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2006/07/16

ナマのベトナムが分かる、週刊ベトナムニュース第71号

ウィークリー・ベトナム・ニュース  
■ 平成18年7月15日 土曜日 第71号
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■ こんにちは!!

Vnnationalflag_27いつもお世話になっておりますベトナムからニャットアインです。

今日もここ一週間のベトナムの主なニュースをご笑覧下さい。

翻訳は直訳とせず、日本語に馴染む意訳としておりますので、ご注意下さい(笑)また、訳者の独断と偏見を交えた辛口寸評を入れてみました。内容が片寄り、言葉が多少過ぎる箇所も多々あろうかと存じますが、これもベトナムを愛するゆえの諫言とお許し下さい。

誤字・脱字はご愛敬ってことでお願いします<(_ _)>

尚、記事の転送は営利目的以外なら原則自由ですが、自己責任において行い、その中で被った被害・損害に対し筆者は責任を負えませんのでご了解下さい。

ベトナム・ニュース その71 今週のヘッドライン

* 7月10日(月) 観賞用タツノオトシゴ
* 7月11日(火) 外資系企業の従業員
* 7月12日(水) ワールドカップの盛り上がり
* 7月13日(木) 主夫の務め
* 7月14日(金) 天下のご意見番 民主主義を導入?!
* 7月15日(土) ホーチミン市 職員を越僑から!!

7月10日(月) 観賞用タツノオトシゴ
*現在、中部Khanh Hoa省のNha Trang海洋研究所タツノオトシゴ飼育センターから毎月シンガポールや欧州の国々へ対し観賞用タツノオトシゴを5000~10000匹を輸出している。輸出時のタツノオトシゴは生後35日目で、一匹当たりUS3~5$で取引されている。

タツノオトシゴ飼育プロジェクトは1990年に疑似餌で黒色タツノオトシゴと三斑タツノオトシゴの二種類の人工飼育に成功したTruong Sy Ky博士に拠って立ち上げられた。

2006年には研究者たちに拠り更なる飼育の改良が加えられ新たに黄色タツノオトシゴの新種を創り、現在は赤色タツノオトシゴの開発を目指しているという。

(辛口寸評)
チョロン市場近くの漢方薬を専門に扱う問屋の軒先には乾されて干からびた長さ10センチほどのタツノオトシゴに出合う事が出来る。
かなり乱雑に並べられておりしかも100グラム当たり日本円にして200円程度なので、漢方薬の薬剤としての一価値はなしているとはいえ、それほどタツノオトシゴ自体に値打ちがあるとは思えない。

ところがここの海洋研究所で新種が創り出され、その数は僅かなものの生きたそれに色という付加価値がつき、1匹当たり3~5ドルという取引されるとはまさにベトナムならではの錬金術を彷彿とさせる。
筆者も趣味で観賞用に金魚を飼育しているので、金魚市場へはちょくちょく覗きに行くのだが、実はタツノオトシゴはそこで見たことがない。
恐らく、ベトナム国内に於けるタツノオトシゴ需要は殆どないのだろうが、しかしこの分で行くと、そのうちバイオ技術を駆使した七色に輝くタツノオトシゴがベトナム初で生まれるのもそう遠い将来ではないかも知れない。

7月11日(火) 外資系企業の従業員
*外資系企業に勤務する従業員たちは国内民間企業や国営企業に勤めるそれらに比べ真面目で優秀であることが労働・傷病兵・社会省のアンケートが報告された。外資系企業従業員1人あたりの生産性はUS1570$に対し、国内民間企業のそれはUS500$、国営企業では僅かUS320$でしかない。アンケート結果から外資系企業従業員の経営者に対して最も高い生産性を持って貢献していることが浮き彫りとなった形だ。外資系企業は少数精鋭主義を保持しながら一方で高い収益性維持に努めていることが判る。

2004年のアンケートでは外資系企業は平均489人の労働者を雇用し、従業員1人あたりの売上はUS32300$だった。その一方で国営企業は平均622人雇用しても1人あたりの売上はUS24000$に過ぎず、国内民間企業は平均198人でUS14400$しかなかった。外資系企業の効果的な従業員起用法はサラリーにも反映されており、100万ドン毎の給料に対し利益率は110万ドンを稼ぎだし、国営企業及び民間企業では僅か50万ドン毎の給料に対し僅か30万ドンの利益率に過ぎない。

