ナマのベトナムが分かる、週刊ベトナムニュース第107号
ウィークリー・ベトナム・ニュース
■ 平成19年3月24日 土曜日 第107号
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■ こんにちは!!
いつもお世話になっておりますベトナムからニャットアインです。
今日もここ一週間のベトナムの主なニュースをご笑覧下さい。
翻訳は直訳とせず、日本語に馴染む意訳としておりますので、ご注意下さい(笑)また、訳者の独断と偏見を交えた辛口寸評を入れてみました。内容が片寄り、言葉が多少過ぎる箇所も多々あろうかと存じますが、これもベトナムを愛するゆえの諫言とお許し下さい。
誤字・脱字はご愛敬ってことでお願いします<(_ _)>
尚、記事の転送は営利目的以外なら原則自由ですが、自己責任において行い、その中で被った被害・損害に対し筆者は責任を負えませんのでご了解下さい。
ベトナム・ニュース その107 今週のヘッドライン
* 3月19日(月) 外国語で授業を受けよう!
* 3月20日(火) 昨今のホーチミン市便り
* 3月21日(水) WTO加盟効果はどれくらい?
* 3月22日(木) ベトナム証券会社各社動向
* 3月23日 (金) 結婚式のニュースタイル
* 3月24日 (土) ベトナム株暴落は買い増しのチャンス!
3月19日(月) 外国語で授業を受けよう!
* 学校教育の中で外国語で授業を進める事について、数多くの教育関係者や母国語のベトナム語が蔑ろにされいずれ修復不能に陥るのを愁う人々たちの間で、この問題が徐々に顕在化しつつある。教育科学研究所の高官Nguyen Gia Phong氏は、そんな中の一人で、外国語を使用しての主要科目の指導法に意義を唱えている。彼は、最近開催された第11回下院において、Nguyen Minh Thuyet議員が「首相府からの承認が得られていないにも拘わらず、ホーチミン市教育訓練科では実験的に算数と科学を地元の小学校において英語による授業を行っている。」との発言をヤリ玉に挙げた。
それというのも現行の教育法では、首相だけが学校やその他の教育期間で外国語による授業の規約を定め承認できることになっているためだ。Thuyet氏は続けてNguyen Thien Nhan教育訓練相に対し、ホーチミン市教育訓練科で導入した実験的プログラムは教育法に違反しているのでは無いかと問い質し、そして幾つかの学校では国家規格カウンシルの承認も得ないまま既にこれら二つの科目を英語で指導している点を指摘したのだった。学校間の過当競争は激しくなり、外国語による授業を武器に児童の獲得に励むようになったのだが、この事がベトナム語の立場を損なうばかりか、やがて国中でベトナム語能力が次第に衰退して行くことに繋がるだろうと、Thuyet氏は困惑の色を隠せない。
ハノイ出身で小学校で教鞭をとるNguyen Kim Diem先生は、ベトナム中で早い時期から児童の教育に外国語を積極的に採り入れるのが重要だと訴える。そして、学生たちがより外国語に親しむような環境作りが大切と考えるものの公式のカリキュラムを総て外国語でというのは亦、別の話しだという。Dong Da 区の小学校教師Ha Thi Tan先生は、従来のベトナム語での教育により力を注ぐべきだと語る。何故なら、昨今の児童は文法に則ったベトナム語文章を書けなくなって来ており、しかもインターネットの普及でチャットを通して友人たちとスラングを主に使うようになり、益々、文法力が乏しくなって来ているのだと愁う。
故に、学校でのベトナム語をより大切にしなければならないのだと結ぶ。
Phong氏曰く、国家解放8月革命での最も偉大な業績のひとつは、ベトナム語をベトナムの公用語に定めた事。そしてそれを学校での教育に使用する言葉と定めたことだ。爾来、共産党と国家の指導者たちはベトナム語の発展に力を注いで来たのである。以前、ホーチミン大統領は、“ベトナム語は祖先から我々に受継がれた大切な資産である。故に我々はこれを保護し、発展させ、人気を保持して行かねばならない。”と語ったものだと彼は引用し、ベトナム語はベトナムとその文化の発展に重要な貢献をしてゆくものだと指摘した。幾つかの小学校で英語による授業は、やがて中学や高校にも広がりを見せるようになりかねず、そうならない為に政策メーカーは注意深く手綱を引き締める事が肝要だ。
(辛口寸評)
