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2007/06/24

日本語能力の低下は、日本語による思考論理力の低下を意味するのでは?

日本人の日本語力は低下しているか?
あるいは、新しい言語環境に対応し「進歩」していると考えるべきか?

産経新聞が、真に興味深い調査レポートを記事としてまとめていた。WEB上へ掲出された際、「上」「中」とあったので、当然「下」が掲出されるものと考え待っていた。
しかしながら、ほぼ一ヶ月を経過しても掲出される様子がない。

既に掲出されたのかと考えもするが、どうやら、その様子もないようなので、待つことに徹していたわけだが一向に掲出されそうにない。
そこで、「上」と「下」を一挙にまとめて引用紹介してみたい。

担当する学校で、学生にレポートを課すと、まず、ワープロでレポートを仕上げる学生と、手書きで仕上げる学生に分類される。
また20%前後の学生は「テーマ」に対し、自らの思考論理で必要なレポートを作成することができる。そのうちの半分(全体の10%)は充分な中身を保持している。

次の20%は、それでも自らの力で一応考え、取り組んだ跡が見えるレポートだ。
従って、ここまでは、許容できる範囲だろう。

後は、イヤイヤ書いている。これはもうハッキリしている。
何よりも、手書きレポートの場合、文字を読み取ることができない。日本語もそうだが、「漢字」を基盤に成立する東アジアの文字は、基本的に角形といって過言ではない。
その文字が、横に寝たり這ったりで、横書き基盤のアラブ文字のように記述する学生がいる。こうなれば読む気が起こらない。さりとて飛ばし読みするわけにもいかないので、取り組むわけだが疲労度は倍加する。実に手を焼かされ困ったことになる。
どのような筆記を小中で学んだのだろうか?どのような教え方をしているのだろうか?

次に、誤字や脱字は勿論のこと、当て字の羅列に遭うと「文字を類推する」技量が必要になる。最初は面白がってみても、回を重ねるとバカバカしくなるのだが。
<<「コラコラコラム」も誤字・脱字・当て字では、エラそうな事を言えたモノではないが>>

産経新聞が、ゴールデンウィークの時期に、「日本語能力」について提起した点について、日々、学生と接する一人として改めて考えてみたい。
この記事に接したとき、本当に、「同感!」した。正直な感想だ!

近隣各国からの留学生のレポートは、ときどき、用語の使用に間違いはあり、日本語の表現力としては稚拙な点もみえるが、総体としての印象は、よく論理的に考えた上で作成されている。

日本人は、母語としての日本語を正しく理解し正しく使用することに取り組むべきではないか?
その後が、英語教育だろうと考えるが。
日本語で考える力がないのに、英語で考える力をつけてみても、大半の人は、日本語で作成され規制される「日本の法律下」で生活するわけだから、何よりも正しい日本語の理解力が何を差し置いても最優先事項だろう!

いくつかの諸国が、自国の母語と併用しながら「英語」を始めとする「ヨーロッパ諸国の言語」を巧みにかつ積極的に使用することが強調されているが、よくよく考える必要がある。なぜ彼らは、母語以外の諸言語とりわけ「英語」を受け入れるのか。
常に支配者が発する文書が、彼らの母語ではなく、支配者の側の言語で発布されそれにより規制されるから、それを理解しなければ自らの生命をも維持できない可能性があるからではなかったか。

経済のグローバリゼーションというか、グローバリゼーションによる世界的な意味での市場統合が進捗するのは悪いことではないが、それに対応するのが「英語力」ではない事を何よりも弁知すべきだろう。
日本人は自らの社会を支える母語である「日本語」で思考し、論理展開をまとめた上で、「英語」でディベートすればよいではないか。
何よりも全ての人が、それを必要とするわけでもないし。

大切なことは、「日本語力」を正しく身につけることだろう。間違っているかなぁ~?

引用開始→ 【大丈夫か日本語・上】大学なのに…中学生レベル6割!?  (産経 WEB)

「ついに、ここまできたか…」

九州地方の私立短大に勤める講師はそう言って、しばし言葉を失った。“日本語が通じない現実”に直面したのは昨年秋のことだった。

「ほかの人に比べると話し好きです」「思いやりがある方です」…このような簡単な文章を記した紙を学生に渡し、イエスかノーで答えてもらった。外向性や協調性などを診断する性格検査だ。

