大阪市長選挙の感想!雑感!想定どおりでしたなぁ~!
いろいろな人、いろいろな立場の方から様々な質問を受けた。
一番面白かったのは、大阪らしい質問で、
「どっちが勝つねん?」、「誰がリードしとるんや?」、「情勢はどないなん?」。
この3点が圧倒的に多かった。
双方の陣営に関わる関係者から情勢の見立てと意見を求められた事もあった。
常に「分かりません。今回は『票読み』が難しいんですワ!」と答えてきた。
ホントに情勢判断は難しかった。
しかし、浮動票の行方を掴んだ方(掴める方)が勝つことだけはハッキリしていた。
それと投票率が勝敗を左右する。
大阪の市長選挙は、低投票率が伝統だった。その場合は、確実に票読みができる。
いわゆる関係者しか投票しないのだから、統一地方選挙を始め、衆議院議員総選挙、参議院議員通常選挙、知事選挙などの得票を分析すれば、ほぼ掴めるワケだ。今回は掴んだ票だけでは話にならない。
なぜか、大阪市長選挙で初めて「争点」らしいモノが登場したからで、そのため、多くの市民の関心を惹いた。そうなると知名度やらという掴み所のない要素が選挙戦で重要要素になる。ところが大阪市民は捻りが好きだから、知名度や人気指数を捉え単純に割り切ることはできない。
関 淳一氏(72)(無=自民・公明推薦)
自民党には逆風(アゲインスト)が吹き荒れている。
公明党への風は、自民党の風と同じか?ここが最大のポイントだったように思う。
平松邦夫氏(59)(無=民主・国民推薦)
民主党には追い風(フォロー)と考えてよい。
国民新党の風はどうか、微風手前状態だったろうか。
姫野浄氏(72)(無=共産推薦)
共産党はそれなりの微風というところか。
社民党はべた凪だろう。
こんな状況を考えれば、民主党には絶対有利と判断できるだろう。
しかし、大阪市議会の議席数(80ほど)で民主党は20議席ほどだ。
自公で70%程度だから、この点を考え、自民党の組織がどの程度稼働するかが読み切れない。また公明党の組織はフル稼働するだろうが、相次ぐ選挙で疲れも溜まり足腰は弱体化している。
すると、どうなるか?
こんな情勢分析をベースに各候補の票を算定するワケだが、市議会各議員の選挙事情も絡んでくるから、本当に読み切ることができなかった。
ここへ市民派を志向する橋爪紳也氏が参戦した。
実は、橋爪候補は、当初、自民党へ推薦を依頼した。
自民党は一本になれなかった。
別に、橋下 徹弁護士を押す勢力もあり、橋下か?橋爪か?で割れた。
次の展開を真剣に考える世代が、橋下か、橋爪かで意見を戦わせる中、「現職優先」現状維持という最も消極的な選択を進める層が依然大きな発言力と勢力を見せた。
この点は、公明党も同じだったのではないか。
関淳一(72)候補も、当初は、自民党は勿論、民主党にも秋波を送っていたように窺える。
この流れを止めたのは、参議院議員通常選挙で民主党が思わぬ勝利を得たことで、大阪府連を中心に「大阪市長選挙で相乗りはしない」と明言(最初は迷言?と囁かれた)。
とはいうものの、秋の入り口では、候補を絞れず口説けずお手上げ状態だった。
「また口先だけやろがぁ、なんちゅうこっちゃ!?」というのが下馬評だった。
大阪の都市政策で、様々な発言を意欲的に繰り広げてきた橋爪紳也氏は、前期で大阪市立大学の教授ポストを投げ打ち、大阪市長選挙への出馬を表明したという構図だった。
自民党(市議)のある層は、橋爪候補擁立へ精力的に動く。一時は、「世代交代やむなし」との流れが出始めた。しかし、民主党の支持を得ることが決定的にできなくなった関 淳一候補は、陣営を挙げて自民党と公明党へのアプローチを猛然と開始。
従来の腐れ縁もあり、自民党はいよいよ割れた。関 淳一候補の側も、自民党の要望を取り入れた政策を組み込み「マニフェスト」を構築する。
この政策というかマニフェストが、選挙戦開始前から大きな批判を呼ぶ結果となり、最後まで意志統一できなかった。
橋爪候補は、研究者の陥穽そのもので、先んじて「自ら信じる政策」を掲げてしまった。政党の推薦を受けるには「政策の擦り合わせ」が最重要要件であるにも関わらず、先行したわけである。これは多分に自信がそうさせたのであろうが、「選挙は素人、政治は素人」であることを露呈してしまった。
一応、自民党との間でご自身の政権公約を述べる場を得たが、色よい返事を得ることはできなかった。「選挙は素人、政治も素人」ぶりを見せたわけだ。
関 淳一候補は、橋爪陣営の動きを十二分に研究した上で、自民党との政権公約協議に臨み、必要な手立てを経た上で「推薦決定」を確立した。
この動きを静かに見続けた民主党は、平松候補の担ぎ出しを図るべく口説き落としに全力を挙げた。そして遂に口説き落としに成功した。
