ウィークリー・ベトナム・ニュース (最終回)
■ 平成20年01月19日 土曜日 第150号
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■ こんにちは!!
いつもお世話になっておりますベトナムから、ニャットアインです。
【ブログ版へ移行のお知らせ】
週刊ベトナムニュース読者の皆さまへ
3年に渡り、毎週土曜日に皆さまのもとへ配信して参りました、メルマガ「週刊ベトナムニュース」ですが、今週・第150号をもちまして、ブログ版ヘ移行することに致しました。と、同時に更新は不定期となります。ブログ版は従来より、週刊ベトナムニュースの下書き用として日々利用してきたものですが、ヤフーのお奨めブログ並びに、メルマガ大手マグマグが主宰する、”アジア新興国投資ブログ集” http://asiamoney.mag2.com/ に採り上げられたのを機に、完全移行することに決めた次第です。
ブログ版:This Is ベトナム(明日の寿司より今日のラーメン)
http://blogs.yahoo.co.jp/nhatanhj1
最後に皆さまの益々のご健勝とご活躍をお祈り申し上げ、ブログ版移行のご挨拶といたします。この場をお借りして御礼申し上げます。
主筆 拝
それでは、最終版になりますが、
今日もここ一週間のベトナムの主なニュースをご笑覧下さい。
翻訳は直訳とせず、日本語に馴染む意訳としておりますので、ご注意下さい(笑)また、訳者の独断と偏見を交えた辛口寸評を入れてみました。内容が片寄り、言葉が多少過ぎる箇所も多々あろうかと存じますが、これもベトナムを愛するゆえの諫言とお許し下さい。
誤字・脱字はご愛敬ってことでお願いします<(_ _)>
尚、記事の転送は営利目的以外なら原則自由ですが、自己責任において行い、その中で被った被害・損害に対し筆者は責任を負えませんのでご了解下さい。
ベトナム・ニュース その150 今週のヘッドライン
* 01月14日(月) ゲーム中毒の対処法
* 01月15日(火) 最低賃金引き上げも効果ナシ
* 01月16日(水) ハノイ建都千年紀年カウントダウン始まる
* 01月17日(木) 高級アパートのクリテリア策定を急げ!
* 01月18日 (金) 外資に有利な労働法を労働者の手に!
* 01月19日 (土) 証券担保貸付制限緩和?!
01月14日(月) ゲーム中毒への対処法
*今年45歳になる母親のグエン・ティ・ミンさんは、彼女の15歳の息子ダットくんが学校の無断欠勤を繰り返し、放校処分されるまでオンラインゲーム中毒であることを知らなかった。「ダットくんは1年生から8年生まで成績優秀な素晴らしい児童生徒でしたよ。ところが、彼と同じ学校に通う、うちの子供の懇談会で担任教師からダットくんがゲーム中毒で学校を辞めさせられたことを聞き愕然としました。」と話すのはミンさんのご近所さん。
3年前にミンさんの自宅近くにインターネットショップが開店すると、ダットくんは学費に使うという理由で、より多くのお小遣いを求めるようになったという。毎朝、きちんと登校し、決まった時間に帰宅する少年から、母親のミンさんがゲームに嵌り込んでいるなんて疑う余地すら無かったそうだ。「まさかうちの息子に限って、、、学校をずる休みしてネットカフェでゲーム三昧の日々を送っていただなんて未だに信じられません。」とミンさん。
ところが、放校された途端、ダットくんはそれまで以上にゲームに興じるようになったのであった。自分の自転車や腕時計、その他お金になる物は総てお金に換え、ゲームに費やすようになってしまったのだ。現在、困惑した母親は、息子をゲームから引き離し学業に戻すため、ホーチミン市内の学校への転入を検討しているそうだ。