驚くべき事に、外資系企業従業員の高い生産性に比較して、外資系企業の殆どが国営企業や民間企業のように多くの高学歴者や熟練を雇ってはいないことで、ここから企業内教育の充実と適材適所が如何にうまく進んでいるのが読み取れる。今回のアンケートに参加した企業は国内500社で58.4%が民間企業・23.6%が国営企業・外資系企業は18%。100人未満を雇用する企業の割合が41.6%、100~300人が18.8%、残りが300人以上の企業で行われたものだ。

(辛口寸評)
外資系企業の場合 既に母国での雇用法が確立しており、基本的にその一部を進出国の文化・宗教・環境などを配慮し進出後2~3年かけてローカライズが完成する。一般ワーカーの生産性が国営企業や民間企業に比べて高いのは、別に彼らが能力的に優っているからとか高学歴といったことではなく、実は別の要因があるのだ。その要因とは、幹部育成にある。彼ら幹部は学歴もさることながら実務経験に長けているものを要所要所に管理職として配置し、それらを効率よくワーカーへの体系的な指導をさせ、全体の底上げを図らせるというわけなのだ。

現時点で、外資系企業の方が一日の長があって国内民間企業と比較すれば、あらゆる面で於いて好成績を残すものだが、外資系企業に勤める従業員に拘わらず、一般的にベトナム人は起業意識が高い。今は民間企業も外資系の後塵を拝してはいるが、近い将来、外資系企業を辞め起業した連中が外資系企業で学んだ労働体系や経営方法を用い、更に効率の高い方法に改善し外資系企業に並び立つ日もそう遠くないであろう。

7月12日(水) ワールドカップの盛り上がり
*妊娠7ヶ月の身重にありながらハノイ市Hai Ba Trung区に住むLe Thi Hoaさんはワールドカップでイギリスチームのキャプテン、ベッカムがフリーキックから1対0でエクアドルを下した試合に驚喜し、何度も上下に飛び上がっていた。それを見ていたご主人は、心配し羽交い締めして必死に飛び上がるのを抑えたほどだった。「ベッカムのイギリスが勝つのは始めから織り込み済みよ。だけど昂奮したわ~。私は2ヶ月早く会社に産休を願い出て許可されたので、お家でワールドカップを楽しめるの」と彼女は語る。

普通一般的にはワールドカップの時期になると決まって主婦たちからサッカー観戦に夢中になる亭主たちに文句が出されるものだが、上のケースでは全くあべこべだ。「僕自身サッカーには興味がないのですが、女房に頼まれて彼女を夜通し起こす役目を仰せつかったんだ。何せ妊娠中だから刺激が強いコーヒーを奨めるわけにも行かないしね」とHoaさんのご亭主はいう。

Nguyen Van Duongさんはいつも午後9時には就寝する彼の奥さんが、いくつものコーヒーやお茶を買ってきて彼に夜ふかしを付き合ってと申し出たときとても驚いた。「家の女房はサッカー観戦が好きだから、彼女の贔屓のチームを一緒に応援していたけど、ゲームセット前に寝てしまうのは決まって僕が先だよ」とDuongさんは笑う。Duongさんの連れ合いLamさん曰く、亭主はワールドカップに興味はなく、ベトナムオペラや新劇ばかり見ているのよ。私たち家族はしばしば週末になると夫に連れられて劇場に出掛けるほどなのとLamさん。

主婦のHoang Thi Hongさんはワールドカップの時期になると必ず冷蔵庫の中身を一杯にして食糧確保をしているという。「私は家族に試合前になるとプロテインを与え眠気を抑えるようにしているけど、前半が終わる頃には私以外は全て先に寝てしまうわ。
加えてゲーム解説が白熱してくると更にそれが興味深いものになるしね。。。」とHongさん。新妻のThu Hangさんはワールドカップ期間中は夫と別の部屋で寝るという。「僕はこの時期になると彼女と一緒の部屋で寝るのを拒否するんだ。というのも、試合は深夜に行われることが多くしばしば4時頃まで観戦するので、早くワールドカップが終わって欲しいと願っているんだ。それにこの時期、女房のすることと言えば、サッカーを見ながら食べることしかない」とHongさんのご主人は苦笑い。