これで18日の投票日に至る流れができ、いわばこの瞬間に、大阪市長選挙の構図が完成したというわけだ。
ここまでくれば、自民党は関 淳一候補で戦う以外に途がなく、公明党にも強制的な共同推薦要請に出たわけで、公明党内には「関 淳一」で勝てるのか?と不満が生じたものと見ている。しかし、国政も大阪市政でも「自公」で手を組み臨んできた事もあり、殆ど腐れ縁を追認する事へ舵を切らざるを得なかった。
自民党の敗北要因は、世代交代を断行できなかった事だ。前回の選挙から、この度の日程は分かっていた筈だ。大阪市政の課題もよく理解していた筈だ。それでも次の候補を探すことはしなかった。現職、関 淳一氏への憐憫もあったろうし能力的にも体力的にもできなかったというべきだろう。従って、最も重要な決戦の時に得意の(無能な)先送りをしてしまった。
足下から批判が起きる候補を変えることができなかった。
「政治は非情なモノである」。「(いまの)自民党は、非情になれなかった」。
小泉の自民党なら、もっとドライに仕切っていたかも知れない。
自民党は大阪では、自らは何もせず、公明党に頼り切った。従って、平松候補の獲得票を分析すれば、自民党からも流れた票(5万票差のうちいくらか)があることを窺う事ができる。よくよく分析することが大切だ。
橋爪氏は8万票余りを獲得した。惜敗とはいえない。完敗である。
自らの論理が正しくても、それが先走ってしまうと、巨大都市の政党政治による民主主義では風は起こせない事を理解されるようお勧め申し上げる。
「政治とは、真にバカバカしいことでも、呑み込む度量が要請される」事を、よくご理解願いたい。
「選挙が始まれば、評論はしない、意見も述べない」、これが「コラコラコラム」の方針である。「選挙の自由妨害罪」に当たらないよう、これまでも言論戦を見守る立場を貫いてきた。今回も同じようにした。
そこで、終わったから、
「まぁ、想定どおりの結果になったなぁ~!そやから、言わんこっちゃないやろぉ~!」。
以上の言葉を、全ての質問者へのお答えとしておきます。大阪の友人達への解説です。
余談だが、関 淳一候補は大阪市立大学の卒業者、橋爪紳也候補も大阪市立大学の卒業者、これでもし橋下 徹弁護士が候補になっていたら、大阪市立大学の関係者による戦いになっていたわけだ。加えて、大阪市役所は大阪市立大学卒業者が多くの部門で活躍する面もあり、何のことはないとマスコミから袋だたきの餌食にされたかも知れない。
引用開始→ 大阪市長に平松氏・民主、国民新推薦 (日経NET)
当選が確実になり民主党大阪府連の平野代表(右)らと万歳する平松邦夫氏(中)=18日、大阪市北区
任期満了に伴う大阪市長選は18日、投開票され、元民放アナウンサーの無所属新人、平松邦夫氏(59)=民主、国民新推薦=の当選が確実となった。現職の関淳一市長(72)=自民、公明推薦=は3選を果たせなかった。(21:25)
Copyright 2007 Nikkei Inc. / Nikkei Digital Media, Inc. All rights reserved. ←引用終わり
引用開始→ 大阪市長選、民主など推薦の平松氏が初当選 (讀賣On Line)
大阪市長選は18日、投開票され、新人の元毎日放送アナウンサー・平松邦夫氏(59)(無=民主・国民推薦)が、3選を目指した現職・関淳一氏(72)(無=自民・公明推薦)、元共産党市議団長・姫野浄氏(72)(無=共産推薦)、元大阪市立大教授・橋爪紳也氏(46)(無)らを破り、初当選した。
公選制になった1947年以来、同市で初の民間出身市長が誕生する。投票率は43・61%(前回33・92%)で、71年に統一地方選と別日程になって以来、最高となった。
福田政権誕生後、初の政令市長選で、共産党以外の主要政党の相乗りが44年ぶりに崩壊した。
選挙戦は、「職員の厚遇問題」を機に始まった関氏の市政改革が争点になった。平松氏は「市民の手に市政を取り戻そう」と民間出身をアピール。「市民の生活に必要な事業まで削られる」と市政改革を批判し、支持を広げた。
(2007年11月18日22時3分 読売新聞)
Copyright © The Yomiuri Shimbun. ←引用終わり
引用開始→ 大阪市長に平松邦夫氏 4氏破り当選 (asahi.com)
2007年11月18日22時32分大阪市長選は18日、投開票され、元毎日放送アナウンサーの平松邦夫氏(59)=民主、国民新推薦、社民支持=が、いずれも無所属で現職の関淳一氏(72)=自民、公明推薦=、元市議の姫野浄氏(72)=共産推薦=、元大阪市立大教授の橋爪紳也氏(46)、人材派遣会社員の藤井永悟氏(31)の4氏を破り、初当選した。助役など市幹部経験のない市長誕生は戦後初めて。関氏が進めた市政改革を見直すかどうかが焦点になる。投票率は43.61%で、前回33.92%を9.69ポイント上回った。