グエン・ティ・ミンさんだけが特殊なケースに陥っているわけでなく、昨今多くの親たちがゲーム中毒に罹った子供たちをパソコンから引き離す方法を捜しているのだ。ゲーム中毒に罹りやすい子供たちの多くが元々、勤勉で従順な性格なのだが、しかし、好きなゲームキャラクターを模倣して人格が変わり攻撃的になる者や逃避癖をつけるようになってしまうという。
「うちの娘は未だ12歳です。しかし、ゲームのオーディションで遊んでから、彼女は私に流行服を買うようせがむようになり、おまけにそれを着ては鏡の前で踊り狂うようになったのです。」と話すのはホーチミン市8区在住のホアン・リンさん。多くの親が今では子供に妥協し、自宅でオンラインゲームをやらせているそうだ。「私は2000万ドン(1250米ドル)のパソコンを息子に買い与えました。息子をわけの判らない人々で賑わいを見せるネットカフェで遊ばせるよりは自宅で遊ばせた方が安心ですからね。」と5区在住のルー・ハさん。
ホーチミン市師範大学の心理学講師ヴォ・ティ・トオン・ヴィさん曰く、ゲーム中毒に罹った子を持つ親たちはしばしば短気に走り、ゲームをさせないよう圧力をかけ易いものの、親たちがしつこく言えば云うほど、逆に子供たちは親の言うことを聞かなり、そして圧力をかければかけるほど子供たちは外に自由を求め家から離れて行くと説く。「親の対処法は、兎に角、落ち着き子供たちにとって健全なライフスタイルを創造するように心懸けることなのです。つまり、仮想世界では味わうことの出来ない現実世界を環境として与えるのです。サッカーや水泳などのスポーツをさせるのです。そして定期的に担任の先生と連絡を取り合い学業の進捗を確認することです。子供たちのお金の使い方に注意を払うことは子供の問題を素早く顕在化するのに役立つばかりか、解決の糸口を見つけやすいのです。」と、ヴォ講師。
(辛口寸評)
今回の記事を読む限り、なぜかベトナムも嘗て日本が高度成長期に歩んで来た道をなぞるようにして歩んでいるとの印象を持った。特に、「うちの子に限って!」といったセリフは、僕が中学生の頃、あらゆるメディアを飾ったモノで、土壇場になるまで、親は子供の素行を気付かずに、事に及んで狼狽える描写は、昭和50年代によく見聞された話しでもある。日本の場合、この後にインベーダーゲームが登場し、社会現象にまで発展するようになるが、さて、次にベトナムの子供たちを待ちかまえているものは何だろう。
やはりオンラインゲームが今後も主流をなして行くのだろうか?実際、ネットカフェで手軽に最新ゲームに触れる事が出来るという意味においては今のところオンラインゲームに対抗するモノは無い。
世界的に大ヒットを飛ばしたファミリーゲーム ニンテンドーDSやWii、ソニーのプレステ、マイクロソフトのXbox、これらを現在、ベトナムで手に入れる事が可能になってきている。これらソフトウェアについては20数種類にも及ぶ安い海賊版が出回っているので、躊躇無く数を揃える事が可能だろうが、ただ、本体はかなり高額でベトナムの平均的世帯月額収入の三倍と、かなりの負担を強いるので当面、普及しがたいと思われる。
ところで、ここまで書いて、はたと思いついた!昨年末のクリスマスに、日本で手に入れたWiiなどのゲーム機本体を子供のプレゼントにしたご家族も読者の中に多いと思う。我が家もそのひとつだ。そして、ベトナムの海賊版ゲームソフトで楽しもうとしても、それは不可能なので悪しからず。。。どうやら、こちらで販売されているゲーム本体はいずれもコピーロックが外されているため、違法ソフトが利用可能だが、日本から持ち込んだオリジナル本体は、それが判別可能でロックが掛かり使えなくなってしまうとのことです。
01月15日(火) 最低賃金引き上げも効果ナシ
