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2006/07/01

ナマのベトナムが分かる、週刊ベトナムニュース第69号

ウィークリー・ベトナム・ニュース  
■ 平成18年7月1日 土曜日 第69号
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■ こんにちは!!

Vnnationalflag_25いつもお世話になっておりますベトナムから、ニャットアインです。

今日もここ一週間のベトナムの主なニュースをご笑覧下さい。

翻訳は直訳とせず、日本語に馴染む意訳としておりますので、ご注意下さい(笑)また、訳者の独断と偏見を交えた辛口寸評を入れてみました。内容が片寄り、言葉が多少過ぎる箇所も多々あろうかと存じますが、これもベトナムを愛するゆえの諫言とお許し下さい。

誤字・脱字はご愛敬ってことでお願いします<(_ _)>

尚、記事の転送は営利目的以外なら原則自由ですが、自己責任において行い、その中で被った被害・損害に対し筆者は責任を負えませんのでご了解下さい。

☆お断り:掲載の「ベトナムニュース」は、現在、ホーチミン市在住(業務で東京との間を往還されます)の知人による労作です。当ニュースの原則的な著作権は、知人に帰属致しております。当コラム主宰者は、知人からメルマガとして、当ニュースの提供を受けた時点で、より多くの皆様にご覧頂きたいとの願いを持ち、知人に、当コラムへの転載承諾をお願いし、諒解頂くことができました。当コラムをご覧頂く皆様へ公開申し上げております。☆

ベトナム・ニュース その69 今週のヘッドライン

* 6月26日(月) ここ10年の消費動向
* 6月27日(火) 米中のニューアイドル?
* 6月28日(水) ベトナムの遠山ざくら
* 6月29日(木) 免税店を舞台にモンキービジネス
* 6月30日(金) 日系企業ベトナム投資の傾向
* 7月01日(土) 「学ぶ」がお土産

6月26日(月) ここ10年の消費動向
*最近、市場調査会社が行ったアンケートからここ10年かのベトナム消費者の消費動向が浮き彫りにされ、トップ10の発表があった。
1996年創立のTNSベトナム社曰く、ベトナム人は予想以上に余暇やハイテク機器、それに健康美容関連にお金をかけていることが判明した。このトレンドはこれまでの10年で社会・経済の変貌の指針を表しているといえようとTNSは伝える。ベトナム人は健康維持を社会生活を送る上で重要と考えており、心地よい生活環境の為、健康的なダイエットに気遣い、健康増進などの商品に注意を払っている。

10年前まで定期的に化粧を施していたベトナム人女性は全体の僅か10%しかなかったが、今日では80%迄になっている。健康・美容産業はベトナムで大きく成長を見せている産業のひとつであり、今後も拡大が期待されている。この分野の成長は安定した収入があり、経済的に独立し、家族の健康を守る女性たちに支えられており、彼女たちが決定権を持ち社会に多大きなインパクトを与える一方、家庭においてはケアプロバイダーとしての役割を担っているという。

社会で活躍し、重要な役割をこなす女性の社会進出は彼女たちを健康志向に導き、それらを得るために高品質の商材を利用する傾向が出てきたわけである。高度に洗練されたこれら消費者が今後も、この市場の核をなして行くだろうと、TNS社長 Ralf Matthaes氏は語った。

1996年以前、人口の過半数が一日当たりに必要な食物摂取量が不足していた。しかし、今日、ベトナム政府の休みない努力の結果、飢えや貧困が減少した。これは取るも直さず、食の問題や食生活の向上がなされたからに他ならない。ファーストフードがベトナムに根付き、子供たちも親しむようになった。今後、益々拡大が見込まれるものの、更なる成長を果たすためには、メニューのローカライズし改良を加えて行くことが大切だろう。

1990年代前半から中期にかけ、家庭で最も望まれた電子機器と言えば、バイクの次にUS20$の炊飯器であったが、今日、これらグッズは「家庭にあって当然」のアイテムに変遷した。ベトナム人はブランド意識が高く商品選択もブランドに沿ってきめられるようになってきた。今後、メーカーは消費者が何を欲しがり、どんな夢を持っていて、どんな要求があるのか見極めた商品戦略を行う必要があるだろう。