外国語による一部授業を採り入れている小学校と云えば、恐らく有名ローカル校なのだろうと思われる。そういうところは資金も潤沢にあり、教師も質の良いのが揃っており、何よりも毛並みの良い家の子弟が多く通って下り、平たく云えば日本の学習院初等科とか慶応幼稚舎みたいなものと考えて貰えば良いだろう。そのような学校だからこそ、当然、他校との差別化を図る上で外国語に因る授業があっても不思議では無いし、将来、 ベトナムを背負って立つ子供たちを預かる側の学校としては外国語での授業は寧ろ保護者の要請でもあるのだから。
とは言え、我々が常に肝に命じておかなければならないのは、外国語が話せる事が賢さの証では無いということである。
ついつい外国人相手に流暢な外国語を話しているのを見ると、凄いな~等と思うかも知れない。が、重要なのはその中身で実際にどんな話しているかに掛かって来るのだ。中身をきっちり外国人に伝えようとする場合、先ず母国語で、話すその内容がちゃんと教養として備わって無ければ、話しはそこから進められないどころか、相手にこちらの程度が知られてしまうことになりかねない。結局、薄っぺらな痴話でしかないのに、本人は錯覚を起こし如何にも外国語を話せているような幻想に包み込まれ自己陶酔に浸るだけではどうしようもない。外国語を学ぶ環境を創ることを筆者は否定するつもりは無い。それはそれで重要だが、やはり先ずは母国語の基礎をしっかり積上げ、それから外国語を学んでも遅くは無いのではないだろうか。
3月20日(火) 昨今のホーチミン市便り
*ホーチミン市が国際会計事務所プライスウオーターハウス・クーパー社(PC社)によって、経済発展の最も著しい都市100選に入れられた。3月7日のファイナンシャルタイム誌の記事に拠れば、ホーチミン市が世界中で加速度的な成長を遂げていると国としてPC社内で選ばれたのだ。今回の選出では、2005年から2020年までの100選内に9つの都市が新たに入り、内3都市がインドから、2都市が中国から、同じく2都市がブラジル。1都市がアフリカとベトナムのホーチミン市であった。これらは振興経済都市と新聞で紹介された。東京・NY・LAは引き続きトップスリーを保持する経済都市であるものの、今後も経済成長率に関してはホーチミン市に及ばないとPC社は見通しを示した。ホーチミン市は、人口約600万人でベトナム全体の3分の1の国民総生産を稼ぎ出す商業都市である。この都市のGDP成長率は2001年に7.4%だったものが、2005年には12.2%に拡大し、US5.3m$を記録した。
ホーチミン市住民の寿命は過去10年間で生活水準が向上した事により、伸びつつあるとホーチミン市人民委員会常任委員会は発表した。月曜日開催された同委員会会議の議題で老人福祉実行の見直しに付いての議論の中、会議参加者は2004年度の市内老人の平均寿命が75.1歳であったのに対し、今日では女性の平均寿命は76.8歳で男性のそれは約3歳年下の73.5歳だった。市内には全市民の6.92%を構成する凡そ42万人の高齢者が居住し、その中に371名の100歳を超えるお年寄りも含まれている。然しながら、約7万人の高齢者は日々労働を強いられる生活に追われているという。市当局は、老人福祉の為の基金を設立し、90歳以上の高齢者の年金を増額して行く計画を策定中とのこと。
(辛口寸評)
ここ数年で町並みも随分変わりつつあるサイゴン周辺だが、我が家のあるPhu Nhuan区からは少し距離があるナム・サイゴン(7区)ヘ久しぶりに足を伸ばした。娘の補習校の関係で日本人学校があるので、年に数回訪れる場所なのだが、そこから南へとなると皆無だった。ところが、皆無地域に今回足を踏み入れて見て愕然とした。ここ2~3年で一気に開発が進んだようで小奇麗な街が生まれていた。スーパーマーケットも二箇所出来ており、道は綺麗に舗装され商業地区・住宅地も計画によって造られただけあって、整然と並んでいた。道沿いには、様々なお店が入居し、商店街の様相も呈しており、余りの変貌ぶりに暫し息を忘れそうになった。
これからもどんどん都市部は綺麗になってゆくだろう。この動きは今後も引き続き強力に推し進められて行き、街はもっともっと便利に そして人々にとって快適な空間になって行くのだろう。物資が豊かに溢れ、人々の衛生観念は発達し、寿命も伸びる。誠に結構けだらけでいうことないのだろうが、筆者には最近、ひとつ気になる事がある。というのも、自宅の書斎に夜になると決まってカッカッカッ、ケッケッケッと鳴いていたヤモリが、このところとんと見掛なくなってしまったのだ。ヤモリは一見、グロテスクだが、その風貌に拠らず実は至って清潔好きな生き物だそうで、環境の悪い場所では生きられないらしい。変わりつつあるホーチミン市の暮らしぶりだが、一方で気づかないまま、他方、我々は大切な何かを失おうとしているような気がしてならない。
3月21日(水) WTO加盟効果はどれくらい?