*今回の最低賃金上昇は、結果的にインフレに対する効果が無かったことが証明されたと、労働傷痍兵社会省給与政策課のファム・ミン・フアン課長は憤る。労働者たちやエコノミストたちも同様に考えているという。ハイタコ社の従業員ディン・スアン・トアンは、「私の月給は約20万ドン(1480円)上がりましたが、物価上昇率はそれを遙かに凌いでいるのです。一杯のフォー(うどん)の価格は6000ドン(約44円)から10000ドン(74円)~12000ドン(88円)の間に値上がりし、一杯のお茶は500ドン(約3.7円)から1000ドン(7.4円)となっています。これでは昇給分がついて行ける筈がありません!」と訴える。ハイフォン社会保険課の社員ファム・ヴァン・マンさんは、「月給は上がり、始めは私も嬉しく思いました。ところが、直ぐに急激な物価の上昇が私の生活に変化を与えないことに気づき肩を落としたのです。
金融科学研究所所属エコノミスト レ・ティ・トウイ・ヴァン女史は、最低賃金の上昇は労働者の生活水準の底上げを図るためになされたが、思惑通りに事が運ばず、最低賃金の調整は未だ市場原則を包含していないと話す。国営企業の給与は、労働者の生産性に基づいて算出されたものではなく、労働傷痍兵社会省給与政策課が社会保険を設定する為に定められたものに準じて決められているのだ。これがインフレと連動し、折角の給与増加も効果のないものになってしまった。金融科学研究所国際金融課に所属するエコノミストは、賃金増加が無効に終わった主な理由が3つあると指摘する。一番大きい理由が、12%のインフレだ。二番目が、民間企業の給与は国営企業よりも高かった事。事実、多くの国営銀行の行員が民間銀行に転職ラッシュが、この事を裏付けている。三番目の理由として、いくつかの企業は給与を上昇させる変わりに他の収入、例えば賞与や手当を削った事などが上げられる。
労働傷痍兵社会省給与政策課のファム・ミン・フアン課長は、生産性に拠って労働者の賃金が支払われるように変化させなければならないという。「国家は今後も民間企業と同等になるまで最低賃金を押し上げ続けるべきで、併せて国家は価格管理に目を光らせる必要がある。価格の管理がされている時の昇給ほど効果的なものはないのだから。」と述べた。
(辛口寸評)
我が社でもご多分に漏れず、今月5日の給料日から各従業員の昇給を行った。国が政策として決めた昇給なので、従ったわけだが、本来、うちの昇給は旧正月明けの翌月、つまり今年なら2月が旧正月月なので3月の給料から昇給となるわけだ。当然、この昇給は毎年恒例の既定事実なので、臨時国策昇給が行われたからと言って“ナシ”にするわけには行かない。結局、3月の昇給分を半分に割って、1月・2月にそれぞれ5割ずつ給料に上乗せすることで決着を図った。大手企業はいざ知らず、ベトナムの中小零細企業のほとんどは、こんな感じでお茶を濁したのでは無いだろうか?しかし、この事を国は非難出来ぬだろう。
世界的な原油高といった背景を考慮しても、昨今のインフレの増加は嘗て無いレベルにまで上昇しており、これを招いたのは短期利益を目論んだ不動産投資に関わる規制が後手後手に回り、金余り減少を生じさせたからに他ならないのだ。漸く、規制に踏み切ったものの既に時期を失した感は拭えず、今年GDP目標を9%と打ち出してはいるが、結局、高インフレ率に足を引っ張られる形で目標達成は危ういものとなると思われる。
01月16日(水) ハノイ建都千年紀年カウントダウン始まる
*一昨日の晩 ハノイっ子たちは群れをなして市中心部にあるホアンキエム湖のバアチイユ寺を詣で、ハノイ建都1000周年紀年日までのカウントダウンを開始した。1010年、当時の都はタンロン(昇竜)と呼ばれ、長きに渡る悠久の歴史を記念し、7メートルもある巨大でユニークなデジタル時計が設置された。その時計の屋根と二本の柱は、クエ・ヴァン・カック(文学パビリオン)やヴァン・ミイウ寺(文学寺)などの伝統的な建造物を参考に造られたもので、各々の柱には二匹の飛竜が彫り上げられている。「二匹の飛竜は、ハノイの旧名タンロンを表しています。」と話すのは、ハノイ市文化情報課のファム・クワン・ロン課長。
