「ベトナムの鐘」故郷(バクニン省)へ戻り博物館に収まる!
東アジアの国々は、「月暦・正月」真っ盛りである。業務を停止し、ゆっくり休むのはとてもよい事だ。
ベトナムのテト(正月節)に相応しい、心が温まる話題をひとつ!
その前に、ベトナムは、テト(正月節)を前にした日に、中部で、買い出しを急ぐ人達が川を渡るフェリーに制限以上乗り込み、多数の犠牲者を出したと報じられた。
見たわけではないが、いつも、しょっちゅう同じ経験をする側としては、生じた状況はよく理解できる。「どうして、船の乗船定員を守らないんだ?」などと言い、非難するのはお門違いで日本人の寝言に過ぎない。
まぁ、こんなモノでしょ!
日本も戦後、大変な貧乏を強いられたとき、正月用品の買い出しは、相当の決意が必要だった。使えそうなカネを各々が握りしめ、一日かけて、満員すし詰めの列車に乗り込み出かけるのである。
列車は満員だ。ステップに足を乗せられるだけでも幸せな方だった。あの頃の日本人は器用だったなぁ。先日見せられたインドの列車の満員の光景とさほど変わらない光景が、日本でも年末には繰り広げられていた。
いや、自らも親に連れられ、かなりの決意を以て買い出しツアーに参戦した、その記憶は今も鮮明にある。
都心の駅を降りると、賑やかな街の入り口には、白装束に陸軍帽を被った傷痍軍人が立ち、悲しげなアコーディオンの音と共に、寄付を求めるのに忙しかった。
いつの頃からか、その人達の姿も見えなくなった。1964年(東京オリンピック)の頃だろうか、いや、もう少し前のような気もする。
徴兵され、兵隊として扱き使われ、生命を保つ事ができたものの、自身の肢体は戦禍により不自由にされ、祖国へ戻りながら、ほとんど打ち捨てられた仕儀だったワケで。
日本も、戦争というか戦争被害が、すぐ横にあった。
ベトナムも同じなのだけれど。
それでも、東アジアの人々は、正月(準備)を買い急ぐのである。
河内的姐から、毎日新聞で紹介された「ベトナムの鐘」についてのメールを受けた。
早速、アクセスを試み、なるほどと感動し感心もした。
正月明けの9日からは、皇太子殿下の公式訪越がある。
いま、日本とベトナムは、様々な階層レベルで「友好関係」を維持している。
しかし、日本もベトナムを占領していた間、酷い事を繰り広げてきたのも事実だし。
それらを乗り越え、克服し、より高度なレベルの「友好関係」を構築したいと、河内的姐と同じように願っている。
引用開始→ ベトナムの鐘:返還から30年、バクニン省博物館で展示へ
(毎日新聞 2009年1月24日15時00分)東京・銀座の古美術店で77年に見つかったベトナムの梵鐘(ぼんしょう)が、今春にも故郷・バクニン省に開館する省立博物館で展示されることになった。太平洋戦争中に日本軍が持ち去り、作家の故松本清張さんらの呼びかけで返還が実現した。ベトナムのその後の戦乱や経済的混乱の中、倉庫で眠り続けた鐘は、約30年の時を超えて日越交流を物語る。【前谷宏】
◇77年に銀座で発見
鐘は青銅製で高さ1メートル。上部に竜の彫刻がある。側面に刻まれた銘文によると、1828年に首都ハノイの北東約30キロにあるバクニン省の五戸(グーホー)寺で作られた。山賊によって寺から奪われた鐘に代え、近くの住民約300人が青銅銭を持ち寄って作った。その後、進駐した日本軍が戦時中に持ち去ったという。終戦から32年たって、古美術が好きだった弁護士の渡辺卓郎さん(85)が銀座の古美術店で売られているのを見つけ、由来を知った。ベトナム戦争の戦争犯罪を調べていた渡辺さんは、終戦後の平和の象徴として返還を思い立ち、知人の宗教家を通じて松本さんや仏教関係者に呼びかけ人を依頼。返還運動を始めた。毎日新聞が活動を大きく報道したことなどから、半年ほどで全国から約960万円の寄付が集まり、78年に返還された。五戸寺はフランスとの戦争で焼失しており、近くの筆塔(ブットタップ)寺に運ばれた。
だが渡辺さんが82、84年に寺を訪れた際には鐘は寺から無くなり、再び行方が分からなくなっていた。返還運動にかかわったメンバーでハノイ在住だった日本語教師、小松みゆきさん(61)らに調査を依頼したところ、建設予定のバクニン省博物館の展示物を保管する倉庫にあることが02年に確認できた。
◇混乱避けて倉庫に
返還直後のベトナムは、中国やカンボジアとの紛争が続いた時代。共産党政権の統制経済で国内も混乱しており、盗難を避けるために倉庫で保管されていたらしい。その後、ドイモイ(刷新)政策で経済が活性化し、バクニン省も外資系企業の工場が進出し潤った。昨年8月に小松さんが訪れた時には博物館が既に完成し、展示の準備をしていたという。「日本語の解説もつけてもらい、当時を知る人に見てもらいたい」と小松さん。今春に再訪し展示を確認する予定だ。渡辺さんも「約30年を経てやっと展示されたことは大変意義深い。ベトナムに行き鐘の音を聞いてみたい」と話している。←引用終わり
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