*1月にベトナムがWTO正式加盟国として受け入れられてから、国内の期待は益々大きく膨らんで来ている。しかし、実際に加盟した利益が明確に表面化してくるのは今年末くらいになるとベトナム政府関係者は見ているという。期待されている小売価格の減少効果は未だ見えないものの、輸入食品及び消費者製品1812製品の関税は既に30~40%削減されている。ベトナムは、WTOメンバー国の市場にアクセスすることと引き換えに同国の輸入関税を低く設定しなおすことに同意している。
ホーチミン市でスーパーマーケットを展開するサイゴン・コープ社のNguyen Thi Tranh副社長は、今のところ同店の輸入商材で値下がりしたものは無いという。というのも現在、取り扱っている商材は昨年契約を結んだものだからと説明し、今年第三四半期からは値下げが始まるとの見通しを示している。
WTO加盟条件の確約のひとつとして、ベトナムは国際規格に則った法律制度に造り替えてゆかねばならず、特にビジネス環境整備と透明性の向上に関する新法を制定しなければならないのだ。国家国際経済協力委員会委員長兼商務省副大臣のLuong Van Tu氏曰く、このような環境変化が、今年も多くの直接投資をベトナムに呼び込む機動力となるとした。
Tu氏は、今年末までにベトナムへの直接投資は対前年比で20~30%増加し、輸出額は20%に、そして外国人観光客数は10%増加することだろうと予想する。加えて、金融及び不動産市場も強化されるだろうと同氏は語る。今年2月末時点で、既にベトナムへの直接投資額は、対前年同期を幾分上回るUS781m$を記録し、輸出額では昨対で23.5%増加のUS6.76b$を達成している。輸入額は、US7.83b$でUS1.1b$の輸入超過に陥って下り、昨年のUS100m$の貿易黒字とは逆行した原因を作っている。これは輸入関税が引き下げられた結果、ベトナム企業は多くの備品調達・設備投資を輸入製品に頼ったのがその理由とされる。
とは言え、WTO加盟効果はローカルビジネス。特にアパレル関連業界にとっては大いなる追い風となる。ベトナム製衣料品に対するクォータは解禁されるからだと、ベトナム織物衣料協会のLe Quoc An会長はいう。この効果は実に現在の輸出量全体の28%の増加を助け、今年はUS1b$以上のビジネスになると同会長は続け、そして重要な変化は、国内製品をより多くのWTO加盟諸国の市場へと送り出して行けることであると、次に加盟国となった今、ダンピング問題が生じた際、その解決法として採決に訴えられるようになったこと、そしてベトナム工業は外国投資を惹きつけ、それらがベトナム産原材料の高需要に結び付いて行くと結んだ。
この他、地元産業も少しずつWTO加盟効果を教授しつつあるという。サイゴン・コープ社の代表取締役Nguyen Thi Nghia女史は、いくつかの外国投資家が、彼女のスーパーの金融システム向上の手助けを開始し、今後、国内外に株式を上場する準備に入っているのだと語ってくれた。アメリカ系保険ブローカーAon社の代表Vu My Lan氏は、WTO加盟によりベトナムの国営企業の株式会社化に弾みが付いたと指摘する。これはAon社のような保険会社にとっては新規顧客の創造に繋がるものだと歓迎している。LG電子副社長Le Quang Binh氏は、競争力の高い市場では各企業は不要なコストや人件費を削減し、高い市場性や利益を確保するものだと持論を展開した。
貿易リサーチ研究所所長Nguyen Van Lich博士は、多くの品の価格が下落するだろうが、ここ数ヶ月単位でそうなることは無いという。WTOの確約条項に拠れば、ベトナムは電気・石油産業を含む総ての国営企業に対する補助金を打ち切らねばならず、これは一方で価格の上昇に繋がることにもなるとLich博士は指摘した。財務省国際協力課Nguyen Thi Bich課長は、約半数以上の輸入電気コンポーネントの関税がWTO加盟前に0%にカットし、残りに付いても2009年までに段階的に0%に移行して行くと語る。ホーチミン市在フランス系スーパーBig Cチェーンでは商材の価格値下げを断行しているという。Big Cの輸入品を担当するNguyen Thai Dung氏は、去る1月18日の10~28%の新タリフ適応に合せて7コンテナの消費者商材を輸入したという。しかしながら、高い輸送コストが災いし、目に見える形で低価格化には繋がっていないとする。