イベントは、コアン・カック・タンロン・ハノイ(タンロン・ハノイモメント)と呼ばれ、人民芸術家のレ・フン氏に指揮されたカウントダウンセレモニーは時計の表面を覆う五色の旗につけられた一文字を切り取るところから始まった。「二匹の竜はまるで千年間飛び続けてきたようです。」とフン氏、そして、カウントダウンの鐘は2010年10月10日の建都千年の本番をハノイっ子たちに強く意識させるだろうと添えた。数百人の俳優や芸術家、そして地元の人々が今回のこのイベントに参加した。
レタック通りやレライ通りでは古き良きハノイの想い出と題した野外展示会が開かれ、新旧ハノイの風景を撮影した巨大な写真パネルや絵画が展示された。この展示会にはハノイ博物館、レスパス、ハノイ文化基金に所属する地元やフランスからの写真家や絵描きなどが多数参加した。亦、ファッションショー、クッキング、手工芸品、カアチュ(ベトナム詩吟)やゲーム各種でレライ通りは充満し、19世紀のハノイ市民の生活風景を再現した。立ち食いの行商人らは、古いコスチュームのアオトウタン(ロングドレス)やカンモウクア(おでこにつける三角巾)を身に纏い、そして木靴を履きながら当時の販売スタイルで、お客を呼び込んでいた。
しかし、今回のイベントで最も人気の高かった見せ物は竹と木で造られた古いハノイの民家だった。家の中には、礼拝室・燭台・中国語が刻まれた漆塗りの奉納台、それに、黒檀に細工を施したベットと戸棚が収められていた。ラックヴィエットのパフォーマンスも催され、ハノイのホアンマイやタンチ区などから集まった民間有志により28匹の巨大な竜の演舞が、30台の中世の銅鑼の音に併せて繰り広げられた。銅鑼芸術家のレ・タン・バオさん75歳は、これまでに多くの都市や地方で演舞を指揮してきた経験を持ち、今回のグランドイベントに参加することが出来て大変嬉しいと感想を述べていた。今回のイベントのメインスポンサー契約をハノイ文化情報課との間で結んだのは、ペトロベトナム金融社代表取締役トン・クオック・チュン氏だった。
(辛口寸評)
ハノイ建都1000年まで、後2年余り。そのカウントダウンがいよいよ始まったという。否が応でも、市民の期待と盛り上がるは日を追う毎に高まりを見せることだろう。さて、今日はハノイっ子について、独断と偏見のもとに語ってみよう。先ず、ハノイ住民であることに強いプライドを持ち、ハノイ以外は何でも見下す傾向にある。亦、純粋なハノイ弁を話せることが、重要な要素となる。我々、発音を二声で賄う日本人には理解しにくい話しだが、六声もあるベトナムの発音では、音の違いが明確にその人物の出身地・出身階層などを代弁する。故に、純粋なハノイ弁が話される地域も限定され、ハノイ中心部のホアンキエム区・ハイバーチュン区・バーディン区・タイホー区・ロンビエン区とドンダ区の一部となる。拠って、ここから外れると行政区画はハノイ市内にあってもトーリエム・ザーラム・ヴァンディエン・ドンアン各区の言葉は純粋なハノイ弁では無くなる。
ましてや、域外のハードン辺りは、完全にハノイっ子が、認めるハノイ弁では無く単なる北部弁でしか無くなるわけだ。
とはいえ、ベトナム最強のプライドを持つハノイっ子ではあるが、実はハノイの女性の多くは、サイゴン男の話すサイゴン弁。しかもビジネスの中で話されるそれに強く惹かれるという。どうやら、その根底には洗練されたビジネスはホーチミンと言うイメージが彼女たちの中に根強くあるらしく、劣等感の裏返しみたいなところが彼女たちの耳元を快くくすぐるらしい。それが証拠に、うちの会社でもハノイ在住の取引先(この業界、マネージャークラスは女性が主流を占める)とトラブルが起きたり、或いは値上げなど話し辛い話題を告げなければならないときは、ハノイ支店のスタッフに対応させるよりも、ホーチミン本社から直接 営業でも経理でも男性マネージャークラスに対応させると、彼らのサイゴン訛りの魅惑的なバリトーンのお陰で、スムーズに問題解決に向かう事が多いのである。ウソだと思われる。そこのあなた!騙されたと思って一度お試しを。。。。(笑)
01月17日(木) 高級アパートのクリテリア策定を急げ!
