ベトナムでODA案件の代金未収発生の日経夕刊記事について
日本がベトナムへ供与する「ODA事業」での代金回収が遅滞していると、日本経済新聞が7月15日の夕刊第二面で報じた。
「vn_odaproblem090715nikkei.pdf」記事:日本経済新聞2009/07/15夕刊第二面
この記事を目にした何人かの知り合いが、「コラコラコラム」はベトナムに関する「ニュース・ネタ」について、「Good News」には、力が入るように見えるけれど、「マイナス・ネタ」は採り上げないのかと、お叱りを受けた事もあり、別に "とらえもん" や "まるでのうそまろバカセ" が「弁明」する必要などないワケだけど、何か「マイナス・ネタ」から逃げているように捉えられるってぇのはシャクだから、ここは一つ見解を述べておきたい。
日本のODAがベトナムの社会基盤整備に大きな貢献をしている事は広く認知されている。その点もあり、日本の対ベトナム熱は、オーバーヒート気味ではないかと疑いを隠せない。ご自身の無知を棚上げし、日本国内と同様の思考回路で過度なというか過剰な期待を抱く日本人が増加している点が気にかかる。
ハッキリ言って、オツラとオツムを洗い直してから、ベトナムへ来て貰いたいと、思わず相手のオツラを見直す事が多くなった。
正確なモノ言いをすれば、もう少し「勉強してから来てよね!?」と言いたいワケである。
"とらえもん" も "まるでのうそまろバカセ" も筋金入りのベトナムフリークだ。
ソン所、そこいらの「にわかベトナム物識り」とはワケが違う。"とらえもん" は、ほぼ40年。"まるでのうそまろバカセ" でも、ほぼ20年である。
従って、ベトナムの隅から隅まで、ズ・ズ・ズィッと入り込んでいる。
何も知らないベトナム人は、どうやら「日本人」だなどと思っていないらしい。
以前、ハノイの街中を歩いていたら、ベトナム人から道を尋ねられ、それにシッカリ応える事ができ、大いに有り難がられたのには、少々驚きを隠せなかった。
その少し前は、
「オマエは、いつ、難民として日本へ渡ったのか?」と、ホーチミンで問われたりして、少々、面食らった事もある。
「ホンモノの『日本人』であるぞよ!」と言い返してやったが、
相手は、シゲシゲと "とらえもん" の顔を覗き込み、「そんなバカな!」とでも言いたげだった。
そこで、ある時、これらのエピソードを、ベトナムの信頼できる友人に、ビアホイでビールを呑みながら話をしたら、
「実は、私(友人)も、最初は、兄(とらえもん)は、難民として日本へ行った人かなと、思っていたのですよ」と、キツゥ~~~イ歓迎の辞を放ってくれましたね。
「なぜ、どうして、そのように見えるの」と問い返しました。
すると、友人は、
「兄(とらえもん)の思考回路というか思考論理は、日本人の思考論理や思考回路から懸け離れていて、むしろ自分達ベトナム人の基本的な思考論理や思考回路と一緒というか、それ以上の思考だから、初めて話をした人は、誰も、兄(とらえもん)が『日本人』だとは考えないだろう」と返してきたのである。
ビックリ仰天、「ホェ~!」と声を上げる事くらいしか反応できなかった。
長い事、ベトナムと付き合い、ベッタリ溶け込んでいる内に、思考回路や思考論理が、ベトナム人以上にベトナム化していると指摘されたワケだから、これは名誉な事なのか、どう考えるべきか?全く分からず、その日はパニックに陥ってしまった事を覚えている。
その "とらえもん" が当該案件を断じた記事に関わる意見を述べると。
ほとんどの日本人は、全く「ベトナム」を理解していない。この一言に尽きる。
あるいは、ベトナムをよく理解していると言う日本人の大半は、
「自らの(に)、業務(都合)の良い部分を自分の都合に合わせて理解し、納得しているに過ぎない」事に気づいていない。(この点は、ベトナムと似通った構造だけど)
ベトナムの思考回路で考える際に、最も大切な事は、「自分の置かれた状況の都合に合わせて、物事を捉え考える」が何よりも基本である。この点に気づく事だね。