Pham Thu Huongさんは彼女の4歳になる息子を里の両親に預け、ワールドカップ全64試合を観戦することに決めた。そして試合観戦中、彼女のご主人が寝てしまわないよう、夫を町のテレビ観戦を流しているカフェに誘ってゲームを楽しんでいるいう。「チェコが敗退したときの女房の虫の居所はとても悪く往生したよ。僕自身は一時期、ソ連チームのファンだったんだけど1986年のワールドカップメキシコ大会でベルギーに4対3で、しかもPKで敗れた試合を忘れることが出来ない。当時、テレビはなく翌朝の新聞で結果を知ったんだけど悔しくて悔しくて大泣きしたほどだよ。だから家族が夜更かししてサッカー観戦をし、お目当てのチームを応援することは大いに賛成の立場です。だって泣いても笑っても4年に一度しかないイベントなんですから。。。」とHuongさんのご主人。

(辛口寸評)
ベトナム人のサッカー熱の高さはある面、日本を遥かに凌いでいる。ワールドカップ期間中、夜間は比較的静かな筆者の近所も、この時期になると友人・知人・親戚などをお互いが招待し、自宅の屋上にテレビを据付、飲み食いしながら時折、静寂を切り裂くような大声で声援を送っている。もちろん、その数は一軒だけでなく他でもそんな感じなのでサッカーに興味の無い家庭にとってはいい迷惑だろう。これは自宅観戦だが、町のカフェや公園などでは大型テレビが置かれ観戦に興じる姿はワールドカップのみならず、ベトナムチームが出るアジアシーゲームでもお馴染みな光景で、そのときの方がワールドカップ以上の盛り上がりを見せる。

今回、日本に居て、ジーコジャパン全ての試合観戦をすることが出来た。惜しくも我が日本は予選敗退となってしまったが、負けてしまった以上これが日本の実力なのだから仕方が無い。
選手一人一人は負けようと思って試合に出たわけでなく、日の丸を背負って勝ちに来たのは明らかだ。残念に思ったのは予選敗退が決まると一部のサポーターやマスコミの中に“戦犯”探しのような風潮が蔓延し、聞いたところではインターネットの掲示板には選手に対する不穏な罵詈雑言が浴びせかけられたことだ。このようなことがベトナムではまったく無いとは言わないが、それでも試合中あれほど声援を送っていた連中が、まるで手のひらを返したような態度に出ることに、サッカーのみならずあらゆるスポーツ観戦に対するファンやサポーターに未熟さを感ぜずにはおれなかった。勝負に勝ち負けはつきものである。勝ったとき盛り上がるようでは、本当の意味でのファン・サポーターとは呼べないのではなかろうか?

7月13日(木) 主夫の務め
*「もし叶うことなら、一年を一日で過ごしたい」という今年37歳のNguyen Dinh Phuさんいわく、意味するところは彼の妻が自宅へ戻り、一緒に助け合いながら二人の娘を育てることなのだという。過去二年間、ベトナム航空でケアテイカーとして働きながら8才と4才になる娘を育てている。と言うのも、彼の妻は現在、日本で二年間の修士留学中なのだ。事情を知る彼の友人や知人はPhuさんの家事と仕事を両立している姿を見て、彼の健康を気遣い始めている。

午前5時半から7時半に掛けて、起床後、洗濯を始め子供達の衣服と朝食を用意する。それが済むと市場へ夕食の買い物に出かけ、子供たちを学校に送り、その足で出勤。午後5時から真夜中に掛けては、先ず帰宅途中に学校へ立ち寄り子供たちを迎えに行き、自宅に戻ると夕食の支度を調える。子供たちをお風呂に入れ、上の娘の勉強を見てやり寝かし付けると深夜までやっと自分の事が出来るといった按配なのだ。P高学歴のPhuさんのような多くのご主人は妻の高学歴化に理解が高い。それもこれも良い就職に繋がるからだ。実際、彼の妻Nguyen Thanh Tuさんが二年後、日本から帰還すれば大手国営企業の要職に就くことが約束されており、TuさんはPhuさんのこれまでの支援に感謝し続けることになるだろう。