*今月2日間限定で行われたホーチミン市のホアン・アン・リバービュー・アパートメントの580戸の売り出し申込に6000名の人々が殺到した。一戸の売出し価格は最高が53億ドン(約3925万円)となり、このハイグレードアパートメントフィーバーは、ハノイにも飛び火したという。アパートメントの部屋、特にハイグレードの物は、特別な所有物で供給を需要が軽く超える減少が起きているのです。しかし、それが明確な統計結果として出されているわけではありませんが、、、。」と、建設省品質保証課のチャン・チュン課長は話す。
不動産コンサルタント会社CBリチャードエリー社の最新統計に拠れば、ハノイ構外の60の地域で現在200棟のアパートメント建設プロジェクトが立ち上げられており、ほとんどの物件が直ぐに市場で完売する勢いという。アパートメントの部屋への急激な需要の原因のひとつに国内外からの投資熱が隠れており、その勢力が一戸当たりの価格を15~20%も押し上げる原動力となっているわけだ。「数年前 チュンホア・ニャンチンアパートメントの一平米辺りの単価は、6~7百万ドン(約44000~52000円)だった。しかし、今では単価が更に勢いづいて上昇中です。例えば、ミーディン地域での部屋の一平米辺りの端かな14~15百万ドン(約103700~111111円)で、フォンサック地域では、現在17百万ドン(約126000円)にもなりますよ。」と不動産コンサルタントのグエン・ヴィエット・フック氏。
新たなハイグレードアパートメントの開発毎に日々物件価格は上昇しており、発売と同時に直ぐに完売する有様だ。人々は特に郊外のヴァンケ・ナムアンカン・バックアンカンなどの新興住宅地域の物件を買い漁っているのだと、フック氏。「人々は全盛期の70年代から80年代にかけて古い一戸建てを購入していましたが、フーミンフンやリンダムなどの新しい郊外型宅地が整備されるとアパートメントに目を向けるようになりました。そして、彼らの物件への見方が劇的に変化して行きました。」と、フック氏は続ける。「我々はハイグレードアパートメントの部屋を保安と利便性、そして環境面から選ぶのですよ。」と話すのはミーディン地区のアパートの一戸を所有するホアン・フエン・チャンさん。
とはいえ、ハイグレードアパートメントの所有増加傾向には思わぬ落とし穴も潜んでいるというのは既出のCBリチャードエリス社の調査結果で、ハノイ、ホーチミン市とも物件で約束された高い品質が満たされていない事が多々あることだ。最低限の投資本で多数建設されている中程の品質のアパート物件でも、ハイグレードとして宣伝されている。消費者は一般的に、余り深く考えずにそれらのアパートを安心して高いお金を払い購入して行くのだが、実際、彼らは入居してから、その物件本来の品質を認識することになる。「私は昨年4月に入居しましたが、壁は雨水でしみてしまっています。」と某氏。
多くの消費者は品質とレイアウトに関して無知である。取引はしばしば物件のドキュメントと見取り図だけを基準にして行われ、しかも契約は常に売り主に有利に造られている事が多く、消費者権利が蔑ろにされているのだ。いわゆるハイグレード物件客というのは1億ドン(約74万円)を家具代として余分に費やさなければならない。また、緑地が無かったり高さの異なったアパートの中の一角で、陽が当たらなかったりするものも非常に多くなってきている。
ある一部の企業はハイグレード物件客の悩みを商売の種に利用して、一平米辺り最高3千米ドルで、優秀なアパートの調査・斡旋などを開始しているという。売り主が契約に明記したサービスが履行されず、庭や運動場は契約よりも狭く、廊下の電灯が消えても何もなされず放って置かれたり、近所にあるはずの学校や病院がまだ建設されていなかったり、兎に角、この手の問題は日常茶飯事なのだ。ハイグレードアパートメントの建設基準などは未だ整備されていないと話すのは建設省住宅管理課のディン・ゴック・バック担当官。
