「外国人技能研修実習生」制度を拡充し、彼らの基本的人権を国は保障せよ!
「外国人技能研修・実習生」制度は、地に足のついた実務的改革が必要だ!
厚生労働省の案はそれなりに評価できる。経済産業省の主張はそれなりに理解できる。
しかしながら、いずれの側も、実態に即した議論になっていない。
厚生労働省案の根底に流れる思考は、外国人技能研修・実習生が低賃金で搾取労働させられていることによる、行政上のトラブルを回避したいとの観点による思考論理がよく顕れている。
一方、経済産業省の主張は、経済合理主義を主張する様々な産業界からの強い要請に基づき、追い込まれつつある産業事情を踏まえ、何はともあれ現状維持を図りたい意向が滲み出ている。ここに至る過程で「研修生や実習生」が、如何に搾取されようと奴隷労働させられようと、表面化しない限り行政には責任がないとするご都合主義だ。何よりも、もし極端な搾取労働の強制や奴隷労働の実態が明るみに出ても、それは受け入れ(雇用)者(企業)の責任であり、行政は関与しないとする責任逃れの思考論理だ。
第二次世界大戦を機に生じた強制労働を、現在時点で限りなく言い逃れ続ける際の論点と何ら変わらない展開のようだ。行政の無責任さを思い残すことなく発揮し展開している。
何が問題で、何が許容されるのか、普通に暮らす国民には理解できない事情が産業競走面を中心に労働力不足の構造的な問題が山積しているわけだが、その点を明らかにせず、いわば「オイシイとこ取り」で玉虫色の決着を図ろうとする姑息さが目に余る。
厚生労働省案では、大企業のみが研修生実習生の受け入れが可能となり、もっとも困り果てている中小零細ではほぼ不可能になる可能性が高い。
この点を、経済産業省が口を極めて非難するわけだが、その経済産業省も、実態を十二分に把握して議論しているわけではない。
不法行為が生じた際に、誰がどう取り締まるのか?その際の罰則は何か?これらの点は、全く明らかにされていない。従って、絵に描いた餅であり、お話にならない。
日本は、建前の「外国人技能研修・実習生」制度という労働力がなければ、中小零細の各事業者が担う「サポーティング産業(産業クラスター)」は、どの分野も殆ど成立しないのだ。労働賃金という最も重要な生産に関わる「要素価格」が、周辺国は勿論、競争市場との間に余りにも大きな開きがあるのだから、相当なことをしないと産業として維持できないわけだ。従って、「相当なこと、即ち、外国人労働力の導入」ということになるわけだ。WTOに加盟し、もっとオイシイ市場を得ようとする国が、ヒト・モノ・カネの自由な往き来はイヤだ!「カネとモノだけにして貰いたい」と主張するのは認められないだろう。
ならば、「労働の面でも」世界水準での展開が必要だろう。
その点について、国としての戦略も何も示さないから、少しずつ小さなトラブルが各地で生じるわけだ。対処させられるのは各自治体になるわけで、その自治体には制度を論じる場も権限も与えられていないのだ。
人口動態と当面の労働力について、国を挙げて議論すべきだと、「コラコラコラム」は主張し続けている。国は、なぜ、示せないのだ?!
現在時点で、議論されている中身は、その場限りの実に都合の良い姑息な議論の積み上げでしかない。外国人労働力に依拠せず、日本がこの先も、現在時点の生産力と所得を維持することは不可能だ。それならどうするのか、当面と、中長期の戦略が必要だ。利害得失あらゆる面から激論になろうが、それは通過儀礼である。逃げてはいけないのだ!また逃げることができないのだ!なぜなら、労働力として導入される外国人は、全ての地域で、一人ひとりの市民の隣人となるのだから。一定の覚悟がなければ、地域社会も教育システムも成立しなくなるからだ。
引用開始→ 外国人研修生に法的保護・政府、不正雇用防止へ改革案 (日経NET)
政府は10日、不正な低賃金労働などが問題となっている外国人研修・技能実習制度の改革案の骨格をまとめた。実習指導員の配置や帰国前の技能評価を企業に義務付けるほか、現在は労働者と見なしていない研修生も最低賃金法など労働法令の適用対象とする。法的保護を明確にし、実習などの目的に沿った外国人労働者の円滑な受け入れにつなげたい考えだ。
改革の骨格は厚生労働省が11日に有識者研究会の報告としてまとめ、法務省、経済産業省など関係省庁と詰めの協議に入る。早ければ来年の通常国会に出入国管理法改正案など関連法案の提出をめざす。自民党も近く議論を始める。 (07:00)
(C) 2007 Nikkei Inc. / Nikkei Digital Media;Inc. All rights reserved. ←引用終わり
引用開始→ 外国人研修生、在留2年延長案・経産省 (日経NET)
経済産業省は外国人研修・技能実習制度の改革案をまとめた。日本の在留期間を現行の3年から事実上、2年延長して5年にすることが柱。より専門的な技能取得を促すとともに、受け入れる企業の人材不足解消につなげる狙いがある。
外国人研修生には「研修」「技能実習」で合計3年の在留を認めている。改革案では3年間の研修を終えて帰国した後も、日本で働く意欲のある外国人には再来日を認め、2年間の「高度技能実習」を認める。高度実習では管理職としての登用も可能にする。(18:04)
(C) 2007 Nikkei Inc. / Nikkei Digital Media, Inc. All rights reserved. ←引用終わり
引用開始→ 外国人研修制度の維持求める 経産省、厚労省案と対立 (asahi.com)
2007年05月12日09時54分低賃金労働などが問題になっている外国人研修・技能実習制度の見直しについて、経済産業省がまとめた報告書案が11日明らかになった。現行の研修制度を維持し、規制や指導強化で適正化を図るとしており、研修制度の廃止を打ち出した厚生労働省案とは対立が際だっている。在留資格の延長についても、産業界の要請を背景に、厚労省案よりも幅広い企業に門戸を開く内容になっている。14日公表する。
経産省は、中小企業などを中心に外国人労働者の受け入れニーズが高まる一方、賃金未払いなどの不正行為が社会問題化したことを受け、有識者による研究会で独自に見直しを検討している。
厚労省案では、労働関係法令が適用されない研修制度を廃止し、受け入れ企業と雇用契約を結ぶ実習制度に一本化する考え。だが、経産省の報告書案では一本化に「一定の合理性」を認めながらも、受け入れ当初から実習生として「労働者」扱いになると、「技能移転による国際貢献という(制度の)趣旨が弱まり、宿舎の確保、生活指導、日本語教育などを企業負担で実施する意欲の減退につながる」と指摘。
研修制度の存続を前提にした上で、不正を発覚しやすくしたり、罰則を強化したりする施策の充実を提言。労働基準監督署などの窓口で研修生が母国語で相談できるようにすることや、不正行為をした受け入れ団体への罰則強化などを求めている。
在留期間の延長については、厚労省と同様に現在の最長3年から5年に延長することを提言。しかし、厚労省案は、事業協同組合などを通じて研修生を受け入れている中小企業などで不正行為の大半が行われていることを踏まえて労務管理のしっかりした大企業の直接受け入れに限定しているのに対し、経産省案では幅広く中小零細企業にも広げる内容だ。
門戸を広げるかわりに不正の防止策として、受け入れ企業や団体に対する外部評価や優良認定制度の導入を打ち出している。出入国管理法を管轄する法務省も含め、3省は今後協議を本格化するが、主要な論点での隔たりは大きく、調整は難航すると見られる。
(WEB朝日新聞社 asahi.com) ←引用終わり
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