Phuさんのような妻のキャリアアップを支援する夫は現在増えつつあり、Phuさんはその代表に過ぎないのだ。しかし、そんな夫たちにも悩みがあるのだ。と言うのも、妻たちに代わって家事をこなす夫たちの多くが、男らしさが無くなり以前のように同性の人々とうまく付き合えなくなると言うのである。
「仕事が終わると真っ直ぐに家に帰らなければならず、その一方で同僚たちは飲みに出掛け、そんな私を見て彼等は嘲るのです。」とPhuさん。

世界中の多くの男性がそうなように、Phuさんも大のサッカーファンである。ワールドカップを見る為に彼のスケジュールを調整し直さなくてはならない事も多々あるという。その一方でこれら“主夫”は自分達で家事をしてみて、妻等の有り難味を初めて知るケースも多いようだ。「僕は子供の面倒を見ているので、妻の子育てが如何に大変なのかが、理解出来ただけでなく、彼女の犠牲の上にこれまでの生活が成り立って来た事が身に沁みる思いがするよ」とPhuさん。

男女平等に関し、国連人口基金ベトナム代表Ian Howie氏は、ベトナム自体これまでこの問題に対し協力に取り組んで来ており、冒頭に出てくる見本はその取り組みの結果名のですと語る。ベトナムテレビVTVチャンネル3のジャーナリストLai Van Sam氏は、女性記者や編集者を配偶者に持つ男性たちは、妻たちが仕事をこなして行くために手を貸さなくてはならず、同情を禁じえないという。「私はそんな男性たちに感謝したい気持ちで一杯だよ。だってどこの亭主が女房が毎晩午後10時過ぎに帰宅するのを喜ぶ人がいると思うんだい?、とSam氏。とは言え、ベトナムでは未だ根強い女性が家庭の役割を果たさなければならないという考え方も残っている。

前出のPhuさんとは逆に民間広告代理店を経営するNguyen The Hungさんは、女性が家事や育児に専念するのは当然だと主張する。40歳のハノイ出身のこの男性にとって、一日の仕事を終え唯一リラックス出来る場所は、家事が行き届き従順な子供達の待つ我が家なのだ。故に、女性の本当の成功とは仕事ではなく、家事の采配が出来ているかが重要なのだとHungさんは断言する。

55歳のChu Thi SamさんもHungさんの意見に同調する。彼女の二人の嫁たちは外資系企業の中間管理職なので、多少は現代的なライフスタイルに対する考え方は開かれているものの、お金を働いて稼いで来るのは兎も角としても、やはり出来た女性というものは家事と育児をきちんとこなし亭主の面倒をしっかり出来なければ落第だという。昔から良く云われるように内助の功があってこそ、亭主の成功がもたらされるものだ。今は少しあべこべの感はあるけれどキャリアで成功を修めた妻たちは亭主の支援と応援の賜物といえる事を忘れてはいけない。いずれにしても、夫婦助け合って生きて行くことは今も昔も変わらないのだとSamさんは結んだ。

(辛口寸評)
最後のサムさんのコメントは五分五分の言い回しで結ぶには少し?マークがつくけれど、恐らく世代的に男尊女卑が根強い時期に生まれ成長し、その一方で息子たちに嫁を迎えあるていど考え方にバランスが保てる環境が故に、どちらも理解出来る為、このようなコメントになったのだろうと想像する。今回、Phuさんのケースは好意的な内容だったが、同じようなケースでも不幸に陥るカップルも数多く存在する。

その中でもよく耳にするのが妻を海外留学させることによって、女性が留学先国の生活に馴染み過ぎる余り、学業の時期が終了しても更に上の学問を目指すとか、或いは好きな男性が出来てしまい、結果的にベトナムの家族が崩壊してしまう事例が多々ある。大抵、国外留学の多くは裕福な家庭を除き、奨学金が国から支給され送りだされるのが多いのだが、その額はベトナムの物価に合わせれば高額でも物価の高い日本のような国に来れば非常に僅かなもので、それだけで賄いきれずバイトでもしなければ生活に支障が出る。そんなわけで、留学期間中、ベトナムヘ一時帰還するお金も無いので、どうしても一旦家族と別れると学業が終わるまで帰れない。確かにネットなどもあるので以前に比べれば通信環境・コストは格段に良くなったものの、それでも疎遠に陥り易い状況であることにはかわりない。