同じ地域でもブロックが異なれば、それぞれ建設基準も異なっています。仮にひとつのブロックがハイグレードと考えられるのであれば、それ以外も物件も同じ等級と考えることが可能ですと話すのは、ベトナム建設投資輸出入会社の執行役員グエン・クオック・ヒエップ氏だ。品質及び販売価格ともそれを決定するのは常に売り主側なのだ。「我が社では物件のロケーション・空間・構造 そしてそれが所属するブロックに基づいて売値の設定をしています。」と話すのは第二ヴィナコネックス社のドー・チョン・クイン副社長。
建設省は3つのアパートメントの建設基準となるクリテリアを設けており、この基準に合致しない物件についてはハイグレード物件とするべきではないとしている。はじめに、ビルの基礎の安全性、そして構造(耐久性)だ。部屋は単に住むだけの空間では無く、人生を楽しむ為の場所でもある。故に、それらは快適さと美学の高い基準を満たさなければならないのだ。ふたつめは、物件の周囲のインフラ整備状況が整っているかを評価する。
インフラには道路・上下水道システム・学校・ショッピングや娯楽施設及び他の公共施設が揃っているか。最後のクリテリアは、サービス(例えば顧客の要求に応ずるために建物にもたらされる公衆衛生、建物警備と改善)を含を含んでいるかが対象となる。
中国では最近、アパートメント3段階の格付けが発表された。
A(A1)、AA(2A)、AAA(3A)といった具合。我が国の国立建築研究所は、中国の取り組みを自己に取り組むよう研究を始めたところで、中国に限らず国際的な経験値を少しでも多く取り込み現実に即した評価基準を出せるようにしなければならない。物件を購入する消費者権利を守りリスクを限定させる為に、消費者は少なくとも建設省が規定している消防安全基準合格証・エレベーターシステムの耐久性と品質保証書を保有している物件かどうかをはじめに確認すべきだ。先ずは自分たちの身は自分で守ることが大切である。現在、建設省もアパートメントのクリテリア策定について検討段階に入っているとのこと。
(辛口寸評)
ベトナムには集合住宅に対する明確な建設基準値が明確に定められて来なかった為、建設ラッシュに伴い、実際に問題が顕在化してきているのが昨今の実情なのだ。国内外の不動産デベロッパーが、ベトナム都市部の郊外を中心にアパート建設ブームを巻き起こしているものの、基本的に彼らの頭の中にあるのは自己の利益しかない。顧客に対する安全などは二の次で、先ずはいくら儲かるかだけが総てなのである。サイゴンに3年前に出来た巨大なアパートがある。このアパートを土地の人々は、サイゴンの斜塔と呼んでいる。実は、外から見てハッキリと解るほどに建物が傾斜しているのだ。実際、この物件を購入した人の話では、床にボールを置いた途端、コロコロと転がって行くそうだ。
元々、湿地帯ゆえ、今でも大雨が降ると道路が水没するようなところなので、基礎工事がいい加減だったか、さもなくば基礎柱の数をケチったかのどちらかだろうと言われており、不良物件の象徴となっているのである。幸い、このところのベトナム景気に湧いて新たに外国人が移り住んで来るため、ここぞとばかりに、コッソリ転売が始まっているそうだ。もちろん、新しい住人はそんなことを知らさせれるわけも無く、婆抜きのように不良品を掴まされる事となる。兎に角、ベトナムで不動産を買うにせよ、借りるにせよ、デベロッパーの営業の鵜呑みをせず事前に近隣住民に聞き合わせを行い、また可能であれば乾季より雨季の時期に物件を見定めると良かろう。雨季になると、水がその物件の品質だけでなく、地域がどのような状態になるか迄、克明に教えてくれるから、、、。
01月18日(金) 外資に有利な労働法を労働者の手に!