「質問を理解したうえで答えないと正確な結果が出ないので、漢字に読み仮名をふり、分からない言葉は質問するように伝えた」と講師。

間もなく20人ほどの学生のうち、数人が手を挙げた。

「『怠惰』って何」

「『まごまごする』ってどういう状態?」

想定内の質問もあったが、就職を控えた女子学生が発した言葉には耳を疑った。「骨が折れる仕事は嫌です」という文章を指さし、「『骨折する仕事』が嫌なのは当たり前。違う意味があると思ったので…」と首を傾(かし)げたのだ。

「全員の前で、それぞれの意味を伝えたが、多くの学生が説明に聞き入っていた。手を挙げたのは数人でも、実際分からない人はもっといたでしょう」と、この講師は推測する。

“兆候”は数年前からあったという。講義中の指示や就職活動のアドバイスを、なぜか全く逆の意味に取り違えてしまう学生が目についていた。

「履修登録の説明書が読み取れないので新年度のオリエンテーションが成り立たなくなっていた。基本的な語彙(ごい)力がないために、英語ならぬ日本語の理解力やリスニング力が落ちている」

日々学生に接している講師の実感だ。

often訳しても…「しばしば」って?

学生の日本語の間違いや語彙力低下に戸惑う大学関係者は少なくない。

関東地方のある私立大学では数年前から、日本語表現法の講義内容が様変わりした。毎回、学生に漢字テストを課すようになったのだ。中学・高校レベルの問題ばかりだが、空欄が目立つ答案が多いうえに、「診談」(診断)、「業会」(業界)といった誤字も目立つ。

「日本語表現法は、より良い表現を身につけるために『描写の際の視点の絞り方』などを教える講義。だが、最近は義務教育で身につけるべき表記や語彙、文法すら備わっていない学生が多いため、従来のやり方では授業が成り立たない」と、担当の准教授は話す。

影響は他科目にも及ぶ。「英和辞典の訳語を説明するだけで時間が取られてしまう」。この大学で英語学を担当する教授は嘆く。

英文解釈の講義で学生に「often」の意味を調べさせても、「しばしば」はもちろん、「頻繁に」といった訳語が理解できない。「『よく~する』ではどうか、と聞いても、『よく』は『good』の意味としてしか認識していない学生すらいる」(教授)

独立行政法人メディア教育開発センターの小野博教授(コミュニケーション科学)が平成16年、33大学・短大の学生約1万3000人の日本語基礎力を調べたところ、国立大生の6%、私立大生の20%、短大生の35%が「中学生レベル」と判定された。昨年度の同様の調査では、中学生レベルの学生が60%を占める私立大学も現れた。

今年度、センターが開発した日本語基礎力を調べるプレースメントテストを利用する大学は57大学3万2000人(見込み)にのぼる。3年前の4倍を超す勢いだ。

小野教授は「『(大学)全入時代』が到来し、外国人留学生と同等か、それ以下の日本語力しかない学生が出てきた。言葉の意味を学生に確認しながらでないと講義が進められない大学も少なくない。テスト利用校の急増ぶりに、大学側の危機感が表れている」と語った。

 ◇

こうした現象は大学生に限ったものではない。

6月に第1回日本語検定を開く東京書籍が昨年、約60の企業に日本語をめぐる問題についてヒアリングをしたところ、深刻な悩みが次々と寄せられた。

問題は「敬語が使えない」「違和感のある言葉遣い」といったレベルにとどまらない。

オペレーターが日本語で書かれた取り扱い説明を理解できず、機械を故障させた▽社員が送った言葉足らずの電子メールが取引先を立腹させ、受注ができなくなった…。日本語力不足が実害を生むケースもあった。

検定事業部の萩原民也(たみや)さんは言う。

「大人から子供まで、想像以上に日本語のコミュニケーションがうまくいっておらず、『日本語で日本文化を伝えるのは難しくなっているかもしれない』とこぼす経営者すらいた。正しい使い方を再確認する時期に来ているのかもしれません」

 ◇

早期の英語教育の必要性を指摘する声が少なくない。だが、その是非を論ずる前に、母国語である日本語力の低下を深刻に受け止めた方がよいかもしれない。学校現場で、企業で「失われゆく日本語」を懸念する声が広がり始めている。その現状と対策の動きを報告する。(海老沢類)(2007/04/30)
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引用開始→ 【大丈夫か日本語-中】メール使う人ほど日本語力低い?   (産経WEB)

大学生の基礎学力を調べるプレースメントテスト。日本語力を問うテストを採用する大学は急増している
パソコンを自在に操る男子高校生が、ペンを持ったまま途方に暮れる。簡単な漢字を思いだせないために…。

