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2009/02/24

J・フロント(大丸/松坂屋)、「そごう心斎橋」を370億 買い取りで勝算はあるか?

いきなりですが「業績アップ」できますか?!
失礼な事をお尋ねしている事はよく承知しておりますよ。

でも、いまの「大丸」の商品構成力や販売能力で、果たして「そごう心斎橋本店」を買い取り(不動産ですからお得意の返品は無しって事ですからね)で、業績を画期的に高める事できましょうかねぇ?

ハッキリ申し上げて、かなりハードルが高いでしょうし、難しいでしょうねぇ!
年間売上は、400億円~550億円程度は増加するでしょう。
しかしですね、有利子負債(借入金)返済と莫大な資産償却を考えるとですねぇ、いまの「大丸」の力量でねぇ~?! ハッキリ申し上げて「疑問」ですね。

売り場面積を増やす(土地の拡張)のは、簡単なのですよ。一定の資金さえあれば、イノシシホリエではないけど、「カネさえあれば、手に入ります」何とかなります。
しかし、それで収益を上げ、利益を稼ぎ出すとなれば、実際のところ「話は別」なのですよ。

J・フロントを形成する「大丸」も「松坂屋」も、商品を供給する仕組みを担う「問屋」あっての「殿様商売」だからねぇ。

表面上は、「自社で独自(オリジナル)にマーケティングをした上で、商品政策(マーチャンダイジング政策)を敷いている」と、言うから聞こえはよいけれどねぇ?

実態は、自己(自社)責任による完全買い取り発注はできないじゃないか。
理由は、度胸と能力(人材)がないし、カネ(リスクマネー)もないからだ。

綺麗事を述べ立てるけれど、正直なところは「お代官様」か「お殿様」で、出入りの「問屋」は、汗を流し、恥を掻かされ、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、ながら無理難題を押し付けられても、辛抱に辛抱を重ね「自社の売上のためにと歯を喰い縛り」商品を委託販売か消化仕入れ販売を呑まされ、都合よくあしらわれるのも承知で「消費価格」をつけて、百貨店での販売も自社の手でやっているワケだよ。

以前にも触れたけど、百貨店は遊園地みたいなものでねぇ、人を集めるだけなんだよ!
集める手段が、催事場のイベントで、例えば「バーゲンセール」だったり「北海道の物産展」だったり「全国駅弁大会」だったり「質流れ品即売会」だったりでさぁ。
これも、対象の地域や業者を廻って「口説き落として連れてくるワケ」。催事場での販売は、香具師の兄さんよろしく、百貨店のバイヤーというかプロモーターというか、催事場担当やらが鳩首会談した挙げ句に、「縄張りを決め」それに従い、販売が始まるワケで、百貨店はイベントへ消費者を集客動員すればよいわけだ。

「売れてますか?いかがですか?」と地回りの兄さんみたいに廻ってりゃぁ済むって事だ。
まぁ、催事場のイベント担当は、そのイベントの中身(商品構成)に懸かっている。だから、この点では「生命を賭けている」と言って過言でないかも知れない。

しかし、その他の売り場(いわゆるプロパー売り場)は、預かり納入させた商材の倉庫兼販売場所ってワケだ。

★完全買い取り商品=店が商品を吟味した上で一切返品交換しない確約をした上で仕入れた商品。

★条件付買い取り商品=納品された商品に瑕疵がない限り、対象となる全ての商品を買い取る。しかし瑕疵商品が出ると返品交換を要求する事ができる。

★委託販売商品=一定の期間を定め、納入事業者が販売事業者(百貨店)で、店内の特定場所で百貨店側に小売販売業務を委託するか、あるいは納入事業者が自らの手で一度納入した商品(所有権は百貨店側へ移っている)の販売を補助する。

★消化仕入れ販売=百貨店の店頭へ納入するが、商品の所有権は納入者にあり、百貨店側には責任がない。消費者が百貨店の店頭で購入し対象商品の売上が販売登録された時点で、百貨店が仕入れ同時に消費者へ販売する仕組み(自動販売機による消費=ベンダー販売)。

この場合、百貨店は場所貸し(小売業兼不動産業)に過ぎない。ファッションビジネス(商品)は、ほとんどこの流れになっている。
エライ方法を考えついたモノである。催事場のイベントで販売する商品は、全てがこの方法に支えられている。百貨店の催事場なんて、平たく言えば「青空市場」みたいなモノだ。

