日本・メコン川流域 5ヵ国首脳会議とベトナム
東京で、メコン川流域5ヵ国首脳会議が開催され、タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーの首脳が一堂に会し、ASEANの大陸部の主要部を構成する地域の開発に、日本が積極的に関与する事を合意し、日本から5000億円のODA供与を確認した。
基本的には、ASEAN東西回廊と南部回廊の建設に(主として)充てるのだろうが、それを機にASEANとの経済的な繋がりを構築しようとの狙いを秘めている。ASEANはAFTA(アセアン自由貿易地域)を形成し、活発な域内貿易を進め経済的な相互依存関係を強めている。
AFTAは、ASEAN地域へ進出した日系企業が最終製品(主として「自動車産業」)の組立に使用する部品を調達する上で、各国に立地するそれぞれの工場で生産される部品を相互に流通させる作用を狙い締結されたと理解されている。
ASEAN各国は自由貿易地域を形成する上で、関税を始めとする貿易に関わる諸制度を各国の実情に合わせ変更する事の困難さも抱えているが、何よりも、ASEAN地域を繋ぐ道路は余りにも貧弱である。
道路を建設し、メコン川に橋を架けなければ、ASEAN自由貿易協定だの地域だのと言ってみても、所詮は「画に描いた餅」に過ぎない。
そこで、日本の出番と考えるのが、お人好しの「日本外交」である。
ASEAN10ヵ国と中国は、ACFTA(ASEAN・中国自由貿易協定)を締結し、日本を出し抜き先行してしまったのである。
今ごろ、慌てて「東アジア共同体」なんて、寝言を述べ立てているけれど、お話しにならないのである。一生懸命、日本がインフラ整備をして「中国」がその利益を得る事になるのである。悔しい話だ。日本の政治や外交は、所詮、幼児の手慰みに過ぎないのである。
高見からモノ言いをすれば:
そこで、これ以上、後退させじとばかりに、メコン川流域5ヵ国首脳会議と相成ったワケで、タイの繋ぎ止め、ベトナムの引き留め、カンボジアへの影響力拡大、ラオスへの影響力確保、ミャンマーの離反防止というところだろうか。
基本は、タイとベトナムの確保というワケである。見え透いている。
さて、そのベトナムは、思いがけずシッカリ主張するという挙に出たから、さぞかし日本側が泡を喰った事だろう。
(これまで、日本の政治屋も経済界も、足下を見て、高見のモノ言いだったから)
ベトナムは、原発(2020年稼働)と南北高速鉄道の建設(約5兆円)で、日本へ揺さ振りをかけたと考えた方がよいでしょう。
とりわけ、原発も高速鉄道も、日本とフランスが、世界最高の高度な技術を保持しているワケで、お互いに譲れない状況にもあるから、ベトナム政府としては「有利な条件」を得たという事だろう。
歴史は繰り返すのである。
日本とフランスは、一貫して、インドシナ半島(とりわけ「ベトナム」)で角突き合わせてきたではないか。日仏が軍事的に角突き合わすのではなく、経済面や技術面で角突き合わす事になるが、歴史とは皮肉なモノである。
よく事情を理解できない筋からは、このスレッドの記述が分からないと、指摘があると考えるが、それはその人の当該地域に対する知見が貧弱なために生じるのである。
取り敢えず、徐々に、時間を割いて説明したいと考えるが、今回は、ここまでに留め置く事にしたい。
以下に、日本経済新聞が11月08日に、朝刊1面と5面で報じた記事をPDFで公開しておく。
PDF→ 「nikkei20091108vn_dungpm1.pdf」をダウンロード 朝刊1面
PDF→ 「nikkei200911108vn_dungpm2.pdf」をダウンロード 朝刊5面
この記事の行間を読み解く能力をお持ちの方は、卓越した素晴らしい知見の持ち主と存じます。
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