ちょっと暗い寸評で申し訳無いが、こんな側面もある事を付け加えさせて貰う。

7月14日(金) 天下のご意見番 民主主義導入?!
* 7月4日 ベトナム祖国戦線代表曰くベトナム祖国戦線が関与する社会監督及び批判は民主主義をもたらすためにあると語った。“民主主義の導入”効果的なスキームを実行に移すことが共産党並びに国家が政策策定の一助となるとベトナム祖国戦線代表Pham The Duyet氏はベトナムニュースエージェンシーの記者とのインタビューの中で発言した。

ベトナム祖国戦線は7月3日から4日の二日間に渡り退役軍人・知識人・スキームに関わる機関の代表者たちを集めコンサルティングを行って、現体制下に対する効果的な批判の実行が新しい共産党・国家、そして広範な政治システムの改革をもたらし、ベトナム祖国戦線及び全ての公的機関は透明性をより高め強く推進して行くことが大切だと語った。また社会批判の実行は、党のリーダーシップに磨きをかけ、効率の高い国家運営を増大させることに繋がり、国家の法律に沿った仕事をなさしめるであろうと付け加えた。

ベトナム祖国戦線は今後とも二つの分野で社会体制に関する批判を繰り広げて行くという。それは健全な共産党の人事を含めた政策策定のガイドライン作りと国家の社会経済法やそれに関する政策づくりであるとDuyet氏。一旦、このスキームが完成した暁には、これらの法律は決定事項について規制をかけたりするものではなくあくまでも一個の法律として行使されるようにして行くという。その上で代表は、路線づくりのために社会監視と批判に関する法制化を検討中だと述べた。

代表に拠れば、人民は党に対し汚職・社会悪・官僚主義の撲滅を望んでおり、公的機関の全てのレベルでこれら人民の敵を排除して行かねばならないと結んだ。

(辛口寸評)
ベトナム祖国戦線というとなかなか聞き慣れぬ団体で一体どの程度の権力を持っているのか外国人には判りづらいものである。
上記の記事を読んでいるとあたかも共産党や政府より格が上位に位置するかのようにも読み取れる。実はこのベトナム祖国戦線は政治的な直接権限は持たぬまでもその歴史は古く、1955年9月、ヴェトナム民主共和国で結成された南北統一のための統一戦線組織で、統一達成後はヴェトナム社会主義共和国の全国規模の大衆組織となった。ヴェトナムにおける統一戦線の最初のものは、ホー・チ・ミン(グエン・アイ・クォク,阮愛国)を中心として1941年に結成されたヴェトミン(ヴェトナム独立同盟・越盟)、第一次インドシナ戦争(1946~1954)中、統一戦線を拡大する必要から、1946年に結成されていたリエンヴェト(ヴェトナム民族連合戦線・国民党・革命同志会などの統一戦線)とヴェトミンは合同した(1951)。ジュネーブ停戦協定後の1955年に,南北統一のためのヴェトナム祖国戦線が組織された。1960年,ヴェトナム南部独自の組織として南ヴェトナム解放民族戦線が結成され,第二次インドシナ戦争(ヴェトナム戦争)終結後の1977年,解放戦線と祖国戦線とが合同し、統一ヴェトナムの全国的大衆組織としての祖国戦線が創立され、ベトナム労働総同盟と並び称される公的団体で政府組織法第五章第39条に次のように謳われている。

第39条 政府はその責務・権限を遂行するに当り、ベトナム祖国戦線、ベトナム労働総同盟及び他の大衆組織と協力するものとし、主要な政治的、経済的、社会的、保安、及び国防問題を実行する際にはベトナム祖国戦線、ベトナム労働総同盟及び他の大衆組織と協同して組織化するものとする。政府はベトナム祖国戦線、ベトナム労働総同盟及び他の大衆組織と協力して、それら機関の事業関係の特定規約を制定するものとする。政府は、ベトナム祖国戦線中央委員会幹部会議長、ベトナム労働総同盟会長、その他各大衆組織の指導者を、それらに関連する問題が討議される政府会議に招くものとする。政府は、ベトナム祖国戦線、ベトナム労働総同盟、その他の大衆組織に対して、社会経済状況及び政府の主要政策決定について定期的に通報するものとする。政府は法案、規則案、決議案、決定案を作成時には、ベトナム祖国戦線、ベトナム労働総同盟及び其の他の大衆組織にこれらの字本を提供して、意見を聴するものとする。ベトナム祖国戦線、ベトナム労働総同盟及び他の大衆組織が人民による行政管理を確立・強化、政府の政策・方針の実施を監督、かつ国家機関、公職に選ばれた者、公務員、政府公職者の業務を監督するために人民を励まし組織化するための良好な条件を政府は創出するものとする。政府・閣僚はベトナム祖国戦線、ベトナム労働総同盟及び他の大衆組織による示唆事項を検討、処理及び回答する責任をもつ。