ホーチミン市不動産協会理事長Do Thi Loan女史は、地元の不動産市場もWTO加盟の影響を受けつつあると語る。その加盟は国際商習慣ルールに則るよう要求され、より多くの投資家が案件に対し、資金を投入するようになってきた。Loan女史に因るとここ数ヶ月の間に韓国・米国・豪州・中国・シンガポール・香港・台湾など20カ国の国と地域の不動産関係者が協会を訪れたという。オフィス用ビル・高級アパート・ショッピングセンター。それに低所得者層向け集合住宅が同協会の興味の対象であると女史は結んだ。
(辛口寸評)
ベトナムがWTOに正式に加盟したのは、記事にも出てきたように今年の1月18日だが、実際 昨年の加盟承認の段階で既に総てが始まっていたと見るべきだろう。それが証拠にベトナム証券市場の株価の値動きが上昇基調に転じたのは承認一ヶ月前からで、規定事項として受け入れられていたのである。尤も、流通分野においては加盟が発動してからでしか動けないので、直接の数字に現れるまでには未だ暫く時間を必要とするのは仕方がない。
さて、物価の低下に繋がるとの見方が上記文中で支配しているが、果たしてシナリオ通りに進むかと云えばそうは問屋が卸さないと筆者は考えている。関税が下がる分、輸入品の市場小売価格は多少割安感を生み出すのが普通かもしれぬが、果たして税関当局が現場サイドできちんと法令に沿った課税の運用をしてくるのかが見えてこないのだ。今のところ筆者が耳している範囲では、タリフに挙げられたアイテムに付いては、それに沿った課税をさせているようだが、グレーゾーンの品については、税関職員の判断に委ねられているらしく、曖昧さが残されている。
そこに甘い蜜が隠されており、税関職員の不正の温床はいまだ温存されているといえるのだ。
加えて、意図的な賄賂目的の貨物引渡しの延期などは今も悪慣習として続いて下り、一部で折角、課税率が下がっても帳簿上に記載されることのない費用が、下がった分を食ってしまうようだ。完全にこのシズテムが運用されるまでには未だ暫く時間が必要で、商品価格の値下げを庶民が実感するには後2~3年は必要になるだろう。
3月22日(木) ベトナム証券会社各社動向
* いくつかの主力証券会社は、昨今、許容量以上の売買を是正するための措置として、新規口座開設者への口座開設制限に踏み切っている。これにより、中小証券会社各社におこぼれが舞い込む結果に繋がっていると専門家はいう。ベトナム証券会社のひとつサイゴン証券は、新規口座開設希望者に対し少なくとも、1億ドン(US6260$)のデポジット(売買に運用出来ない)を積む事が開設条件となり、Dai Viet証券に至っては、証券運用システムのアップグレード化が終了するまで、新規口座開設を一時中止しているという。サイゴン証券のNguyen Duy Hung社長曰く、現在の施設・設備のままでは現状の取り扱い高に対応不可能で、投資家より売買注文を受けても全てを約定させられないという。旧正月明け初日以降、サイゴン証券では毎日300件の新規口座を開設させたが、ここで制限を設けなければシステムが機能しなくなるだろうと同社長。
ベトコンバンク証券も、新規口座開設に新しい条件を盛り込む方向で進んでいるという。同社のPham Duc Thang社長兼場アドバイザーは、投資家数は既に35000口座に達して下り、今後制限を設けて行くとする。制限の中身は、口座に少なくとも3千万ドン(US1860$)を新口座に入金されている状況にある事が前提とする。