第29回東京ビデオフェスティバル(日本ビクター主催)の大賞を受けた長野県梓川(あずさがわ)高校放送部制作のビデオ作品「漢字テストのふしぎ」のエンディングだ。

「とめ」「はね」「はらい」といった漢字テストで正誤を判定する基準は教師によってばらつきがある。そんな実態を追った約20分の作品には、エンディング以外にも、毛筆で字を書く場面など、手書きの重要性を投げかけるシーンが頻出する。

「パソコンに頼りすぎて『漢字が書けない』という話が生徒から出ていた。手で書くことは、深く考えることにもつながる。このままでいいのか、という問題提起です」と放送部顧問の林直哉教諭は説明する。

思いもしなかった漢字の書き間違いで恥をかいた人は少なくないだろう。言葉の専門家とて事情は同じだ。『明鏡国語辞典』(大修館書店)の鳥飼浩二・編集委員はワープロ使用歴15年。講演でホワイトボードに文字を書く際は、前もって念入りに確認するようになったという。

「キーで変換すれば色々な漢字が出てくる。読める字は増えたという人もいるが、書ける字は確実に減ったはず。せめて幼少期には手書きで体に漢字を覚え込ませることが必要なのではないか」

携帯メール送受信回数と日本語力

押し寄せるIT(情報技術)の波。手書きや対面といった従来型のコミュニケーションの機会が極端に減る一方で、電子メールや携帯メールの利用頻度は増え続ける。

しかし、携帯メールに詳しい日本大学文理学部の田中ゆかり教授(日本語学)は「(携帯メールのコミュニケーションで)新たな語彙(ごい)を獲得するのは難しい」とみる。そこでのやりとりは親密な間柄の「おしゃべり」に限られるからだ。丁寧な言い回しや敬語といった配慮表現が絵文字や記号に取って代わられることも多く、言葉を尽くして伝える訓練にはならない。

「短文化」も加速している。田中研究室に在籍していた立川結花さんが平成17年、大学生の携帯メール約400件を分析したところ、1件平均の文字数は約30字で、5年前の調査結果の3分の1にまで減っていた。「相手に悪く思われないためには、30秒以内に返信するのが暗黙のルール。送受信の頻度は上がり、極端な場合、1文字だけのメールがやり取りされることもある」(田中教授)のが実情だ。

興味深いデータがある。

独立行政法人メディア教育開発センターは昨年、大学生約1200人の1日平均の携帯メール送受信回数と日本語の基礎学力の相関関係を調べた。「中学レベル」と判定された学生の平均が1日約32回だったのに対し、「高1レベル」は約27回、「高3レベル」は約15回。送受信回数が多い学生ほど日本語テストの点数が低いという結果が出た。

「言葉足らずなやりとりなので、送受信回数は増える。結果として、読書などの時間が削られ、語彙力の低下を招いているのではないか」

調査を取りまとめた小野博教授(コミュニケーション科学)の分析だ。

言葉知らないと「あの人の話は分からない」

本の街、東京・神田神保町にある国語作文教育研究所。所長の宮川俊彦さんは長年、企業や官庁の昇進や入社試験の論文などに目を通してきた“表現の定点観測者”だ。約400社から依頼を受けた昨年は、1000作近くを読んだ日もある。実感するのは「語彙が乏しく、表現力が極めて低下している」ことだ。

音楽関連の会社が志望者に課した「友情」というテーマの論作文がとりわけ印象に残っているという。「友情は大事」「友達は大切。いつまでも一緒にいたい」…。乏しい語彙で、わずか数行しか書いていないものがかなりの数に上った。

宮川さんは言う。

「昔と違って電話やメールがあれば隣近所で協力し合わなくても生きていける。無理にコミュニケーションする必要がないから、知らない言葉に出くわしても『あの人の話わからない』で済ませればいい。そんな環境の変化も影響しているのではないか」

IT化の流れはいや応なしに進む。新時代に対応した日本語教育はどうあるべきか。明確な答えは、まだ見えてこない。(海老沢類)
(2007/05/01 11:05)
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現在、18歳人口は80万人程度です。景気が良いという実感は少なくても、後期高等教育(高校以上の教育)への要求は、日本の経済が高度化したこともあり、それへの対応を求め一定の要求があります。

現在、日本の大学は約800校を数えます。大学の収容定員は約50万人です。高校3年生の大半(9割近く)が、後期高等教育機関(大学・短大・専門学校)への進学を希望しています。
全体で70万人程の進学希望者の内訳は、大学への進学を希望する者の数は約50万人です。
全大学の収容定員合計は50万人ですから、(進学希望者)全員を収容することができます。
2007年、今年から、大学への進学希望者合計数と全大学の収容定員合計が一致します。
つまり大学を選ばなければ、進学希望を持つ者は誰でも全員、「大学進学」を現役学生として実現できるようになったわけです。
分かり言えば、大学を選ばなければ、誰でも大学へ進学できるわけです。
入学試験は無くなったのと同じです。受験者が大学を選ぶ時代(環境)になったわけです。