*労働者の生活の向上を図るため、中国政府は同国の労働法を改正するに至った。このニュースを知ったあるベトナムのメディアは、中国での労働法改正がベトナムへ拠り一層の外国直接投資の起爆剤になるだろうと予想した。地元新聞紙上で、外国系企業での労働争議が勃発したさい、ベトナムの関係法令は常に外国投資家側に立つ傾向があるという不満が掲載された。しかし、この新聞にその具体的ケースについての論評は一切なされていなかった。とは言え、労働者たちは常に外国人経営側よりも風下に立たされているのは疑う余地が無い。
外資を取り込むために、我が国では一部労働者の利益が無視されたりしている。例えば、外国企業用の最低賃金に関する規約があるお陰で、十分な賃金が支払われていないのだ。中国も以前は外資を取り込む為に労働者たちは僅かな賃金で働かされていたものの、低賃金労働力が時代遅れとなり競争力確保に役立たぬ事に気付いてからは、同国政府は労働法を改正し、労働者を守るようになったのである。
新しい労働法は導入時には、一部の外国資本を追い出すかも知れない。しかし、長期的に見れば、中国はこの結果から利益を得ることになるだろう。先ず始めに、改正労働法は労働者たちに力強い支持を受ける為、中国の労働者たちは雇用に対し真摯になり、スキルの高い労働人材の創造が可能となる。
次に、進出して欲しい外資を選ぶ事が出来る。これはこれでベトナムでの目標でもある。今日に於いては、総てを犠牲にしてまで、外資を誘い込む必要も時間も無い。
ベトナムは労働者を訓練するための戦略を策定し、彼らの能力に相応しい賃金が支払われるよう援助しなければならないのだ。我々は隣人が労働法を改正したのを指をくわえて眺めている場合では無いのである。
(辛口寸評)
前にも一度同じ様な寸評を書いた事があるが、中国が外資を誘致した頃、兎に角、産業を移植するため、国家と地方が一丸となりそれに努めた。その甲斐あって、製造業を中心に、一国で産業に必要な資材を賄え、そして世界の工場と呼ばれる迄に国力を押し上げた。そこまで来てから彼の国は、外国企業の選別を開始し、中国とその人民にとって益をもたらさないと判断した企業を追い出して行ったのである。一方、ベトナムはどうだったかと言うと、役人がワイロ欲しさに外国投資希望企業に対し、国家も地方も不文律、つまり担当役人のサジ加減で、最低投資資金を設定し、それ以下の企業を足きりしてしまったのである。結果、本来、安価な労働力を確保し、製品価格に反映させようとベトナムに工場を移そうとする多くの外国系中小製造企業が入って来れなくなり、最終的にベトナムは未だに自国で総ての産業物資を賄うことが出来ず、恐らく中国との差は今後も容易には縮まるまい。
そして今回、中国が労働者に有利な労働法に改正した事例を採り上げ、ベトナムもそれに倣えといった論調だが、“ちょっと待て”である。中国は30年という時間をかけ、臥薪嘗胆、国家の実力がつくまで我慢に我慢を重ね、漸く労働法の改正に踏み切ったのである。そこのところをベトナムは全く捉えていないのだ。先ず、労働法を論じる前に、がむしゃらに外資を誘致し、産業国家としての実力を蓄えるのが先決なのだ。公務員と国営企業従業員の週休二日制導入もそう。今までハイハイしていた赤ん坊が、漸く掴まり立ちが出来るようになったのが、現在のベトナムなのだ。突然の繁栄に目が眩み足下が見えなくなってしまっているベトナムに私は大きな不安を感じ始めている今日この頃だ。
01月19日(土) 証券担保貸付制限緩和?!