このようにでもしなければ、約定は難しく、売買をしたこともない素人投資家が口座開設に押し掛ける事となるだろうとThang社長。
キムロン証券副社長Pham Vinh Thanh氏曰く、彼の会社では2006年末に操業開始をしたのに過ぎないにも拘らず、既に2000口座を開設し、日々百数十の新規口座の申込みが来ているとのこと。
そして今回 大手証券会社の採った新規口座開設制限は時宜にあったもので、各証券取引所の業務並びに各証券会社の業務許容量最適化に貢献するものだと語った。各証券会社には現在のところ、それぞれ10名の社員が受注を顧客から受け取る一方で、ホーチミン証券取引所で注文をシステムに打ち込む社員は各社2名しかいない状態で、注文のロスは防ぎようが無いとThanh氏。
証券協会のNguyen Thanh Ky会長は、過剰な投資家が証券市場に参入している現在一定の差別は必要だとの認識を示す。
証券各社は、投資家がより安心して投資活動を行えるよう、口座の最低バランス・最低取引額などのガイドラインを設定して行く必要があると述べた。サイゴン証券を利用する顧客のひとりVietさんは、今回 同社が導入した新規約に憤りを感じているという。1億ドンのデポジットなど非現実的であり、彼自身、証券取引開始当時、その資金を土地を一部売ったお金を元手にしたほどで、それが1億ドンを余分に供託しなければならなくなると多くの投資家にとっては大きな打撃になるだろうと語ってくれた。
(辛口寸評)
つい先日も採り上げたように、このところベトナムの証券会社の新規口座開設者に対する制限を設けだしている。その中でもサイゴン証券は“ばか者!!”と思わず肥を荒げたくなるほどの法外な設定で、外国人に対する新規口座開設費用は従来の50ドルから200ドル 口座維持手数料が15ドルから25ドル。そしてデポジットという名の保証金が100ドルから一気に10000ドルに引き上げられた。
今朝ほども以前、サイゴン証券で口座を立ち上げた知人からSSIより新手数料を知らせるメールが送られてきたとメールが入り、10000ドルを払わなければならないのかと尋ねて来た。今回の措置はあくまでも、これから新規口座を設ける人に対してだけであり、既に口座を持っている人については、口座維持手数料の値上分だけ目を瞑れば良いのである。
稀少なものにプレミアが付くのが世の常である。従って、サイゴン証券以外の証券会社の動きが出揃うまではっきりとしたことは云えないが、このような場合、ベトナム人は、名義にプレミアをつけて新規口座開設希望者に貸出したり、売り出すことをするだろうことは容易に推察できる。サイゴン証券は今のところベトナム証券界ではガリバーの如き存在であり、その分、 政府筋や企業関係者にも顔が利くため儲けるために様々なワザを駆使し、顧客であることはその恩恵に預かれ易いと考えられる。それだけの自信があるからSSIは、今回のような強気な決定を下したと邪推もしたくなるものの、ベトナムを知る者のひとりとしては、あながち邪推でもなんでもないと思う今日この頃である。
3月23日(金) 結婚式のニュースタイル
*“どんなに離れていても、私は故郷の人々と心はひとつなのよ”と言うのはオーストラリア・ニューサウスウェールズ大学に留学中のNguyen Thu Hangさん。彼女の結婚式はベトナムを遠く離れたオーストラリアで行われたが、その模様はウェブカメラを通じ、彼女の友人や両親、親類縁者が見守るなか厳かに行われた。ネットの利用によって、豪と越の地理的距離を縮めたのである。これは何もHangさんだけの特殊なケースではなく、昨今、この傾向はベトナム全土に広まりつつある。
“僕と家内はウェブ結婚式の効果にとても感動しました。”というのはHangさんのご主人Dungさん。“加えて、我々は経済的に豪州とベトナムをしょっちゅう行き来することは出来ません。ですから、ウェブカメラを使ったウェブ結婚式は我々にとってベストチョイスだったと思っています。”とご主人。ブロードバンドアクセスを利用したこのブームの火付け役となった理由は何と言っても、どんなに互いに離れていても身近に感じさせることができるのに尽きる。Hangさん・Dungさん夫妻のような外国に住むカップルにとって、ウェブ結婚式の選択は経済的理由のみばかりか、多くの人々と晴れの善き日を共有可能にしたことが挙げられる。
