巨大地震(M8)では、高層階30階で3メートル揺れる!実物大実動実証実験で。
兵庫県建築士会青年部を率いる友人の建築士から、23日の夜半、「急な話で申し訳ないが、24日に、時間がとれるのであれば、この実験を見学しないか?(見学者の)枠を貰えたので」との電話を受けた。
実証実験の時間を尋ねたところ、「午後3時」とのことだったので、その時間に三木市の「E-ディフェンス」を訪ねる事は不可能だと考え、せっかくのお誘いをお断りした。
そこで、NHKのニュースで報じられるまま集約された中身から経過を見守る事にした。
昨年の3月~4月にかけての実証実験を見学した際は、30階(相当)建ての2階(層)の実物大建築物だった。
今回は、重量鉄骨の5階(層)の建築物が画面で見えた。
最下層が30階という設定のようだ。
また、什器備品を固定した部屋と、未固定の部屋が準備され、一目でその違いが分かるように工夫されていた。
震動(波動)がかけられると建物は軋み音をたてながら揺れた。
その動きは、最初(1~2秒)は緩やかに見えたが、アッという間もなく猛烈な横揺れに移り、未固定の部屋では、人に見立てたマネキンの上に壁面にしつらえた本棚などの備品類が崩れ落ち襲いかかった。机は次の壁面まで吹き飛び激突して止まる。コピー機などは車輪のせいで床の上を走り回る状況だった。
固定された部屋は、いくつかの什器備品は震動(波動)を受けながら、それでも持ちこたえていた。
什器備品は天井までアンカー支材で完全に固定すると、倒れず持ちこたえていた点が印象深かった。固定された机も持ちこたえていた。その他、いくつか発見したと思うが、1分少しのニュース画像の中身を思い出せない。残念な事だ。
昨年は、実証実験後の建物内へ足を運び写真も撮り自ら確認できた。その凄まじさを現認したとき、改めて「阪神・淡路大震災」の日に感じ背中に記憶した揺れの波が鮮明に蘇った。あの恐怖の記憶は生涯消えないだろう。
24日の実証実験を伝えるニュース画像で、改めて地震の恐怖が蘇ってきた。
神戸大学大学院の大西先生がインタビューに応え、「通常、地震が起きたら、机の下へ潜り込む」と教えているが、高層建築では、建物の3メートルの揺れを受け室内を猛スピードで移動する。机そのものが凶器に変わる事を理解しておく必要がある」という趣旨の発言をしておられた。
なるほど「そのとおりだ!」。
「阪神・淡路大震災」の際にも、テレビが室内を激しく暴走しその直撃を受け命を落とされた方もある。
改めて、高層建築で仕事をする、生活をされる方には「正真正銘の恐怖」が襲う事になる。
世の中で生じるあらゆる事には、自らの能力と責任で適正な自衛手段を講じる事の重要性を確認する事になった。
友人の建築士の活躍に大きな拍手を贈りたい。まさに地道な業務であり日の目を見ない忍耐を必要とする時間との連続的な格闘だが、ここで得た貴重なデータが多くの市民の日常的な安全に、陰で大きく寄与する事実を述べる事で友人の責務を心から讃えたい。
引用開始→ 南海地震 高層ビル震動を検証 (NHK On Line News)
実験は、災害対策の研究をしている「防災科学技術研究所」と兵庫県の研究グループが共同で、三木市にある実験施設「E-ディフェンス」で行いました。南海地震などの巨大地震で周期の長い地震波に襲われた場合、高層のオフィスやマンションの室内がどの程度被害を受け、どのような対策が有効なのか探るためです。巨大な震動台の上に5階建ての建物を載せ、震動を増幅させる特殊な装置を使ってビルの30階での揺れが加わるようにしました。建物の中にはリビングルームやオフィスなどが再現され、家具や備品を金具や棒で固定していないと幅が最大で3メートルに達する大きな揺れで書棚などが次々に倒れたり、机が大きく揺れ動いたりして危険な状態になることがわかりました。一方、家具や備品を固定しておけば周期の長い地震でも倒れることはなく、室内の被害防止に効果があることがわかりました。神戸大学大学院の大西一嘉准教授は「机の下に入っても倒れた家具などが突っ込んでくるおそれがある。家具を固定するなどの対策が重要だ」と話していました。
1月24日 19時8分 (NHK News) ←引用終わり
建築士といえば、姉歯元一級建築士のように構造計算を偽造し多くの消費者の財産を滅失させる輩が出た事で、世間の信頼を失った。にもかかわらず、次は水落一級建築士が同様に構造計算書で再び偽りを冒したとか、世間を騒がす酷い輩が続いたけれど、実際、マジメに業務を担当している建築士の多くが社会のために役立つ事を目標に、日々、「人の命の安全・安心と、設計する建築物の安全・安心を提供するため」毎日毎日格闘している。一握りの馬鹿者のために、どれだけの人たちが白眼視され被害を受けていることか。本来の建築士は、産官学共同で、地域の快適さと安全を担保できる優良建築物の創造に地味な業務に淡々と取り組んでいるのだ。この点は、「コラコラコラム」をお訪ね下さる読者の皆様にぜひご理解願いたい。
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