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2006/06/28

ベトナム市場へ流通外資の巨大な波が押し寄せる!

ベトナムにも流通外資の波が!  (「カオスの顔」:6月10日掲載)

社会主義市場経済を追究するベトナムへ、流通外資の波が押し寄せている。

Vnnationalflag_22 ベトナムの食品流通は、小規模な個人営業が軸で、その集積体として各地に「市場」が設けられ、そこの権利を持つ人達が、食材・食品流通、衣料品流通、生活用品流通を担ってきた。

つい最近まで、電気製品による冷蔵貯蔵の仕組みを持たなかったベトナムは、毎日、食材を始め、その日に必要な分を「市場」へ買い物に出かけることで措置してきた。大家族生活の長所を生かし、女・子供や老人達の仕事でもあった。小規模な独立家族は、ハウスキーパーを雇い、家事全般を委ねる方法で凌いできたのである。「社会主義政策を採用する国が、家事労働に従事する雇用人の存在を認めるのか」などと固いことはいわないのである。長い歴史と時間をかけて、社会が自然に制度化してきた知恵である。だから、毎日「市場」へ出かけ、買い物とお喋りを楽しむのである。何よりも、誰よりも「値打ちの品を、安く買うために、丁々発止のやり取り」を売り手と買い手が闘わせるのである。

世相を知らない外国人には、その意味するところが分からず、ただただ眺めるだけか、売り手の言いなりに、多少のお返しをして色を付けて貰った値段を納得する程度だが、ベトナムで生活する人は、大袈裟に言えば「自らの人生と、全人格を賭けて、納得価格を得るまで争闘するのである」。それが「市場」の楽しみであり、息抜きなのかも知れない。

「市場」は、「風の便りと人の噂」が交錯する場でもある。従って、毎日の社交場なのである。

その「市場」に食材を供給する人は、零細な個人事業というか家内事業者で、近隣の村や廊(ラン)から、荷車、自転車、バイクなどを駆使し、ただただ運び入れるのである。長年の付き合いを大切にしながら、買い手を大切にした、いわば「物々交換」に近い仕組みで収入を確保し、利益を分け合ってきたのである。

ところが、ドイモイ政策(政策刷新)20年を経過した昨今は、豊かになるであろうベトナム市場の席巻を目指す、欧米の巨大流通資本は、ベトナム市場へ殺到し、「メトロ」、「カルフール」が独占市場の構築を目指している。そこへ遂に「ウォルマート」が世界一の看板を引っ提げ参戦してきた。

今後は、これらの資本が徹底した潰し合いを展開するのであろう。潰される対象は、ベトナム人の手で営々と営まれてきた文化としての「市場」である。
既に、ハノイでもホーチミン市でも、いわゆる「食材・食品量販店」は「GMS」展開を図ることで、弱体なベトナムの流通で優位性を保ち、あたかも「ブランド化」しようとしている。

ベトナムの「GMS」は、まるで日本の「先進型百貨店」の様相を呈している。

店内へ入るには、まず、入り口手前の「荷物預け」で、持ち物全てを預けることから始まる。勿論、支払いに必要な財布や、連絡のための携帯電話は持ち込める。荷物預かり係がいないところでは、ロッカーが準備されている。そこへ荷物を収納するのである。
そして、店内入り、セルフサービスで目指すモノを選ぶのである。あとは、レジカウンターに並び、バーコードで読み上げられた金額を支払い、レシートを受領する流れになるが、これらはほぼ全世界共通仕様である。

入り口と、出口に当たる支払いのレジカウンターには、頼りなさそうながら「ガードマン」が突っ立っている。買い物とレジ精算を終えると出口から出て、預けた荷物をロッカーや預かり係から返却を受け、帰路につくのである。

そこでは、何よりも、誰よりも「値打ちの品を、安く買うために、丁々発止のやり取り」を売り手と買い手が闘う光景は見られない。実に静かなモノである。ベトナムの食材・食品流通の文化が根底から変わろうとしている。やがて、小資本のベトナム人小売商は、巨大な市場経済の波に揉まれ洗われ消されてしまうのであろう。

先進諸国が、いずれも同様に歩んだ道を、ベトナムも歩もうとしている。
http://caosintl.spaces.msn.com/blog/cns!45E1EA14CEE60EE0!341.entry

香港発の「カオスの顔」は、MSNの事情かプログラム上の不具合か、よく分からないまま、記事の更新ができない状態にあるとのことです。この連絡を受け、「コラコラコラム」は、「カオスの顔」の主宰者からの要請を受け入れ、必要な記事の転載掲出を致します。

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