大阪市長選で当選を決め、支持者らと万歳する平松邦夫氏=18日午後9時24分、大阪市北区
同市長選は福田政権発足後初の大型選挙。自民、公明両党が推す関氏と民主党が擁立した平松氏の事実上の一騎打ちとなった。自公対民主の対決構図になったことで、各党は「総選挙の前哨戦」と位置づけ、連日、党幹部を投入、国政選挙並みの態勢で臨んだ。平松氏は長年にわたって助役出身者らが市長を務めてきたことが職員厚遇問題などの温床になったとして「民間から市長を」と訴え、徹底した市政の情報公開を主張。一方で数値目標を掲げて職員削減や歳出削減を進めた関氏の手法を「希望を持てない」と批判し、市役所の職員労組との対話姿勢も打ち出した。
告示日には民主党の小沢代表が辞意表明するなど、当初、党の支援態勢にも影響が出ると見られたが、連合大阪や職員労組が全面的に支援。投票率も前回を大幅に上回り、無党派層の支持も集めた。
(WEB朝日新聞社asahi.com) ←引用終わり
追加引用紹介:(2007/11/19 2330)
投票前の各陣営の認識を追加紹介します。
引用開始→ 07大阪市長選:あす注目の審判 激戦の選挙運動通じ、主な4候補の手応えは/大阪 (毎日JP)
大阪市長選は18日投票、即日開票される。立候補しているのは、▽元市立大教授、橋爪紳也氏(46)▽元アナウンサー、平松邦夫氏(59)=民主・国民新推薦▽現職の関淳一氏(72)=自民・公明推薦▽元市議、姫野浄氏(72)=共産推薦▽派遣会社員、藤井永悟氏(31)の5人。街頭などで選挙運動を繰り広げてきた4候補の陣営に、手応えを聞いた。【井上直樹、久木田照子、大場弘行】
◇橋爪紳也陣営 竹村徹・事務所事務局長
インターネットのホームページを活用した幅広い情報発信を目指し、マニフェスト(選挙公約)のダウンロード数は約4万8000件に上った。候補者や推薦人が語る映像も配信し、市政に懸ける思いを伝えられた。政策などについて、他候補との違いを書き込んだビラも配り、丁寧に読んでもらえている。市民と街の未来を考える姿勢に共感が広がっている。
◇平松邦夫陣営 森本実・総合選対本部事務総長代行
出馬表明が出遅れたが、街頭に立てば立つほど好感度が上がっている。最終盤はガラス張りの選挙カーで市内をくまなく回り、できる限り多くの人に姿を見せたい。民主党の小沢一郎代表の辞任騒ぎもすぐに沈静化し、ほとんど影響はない。民主議員や連合大阪などもフル回転し、現職と横一線に並んだという感触だ。浮動票の行方が勝敗を決めるだろう。
◇関淳一陣営 武智虎義・選対事務局長
今回の選挙は思いもよらない対決的な選挙で、かつてない激しいものになった。動きとしては出遅れたが、われわれは市政改革をやり遂げる不退転の戦いと位置づけ、自民、公明両党の熱心な選挙協力もあって後半は納得のいく戦いを進められたと思う。市民も改革が必要だという主張を徐々に理解してきてくれており、最後まで必死の訴えを続けたい。
◇姫野浄陣営 福井朗・「大阪市をよくする会」事務局長
6月の出馬表明以降、本人や支持者が有権者と対話する「100万人作戦」を展開してきた。選挙戦でも市内全域の街角で繰り返し演説をしており、今回初めて行ったミナミのアメリカ村では、予想以上の数の若者が足を止めてくれた。大型開発や同和対策事業などを見直し、税金の無駄遣いを省くとの主張を直接伝えることで、支援の輪が確実に広がっている。
◇以下中略◇
◇立候補者(届け出順)
橋爪紳也(はしづめ・しんや) 46 無新
[元]大阪市立大都市研究プラザ教授[歴]京都精華大人文学部助教授▽大阪市立大大学院文学研究科助教授▽雑誌「大阪人」編集委員▽法善寺横丁復興委員会専門委員▽阪大院
平松邦夫(ひらまつ・くにお) 59 無新
[元]アナウンサー[歴]毎日放送北米支局長・ソフト企画局チーフプロデューサー・役員室長▽同大=[民][国]
関淳一(せき・じゅんいち) 72 無現(2)
市長▽医師[歴]大阪市立大医学部助手・講師▽市立桃山市民病院副院長▽市立桃山看護専門学校長▽市環境保健局首席医務監・環境保健局長・助役▽大阪市立大=[自][公]
姫野浄(ひめの・きよし) 72 無新
[元]市議[歴]松下電器産業社員▽松下電器産業労組十三支部書記長▽市議会民生保健委員長・環境対策特別委員長▽共産党市会議員団長・府委員▽大分工業高=[共]
藤井永悟(ふじい・えいご) 31 無新
派遣会社社員[歴]情報機器メーカー社員▽大分大
(本人の希望で写真は掲載しません)
毎日新聞 2007年11月17日
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