つまり、水戸黄門のように天下のご意見番として、党並びに政府に対し政策立案前段階で、相談に乗り指導する立場が与えられているという次第なのだ。

7月15日(土) ホーチミン市 職員を越僑から!!
*よりよい市街化計画と有益な資格を持つ若者たちの雇用は今年ホーチミン市政府の二大柱となる目標としている。月曜日に始まった三日間に渡るホーチミン市共産党委員会の席上、ホーチミン市副委員長のNguyen Van Dua氏は、市は行政改革・汚職撲滅・官僚主義排除・住宅供給開発に焦点を当てて行きつつ、ハイテク工業団地の建設とThu Thiem市街化地域の開発をゴールに目指していると語った。現在 ホーチミン市経済の伸びはインフラ整備の立ち後れ、脆弱な市街地開発計画、そして煩雑な行政手続き等から鈍化傾向にあるといい、郊外計画については今後、ホーチミン市は郊外中心地の詳細を網羅した計画を策定し、建設計画を常に監視し、上下水道の整備事業や交通渋滞の緩和可能なものとして行くと発言した。

加えて、市の財政支出を抑えるために環境衛生・水・電力供給と道路建設分野で民間基金を集めその費用に充てて行く。併せて市は優秀な職員確保を行い各プロジェクトのマネージメントをさせるべく、修士号及び博士号を持つ越僑(在外ベトナム人)約1000名を雇い入れる計画をしている。ホーチミン市は最終目標は工業・サービス業・科学技術分野で東南アジア地域のハブ都市となることを目指しており、2025年までに市人口が1000万人を超えないようにしたいと考えている。

Dua副委員長の説明によると、今年新たに市内で登記された民間企業は6278社に上り、資本金総額は15tドン(約US938m$)となり、この数字は対前年比同ピリオドで実に43.8%増となっているという。今年年末にもベトナムのWTO加盟が期待されているが、ホーチミン市は市内の民間企業に対しWTO規約に沿った助成金の支給するばかりか経営相談やダンピング法で訴えられた企業や貿易摩擦が起きた企業に対してはサポートもする予定だという。
現状、多くの国内企業は未だ競争力が弱く、技術力もなく、資金力・人材不足に悩まされているからだ。

過去半年でホーチミン市のGDPは10.5%で昨年同時期と同じ水準となっているが、年内中に12%を達成実現に向け現在進行中だという。貿易及びサービス業全体の売上率は10.5%で過去6年間で最も高い伸び率を示している。また輸出による収益は昨年同期と比較すると17%増となっているとのこと。

(辛口寸評)
ホーチミン市が市職員を在外ベトナム人からも採用するという。しかも千人もだ。ここから見えてくることは如何に市当局が人材難であることだろう。毎年、ホーチミン市からも年間30名ほど若い職員を公費留学に送り出す。ところが、折角、高いお金をかけて留学させても役所に入って2~3年勤めると、彼らはより実入りの良い外資系企業にジョブホッッピングしてしまうからに他ならない。そこで苦肉の策として越僑の採用に走ろうとしているわけだが、果たして高学歴の彼らが祖国発展の礎になるといった高尚な気構えであるならまだしも、居住国で十分、優遇される立場にあるのに好きこのんでベトナムに働きに来るだろうかと筆者は疑問でならない。

それこそ明治維新後にお雇い外国人のような待遇であればまだしも、如何に大都市ホーチミン市といえども破格な条件で越僑を迎え入れるとは考えられない。それは1000人規模と出た時点でピンと来る。どこにホーチミン市の真意があるのかは知らないが、ひょっとして日本にもあるような地方の名門企業の採用の如く、田地田畑を持ち食い扶持に困らぬ百姓家の長男坊を雇い一方で“地元の名門企業の社員”というステータスを与え他方、給料は安く済ませるが如くのことをホーチミン市は越僑採用に期待しているのではないかなどと穿った見方をしないでもない。

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