ロシアの歴史と世界の歴史に、その名を残すだろう、ボリス・エリツィン!
ボリス・エリツィン元ロシア共和国大統領を讃え、その冥福を祈る!
スターリン主義に毒され、行き詰まった「ソビエト連邦」の改革をゴルバチョフが目指し、その程度の改革ではロシアは立ち直らないと主張したエリツィンは、ゴルバチョフとの間で激しい政治的争闘を繰り返し、遂に、ゴルバチョフが率いる「ソビエト連邦」から「ロシア共和国」を離脱させることを成し遂げた。その後は、満身創痍の「ロシア共和国」を率い、再建に奔走し続けたが、折りからの病魔に抗いきれず、大統領職をプーチンに譲り政治指導者としての役割を終え、人生も終えた。
ロシア人そのものの思考論理を貫徹したボリス・エリツィンは、人気も評価も二分されるのだろうが、何よりもロシアを現実思考へ戻した立役者だ。
プーチン大統領が、25日を喪に服す日と国民に呼び掛けるのは当然だろう。
エリツィンの破天荒な思考と論理は、「ソビエト連邦」を崩壊させ解体した。その後に形成された独立国家共同体(CIS)も実態としては機能していない。
何よりも、ウラルの西側をヨーロッパ社会へとの志向を強めさせた。
バルト三国は勿論、ウクライナ、ベラルーシ。
何よりも、同じ思考形態だった「ユーゴスラビア連邦社会主義共和国」は解体し形跡もなくなった。
東欧諸国は、ヨーロッパ本来の思考形態へ戻りつつある。
この点は、ロシアのプーチン大統領にとり困ったことだろうけれど。東欧社会をロシアが領導することには所詮無理がある。
とにもかくにも、第一次世界大戦からロシア革命を経て第二次世界大戦後へ連綿と受け継がれた「世界秩序」というヨーロッパの国境概念を破却したのはボリス・エリツィンだ。
日本は、その恩恵を受ける前に幕が降りてしまった。
従って、北方領土の解決は宙に浮いたままとなった。大胆不敵な思考論理のエリツィンがロシア共和国の大統領を維持できていたら、もう少し、興味深い展開となっただろう。
とにかく、あらゆる点で破天荒だった、ボリス・エリツィンの冥福を祈る!
引用開始→ エリツィン前大統領の一般弔問、救世主大聖堂で市民ら献花 (讀賣On Line)
【モスクワ=緒方賢一】23日に死去したロシアのエリツィン前大統領の一般弔問が24日、クレムリン近くの救世主大聖堂で始まった。
大聖堂の中央にスーツ姿で安置された大統領の遺体に、訪れた市民らが次々と献花、冥福(めいふく)を祈った。一般弔問は25日昼まで続けられ、その後、同大聖堂で国葬が行われる。
救世主大聖堂は国内でも最大規模のロシア正教会の聖堂。宗教を弾圧したソ連時代の1930年代にスターリンにより爆破されたが、エリツィン政権時代の1997年に再建された。
(2007年4月25日1時5分 読売新聞)
Copyright © The Yomiuri Shimbun. ←引用終わり
| 固定リンク
コメント