そうすると、「総べてが、一瞬にして解決される」のである。
別に、細かく考えないのである。
別に細かく考えたところで、それで何か解決するかといえば、条件が整わなければ解決しないからである。解決できそうにないのに解決に挑むなどという、その種の無駄な事はしないのである。
「無理な事はしない!無駄な事はしない!」。
これはベトナムの市井の市民に共通する思考回路だなぁと考えている。
しかし、日本の企業の多くが、勝手にベトナムの事を考え(大きなお世話、無意味なお世話)たと、言っても、あれこれ「(勝手に)押し付けてくる」のである。
多くの場合、日本国内で仕事がなくなった「日本のゼネコン」救済案件としか言いようがない案件を「ODA」と称して提案し持ち込もうとするのである。
中には、本当に迷惑な案件も組み込まれているのである。
だから、日本の資金でODA案件が増えてもドォって事ないワケだ。
しかも、多くはベトナムの流儀を識らないまま、日本の遣り口や遣り方を押し付けてくるワケだ。
ハッキリ言って、迷惑千万な案件も含まれているのである。
条件が整わなければ、支払いが発生しても支払えない事ナンざぁ、ザラにあるにも関わらず、
日本政府のODA案件だから、「期日がきました、支払ってください」って言われてもなぁ~、
「払えるワケないじゃん!ナンたって条件が出揃ってないんだから」と返すワケだ。
すると日本人は怒り出すんだよねぇ~!
この掲出を見た日本人の多くは、非難を浴びせ集中させる事だろうよ!笑っちゃうよ!
そもそも、ベトナムの高速道路(いわゆるASEAN東回廊と南部回廊)などは、日本の発想だし、日本の論理だし、実証実験したのも基本的には日本の事業者だし、誰がどう見ても、日本のゼネコン救済案件だって、ベトナムの高いインテリジェンスを保つヒトは捉えているし考えている。
メコンデルタはビンロン省のハウザン架橋工事(崩落事故を起こした)も、ベトナムの事情やベトナムの思考論理を考えない、思い致す事なしで突き進み、結果として生じたワケである。
これらのお陰(日本政府のODA大判振る舞い)で、ハノイやホーチミンを中心に滞在し生活する日本人は、ベトナム政府からもローカル政府からも「歓迎」されているに過ぎないのだよ。
それも分からず、偉そうに勘違いする「日本人」が急増してきた。
この点が、実に情けない。悲しい事だ!
長い期間、ベトナムに滞在し生活する友人達も、日本人社会を軸に、日本人社会とベッタリのヒト達は、段々とベトナムに滞在し生活する日本人が増加するに従い、態度や言辞が上から見下ろすようになっている。所詮は、日本人なんだなぁと、思わず(あざ)笑ってしまうのだ。
国際ルールや日本政府のODA理屈を持ち出す前に、ベトナムの社会的能力を冷静に考えてみよ!
その上で、日本国内で政府と談合して、ODAを決め、自社案件だと主張して受注すりゃぁイイじゃん!その種の、あきらかに日本国内ゼネコンお助けODAは、ベトナムでは庶民の間で嘲笑われているワケだ。ベトナム人は、この種の点を見抜く力は鋭く天性のモノでアッパレの一語に尽きる。
立体交差のために地下道を堀り完成した日に、集中豪雨が降り、たちまち水没した「ハノイの某地下立体交差トンネル」など、日本のODAをして天下の笑いモノの典型だろうよ!
水没する可能性すら予見できない日本のODAである。
あるいは、助言(指導)もできない、管理もできない日本のODAである。
どうされますか?
それでも、期日までに「カネ」を払えと言い切れますか!?
日本経済新聞の俊英ともいえる、ハノイ駐在の岩本陽一さん。
もう少し、ベトナム人の思考回路や思考論理についても、学習された上で、高見から見下ろすんじゃなく、シッカリ足を地に付けた取材やら裏付けやらが必要なんじゃないですかねぇ?
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