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2007/03/21

サイゴンの熱気は株と土地バブルへの序章!「米・中・日」の壮絶な闘いの中で!

ベトナムは熱い!とても熱い!考えられないほどに熱している!
「ベトナム」占有を狙う「アメリカ」と「中国」の闘いを概観する。

Vnnationalflag_79この国が熱帯に位置するから熱いという意味ではなく、見えない資本に浮かされ踊る人々の熱気を見ての感想だ!つい、5~6年前まで、ベトナム人の多くは、銀行業務や金融制度を信頼していなかったのに、いきなり証券市場が活気づくと、誰もがというイメージで、「株」に殺到するのは「コラコラコラム」主宰者の理解の域を超えている。

[未整備な資本市場で人が踊る]
本格的な、資本市場を構築し切れていないのに、外国からの投資が押し寄せている。
生産力に廻される資本は大きな効果を期待できる。
押し寄せる外国からの資本投資は、生産への投資とは考えられない、浮利を求めることだけの「ファンド・マネー」も数多い。
資本市場の形成に未熟な人たちの多くを、「何やら、株式投資をすれば、莫大な資金を手に入れることができるらしい?!」との、風の便りや人の噂を信じ踊らされ、熱病的な投資に向かわせている。
もはや、健全な資本投資という領域では捉えられない姿を造り出しているように見える。「ギャンブル場」、「博打場」と化しているように見える。

[アメリカは善い国なんだと必死の叫び]
「アメリカ」は、「もの凄い国だ」というイメージを創出し、この国の人々の奥底に、イメージをインプリンティング(刷り込む)目的で、ありとあらゆる映像を、衛星放送を通じ「ベトナム」へ集中豪雨のようにテレビ放映し続けている。
そこで描かれた映像は、(既にアメリカの実態を知る者には)普通では考えられない「アメリカ」の「夢というか、幻想的な『姿』が形作られている」。実際のアメリカ社会を知らない側は、「もの凄く、ゴージャスな光景に見えるから、自然に(幼い)憧憬」が形成される。
数年後は、実に恐ろしい出来事を産出することだろう。
無知というか知らない人を騙すのは、実に容易い事でありモノである。
「アメリカ」の生活(水準や文化)に憧れを求める人々を大量醸成しているわけだ。

[タダほど高いモノはないのに]
また、欧米の資本は、「ベトナム」の特定分野で実に巧妙な方法を駆使し、「フリーサービス」の提供に熱心なようだ。
例えば、大学の学生食堂へ入り込み、「商品名」をどこにでも掲出する努力を重ねている。いわく「○○○○(商標)」というように、ブランド名を書き込み宣伝するわけだ。
学生食堂のメニュー表記のどこかに、さりげなく「ブランド名」を刷り込み、壁には目立つよう大きく表記するわけだ。天井には、巨大な風船が仕掛けられ吊り下げられている。イヤでも目にしてしまう。それだけではない、食堂で使用する紙コップにも、そこを占有する一つのブランド名のモノが独占的に供用されている。勿論、「フリーサービス」だから無料である。
「ベトナム」の側は、欧米の会社は「度量が大きい。彼らが、これらの消耗品や壁面の修復に協力してくれたから、学生食堂は見違えるように美しくなり、サービス内容も大きく改善できた。彼らの協力には感謝している」と公式に説明するのだ。

「これって、どこかおかしくないか?」と指摘する「コラコラコラム」主宰者へ、「あなたのようなことを言っていたら、私たちの国は、以前のままでよく、発展を実感させられないではないか。誰も被害を受けていないのだから、まぁ、よいではないか」。
「環境整備を行う上で、単に広告媒体として利用しているに過ぎないのだ」という論理だ。しかし、実に巧妙な「インプリンティング(刷り込み)」である。毎日毎日、反復継続的に見せられ利用させられる、これは小規模特定の人に対することとはいえ「広告を利用した暴力」とも言える。
何よりも、悪質だ。大学への進学率が10%に満たない「ベトナム」で、大学の学生食堂で毎日見せられ利用させられ続けると、人は、抵抗感が薄れ自然に受け入れてしまうものだ。それが社会のリーダー層なら事態は深刻と言わざるを得ない。

[大切なモノを山ほど失う可能性]
同じような意味で、繰り返しテレビ放映される映像は、浮利を求める事は悪い事ではない。結果は、このような豊かな環境を手に入れる事ができる、と(間接的に刷り込む)いうわけだ。最悪の状況(が待っているの)ではないだろうか?
こんな事を無原則に続けていたら、「ベトナム」は本当に大切なモノをたくさん失う事になるだろう。

