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2009/05/11

FIAT(フィアット)周回遅れ取り戻しへ、イタリアを捨て規模拡大へ!

FIAT(フィアット)はイタリアを捨て、「規模の経済」を追うのかな?

現在のところ、フィアットは、いま絶好調に見える。確かにこれまでのフィアットではない。
だからというワケか、世界金融危機に揺り動かされる「自動車産業」の再編で、イニシァティブを握り、あわよくば「世界で繰り広げられる『自動車産業再編』のリーダーシップを握ろう」と、見果てぬ夢を描いているように見える。

自動車産業は、いずれの国でも国際貿易の上では「魅力的な戦略工業品」である。
生産し供給する側は、高く大きな付加価値を得る事ができる。「自動車」は「耐久消費財」だから、一定の時期を迎えると「買い換え」があり、市場を失わない限り反復継続的に付加価値を得続ける事ができる。実にオ・イ・シ・イ戦略工業品だ。

とりわけ、公共交通機関の整備を欠く国や地域では、ヒトの行動範囲の拡大を保証するのだから、一度、入手すると余程の事でも生じない限り「不可欠・必需品」であり、途上国では持ち主の「ステータス」を示してくれる。

しかし、この度の「金融危機」で、先進工業国の市場は直撃を受け軒並み疲弊した。
その結果、この世の春を謳歌してきた各国の「自動車産業」は一転「苦境に追い込まれ」てしまった。

大きな理由は、
①自動車産業は「金融業」が消費を「金融システム」で支えていた。その「金融のメカニズム」の一部が崩壊したのだから、受ける影響は甚大である。
②「自動車産業」の頂点に立つビッグな会社のいずれもが、高度な「高速自動生産システム」とでも言うべく「製造ライン」を構築し、「生産規模」が「市場占有規模」を左右するとばかりに、「高速自動化」を競い合った。少しでも販売が停滞すると、高い生産力を誇る「生産ライン」から吐き出される「製品」としての「自動車」は、金を稼ぎ出す「打ち出の小槌」「宝の山」から、「金喰い虫」「不良在庫の山」と化した。
③不良在庫の山を抱えると、その瞬間から、ビッグな会社は、そのいずれもが「経営危機」に見舞われ「金が廻らない。首も回らない」事態へ追い込まれた。

これらの状況を考えると、一時的ながら、これまでの「生産システム」を維持するのは厳しい状況にある。
おそらく自動車産業は国際的に統合される事だろう。何よりも、欧州大陸では「EU内での統合」が進む事だろう。諸般の事情や環境条件を考えると、それをは避ける事はできない。

そこで、現段階で、比較的体力の強い側が、苦しむ側を「呑み込む」作業を進めている。
ハッキリ言えば「切り取り自由、呑み込み放題」の、無法地帯化するかの勢いだ。

元はGMで席を温めあった仲間がスピンオフして設立し、今日まで世界の自動車産業でビッグスリーと持ち上げられてきた「クライスラー」は、イタリアから出張ってきた「フィアット」に呑み込まれる事になった。
その「フィアット」は、鼻息荒く、自らの足下である欧州大陸で「オペル」を呑み込もうとしている。これには足下のドイツ政府が興味深く重大な関心を払うと述べ牽制球を投げている。しかし、その種の牽制球を意にも介さないのがイタリア流らしい。
更に「フィアット」は、スェーデンの「サーブ」を傘下に組み入れようとしている。できれば「ボルボ」も「フォード」から切り離せないかと画策しているとも漏れ聞こえてくる。

この一連の流れをキャッチする、欧州大陸の報道機関は「自動車産業の国際的な再編は『フィアット』が目になる」と熱く報じるまでになった。

確かに、これは興味深いハナシだ。

ドイツは、かの国民車「フォルクスワーゲン(VW)」を完全子会社にしようと目論見、5年越しで、産みの親(ポルシェ)が日本円で1兆円を金融機関から借り入れ、仕掛けたものの、肝心の親(ポルシェ)が、今回の金融危機で販売を激減させ、一転して苦境に追い込まれ、日本円で1兆円の借入金(有利子負債)に経営が圧迫され悲鳴を上げている。
これを機に、子会社の「VW」は、親会社(ポルシェ)との経営統合を目指し、逆張りに出るという展開で、興味深いハナシだ。これに「VW」の最大株主であるザクセン州政府は、どのような態度をとるべきか「思案」にくれる毎日のようで、これまた目が放せない。