消化仕入れは、百貨店の負担が少ない。売り上げた後で売上を集計し支払いを起こすのだから。少しの間だけ支払いを操作すれば、限りなく「資金負担ゼロ」である。

だから、バイヤーは、この方法を採りたがる。
「伊勢丹」といえども、実際は、この方法に寄りかかっているのである。

「大丸」は想定顧客層と、見合う商品構成が必ずしも一致していない。
バイヤーもコーディネーターも努力しているのだろうけれど、決して、巧く機能しているようには見えない。
「そごう」よりは、多少、小マシな程度に過ぎない。
だのに、売り場面積を2倍にしようというワケだから、見物ですねって事になる。
心斎橋が転けると、「大丸」はお終いだろうし、お開きって事になるだろう。

でぇ、お荷物の「そごう心斎橋(本店)」を370億円で売却する「セブン&アイHD」であるが、この「アイ(I)」は言わずもがな「イトーヨーカ堂」である。
GMSの「ヨーカドー」は、これまで各地で百貨店経営に参入しようと挑戦した経緯がある。

最もオモシロイのは、仕手戦を張って「伊勢丹」の株を買い占めた「秀和」から、「伊勢丹」株の引き取りをした事もあった。その頃、「伊勢丹」の経営に興味があると、鵜の目鷹の目だったけれど、所詮、「人材が育っていない」ため、「伊勢丹」の買収は最終的に諦めた。

その後、札幌でススキノへ出店した「ヨーク松坂屋」として共同戦線を張ってみたものの転んでしまい、その後を自社で挑戦してはみたが巧くいくはずもナシだった。
憤懣やるかたない状態を続けてきた。

そこへ、稀代のビッグマウスとも言われる和田繁明氏が、買い叩いた「そごう」に「西武百貨店」で形成した「ミレニアム・リテイリング」を引っ提げ「経営統合」という寝言で体よく売り込みに来たワケだ。

颯爽と、渡りに舟で乗っかったのが「運の尽きか、運の始まりか」、セブン&アイは未だに結論を出せないでいる。
従来の「百貨店経営」ではなく、小綺麗な「巨大フルラインGMS」でも目指しているのだろうけれど。
その狙いで始めたのが、「池袋西武」の地下食料品売り場での「ヨーカドー」食品商材の販売である。
どう転びますかねぇ~?! 一応、いまは見守っています!

引用開始→ そごう本店売却370億円で合意
(日刊ゲンダイ2009年2月17日 掲載)

百貨店そごうを傘下に収めるセブン&アイ・ホールディングスと、大丸を傘下に持つJ・フロントリテイリングが、そごうの心斎橋本店(大阪市)をJ・フロントに370億円強で売却することで大筋合意したことが17日、分かった。J・フロントは隣接する大丸の心斎橋店(同)と一体運営していく方針。来週中にも発表する。
そごうの心斎橋本店の店舗面積は約4万平方メートルで年商は約440億円。セブン&アイは主力のコンビニ事業などに経営資源を重点配分し、J・フロントは百貨店の出店・増床が今後相次ぐ大阪地区で競争力を高める狙いがある。←引用終わり
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引用開始→ 聖域を大胆に…セブンが百貨店に大なた、コンビニ流で再生?
(産経MSN 2009.2.15 08:00)

流通最大手のセブン&アイ・ホールディングスが、グループのミレニアムリテイリング傘下のそごう、西武百貨店の立て直しに大なたを振るう。昨秋の経営陣刷新に続き、そごうの心斎橋本店の売却方針を打ち出した。デパ地下には低価格のプライベートブランド(PB)商品も投入する。“非日常性”を売り物にしてきた百貨店に、コンビニやスーパーの“日常性”を持ち込む戦略だが、「スーパーみたいな百貨店になる」と揶揄(やゆ)する声が聞かれるほか、企業文化が衝突し軋轢(あつれき)が表面化する懸念もある。コンビニ(日常)流で、文字通り“スーパー(超)百貨店”に生まれ変われるのか…。

聖域の本店にメス

「百貨店の人間だったらやれない。異業種の人間だからこそメスを入れられた」

心斎橋本店売却のニュースを聞いた百貨店関係者は、こう口をそろえる。

「本店を売るなんてありえない」(大手百貨店幹部)が、業界の常識。しかも平成12年に破綻(はたん)したそごうの再生の象徴を、同業の大丸に売り払う荒業は、業界を震撼(しんかん)させた。

破綻で閉店された同店は、セブン&アイグループ入りを決めた和田繁明・元ミレニアム社長の肝いりで17年に約250億円をかけて建て直された。ホールを備えた豪華な店舗は、非日常を提供し、特別な“晴れの日”に買い物や食事を楽しむ百貨店を体現していた。