「日本」は、第二次世界大戦後から、今日に至るまで、延々と「アメリカ」に影響され、マインドコントロールされ続けている。
もはや、日本人の多くが、「アメリカ」(が提供するシステムやサービス)を受け入れている。そして、安住している。政治的にも外交面でも安全保障の面でも、抵抗なく「アメリカ」を受け入れている。

[アメリカのきれい事]
「アメリカ」を代表とする「欧米諸国」は、「ベトナム」との友好関係を必死にアピールしている。
したたかな(と言われる)「ベトナム」は、いまは、その点を巧みに突いているように見える。
「アメリカ」も、「ベトナム」も、過去の恩讐を乗り越え、未来に向けたパートナーとして、お互いの(友好)関係を強化しよう、演出しようと涙ぐましいばかりの努力を重ねているように見える。
やがて、大統領の誰かが「我々は、およそ20年にわたり戦ったが、いまは、太平洋を越え、最も信頼し合える友人となっている」と引き合いに出すのだろうか。

[グローバリーズムは世界制覇へのきれいなスローガン?]
「アメリカ」の行動に象徴され代表される、グローバリーズムは、様々な方法で「ベトナムの経済を支配しようと企み試みている」。
既に、「ファンド・マネジメント」の領域において、「ベトナム」は欧米資本の手により「新しい形の経済支配体制」へ組み込まれようとしている。

その途上で、現在、熱病に浮かされたように「ベトナムの証券市場」で熱闘が繰り返されているわけだ。
海外の外国人が「ベトナムの証券市場」へ参入するには、ベトナム政府が認定した「ファンド」を介してでなければ、原則として売買参入できない。
日本国内でも、行き場のない資金が、様々な「ファンド」を形成し、「ベトナムの証券市場」への参入機会を求めている。

現在、「ベトナムの証券市場」は、建前でも社会主義市場経済を掲げる政府の下で、国と特定の「(認定)ファンド」が、上場各社のシェアで大きな比重を占めている。
これでは、売買が低調になり、証券市場が活性化しないため、ベトナム人で比較的資金の余裕を持つ層の参入を認め促進しているわけだ。
「中国」や「ロシア」の「証券市場形成」を横目に見ながら、「ベトナム」は、オリジナルな方法で「証券市場」創出を試みているわけだ。

[金に目敏いベトナム人]
そうなると、手元資金で金を稼ぐ事に目敏い人たちが、参入し「証券市場」形成に一役買って出てくるわけだ。
一夜にしてとは言わないまでも、一年程度で、みるみるお金持ちになる。「ベトナム版のドリーム」が「証券市場」で手に入ることを知った隣人は、自らもと、手持ちの資金は言うに及ばず、親戚縁者は勿論、長年にわたり強固に形成された「講」を利用し資金を集め、一気に「証券市場」へ雪崩れ込んできたようにも見える。

横で、手に汗せず、浮利を得る人がいたら、それを見過ごす事はない。
これが、ベトナム人の底流に流れる「血」でもあるため、次の層が「証券市場」へ乱入する状況を現出させた。
目にも止まらないような勢いで、「ベトナムの証券市場」が昂揚を見せ始めると、今度は、各国の市場で余剰と呼ばれる「資金」が、それぞれの方法で集められ、「ベトナムの証券市場」へ集中し、「資金が株高を呼び、株高が資金を呼ぶ」という、当に、実態のないミニ・バブル状況を出現させたようだ。

こうなると、利に敏いベトナム人は、本質的な意味における市場経済も理解できないまま、自らの資金を、実態のよく分からない会社へ投入させる事も出現しているのが現状だ。
もう手に負えない状況が生じている。
「サイゴン証券」を始めとする「証券各社」は、「証券市場」への参入を目指す人や「講」に対し、高額な「デポジット(預かり証拠金)」を科すようになった。

長い年月にわたり、ベトナムの友人であることを自認する「コラコラコラム」の主宰者としては、少しでも、手傷の少ない間に、現在のミニ・バブルがソフトランディングすることを期待するばかりだ。