*国家証券委員会は、ベトナム中央銀行と共に論争の的となっている同行に拠る商業銀行に対する証券担保貸付制限を緩和してゆくと、同委員会ヴ・バン委員長は一昨日、ハノイで開催された2008年証券市場発展と展望の会合の席上、発表した。ベトナムインデックスは、2007年中旬にこの規制の発動以降、下落基調にあり、昨年6月末当時1024ポイントあったものが、一昨日の取引では808ポイントまで下がった。中央銀行行政指導3号規制の緩和に拠って、証券市場での取引の活性化を図り、証券資産総額をGDPの50%まで押し上げ効果を達成することにある。
バン委員長は、今回の行政指導は2007年上旬の加熱した証券市場を冷却し調整する効果は充分あった事を認めつつも、現状、国内投資家たちが投資資金不足に喘ぐ時期に於いて適用され続ける事は好ましくないと語った。「証券市場での株式供給過多が需要を圧倒しています。ですから貸出金利が、投資家にとって空きがあるならば現状のアンバランスは解決に到るでしょう。」と、バン委員長。
ベトナム証券協会のグエン・タン・キイ会長は会合の席上、今度の行政指導が商業銀行の不動産貸付担保を助長させ、結果的に追加的なアンバランスをもたらしていると指摘した。不動産融資には何の制限も課せられていないため、商業銀行は不動産投資には103兆ドン(約64億米ドル)を融資に回し、その一方で証券融資に向けられた額は僅か16兆ドン(約10億米ドル)に過ぎなかったという。「中央銀行はこれらのセクター間での貸出を拠り合理的にすべきで、証券市場で証券投資家へ拠り多くの機会を与えなければなりません。」とキイ会長は訴えた。
バン委員長は、仮に不動産投資への融資がきちんと管理されているなら、証券投資への融資も拡大されるべきで、多くの資金が証券業界に投入されなければならないと同意した上で、証券に拠り多くの対外投資を惹き付けるもうひとつの処置として証拠金勘定の整備・発展を提案した。
一昨日の会合で歯、OTC(未公開株市場)のより良い管理法と債権市場設立についても話し合われた。チャン・スワン・ハア財務副大臣は、店頭市場はOTC株をインデックス化し定め、信用格付けが可能な専門組織を設ける必要があると語った。上場企業連合会のグエン・ヴァン・タム代表は、投資家たちは証券投資に関する拠り大きな訓練をしなければならないと述べた。「教育を通じて、投資家たちは投資寺のリスクを削減し、群集心理に惑わされないようにしなければならない。」とタム氏。
バン委員長はタム氏の意見に同意した上で、教育が投資家たちのみならず、昨年、証券会社が起こした高い数字の規約違反を減少させるために証券ブローカーたちにも必要であると訴えた。昨年、国家証券委員会が与えた個人と法人併せた処罰件数は83件にも及んだ。証券教育センターは、教育システムを改善するために海外の教育機関等と連携して行くとバン委員長は結んだ。
(辛口寸評)
今日のテーマとは関係ないが、本日で休刊となる週刊ベトナムニュースに相応しく、ベトナム株をやる僕なりの心構えを書いておきたい。先ず、第一に長期保有の原則を忘れてはならない。これはと決めた銘柄は最低3年雨が降ろうが槍が降ろうが保有し続ける事である。特に、昨年、ベト株加熱時に取引を始めた投資家も多いと思う。今の株価からすれば、随分、高値掴みをしてしまったと嘆く向きもあるだろう。しかし、長期保有を明確な柱に据えたのであれば、がっかりする必要などさらさら無いのである。資金に余裕があるとき、それが高値だろうが安値であろうが、株に替えて保有するといった頭があれば好いのだ。
保有するうちに配当が出てくるし、株配も無償・有償を含めこの先、余程業績が悪化しない限りなされて行くもので、それにより所有株は必然的に自己の中で調整され、平均化されて行く。短期で大きなリターンを狙おうとすれば、それだけリスクも高くなるだけだ。まだまだ市場の小さなベトナムで、スイング取引は愚かだと云える。調整段階の今が、強力な“買い場”でもある。兎に角、自分なりに研究し、有望株と思える株があるのなら、あなたはそれが高いときも、安いときも、豊かなるときも、貧しきときも、その株を愛し、これを敬い 買い続けるならば、最後に微笑むのは あなた自身となるだろう。