しかし、お年寄り世代にとってはウェブ結婚式はどうも面白くないようだ。最近、タイトなスケジュールで結婚式をフランスで行う時間が取れなかった息子を慮って、ウェブ結婚式を計画した母親の女性は、当初、この方法も、ひとつの選択肢と考えていたが、実際。行ってみるとやはりオールドファッションと云われようが。伝統的なスタイルの結婚式をすれば良かったと後悔の念を滲ませる。“もちろん 式の模様は大きなプロジェクターに写し出され滞りなく終わったものの、一抹の寂しさは否めないです。”とその母親は言った。
若者の間だでも一部にはウェブ結婚式を疑問視する人々がいるという。ジャーナリストのHong Minhさんはそんな中のひとりで、結婚一周年を祝いつつ彼女は忙しい時間を縫って結婚式を準備し、そして挙式に導いた経験は何にも優る喜びだという。“確かに準備に翻弄され大変疲れたのは事実ですが、それでも私たちは幸せでした。ウェブ結婚式も確かに否定はしませんし、お金も時間も掛かりません。しかし、それよりも重要な何か大切な経験をうるチャンスを逃してしまう気がするのです。”とMinhさん。伝統は今も根強く残りつつも、多くの人々はウェブ結婚式の考え方に付いては開かれているように見える。
“僕なんかはアメリカとベトナムの往き来に掛かる費用で車が買えるほどですよ。友人や家族たちと遠く離れていてもウェブ結婚式のお陰で、自宅にいながらにして新郎新婦の喜びの表情を見ることが出来るのです。”とアメリカ・ユタ州ソルトレーク市にあるユタ大学大学院で学ぶTuanさん。台湾の大学で修士課程に席を置く、Chu Nha Trangさんは、ウェブ結婚式は実際の挙式と異なり、伝統的なプレッシャーから解放されると彼女はいう。特に配偶者の親族から式での落ち度を粗探しされるのを最小限に防げると、、、。現在 結婚式はビジネス化してきており、人々は競って贅沢な結婚式を挙げ招待客から高価なギフトを得ようとし、その一方で家の財を誇ろうとする者だ。
その様な世相の流れから言えば、ウェブ結婚式は不必要な経費を削る一方で、式に臨むカップルと家族達を結びつけてくれる効果の高い文明の利器なのかも知れない。
(辛口寸評)
世はまさにインターネットの時代である。ネットの技術革新のお陰で、これまで夢でしかなかったものが急速な勢いで現実化する。ウェブカメラの登場で、結婚式の模様を友人や身内と時と場所を選ばず共有できるなんて話しは、そもそも全世界で500万人とも云われる越僑の存在と元々プラクティカルに物事を思考する傾向にあるベトナム人気質があって始めて高い需要が生まれたに違いない。尤も、筆者の周囲でこのような結婚式を挙げたベトナム人はいない、、、。それよりも、ネットと言えば最近身近なところで驚くべき発見があったのでご紹介したい。
我が家の話題で恐縮だが、今年10歳になる娘がパソコンを前にスカイプを使って誰かと話している。相手は同じクラスの女の子で、娘の手許には学校から貰って来た宿題、算数のプリントがあり、スカイプを通じ答え合わせと判らぬ問題を教え合っていたのである。“なんだ そんな事か”と思われる向きもあろうが、これってインターネットが存在しなかった世代にとっては凄いことに映る。偶々、最近。娘の学校で先生との懇談会があって、その事を話したら、先生も「『そうなのよ、判らないところがあったら先生に訊いてね。』って、子供たちに言ったら《先生、大丈夫、。解らなかったらスカイプで教えあっこするから!》」と返ってきて唖然としたのだと話してくれた彼女ですら暫く息を呑んだという。さすが、生まれた時からインターネットは違うな~、、、、。
3月24日(土) ベトナム株暴落は買い増しのチャンス!
