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2009/02/09

日航、全日空を叩く前に、国も地方も、空港政策・産業政策の無策を反省せよ!

空港政策と産業政策を策定せず、隣県に空港があるから「我らにも空港」をと主張し、無責任に空港を造り続けたツケが回り回ってきた事を反省もせず、採算が低くとても真っ当な経営数値に至らないから、事業会社は撤退するのであり民間の事業であれば当たり前の事だ。
その経営判断に反対するなら、それを上回る対案が必要だろう。
それも示さず、事業採算を得られないから撤退するという、民間事業会社へ不満をブチ撒け地域総出で叩くのは本末転倒だ。

大阪では、極めつきアッホ~発言を繰り広げる事をウリにする、知事が「関西空港」を維持するために「伊丹空港」を廃止するとワケの分からない主張を繰り広げ、市場(利用者)と周辺自治体から厳しい批判を浴びトーンダウンし、遂に、その発言を撤回したが、所詮は自治体の首長と言ったところで、日々、航空機移動を必要としないのだから、どのような産業政策をとれば、臨空産業を育成維持できるのか。国際市場競争をよく見据えた上で整合性のある政策が求められる。

その準備もせずに空港を建設・開港し、バラ色の絵を描き(政治的圧力を加え)とりあえず路線を開設させた。
そして、数年を経ると、開設路線は疲弊し維持困難(全体の市場環境の結果)となり、開設路線の撤退に至る。これは当初から想定されたとおりである。
この流れは、全国至る所の新造空港で起きている現象だ。

空港と航空路線を論じるなら、その空港が属す地域全体の経済力(何よりも人口と産業構造)を考えた上での話だと思う。
一方で、当該空港を開発造成した時の「建設費用」の精査が求められる。その費用が、市場経済に照らし限度を超えた内容であれば、その負担は「利用者」に集中する。
第一義的には、当該空港へ乗り入れる「航空会社」へのしかかる。
航空会社は、自社もいくらか他の路線収益との合算で負担するが、その内のいくらかは当該空港の利用者から徴収する事になる。
利用者は、バカ高い「利用者負担金」を徴収される。
それを負担しても、なお「総合的に、捉え得る利益や利便性」が提供されるなら、空港利用は低下しない。
しかし、それが得られないなら残念ながら「市場経済原理」に従わざるを得ない。

この典型が、「関西国際空港」である。
「成田」は、「関西空港」同様に「不便、高い」の典型空港だが、それを押しても「総合的に、捉え得る利益や利便性」を保持するから存続維持できるのである。
しかし、その「成田」が存続維持できるから、同様の手法で「関西空港」を存続維持できるかといえば、「何をお考えですか?」という事になるのである。
それを規定するのは「地域の経済力」である。

関西空港へ乗り入れる航空会社とその路線、儲かりそうな路線なんて、一握りに過ぎないだろうが。指折り数えられる範囲に収まるじゃないか。

大阪では、極めつきアッホ~発言を繰り広げる事をウリにする知事は、この点をよくよく考えた上で、空港一揆をしたいならやればよい。
それもなくやれば、世間の失笑を買い、「おぉ、やっぱりキワモノ知事だねぇ」と揶揄されるだけである。

大阪の知事だけではない、路線撤収へ追い込まれた地域の首長は、日航と全日空を非難し叩くだけじゃなく、自らの政策無策を反省し「首でも洗っといた方がよい」のじゃないかな。
この観点から、以下に引用紹介する讀賣新聞の記事を冷静にお読み頂ければと考える。

引用開始→ 縮む地方の翼…日航・全日空が28路線廃止や減便
(2009年2月9日07時54分  読売新聞)

日本航空と全日本空輸が4月以降、不採算となっている国内・国際線計28路線を廃止・減便する。

世界的な景気後退による航空需要の減少で、収益が急激に悪化したためだ。減便により観光客数が減ることが予想される対象の地域には動揺が広がっている。

◆関空便が半数◆

「一方的だ。地元自治体や経済界の意向を無視している」。日航と全日空が大規模な路線整理を発表した1月28日、関西国際空港会社の村山敦社長は、記者会見で怒りをあらわにした。

28路線の内訳は国内17路線、国際11路線。関空発着は全体の半数近い13路線で、廃止・減便の“集中砲火”を浴びた。廃止が始まる4月には国内線の乗り入れが11都市に減り、ピークの1996年(34都市)の3分の1に落ち込む。国際線でも日航がロンドン線を廃止し、国内航空会社が運航する欧米路線が94年の開港以来、初めてゼロになる。