[日本でのベトナム株投資熱を透視する]
いま、日本から「ベトナム」へ投資しようという事業者は、それなりに「自社の業容、生業を考慮し、(何らかの)生産のために投資している」。
一方、「ベトナムの証券市場」が湧いているという、「風の便りと人の噂」で投資を試みる人たちも、相当数いるらしい。
その人たちは、①ベトナムの歴史も知らない。②ベトナムの政策も理解していない。③現実の経済環境も現実の実態も理解していない。④何が、「ベトナム株一般の株高」の背景かについての理解もない。
キーワードは、APECも開催した。WTOにも加盟した。世界に開かれるベトナム経済、というような掴み所のないニュースに依拠しているだけだ。
それでも突き進むのである。こうなれば、もう笑い話では済まされない。
こういうのを「ベトナム株ブーム」と呼ぶのだろう。
「ブーム」は一夜の夢に過ぎないことは、これまで、何度も何度も経験し、痛い目に遭っている筈だけれど、「ベトナムの証券市場」は湧いている、大丈夫だろうという思いこみと欲の皮が先立ち見えなくなっている。
現在、いわゆる小口資金を掻き集めたと考えられる「ベトナムの証券市場」への投資は、「日本」からの資金が多いように見える。
小口資金も集まれば、大きな金額になるし一定の資本に化ける。
しかし、運用しているのは、殆ど実態を知らない、小理屈だけが先立つ青二才の「ファンド・マネージャー」に過ぎない。
いま現在、超有名総合研究所の研究員が、ホーチミン市に滞在し、「ベトナム経済の実態調査と社会基盤(構造)」について、調査研究しているらしい。
しかし、この人物は、有名ホテルに投宿したまま、街中へ出向くわけでもなく、食事も宿泊ホテルのレストランでしか摂らないようで、いわばホテルにこもりきったまま、寄せられる資料に目を通すことで「調査研究レポート」を執筆中という。それなら東京で調査研究レポートを作成するのと同じではないか、と思い考えるのは、「コラコラコラム」主宰者が辛辣なのだろうか。
しかし、いつの日にか、この人物の手による「調査研究レポート」が日本の証券関係者の間へ流布され、伝搬されるのだろう。ご当人が、作成に当たり自らが何をしたかとの中身を語らなければ、絶対に(実態を欠いた)真実は不滅であり有用性の高いレポートとして利用されるのだろう。
それに踊らされる、○○な日本人が相当数生み出される事だろう。
阿漕な中身(嘘偽)がばれたとき、「ヘッ、ザマー見ろぃ!○ッ○」って言ってやろう。

[中国はベトナムを狙い、同じくアメリカも目的は同じで防戦へ]
もう一本、ベトナムの北に存立する巨大な「中国」である。
「ベトナム」と「中国」の関係は、切っても切れない関係にあることは、多少なりとも、「ベトナムの歴史」を知る側の人には自明の理である。
「中国」は、最近の「ベトナム」に対し、並々ならぬ関心を抱き、様々な難癖を付け関係を拗らせ「中・越戦争」に至ったことを踏まえ、過去に失った関係性の修復に涙ぐましいまでの努力を始めている。
ここ数年、両国首脳の相互往還交流は、近年まれに見る状況を呈している。
「中国」は自国内で権力闘争を繰り広げている間に、気がつけば足下の「ベトナム」を「日本」に占有されかねないと気づき、必死の形相で巻き返しに出てきたわけだ。
とりわけ「中国」は「ベトナム」が抱える「天然資源」の数々に注目し、他の国に採られないよう必死の防戦を試みている。「天然ガス」、「レアメタル(稀少鉱物資源)」、「石炭」、「石油」は勿論、「水産資源」に至るまで、総取りの姿勢を見せている。
そのためには、「日本」から「ベトナム」へ供与しているODAを追い抜く気構えで、まるでベトナムを独占しようとする勢いだ。
この流れを押し止めるべく、「アメリカ」も負けずとばかりに、なりふり構わず、あらゆる手立てで「ベトナム」占有を掲げ邁進している。
「石油」と「天然ガス」は勿論「レアメタル(稀少鉱物資源)」の争奪では、「中国」と凄まじいばかりの争奪戦を展開中だ。
そのためにも、「アメリカは善い国、あこがれの国」を演出し刷り込む事に余念がないわけだ。
「アメリカ」は、長期的には「中国」と世界各地で覇権を争う事になると、想定しているようだし、南シナ海に長い海岸線を持つ「ベトナム」を掌中に収めておく必要があるから、これまた必死で攻勢に出ている。
「アメリカ」は、そのため、「日本」が占有しようとしてきた分野へも乱戦してきたし、何よりも自らの先遣的手先としての「韓国」をけしかけ、猛烈な勢いで「ベトナム」への投資攻勢を展開させている。
それもあり、最近は、やたらめったらホーチミン市の中心で、ハングルが目に付くようになったし、「朝鮮語」が飛び交うようになった。
「アメリカ」は最終的には、「ベトナム」の全てを自らの覇権で占有したいと考えているわけだが、そこは、遠くは「ベトナム戦争」、少し前は「湾岸戦争」、近くは「イラク戦争」の例に漏れず、多国籍に組織することで、自らの横暴に向けられる国際的非難を緩和させる目的を隠しているから、手に負えないわけだ。
その点「中国」は、頭が温いのかも知れないが「粗野な横暴さを隠さない」から単純で分かりやすい。