現在、ベトナム人は余暇を自宅で過ごす時間が多くなり、そんな彼らはテレビ・ステレオ・ビデオ・家庭用電話機を揃えはじめるようになってきていた。しかし、2001年からはDVD・壁掛けテレビ・パソコンが新たな担い手になってきている。家で長く過ごす主婦や老人世帯が家庭用品を高性能・高品質のアイテムを希望し、結果的に、この分野の製品並びにや娯楽機材などの購買力の底上げに繋がっている。

ここ10年で最も特筆すべき変化は種類と娯楽の幅の広がり、そして選択肢の拡大である。総人口の内、約半数が24歳以下で占められるベトナムが急速な拡大の追い風となっているのだ。以前なら娯楽と言えばカラオケ・レストランでの食事・ピクニックだったが、今はインターネットカフェ・スポーツ観戦バー・ファーストフードレストランが新たに加わっている。10年前、家族の娯楽と言えば新しく買ったバイクで街を流して回るだけだったが、今ではバイクの駐輪代が出せるようになり、そこから散歩なども可能となっている。

今日でも頼母子講や箪笥預金はお金を管理する方法として一般的ながらも、昨今では現金自動支払機を利用し、保険を購入・ローンやクレジットでの買い物をする人が増えてきた。増えつつある中間層のクレジットの利用は、投資の機会をもたらすばかりか新しい銀行サービスが様々な消費の拡散をもたらすと考えられる。GDPの拡大は1996年以来4倍となり、可処分所得も比例して増え、消費者はより質の高い商品を求めるようになっている。この結果を見ても、今後は商品の価格帯が多少高額であっても、消費動向は需要を満たすものでありさえすれば伸びてゆく事が予想されると言えよう。最近、消費者の意識は着実に「安かろう、悪かろう」に変わりつつあるのだ。

1996年当時、一ページ海外にファックスした際のコストはUS6$、一分間当たりの国際通話がUS3$で、あの頃、携帯電話もインターネットも未だこの世に存在していなかった。現状はどうかと言えば、新しい通信技術の導入により通信費は驚くほど安くなった。この国の家庭電話の所有率は10年前、僅かに5%だったが、60%に伸び、過去5年間に於いては、携帯電話の出現で利用者は飛躍的に伸び、インターネットに至っては5年前のほぼ倍の利用者数に膨れあがった。

(辛口寸評)
今から11年前、筆者は仕事でハノイにいた。その当時、とあるイベントの後援依頼を関係官庁へお願いに行ってたのだが、その際、相手の官僚からインターネットを知っているかと訊ねられたことがあった。当時、日本でもそれを知るものはほんの一握りで筆者も名前だけは聞き知っていたものの、それが如何なるものかは全然理解しておらず、「導入の協力をして貰えないか」と云われたものの、そのまま聞き流し後から調べて腰を抜かした覚えがある。

記事の中に出てくる通信費、実感として以前と比べて随分安くなった。駐在員だったころ、日本との連絡のやりとりは専ら電話かファックスだった。ファックスの場合、要点をまとめたチャートは書けるのだが、補足説明まではやはり電話を利用することになる。しかも、ベトナム側の交渉相手は民間であれ政府であれ、言質をとっても朝令暮改宜しくころころ変わった為、頻繁な日本との交信を余儀なくされた。その結果、月額通信費は安いときでUS2500$、多い月になるとUS3000$を超えていた。月末に秘書に郵便局で支払いをさせるのだが、何分、ドルの支払いは認められずいちいちドンに両替し、支払いに出向くのだけど、当時の最高紙幣は10000ドンでしかなく、ミカン箱大の箱に入れて持ち込んだものだった。今回の記事で些末な事ながら、そんな想い出に浸ってしまった。

6月27日(火) 米中のニューアイドル?
*東アジアの中で中国に次ぎ経済急成長を遂げつつあり、世界中から投資家を呼び寄せているベトナムは地域内の経済パワーとなり、田園風景は急速に工場地帯へと変化している。ベトナム戦争でアメリカは傷をつけられたが、それも過去のものとなり、ワシントンはこの国に注視しているのだ。通商の打ち合わせをしてきた民主党イリノイ州選出下院議長のデニス・ハスタート氏とそのベトナム側カウンターパートは最近、親密な関係を覗かせている。

