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2007/05/14

ASEAN内の政情不安(政権転覆)。昨年はタイだったが、今年は、フィリピンかも知れない。

アロヨのフィリピンでは、国会議員選挙に出るも、投票するも常に「命がけ」だ。

これって、どうなのかなぁ?
独立国家、それも長い年月を経た国で、ASEAN内でも一定の発言力を保持する一国の国政選挙で国際監視団が来る。
候補者が襲われる。投票に訪れた市民が射殺される。
フィリピンは、国政選挙の度に、暴動が起きるし犠牲者が出る。

Phnationalflag_4本当に、アロヨのフィリピンは信用できるだろうか?
フィリピンが、ASEAN内での政治的ネットワークを活かしていることはよく分かる。
また、大変重要な国であることは誰もが認めるところだ。

何よりも、島嶼国であるフィリピンは日本と同じ地政的な国土状況だ。
しかし、フィリピンはこの20年、経済を停滞させたまま藻掻き続けたままである。
主たる原因は、「マルコスが、一族を挙げて不正な政治を繰り返し、たらふく私腹を肥やしたからだ」と説明された。
そのマルコス(元)大統領は、「人々のオレンジ革命」により打倒され、マラカニアン宮殿を追われた。残されたのは、マルコスの嫁イメルダの驚異的な数量の靴だった。マルコスはイメルダの靴を買うために国政で不正を繰り返したのかと、お笑いなのか揶揄なのか散々バカにされた。

後を受けたのは、コラソン・アキノだった。夫(ニノイ)が亡命先から凱旋帰国となる筈だった、マニラ空港でマルコスの意を受けた警察(暗殺者)の手により抹殺され、その意志が、オレンジ革命になったわけで、亡き夫の意志を受け継ぐのが自らの政治使命と主張し続けたコラソン・アキノが大統領に選ばれ就いた。
アキノ家はフィリピンを代表するとは言えないが、それでもそこそこの大地主の一族であり、在フィリピン華人の血筋を正しく受け継ぐ血脈を誇る。

従って、フィリピンが貧困から抜け出せない「大土地所有制度(大地主制)」を改革することはしなかったし、できなかった。そのため、フィリピンの大土地所有制度は生き残り、フィリピンは、ASEANを中心にしたアジアで近代化できない国の代表になった。
そのため、決定的な貧しさから抜け出せない貧困層は増える一方だといわれている。

アキノも大統領職を去り、次にフィリピンの大統領に就いたのは、思慮深いラモス大統領だった。この人は、フィリピンには珍しい「公正、公平で透明な人だった」。
フィリピン国軍の参謀総長だったし、アキノ政権を懸命に支えたこともあり、「大土地所有制度」を抜本的に解決するかと期待されたが、やはり手をつけることができなかった。
ラモス大統領の時代、フィリピンは目を瞠るばかりの経済改革を成し遂げた。
しかし、そこまでだった。土地の問題は解決されず放棄された。
これほど、フィリピンの土地所有にかかる問題は、強大な力を発揮する僅か数ファミリーの顔色を窺うようなセンシティブで深刻なテーマでもある。

その後を受け継いだのは、マラカニアン宮殿でマルコス時代再現を狙った、博奕打ちで
元は映画スターだった、エストラーダである。この男は、映画の撮影(架空の社会)と現実の社会や政治が区別できない、基本的な思考能力すら持てない救いがたい大酒飲みだけがウリの人物だった。
このエストラーダという知能指数の低い男は、米国でもロナルド・レーガンが映画スター上がりで、大統領になった顰みに倣ったと主張したが、レーガン(元)大統領は、少なくても世界の政治に対するコンセプトがあり、一定の見識があった。
エストラーダは、この点が根本的に欠けていたのである。
このエストラーダを選んだのは、フィリピン国民である。政治家はその国の民意というか知力を顕している(日本も気をつけた方がよい)。

フィリピンを支配する大土地所有者とその腰巾着のフィリピン大財閥の各一族は、何も考える能力のない大統領が一番よいのである。
後から、自分達の都合に合わせて、いくらでも支配できるから最高の贈り物だ。
数ファミリーがフィリピンを支配し、民の生産と所得を差配する構造を静かに維持できるのだ。だから、エストラーダの選挙は大財閥と大地主が丸抱えだったから、オツムの温かい飲んだくれ元映画スターも、マラカニアン宮殿の主となれたのだ。

