリアが代わって期待に応えようとしている。これらを尻目にロシアも過去の友好関係を軸に虎視眈々とベトナム市場に狙いを定めている。最近は、イスラエルもベトナム市場獲得戦線に登場してきた。インドも粘りを見せようとしている。現状は、ほぼ役者が出揃ったというところである。

ところが、現在のベトナムは、石油資源の販売を始め、天然資源を一次産品として輸出するか、先進工業国製品の委託加工先としての魅力(基本労賃が低い)をウリにする以外には、積極的に外貨獲得できる手段がない。レイバーエクスポートと呼ばれる労働力(技能研修生)派遣事業も一つの手段ではあるが、巨額の外貨を得る手段にはほど遠い。

一方、経済開放体制を採用して以来、外国から最新の情報が無遠慮無秩序に届けられる。人により電波により、あるいは印刷媒体により、確実に届けられる。それを見た側が、それを欲しがるのは人情だし自然な行為である。ベトナム政府が、それらの全てを禁止することは不可能だ。輸入を拒否することもできないし、ベトナム人の海外渡航を禁止することもできない。

そうならば、それらの消耗品の輸入も含め、競争できる市場を構築する以外に途はない。しかも、国家経済を破綻させないためには、思い切った工業化が不可避となる。何も日本のような工業国家を目指しているわけではないが、それでも、一億の民を喰わせるに値する工業化は必要なのである。工業化を推進するには、何よりも「電力」が必要である。だから、発電施設を開発する必要がある。

大規模発電設備の一つは水力発電である。二つは火力発電である。三つは原子力発電である。これらの有効な組み合わせにより、基礎的エネルギーを確保することから始まるのである。現在、ベトナムの基礎的電力を支えているのは火力発電である。これを次々に展開すると、やがて地球温暖化防止条約に抵触することになる。それでは、温暖化を避ける方法も考慮する必要がある。そこで考えたのは、水力発電と軽水炉型の原子力発電である。

水力発電は、北部の山岳地域で建設に着手した。すると、在住外国人が「少数民族の生活を破壊する」と騒ぎ始めた。一方の軽水炉型原子力発電の研究を始めると、在住外国人が、ベトナムに原子力発電は相応しくないと騒ぎ出す。一体どうしろというのだ。

誰よりも何よりも、ベトナムのエネルギー消費のうち、ただただ電力に依拠し、恩恵を受けているのは外国人居住者なのだ。例えば、冷房がなければ一番にクレームをつけるのは外国人居住者である。次に電気が暗いと文句を言うのも外国人居住者である。飲み物が冷えていないと騒ぎを起こすのも外国人居住者である。冷蔵庫に氷がないとヒステリックにがなりたてるのは、何よりも外国人居住者である。そして、自分の部屋で、CNNが見たいと強硬に主張する外国人の横で、NHKも必要だと日本人も負けずに騒ぎ立てるそうである。コンピューターでインターネットができないから、その通信環境を保障せよと騒ぐのも外国人である。
これらは、ほとんど「電気」により供与される「文明の利器」である。しかし、一方で「ベトナムの工業化に反対するのも外国人である」。
ベトナム人や、ベトナム政府は、相反する主張を堂々と繰り出す外国人に翻弄されている。腹立たしい感情を抑えながら冷静に対応しているのである。

親しい人は、「ベトナムが豊かさを追究することは許されないのか?自分たちが豊かになることは罪悪なのか?先進国の人達は、私たちが『豊かさを追究することを否定するなら』、自らの生活環境を抑制したらどうか、少なくとも、ベトナムに滞在する時だけでも、同じ環境の自制した生活をされたらどうか、それも無しに、一方的に、ベトナム社会の発展や向上への取り組みを非難することは、ご遠慮願いたい」と言った。私は、同じ意見である。

自らを、同一の環境に置くことなく、卓越した環境を要求する側が、あれこれ、嘴を入れる行為は本当に傲岸な態度と言わざるを得ない。恥知らずな行為と言い換えてもよい。ベトナムの将来はベトナムの人達が決定する権利を持つのであり、一過性の外国人が嘴を挟むことは控えなければならない。もし、嘴を入れたいなら、それは何よりもまず「ベトナム社会主義共和国の国籍」を取得された上でのことではないか。

ベトナムの多くの友人達は、一生懸命、国の将来を背負い取り組んでいるのである。
http://caosintl.spaces.msn.com/blog/cns!45E1EA14CEE60EE0!340.entry

香港発の「カオスの顔」は、MSN上でのプログラムの事情かよく分かりませんが、更新ができない状態となっているそうです。そのため、「コラコラコラム」は、「カオスの顔」からの要請を受け入れ、必要な記事を転載し掲載致します。

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