「最終的に我々は夕食を一緒に頂ける」とベトナム国会議長のNguyen Van An氏は言いながら、下院議長と抱き合いホーチミン主席がアメリカに抗仏の助けを求めるハリートルーマン大統領宛の書簡をプレゼントした。書簡の中には、「我々は60年前に会えたら良かったのに、、、」と主席の言葉が添えられている。

4月の下院議長の出席は、マイクロソフト社のビルゲイツ氏と国防長長官ラムズフェルド氏の訪越の前哨戦の一環と捉えられており、更にはこの秋に予定されているアジア太平洋会議に参加するブッシュ大統領訪越の地均しとなるものだ。ベトナムの指導者たちはアメリカに中国との平衡を保つために一役買って欲しいと考えている。ベトナムにとって中国はイデオロギー的には味方と考えられているものの、古来より因縁浅からぬライバルなのだ。このためベトナムは中国の膨張主義と影響力を恐れている。最近では1979年の中越戦争が記憶に新しいが、ベトナム国会外交委員会副委員長のTon Nu Thi Ninh女史曰く、中越関係は“これまでにない良好な関係”とする一方「満足するものではない」とも付け加えた。

ブッシュ政権も北京のアジア影響力増大には危機感を募らせており、このバランスをとるため喜んでベトナムに荷担したいと目論んでいる。
良いバランスをとる重要性は誰でも理解している事で、ベトナムは一歩下がって、アメリカにもたれかかるわけでも北京に頭を下げることもしないとNinh女史は語る。ベトナムを我が方に引き入れようと北京とワシントンは双方お互い競い合っているかのようなのだ。今月、ラムズフェルド長官は米越の深い軍事協力(アメリカより武器部品供給を含む)に言及した。2名のベトナム人将校が、ペンタゴン国際軍事教練プログラムの参加の申込みを行った。サンアントニオにあるこの学校は、アメリカ友好国にのみ門戸を開放されている。

中国国防大臣Cao Gangchuan氏は、この4月新首相Nguyen Tan Dung氏と新大統領Nguyen Minh Triet氏が選任される国会代表者会議前日にハノイを訪れた。Dung氏もTriet氏も資本経済主義路線に対し支持を表明するものの、政治的には中国をお手本としたい意向を持っている。つまり、市場経済を活性化しつつも完全に共産党の管理下に置くというものなのだ。中国もアメリカも急速に経済的な存在感をベトナムで増しつつある。昨年、ベトナムへの両国の投資額はほぼ同額で、約US2b$強。米越二国間貿易額は2001年はUS1b$ 弱であったのに対し昨年US8b$近く大きく跳ね上がった。

アメリカと対抗意識を燃やしているのか或いは、取り残されるのを防ぐ意味からか中国商務大臣Bo Xilaiは今月、ベトナムに訪問した際、2006年の中越貿易額はUS10b$になるだろうと語り、この数字は対前年比40%の増加となると発表した。このところの最も大きなアメリカからの投資は、インテル社がホーチミン市にUS600m$を投じ2008年操業予定でマイクロチップ工場の建設がある。そして今秋にはベトナムのWTO加盟が見込まれており、現在、アメリカの銀行・保険会社・通信関連企業のスカウトたちがこの国に投資の食指を動かしはじめているのだ。

近年、米越関係は好調であるが人権問題については双方未だ隔たりがある。またベトナム系アメリカ人市民のハノイに対する根強い不信感は払拭されていない。その一方でアメリカが枯れ葉剤被害者に対する賠償を拒否し続けていることにベトナム政府は苛立ちを隠さない。
Ninh女史は4月のビルゲイツ氏の友好的な訪越を歓迎し、「ベトナム人はビルゲイツが好きなのです。彼は自己の頭脳でお金を稼ぎ出し、この姿は多くのベトナムの若者たちの共感を呼んでいます。そして別れ際、ゲイツ氏はI am coming backと言い残し去って行きました。」と語った。