*先週金曜日のベトナム・インデックスの上昇は、中旬に劇的な市場の下落を見せて多くの投資家を落胆させたが再度、市場に自信を与えたと言える。先週末のベトナム・インデックスは1109.76ポイントで終え、前日の取引から44ポイント上昇。しかし、先々週金曜日の終わりと比較すると46ポイント落ち込んだことになる。今年最高で記録的なインデックスの1179.32ポイントは、3月12日の第一節に達成されたものの、その後、三日間の取引は総て下落基調に終始する展開となった。
先週月曜日の取引は15ポイントの上昇でスタートしたものの、翌火曜日の取引では逆風が吹き、12.4ポイントの下落を見せた。しかしながら、続く水曜・木曜日に下落は更に44.06と48.69ポイントに進み、多くの投資家を不安に陥れた。この二つの下落率は過去7年間のベトナム証券市場の歴史に於いて初めて経験する記録であった。ホーチミン証券取引所での先週金曜日の売買では、FPT・STB(サコムバンク)・VSH(ビンソンソンヒン火力発電)・VNM(ビナミルク)と云った優良銘柄が売られた反面、LBM(ラムドン建設資材)などの低価格のボロ株に買いが集まった。
全109銘柄の内、たった25銘柄が上昇しただけで、その中でBMC(ビンディン鉱産)が牽引的役割を果たした。同社の取引終了後の株価は454000ドン(約US28.4$)、またエナメルタイルメーカーのVTA(Vitaly社)は31500ドン(約1.97$)で後に続いた。78社は、下落し、RHC(Ry Ninh水力発電)・SFN(サイゴン魚網社)、そしてSGH(サイゴンホテルグループホールディング)は、その中でも15%以上の最も高い下落を見せた。PRUBF1(プルデンシャルバランスファンド)は14.67%上昇し、株価は17200ドン(約US1.08$)、その一方で別の上場ファンドVF1は、6.1%下落し、株価は49300ドン(約US3.08$)に収まった。今週は約7500万株の取引が行われ、取引額は凡そUS420m$だった。
(辛口寸評)
ベトナム人、日本人を問わずこのところ筆者の周囲では、ベトナム株4月暴落説が定着し始めている。兎に角、未公開で安いうちに仕込んでおいた株はそのまま寝かせ、短期キャピタルゲイン狙いの株は現金化し、来るべき暴落に備え株の安値買いを目論む資金として
臨戦体勢に臨んでいる。恐らく、今回の下落は前哨戦のようなもので、上記の考え方を持つ人々の売りが下げ傾向を醸し出しているのだ。
個人的に、今回の下落率は平均株価の25%まで落ちるのではないかと見ている。特に、高値でPERが大きい銘柄ほど下落は激しいと覚悟すべきだが、反面、この機会を巧く取り入れ買い増しを図るには絶好のチャンスだ。
ベトナム株とこのところ騒がしくなって来ているが、忘れてならないのは、ベトナム株式は日本のそれとは未だ異なるもので日本の考え方が通用するものではない。先ず、市場規模は日本と比べれば100分の1に過ぎないし、国と外資系ファンドで、株を大量に支配しており、しかも外国投資家の参入割合は一般上場企業で49%、銀行は30%までと制限が設けられている。意図的な操作をしようと思えば、国が仕手筋になることだって十分に考えられる。尚且つ、いつも言うようだが、証券関係者から企業関係者に至るまで家族主義が跋扈するベトナムではインサイダーなど、在って当然で、良い悪い以前に国民性がそうなのだから仕方がないのだ。このことを良く理解して、ベトナム株取引に参入するのなら構わないが、欲に釣られて何だか儲かりそうだからなどとの邪な考えでやるのなら、悪い事は言わない。今すぐ止めた方がよかろう。
以上
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