しかし、この不正を糾弾する人物が、フィリピン国軍の中から現れた。その人物の名はホナサンである。いつも、何かのチャンスを狙い「マラカニアン宮殿」を目指し続けたのがホナサンだ。この人物は、前後の脈絡を考えることなく趣味のように「クーデター」をぶっ放すことで有名だ(最近は終身刑で収監中らしいが)。

ホナサンのクーデターを受け、フィリピンの政治権力のタガは緩み困ったことになった。そこでエストラーダに代わったのが、エストラーダに副大統領に選任され、米国の弁護士資格も保持する才媛と騒がれるアロヨである。
しかし、アロヨの後ろは「大地主」と腰巾着の「大財閥」である。
また、何よりもアロヨの正当性に信認を与えたのは、ローマカトリック教会の総本山バチカンから派遣されたシン大司教である。
フィリピンは、政治権力と宗教権力が同時に成立する政治(権力)構造なのである。

フィリピンのインテリは、選挙だ民主主義だと騒ぐけれど、普通の市民には「民主主義の意味も分からないし、選挙の意味も分からない」というのが国民感情だ。

選挙投票に関する一票が金に替わるとなれば、その日の生活資金を得るため、平気で一票を売るのである。その国を果たして信用できるだろうか。

騒ぐインテリは、自分の私腹を僅かに肥やすため、騒ぎ立てるのである。
一貫した政治的主張も、その背景にある経済政策や社会政策を持つわけではないのだ。自分に儲かるかどうかが選挙に参加する際のポイントなのである。

国政に反対しようと思えば、「票を買うため」の僅かな資金を準備し、それを投じればよいのである。
従って、フィリピンの選挙は民意を反映しているとは言えない。
だから国政選挙に国際監視団が登場するわけだが、国際監視団は、フィリピンの本質をどこまで理解しているのだろうか。

ミンダナオ島でイスラム解放組織が率いる「モロ解放戦線」は、フィリピンの政治制度を基本的に認めていない。彼らにとり、マニラの中央政権は武力で打倒する対象でしかない。
マニラとマカティは、フィリピンでありながらフィリピンではない地域である。

東京が日本でありながら日本でないのと同じである。

アロヨ政権は、フィリピンの大地主の権益を代表する単なる番犬に過ぎない。
このアロヨの政権を信用できるか?実のところ、国際社会は真剣に検討した方がよい。

フィリピンの多くの民は、政治が騒がしくなることを余興のように待望している。
モロ解放戦線は、中央政権を武力打倒できる日を待っている。

形式的に、フィリピンは「①領土、②人民、③統治機構」を一応保持しているように見えるけれど、本質的な意味で国民国家として成立しているかといえば、少々、難ありというところかも知れない。
「コラコラコラム」は、フィリピンが革命的な土地改革を断行しない限り、現状を変えることは難しいと判断しているし、失礼を承知で主張するが、現在の政権を本質面で認めるには無理があると考えている。

引用開始→ フィリピン「中間選挙」投票 止まらぬ暴力、死者百人超  (asahi.com)
2007年05月14日19時15分

フィリピンの中間選挙(上・下院選と地方選)が14日、投開票された。アロヨ大統領の政権運営を左右する上院選(改選数12)では「野党が優勢」との世論調査もあり、結果が注目される。大勢が判明するまで少なくとも数日かかる見込み。

投票は、全国約23万カ所で日本時間午前8時に開始。比政府は、公正な選挙実施のために200人以上の外国人監視団を受け入れ、日本からも在フィリピンの山崎隆一郎大使ら約30人がマニラ首都圏や南部ダバオなどで投開票を見守った。

今年初めからの選挙戦では、候補者や運動員らに対する暴力事件が頻発。警察は厳戒態勢を敷いたが、14日未明には北部アブラ州で町長選の運動員ら2人が殺害され、南部ミンダナオ地方でも投票に訪れた2人が射殺されるなど事件が相次いだ。死者数は118人、負傷者は132人にのぼり、01年の前回中間選挙の死者111人を上回った。

5月初旬の世論調査によると、上院選では当選圏内に野党6人、与党4人、無所属2人が占める。地元紙のアンケートでは、野党候補の多くが昨年9月に日本がフィリピンとの間で締結した経済連携協定(EPA)の上院での批准に慎重な姿勢を示しており、上院選の行方がEPA批准に影響を与える可能性もある。
(WEB朝日新聞社 asahi.com)  ←引用終わり

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