(辛口寸評)
ベトナムは貧しい発展途上国。それに対し日本は豊かな先進国。
しかし、外交上に於いて日本はアメリカの植民地で、金色夜叉のお宮のようなものでしかない。中国には舐められ続け、顔色を伺う体たらく。
ところがベトナムは、日本と全く逆のポジションにいる。もちろん細かい問題は残しているものの、アメリカと中国両方から熱いラブコールを送られているのだ。両サイドとも戦略上、ベトナムを大切に扱わなければならない事情はあるだろうが、独立した国家としてあるべき姿をここから見せられたように思う。

6月28日(水) ベトナムの遠山ざくら
*ベトナム親善大使、杉良太郎氏の二国間文化交流促進訪越旅行が6月19日から4日間の予定で始まった。今回、彼が昨年5月26日に日越親善大使になってから二度目の訪越となる。またこの訪問では、杉氏が昨年10月に最初の訪越を題材にした映画をベトナム人学生たちが制作する目的もあると、駐越日本大使館の文化アタッシュ大内アキラ氏が記者団に語った。

親善大使は期間中、20台のビデオカメラ(US15600$相当)をハノイ教育訓練サービスへの寄贈がスケジュールに組み込まれており、この事業は日本国政府のベトナムに対する文化協力の一環だと大内氏は述べた。杉親善大使はNguyen Tan Dung副首相・Le Hong Anh公安相・Pham Quang Nghi文化情報相との会談を行う他、Birla村の孤児院やNguyen Dinh Chieu盲学校及び日越文化交流会日本語センターなどへも訪問する予定だ。

杉親善大使は日越友好の為、これまで1991年設立の日越文化交流会発展の礎を築き多大な貢献と尽力をつくし1997年にはTran Duc Luong大統領から友誼勲章を授与されている。その一方で、ユネスコ主導の文盲減少プログラムに於いてはユネスコ特別大使としてバスや救急車・薬品などをベトナム当局に寄付し、現在は約20名の孤児の支援を行っている。

(辛口寸評)
日本の有名人や芸能人がベトナムやその他の発展途上国で一役買うことがある。これを口さのない人々は売名行為だとか、人気取りとか陰口を囃す。僻んでいるのか妬んでいるのかは知らないが、“行動する”ってことは結構高い意識を持ち、維持し続けることが出来なければ、容易ではない。杉 良太郎、別に筆者はファンではないが、ベトナムの地にこれからも遠山ざくらを咲かし続けて欲しいものだ。

6月29日(金) 免税店を舞台にモンキービジネス
*昨年10月、カンボジア国境沿いのTay Ninh省にMoc Baiデューティーフリーショッピングセンター(DFS)が開店してからというもの多くの住人が身分証明書を利用し僅かな利益を得ようとビジネスとして訪れるようになった。彼らのビジネスは、政府の免税措置を最大限利用し1日に50万ドン(US31$)の買い物を活発化させている。しかし、店員たちの報告によると住人たちは限度額以上の買い物を小売店の代理で行っているというのだ。小売店は更にそれを自己店舗で売りさばくというわけだ。

ある農家の主婦は小売店から洋酒一本につき15000ドン(US0.90$)の手間賃を貰い彼女の身分証明書を使用し代理の買い物を請け負う。
DFSではシーヴァスリーガル一本の価格は63万ドン(US39$)で、この価格は市中の卸価格より10万ドン割安なのだ。このような高額商品の購入は農家にとって百姓仕事よりDFSで働いた方が見入りが良いと考えられている。地元の企業も最近ではこの方法に目をつけ小売店経営に乗り出し始めたという。

Moc Bai通関事務所Le Thanh Phuong所長の説明によると、これまでに26社の内8社が違法取引で摘発したものの彼の部下たちは十分な取締が出来ないでいるという。というのも、法の抜け穴を突かれたものだからだと。。。過去8ヶ月間でDFSで販売された洋酒は50万本になるのだが、内20%は観光客に適法で購入したもので、残りは違法に因るものだった。