しかし、現実の社会は、そのようにはなりません。
一定の歴史また伝統を持つ大学が、進学希望者の心を擽り夢をかき立てるようです。
その意味で、進学希望者に対し一定のシェアを持つ大学は、いまもなお、進学希望者(受験生)を選抜(入学試験で振るい)します。

今年、齋藤佑樹君や福原愛さんを入学させた早稲田大学の新入学者数は1万人です。学部生だけで単純に4万人を抱えます。実際には留年する学生も出ます。大学院生もいますから凡そ5万人の学生が、首都圏の各キャンパスに在籍し往き来しているわけです。
こうなれば巨大な産業ともいえます。
私立大学の主たる収入の素は、学生生徒納付金(つまり授業料・入学金)です。早稲田大学は単純計算でも、授業料合計で600億円、入学金合計で50億円は確保していると考えられます。この他に受験料収入(入学試験検定料)で35億円は確保しているはずです。
つまり685億円程度の固定収入を確保しているはずです。
慶應義塾大学も、ほぼ同様の数値で基礎的な財政を構築しているものと考えられます。
関西の私立大学では、大手どころの頂点が立命館大学でしょう。財政規模では、近畿大学、関西大学、同志社大学が続くのでしょう。
大学は(知的)サービス産業です。

一方で、全入時代を迎えた大学は、学生の幼児化現象と向き合わなければならない事情を抱え込んでいます。
この記事を担当している筆者は、大阪の国公立大学に籍をおいていますが、学生の幼児化は国公立大学でも避けられず、学部の授業(専門科目)で、現況の事情を講義していても、私語が飛び交い授業を成立させるのに苦労しています。
余りにも酷いので、大学院生の助けを借り、授業中に私語を止めない学生へは強い警告を行った上で、学生証の取り上げと退室を科すようにしました。最近、ようやく授業を予定どおり進行させられるようになりました。
真面目に授業を受けている学生に対し、自らの私語が迷惑であり、なおかつ授業を妨害しているという認識がない点に驚愕させられています。
必須科目ではないし、評価は大変厳しい授業を志願してくるのだから、それなりに学習への覚悟があるものと考えるわけですが、幼児化した学生はそのように考えないらしいから不思議です。

このような現象を、どのように分析すべきかと連休中に漠然と考えておりましたところ、産経新聞のWEBに興味深い記事が掲出されましたので、一つの事例として引用紹介しておきます。
いまの学生の断面を、漫才師のロザン宇治原君が指摘しています。
宇治原君は、関西でも日本でも頂点に位置する大学の卒業者です。

引用開始→ 【コラム・断】大学全入時代の憂鬱   (産経WEB)
新しい時代がやってきました! そう、「大学全入時代」です。

大学に入りたいと思う人が、大学を選ばなければ全員入学できる。過去にきびしい受験戦争を戦った人からすれば、夢のような時代です。

先日、ある番組でこんなデータが出ていました。将来やりたい職業が決まっているという高校生が、過去に比べて減っているというのです。これだけを見て、精神年齢が低下していると感じるのは、そしてそれが大学全入時代と関係があると考えるのは、偏見でしょうか?

僕は大学に入るころには「漫才師になりたい」という夢がありました。でも大学に入るときに夢があるという人は、もしかしたら少数派かもしれません。

やりたい職業が早く決まる人がエライ人ではないです。大学に入ってやりたいことを見つけようという考え方は決して悪くないです。ただ、見つけようとも考えず、「大学に入ったからとりあえずあと4年遊べる」と本気で考える人口が増えていったら、大問題です。

大学生に限らず、若者の犯罪がニュースでとりあげられるとき、「その動機でそこまでする?」と思うことが最近多くないですか? 法律の上では、処罰する年齢をひきさげたり、子供を大人のように扱う風潮になっていますが、逆に中学生や高校生、あるいは大学生になっても発想が幼稚な人、つまり精神年齢が低い人が増えているのだとしたら、こわい時代です。

あれ? 夢のような時代の話がしたかったんですが、途中でかわってしまいました。

大学の意義をもう一度考え直してもいいかもしれません。そうすれば、僕のように大学に入ったのに漫才師になるという、税金の無駄づかいをする人も減るでしょう。(漫才コンビ「ロザン」・宇治原史規)
(2007/05/04 08:35)
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