[やがて日本は不要になる 既に出遅れた日本]
インドシナ半島を巡る、国際的な覇権争奪は、もう「日本」の出る幕ではないように見える。せいぜい、ODAを垂れ流し、日本国内で商社と金融が自らの儲けを捻出するためだけの目的で、現地調査へ来ても滞在ホテルから一歩も出ないような、研究員を派遣して「茶」を濁す程度に成り果てている。誰のためのODAか分かったものではない。

最近、ホーチミン市を始め、「ベトナム」へ足を踏み入れる「日本人」の質は明らかに変わったようだ。思わず、疑わざるを得ない人物も街中を我が物顔で闊歩している。
年間、35万人ほどの人が安定的に訪越するようになり、数としてはよく伸びているように見えるが、隣の「韓国」からの訪越者数は40万人を超えようとしている。人口比から考えると恐ろしい比率だ。
間もなく、「ベトナム」と「アメリカ」を隔てる太平洋を一跨ぎに、米・越間の直行航空路が開設される。
これまで、「アメリカ西海岸」から「ベトナム」へのルートは、「東京」「ソウル」「マニラ」「台北」「香港」を経由する。「アメリカ東海岸」からは、「バンコク」へ直行し乗り継ぐか「パリ」か「ベルリン」経由で入るのが一般的なルートだった。
これが、間もなく直行になる。ニューヨークとの時差は12時間で昼夜逆転だが、面白い展開になるだろう。
この点を踏まえ、「ベトナム」は、在米ベトナム人(100万人の殆どが難民として出国)の帰国や直接投資に前向きだ。
とりわけ、カリフォルニア州のオレンジ郡には、世界最大のベトナム人コミュニティがある。ここには、ベトナム語が溢れ、ケーブルテレビもFM放送もベトナム語だし、何と、街中には、いまは消え去った「ベトナム共和国(南ベトナム)」の旗(黄地に赤の横三本線)が翩翻としている。
ワシントンDC近郊のベトナム人コミュニティもカリフォルニア州オレンジ郡に次ぐ規模を誇っている。
ベトナム政府は、積極的に「海外越僑協会」を設立し、それらの地で暮らす、「ベトナム人(難民)」の帰国または投資に対し、これまでの政策を変更し条件緩和を公表したのである。<<日本在住のベトナム人(難民)に対しても同様の措置を表明>>
やがて来る、「アメリカ」からの投資攻勢の波や、諸々、生じるであろう事に対し、彼らが培った知識や知恵を戦略的に取り入れることを狙っているわけだ。

従って、従前までは、「ベトナム」の開放経済の戦略展開では「日本」の経験や知見は、大切にされていたが、今後、日本は従来の経験や知見だけに軸足をおきODAと輸出入貿易量だけを武器に「ベトナム」を語っても、やがて相手にされなくなる時が迫ろうとしている。
その時点で、「日本」と多くの「日本人」は、市場経済に向かい取り組みを始めた「ベトナム」に対し、最初に大きなスケールで「ベトナム」を援助したのは「日本」ではないか、と半ばグチに近い言葉を垂れ流すのだろうけれど、それを百万回繰り返してみても建設的で戦略性を伴う思考とは言えない。そんな事をしていたら、いよいよ世界から笑われ相手にされなくなるだろう。

[ベトナムへの思惑]
いま、「ベトナム」を巡る情勢は、「中国」、「アメリカ」、「日本」が中心で闘いを展開中だ。これに「アメリカ」の子分「韓国」、「オーストラリア」が続き、糸を操るのは「イスラエル」。後方から「フランス」と「ドイツ」が隙を狙っている。この僅かな隙に付け入ろうと「ロシア」が満身創痍の傷を癒し再復帰へ向け、虎視眈々と狙いを定めている情勢のようだ。

「ベトナム」市場を占有した覇者が、やがて広大な「ASEAN市場」の盟主となるわけである。

熱気に包まれたサイゴンで、滞越中の各国の報道関係者と久々に議論を交わして得た感触だ。

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