(辛口寸評)
利に聡いベトナム人が、この抜け穴に気づくまで時間は掛からなかったことだろうし、一方、身分証明書を見せるだけで誰でも購入可能とした法のあり方自体に元々問題がある。因みに、ホーチミン市中心部にサイゴンDFSがあるのだが、開店して既に7年を経ている。ここで買い物をした観光客も多いと思うが、その殆どは外国人観光客で商品の購入には、パスポートと航空券の提示が必要だ。不思議なのは、既にこのようなシステムがあるにも拘わらず、Moc Bai DFSには全く生かされていないのだ。憶測で書くのもなんだが、この裏にはやはり地元の行政と特殊な権益を持つ民間ビジネスとの癒着があった筈で、記事が出た今のタイミングで出たのはいつものことで遅きに失した感があると言える。

6月30日(金) 日系企業ベトナム投資の傾向
*オーストラリアの新聞、アジアタイムスは最近、Hisane Masaki氏の多くの有名日本企業が中国からベトナムに投資をシフトしつつあると引用した記事を掲載した。特に日系中小企業は、中国に次ぐ二番目の投資先国としてベトナムを目指しているという。2001年度のベトナムへの日系企業の進出先国としては第8位にランクしていたが、2005年度は中国・インド・タイに続く第四位となっていた。

アジアタイムスによれば、2005年以降、ヤマハ発動機(US48m$)やマブチモータス(US40m$)などといった一流どころの規模拡大の投資・増資が急増し始めているという。現在、US148m$をかけた日本板硝子の合弁工場の建設中でキャノンも印刷機製造工場にUS70m$を新築中といった案配。本田技研は、最近の発表で今後5年以内にUS60m$をかけた自動車工場の建設をするという。

日系中小企業の進出も目覚ましいと同紙は強調する。曰く、ベトナムにとって日本は最も効果の高い投資実行力のある外国投資国と認識している。現在のベトナム投資ブームは二度目の波が訪れており、一番目は1990年半ばで、1994年にアメリカの経済制裁解除と米越国交正常化調印後のことであった。

同じ頃アルジェリア・デェイリー・ネイション紙は7月19日の記事の中で、過去20年間の経済改革で目覚ましい発展を遂げつつあるベトナムを賞賛し、ベトナムが二度の戦争に巻き込まれながらも僅か20年で驚くべき経済的成果を達成したことは多くの外国人ベトナムウォッチャーも賛同するところであると伝えた。

同紙は米国防省長官ラムズフェルド氏のコメント「ベトナムが短期間で経済発展をしつつあることを歓迎すると同時に米越関係も発展してゆくだろう」を引用して掲載した。ベトナムは高い経済成長並びに成長率などの経済成果を誇りに思うべきで、アジア開発銀行の2006年で東南アジア諸国内に於いて最も経済成長率が高い国はベトナムであり、2007年もこの水準を維持してゆくとの予測を併せて掲載し説明を施していた。

(辛口寸評)
日本へ来てから講演などで企業関係者の方々とお会いし、チャイナプラスでベトナムはどうかといったご質問を良く頂くが、そんなとき筆者は決まって「チャイナプラスではなく、ベトナム+アセアン=∞ だ」と答えさせて頂いている。つまり、中国は中国・ASEANはASEANとして別個に経済圏を作り上げ、アセアンの盟主ベトナムをゲイトウェイとしたEUにも匹敵する地域内パワーを生み出して行くようになるのだ。それからすると、昨年までは、中国のリスクヘッジとしてベトナムとの見方が大勢を占めていたが、もはやヘッジ先ではないどころか、チャイナプラスワンなどと言った考え方ですらさえ、陳腐に思えてくる。今後、ベトナムの見方を180度きり変えることがいち早く出来た企業が、多くのテイクを得ることだろう。アセアン5億の市場の鍵はベトナムにあるのだから。