「VW」と「ポルシェ」が、どのようなまとまりを見せるかで、「フィアット」が仕掛ける「オペル」の買収を左右する可能性も捨てきれない。

ハナシは横途へ逸れたが、元へ戻すと、
「フィアット」は、イタリアの伝統的な「職人気質」による思考方法に支えられた生産方式が魅力の会社だった。その「フィアット」が生み出す様々な「フィアット」は、その思考方法からくる「独特の味というか魅力」を持ち、それに惚れ込む人に愛された「車」ともいえる。

これだから、「フィアット」は大赤字で経営は左舞いの連続で、つい数年前には「倒産」の危機に瀕していた。
それを、見事に再建したのが、現在の経営者である。

いきなり「規模の経済」という発想で、「イタリア式」発想や生産手法を転換させ、「フィアット」の生産ラインを大胆に見直す事で、アレヨアレヨという間に再建した。

この勢いに乗り、今回の「世界金融危機」で困難に直面する「各国の自動車産業」を手に入れ呑み込もうと、堂々と表で手を挙げ画策しているワケである。

そこには、「イタリア」の会社である「フィアット」を捨て、「世界のフィアット」を目指すかのようである。
それは、ローマ帝国がというか、「ローマ教皇会」いや「バチカン」が世界へ遍くキリスト教を布教させようと取り組む思考に似ているようにも見える。
世界各国の「自動車産業」は、「フィアット」の野望に組み敷かれてしまうのか?

既に「フィアット」はイタリアの主要自動車会社(アルファロメオ、ランボルギーニ、マセラティなどを始め)の殆どを傘下に収めている。
つまり、ベルルスコーニ首相は叶えられなかったが、「フィアット」は自動車産業の面でイタリアを統一してしまったのである。
これは、ローマ帝国か、あるいは近代史のエマニュエルⅡ世皇帝か、見果てぬ夢のムッソリーニか、いずれに当たるのだろうか。
これを背景に、「世界支配」へ乗り出そうというのだから、やはり、ローマ帝国か、見果てぬ夢に終わったムッソリーニを描いているのかも知れない。

今後の「自動車産業」は、従来のような「規模の経済」ではなく、「土着の生産規模」を追究する方向へ集約される事だろう。
その狙いから「フィアット」が世界各地へ乗りだし「イタリア式生産思考とイタリア的職人技術」を融合させ、「土着性の高い生産規模」に取り組むなら、成功するかも知れない。
そうではなく、この際、「規模の経済」により、世界の自動車産業の頂点を極める事が、目的なら、世界経済の大きな流れ、とりわけ「自動車産業」の流れに反する事になりはしないか。
例えが悪いかも知れないが、「インドの『ミタル』が、ルクセンブルグの『アルセロール』を手に入れる」みたいなハナシや、同じく「インドの『タタ』が、イギリスの『ジャガー』を手に入れる」みたいな要素もある。
呑み込もうとする主体の側が、呑み込まれる側より「経営技術・生産技術・マーケティング技術」で、対等以上にあるいは完全に上回っている限り、この点は「杞憂」に過ぎないが、実際に「フィアット」の総合的な技術力が、際立って優れているとは考えられない。

「フィアット」の良さは、「イタリア式」発想や思考に軸足をおく「土着の生産方式」により「適正規模」の生産と市場への供給である。
まず、それがおざなりになる可能性を秘めている。
何よりも、世界各国で「フィアット」の流れを汲む「自動車」が雨後の竹の子のように生産されるのは「イタリア」の小さな「フィアット」が「フィアット」でなくなる。
つまり、「フィアット」の魅力が消滅するというワケだ。
世界のブランドビジネスを見守る上で、これらの点は見過ごせないのである。

「フィアット」が、いま夢想している「統合の夢」を完全に果たした後に、この点が「最大のネック」になるのではないか。

果たして、統合による「規模の拡大」により世界で600万台の生産を掲げる「フィアット」だが、「幻夢」という見果てぬ夢か、「現夢」を得る事ができるか?興味が尽きる事はない。

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