WTO、ベトナムの加盟を承認へ!
ベトナムのWTO加盟承認を受け、これまでの政策に対する評価や様々な要望が示されています。長年にわたりベトナムの公私を応援してきた側に位置する者としては、喜びも一入であると共に、謙虚な姿勢で必要な改革継続を求めたいと願っています。
ベトナムは、苦闘し、世界標準を構築すべく藻掻きながら努力してきた。ドイモイ政策と呼ばれる対外開放政策、すなわち「社会主義市場経済」による国家建設へ、政策転換してから年数的には20年の歳月が経過しました。
しかし、実際に先進各国からの投資が整い始めたのは、米国による経済制裁が解除された後、タイムラグを経た1994年以降です。それまでは、シンガポール、香港、台湾、タイ、マレーシアなどに本拠をおく華人(中国人)による、家内工業的レベルの投資に過ぎませんでした。
その意味で、ベトナムが、資本主義を原則にした本格的な市場経済へ踏み切れたのは、1995年に入ってからと考えることが自然です。
先進各国から直接的なベトナム投資が始まる頃、アジア通貨危機がこの地域を襲いました。タイやマレーシアの華人は、一斉に投資した資本の回収を急いだこともあり、ベトナム経済も小規模ながらアジア通貨危機に見舞われ巻き添えを喰うことになりました。
日本は、この時期から、徐々に投資活動を本格化させ、産品貿易の拡大を図ると共に、長期的な観点から、社会基盤整備に協力するためODAを増額し社会基盤整備の支援体制を強化しています。
従って、ベトナムの市場経済が本格化するのは、1997年以降の10年であると、統計数字からも「コラコラコラム」は捉えています
その意味で、来し方10年を振り返り、素直に、「よくぞ、ここまでやってこれた」と深い感慨を持つわけです。
これからのベトナムは、WTO加盟により、世界標準を具体的に政策面で顕す必要があり、とりわけ、立ち遅れている国内の小規模事業や農業分野の克服が大きな課題となります。あるいは、いずれの国も避けられなかった都市域と地方域の間に生じるあらゆる格差の是正、またこれらに伴う経済効率を可能な限り是正する。都市域内でも生じる急激な所得格差の克服など、「社会主義市場経済」を掲げる上で避けられない、社会政策上で逃れられない政策課題を抱えています。
ベトナムは、ヨチヨチ歩きのWTO加盟です。現実に生じている様々な制度上の問題や社会慣習が抱えてきたというか、それにより派生する諸問題を解決することは勿論ですが、先進各国が温かい目で、見守り助言領導する姿勢が何よりも大切と考える次第です。
引用開始→ 11月6日付・読売社説(2) [讀賣Online]
[ベトナム]「WTO加盟を追い風にできるか」南北統一から30年、市場経済化を進めるドイモイ(刷新)政策の導入から20年――歴史的な節目を迎えたベトナムにすればさらなる発展への足掛かりを得た、との思いだろう。
ベトナムの世界貿易機関(WTO)加盟が、事実上決まった。近く、WTO一般理事会での承認、ベトナム国会の批准といった手続きを経て、年明けには正式に加盟が実現する。
経済成長著しいベトナムは、中国に続く有望な投資先の一つとして存在感を強めている。近年は7%台の成長を続け、昨年の成長率は8・4%を記録した。道路、港湾などの社会基盤もこの数年、急速に整備され、昨年の海外からの投資受け入れ額は前年比4割増となった。
とくに日本企業は、中国への一極集中リスクを回避するため、ベトナム進出を加速させている。昨年、ベトナム政府が認可した日本からの新規投資は過去最高の107件となり、最大投資国の地位を保っている。
WTOに加盟すれば、法の適正な執行など国内の構造改革が義務付けられる。ベトナム投資に弾みがつき、日越関係は一層緊密さを増すだろう。
経済政策に明るく改革派のホープとされるグエン・タン・ズン首相は先月、来日し、安倍首相と会談した。
両首脳は、自由貿易協定(FTA)を柱とする経済連携協定(EPA)の締結交渉を始めることで合意した。さらに、「戦略的パートナー」関係の構築を目指すことも確認した。
ベトナムはかつて戦火を交えた米国や中国との関係改善を進めるとともに、全方位外交の推進に腐心してきた。中でも政治、経済の両面で最も重視してきたのが、日本である。
ベトナムは、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りを一貫して支持してきた。6月に首相に就任したズン氏は、親中派との観測もあった。しかし、初外遊先は日本だった。日本重視の姿勢を改めて行動で示したものだろう。
一方で、ベトナムの前途には課題も多い。格差の拡大、汚職の蔓延(まんえん)など、市場経済化の進展に伴う副作用は深刻だ。
ドイモイ政策の成果を総括するはずだった4月の共産党大会は、直前に大型汚職が発覚し、指導部批判が噴出する大荒れの展開となった。政治、社会の安定が揺らげば投資リスクは高まる。
ベトナムは、外資導入、WTO加盟と中国の発展手法を追ってきた。だが、政治改革の棚上げまで後追いすれば、矛盾は拡大するばかりだ。政治のドイモイをためらってはならない。(2006年11月6日1時31分 読売新聞)
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