しかし非効率な売り場や過剰な人員が足かせとなり、“お荷物”になっていた。和田氏の跡を継いだ佐野和義・前社長も、その扱いに悩んでいたが、「伊勢丹専務から転身し合理主義者で知られる佐野氏でさえ、本店売却はできなかった」(業界関係者)。

これに対し、セブン&アイのコンビニ事業では、不採算店舗の閉鎖は日常茶飯事で、利益が出ない店を続けるほうが不自然に見える。

鈴木敏文会長は「消費がバブル時代に戻ることはありえない。改革の成果の上がらないところは閉店していく」と明言してはばからない。

内紛にクーデター

リストラ断行の布石は、昨秋に打たれた。昨年9月に佐野氏が社長を辞任。同時に4人の取締役や西武百貨店の石井頼雄前社長らも次々辞任するという異例の事態となる。

佐野氏は伊勢丹時代に社長ポストを現社長の武藤信一氏と争い、松屋副社長に転身。百貨店だけでなく、アパレル業界でも一目置かれる存在だ。

カリスマ経営者の和田氏の後釜として、鈴木会長のお眼鏡にかない、ミレニアムに移籍したとされる。

だが、伊勢丹に代表される高級・高品質な百貨店にこだわる佐野氏と、日常性とグループ連携を主張するセブン&アイの亀裂は徐々に広がっていく。

辞任前には「佐野氏はセブンと名の付くものすべてに拒否反応を示していた」(業界関係者)という。さらに「ミレニアム経営陣が、ある百貨店との連携を模索した」(業界関係者)とのクーデター説も流れ、関係は修復不可能の状態に陥った。

セブン&アイの村田紀敏社長は「佐野社長が考える百貨店経営と、私どもの考えているお客さまの変化に対応した百貨店経営にズレがあった。百貨店といえども、日常性を強化していくべきだ」と、路線対立を隠さない。

経営陣刷新に続き、持ち株会社のミレニアムとそごう、西武百の3社を合併させ、セブン&アイの傘下に直接ぶら下げる方針を決め、グループ連携による相乗効果を徹底的に追求する構えだ。

デパ地下で格安PB

2月10日、東京・池袋の西武百貨店本店の地下2階食品フロアに、イトーヨーカ堂やセブン-イレブンで売られているPB商品「セブンプレミアム」を集めた70平方メートルの特設コーナーが突如出現した。インスタントラーメンや調味料など約300品目が並ぶ。

昨年以降、グループ各社の幹部が相次いで同店を視察。年間7000万人に上る圧倒的な集客力を誇りながら、「食品の売り場が貧弱で、百貨店として提案できる売り場になっていない」(セブン&アイ幹部)と酷評された。

これを受け、ヨークベニマルとイトーヨーカ堂から社員が出向。西武側も売り場社員や本部バイヤーも参加し、てこ入れに乗り出した。

検討の結果、食品の購入客が来店客の約2割しかいない要因は、「百貨店のイメージを大切にするあまり晴れの日の商材に偏りすぎ、デイリーで質の良い商品が不足していた」と結論づけた。

こうしてセブンプレミアムの投入が決まった。来店客の反応を見ながら、今秋には売り場を165平方メートルに広げ、セブンプレミアムの全商品を扱う計画だ。

これに対し、業界では「近所のスーパーやコンビニで買える商品を、わざわざターミナルの百貨店を買うお客がいるのか」(関係者)と疑問視する声は多い。セブン&アイでは、衣料品でも商品の共同開発に取り組む方針だが、大手百貨店首脳は「イトーヨーカ堂の衣料品も大苦戦しており、その商品戦略が通じる訳がない」と冷ややかだ。

強引なセブン流の改革が、ミレニアムの社員の反発を招き、志気が低下する懸念もぬぐえない。

非日常と日常の融合

もっとも、昨年の全国売上高でコンビニに逆転された百貨店の衰退は誰の目にも明らかだ。業界でも「百貨店は『晴れの日』の消費にシフトしすぎたことで値段が高くなった。今はカジュアル化が進み、低価格志向が強く、だから郊外のショッピングセンターに負けている」(大手幹部)との自嘲(じちよう)する声は多い。

百貨店が培ってきた感性や商品力とコンビニやスーパーの日常性がうまく融合すれば、百貨店業態の再生に光明が見えてくる可能性もある。

「百貨店の今までのやり方で生き残れる店はわずか。佐野さんを失ったことで戸惑いもあったが、おかげで違う視点も持てるようになった。ひょうたんから駒になるかもしれない」

西武百貨店の若手社員は自らに言い聞かせるようにこう語った。
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