一方、関空線が8月いっぱいで廃止される北海道・釧路空港の関係者も頭を抱える。観光客誘致に取り組んできた釧路商工会議所の浜屋重夫専務理事は「関空からの搭乗率は7割もある。どうして廃止になるのか」と納得がいかない様子だ。この2年、乗客は順調に増え続けてきたからだ。

◆収益低いツアー◆

廃止の大きな理由は客層にある。搭乗率が高くても、割引率の高いツアー客が多ければ収益力は低い。釧路のほか、関空路線が廃止される旭川、帯広、女満別空港はいずれもツアー客を集める力は強いが、観光以外の需要拡大は難しい。

航空機で北海道を訪れる人のうち、関西地区からは14%。路線廃止が北海道の観光産業に悪影響を及ぼす懸念は強い。釧路空港に支店を置く土産物業者は「よく買ってくれたのは、一番遠い関西のお客さんだったのに」と肩を落とす。

釧路空港ビルのテナント会会長の川島洋人さん(59)は「釧路―札幌便の航空券より、羽田―札幌便の方が安売りされる場合がある。これでは主要都市に人の流れが集中し、地方経済は疲弊する」と批判する。

◆悪循環を懸念◆

福島空港では1月末、伊丹、関空、那覇の3路線を運航していた日航が撤退した。年50万人の空港利用者のうち20万人が日航の乗客だった。空港ビルでは4店あった飲食店のうち2店が閉店、国内線ロビーの売店も2店から1店に減った。「このまま営業を続ければ共倒れになる」(ビル運営会社)との判断からだ。

地元の要請を受け、4月以降は全日空が共同運航する伊丹線が1日3往復から5往復に増便される。しかし、定員は日航便に比べると4割程度の50人。「不便だから使わない、利用が少ないから減便され、さらに不便になる。悪循環が続けば空港がなくなる」(福島県関係者)。地元の嘆きは深い。

◆海外路線、出張減が響く◆

国内航空会社の業績は、2008年度上期までは順調だった。天井知らずの高騰が続いていた燃料費は悩みの種だったが、ビジネス需要が経営を支えていた。

ところが08年秋に入り様相は一変した。米大手証券リーマン・ブラザーズが9月に破綻(はたん)したのを境に世界的に景気が後退、内外の企業が一斉に海外出張を控え始めたからだ。09年3月期連結決算の業績予想は、日航、全日空とも税引き後赤字に転落する見通しとなった。

両社は07年度に計37路線(うち廃止18路線)、08年度にも計48路線(同28路線)と路線縮小を続けてきた。航空燃料の高騰が原因で地方空港同士を結ぶ不採算路線が整理の中心だった。

今回の見直しは、過去2年と比べ路線数こそ少ないものの、成田―ニューヨーク線(日航)など、「ドル箱路線」にも減便のメスが入れられた。欧米向け路線で使っている大型機を中型機に切り替えるなど、細かな効率化にも踏み込んだ。それほど現在の経営環境は危機的だ。

◆来年には99空港、経営は多難◆

国内の空港数は現在97。国土面積1万平方キロ・メートル当たりの空港数は2・6で、米国(2・0)や中国(0・2)などより多い。

1969年の国内空港数は56だった。その後、経済成長とともに伸びる航空需要に応じて、政府は全国に空港を整備してきた。87年には80、94年には90を数えた。今後も増える予定で、2009年中に静岡空港、10年に茨城空港が開港すると99になる。

建設ラッシュの反面、見通し通りに旅客が集まらず赤字経営に陥る空港も多い。また、国内線旅客数9697万人(06年度)のうち6割超の6216万人が羽田便に集中しており、空港利用の偏りは解消されていない。

10年に開港する茨城空港では、国内航空会社は採算が取れない懸念から就航に難色を示し、今年2月にようやく韓国アシアナ航空の乗り入れが決まった。景気が低迷する中、今後も前途多難な状況は続きそうだ。

国土交通省は08年に空港法を改正し、空港政策の重点を「整備」から「運営」に移すという。新たな空港建設よりも既存空港の利用推進に力を入れるという方針だ。だが、約100か所の空港を全国に張り巡らした後での政策転換には遅すぎたとの批判もある。

(大阪経済部・平井久之、北海道支社・福島憲佑、経済部・鎌田秀男)←引用終わり
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