7月01日(土) 「学ぶ」がお土産
*現在、ハノイに3カ所の外国人用ベトナム料理スクールが存在している。ここはシティーツアーにも組み込まれており、人気が高い。午前10時にイギリス人観光客グループと共に、Ly Thuong Kiet通りの“12月19日市場”に出掛け興味深い伝統的なベトナム料理を習う為の買い出しをする。
外国人観光客を引き連れたソフテル・メトロポールホテルの従業員Hoaさんは市場の人々にとっては既に馴染みの光景である。ここでHoaさんは観光客に素材の見立ての説明を詳しくし、野菜の葉の見分け方によって違いなどを語るのである。そして、お次は海産物やフルーツ売り場に移動して野菜同様、それぞれの素材がどのようなベトナム料理に適しているのかを案内するのだ。

12月19日市場は比較的狭くて小さい市場に拘わらず、豊富な食材を取りそろえている。イギリスの保険会社に勤務するStephan Simpsonさんは、これまでの人生で50カ国以上の国々を旅行して歩いたが、これほど貴重な買い物の経験をしたのはここベトナムが初めてですと語る。
衣料から食材まで豊富に取りそろえられたアイテムの他、パーマ屋もあるし、加えて店員は献身的でハートフルなサービスを提供捨てくれるとSimpsonさんはご満悦。

この日、Hoaさんは観光客にバナナサラダ・揚げ春巻き・焼き鳥檸檬仕立て・竹詰めチャーシュー・魚のビール煮、そしてカボチャとタマネギの和え物の6種のベトナム料理の作り方を教えた。はじめにHoaさんが作り方を観光客に見せ、その後、観光客たちが調理に取りかかるその光景は楽しさが満ちている。

ハノイにはこのようなクッキングスクールが少なくとも三カ所あり、ソフテル・メトロポール他、Ma May通り25番地のAnh TuyetレストランやHang Tre通り5番地のハイウエイ4レストランなどがある。ハノイを訪れる多くの外国人観光客は地元の郷土料理を食べることだけでなく、その作り方を覚えそれぞれの国へ持ち帰りたいようだ。

「私は新しい国を旅するとき常に食べ物に注意を払います。なぜならこれらはその国の文化のひとつです。ですから今回、ベトナム料理体験ツアーがあると聞かされ迷うことなく参加したわけです。結果的に参加して良かったです」と同ツアー参加者 Linda Sinpsonさんは語った。

Ma May通り25番地のレストラン、オーナーPham Anh Tuyetさんは、伝統的なフォー・ネムなどのベトナム料理の教授に力を入れている。彼女のお店は古いハノイの佇まいを色濃く残した場所柄で、そんなことも集客に一役買っているのでしょうとTuyetさんは笑顔で応えた。ハノイ料理はさておき、ここ数年外国人観光客にベトナム料理を教えてきたTuyetさん曰く、このビジネスは利益が全てではなく、そこから外国の人々に高貴なハノイの文化的価値観を導き出す一助になることが願いだと語った。

アメリカはフロリダ州のオーランド調理学校から参加した観光客はTuyetさんのお店で「このツアーは我々の学生にとってもとても興味深い物で、ハノイの味やスパイスの味付けなど大変参考になるものです」と応えた。外国人観光客にベトナム料理コースを提供するハノイの旅行会社は次の通りである。Diethelm Travel社・Huong Viet JSC社・Indochina Travel Service社、そしてExotissimo社。

(辛口寸評)
筆者も以前、大手旅行代理店に勤務していたことがあって、添乗業務など数知れず行ったが、その当時は観光地から観光地への物見遊山的見学に終始し、観光客が主役となって積極的に活動をするようなものは全くなかった。尤もオプショナルツアーとしてゴルフやクルージング・フィッシングなどのアテンドをしたことはあったが、まあそこまでだった。現在、昔の同僚で今も旅行会社に勤務する連中にツアーの形態を尋ねると、まさに慰安旅行やその他の団体旅行などは著しく減少し、個人個人の趣向に合わせた多様化可能なコースを設定しなければ競争に取り残されるという。

今回の記事を読んで、所謂「学び習得する」といった方面の活動を今後のツアー策定には欠かせないスパイスになるのではないか。ただ単に見る・食べる・遊ぶだけでなく「学ぶ」を付け加えることが旅行業界のこれからの浮き沈みを占うポイントではないかと思える。

以上

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