ファッション衣料、世界チャンピオンの「ギャップ」ダウン寸前!息も絶え絶えか?
「ギャップ」モデルは限界と崩壊の序章へ!
世界最大の衣料品チェーン店「ギャップ」が藻掻き苦しんでいる。
以前は、「それなりの品質を納得価格」で提供していたのが、労務費用というか労働工賃と市場での販売価格の差を応用展開し「途上国生産」と「先進地域市場での販売」で収益を上げ成長してきた「ギャップ」は、チェーンの肥大化と共に、店舗展開のクラスター化をを導入し重層的なリテール・ショップの展開モデルを構築したものの、母胎である「ギャップ」は生産価格と販売価格の差額で得る利益を最大化するため、より巨大なチェーン展開へ踏み出し、徐々に「薄利多売」へ移行したように見える。「ギャップ」が偉そうに利益、利益と叫んでみても、それは所詮、途上国労働者から搾り取った「スエット・プロフィット(汗の利益)」でしかないのだが。
いつの間にやら「バナナ・リパブリック」が好調な事もあり、「ギャップ」も価格修正を図り「薄利多売」商材から「中利益多売」とでもいう方向へ舵を切っている。
ところが、生産拠点の技術力向上に充分取り組まない手抜きで、生産(商材)開発を進めた結果、店頭で販売する商材は魅力を失い色褪せている。途上国の労働者の汗を絞りきり利益に置き換えるモデルはもう終わっている。これは「ギャップ」だけではなく、同じモデルを推し進める事業者に共通するビジネス・テーマだけれど。
加えて、世界的な暖冬の影響もあり、「ギャップ」の利益を圧迫する要因になった。
ここで何よりも注意すべき点は、昨年の初冬に「ギャップ」は「世界市場全体で1%販売力が低下した」と発表している。そして今度は35%の減益を発表したわけだ。
おそらく、35%減益は正しい数字だろう。売上高1%低下を公表したが、実際にはそれ以上だった事を示しているのではないか。
1月10日に「コラコラコラム」が掲出したブログへのリンク「ギャップの不振を報じた記事」
おそらく、市場競争力を欠いた在庫の山を築いているのだろう。
「ギャップ」は、独創性の高いビジネスモデルを創出し、世界各国で巨大チェーン展開を手に入れたが、各国の文化や消費について微妙な違いを学習し修正することを嫌った。これは「西友」を傘下に収めた「ウォルマート」も同じ弊に陥っている。
「米国」の手法が常に正しいわけではないことを弁知することが重要なのに、それを理解できない傲慢さが底流にあるのだから救いようがない。
人は、自らが築き上げた「アイデアやビジネスモデル」に拘泥し、「成功体験」に酔ってしまうわけだ。残念だが優秀な「ギャップ」もやはり人の子だった。
立ち直るには、少し時間を必要とするだろうし、相当の出血は避けられないだろう。
引用開始→ 米ギャップ、35%減益・カジュアル衣料不振続く (日経NET)
【ニューヨーク=杉本晶子】米衣料品専門店最大手ギャップが1日発表した2006年11―07年1月期決算は、売上高が前年同期比2%増の49億3000万ドル、純利益が35%減の2億1900万ドルだった。新興チェーンと競合する主力のカジュアル衣料の不振が続いている。
既存店売上高は同7%減。主力チェーン「ギャップ」「オールド・ネイビー」の売り上げが不振で、好調だった高級店「バナナ・リパブリック」で埋めきれなかった。年末に安売り路線に走り販売促進費が膨らんだことも収益を圧迫した。
1月に就任したフィッシャー暫定最高経営責任者(CEO)は同日の電話会見で後任について「ヘッドハンティング会社を通じた選考過程は最終段階にある」(フィッシャー氏)と述べた。 (10:00)
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