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2010/03/20

ベトナムでの「原発ビジネス」 FACTAが興味深いネタを報じる!

日本の政治は国際感覚が決定的にズレている。
「ODAさえバラ撒けば、多少の事は無理なくできる」と、高を括っているフシが見える。
これを「成金的発想の国際関係論」とでも名付ければよいのだろうか。

ベトナムの原発受注でみせた、日本企業や日本政府の発想を悪く言えば、このような思考論理だったと言い切っても間違いではない。

以前にも指摘したが、ベトナム外交の本質は「全方位外交」である。
「全ての国と仲良く」は、ベトナムの外交政策(戦略)の根幹である。
日本のODAが多い事は、大歓迎だが、ODAの額が大きい事と「国家の意思決定」とは、基本的に別次元の問題である。

ベトナムは、「国家の安全」をいかに保障するかについて、応用に見えるが実は極めて神経質である。
ベトナムの国際関係論は「国際経済と国際政治」の力学により規定される。
その際、ベトナムが避け得ない「地政学的要因」を最大限の応用展開を図るのは、当然の思考であり戦略である。

日本の官民は、「ベトナムの外交政策」を舐めていたって言うか、甘く見ていたとしか言いようがないのである。
(本質的に)オツムの弱い、官僚と民間の官僚的事業者が、傲岸な自説に溺れ頓死しただけである。

もっと、国際関係をよくよく見た上で、「正常な戦略的思考と判断力」が最も重要な要因であると指摘しておこう。

その観点から、FACTAが報じたネタは一面の曙光であるとも言える。
しかし、何よりも大切な事は、長期的な視点による「ベトナムの外交政策(戦略)」を検証し学び理解する事である。

引用開始→ 「ベトナム原発」日本が巻き返す道
かつての盟友ロシアが、潜水艦売却で油揚げをさらった。中国と「東アジア共同体」にクサビ。(FACTA 2010年3月号)

「北方領土の日」の2月7日、都内の会合に出席した鳩山由紀夫首相は、北方領土問題の解決に改めて意欲を示したが、首相が掲げる「東アジア共同体」構想の文脈でロシアが語られることはまずない。なによりもアジア太平洋地域での同国のプレゼンスの低さに起因するのだが、そのロシアが注目すべき一手を打ってきた。

その僅か2日後の2月9日付の日本経済新聞朝刊が1面トップで「原発受注 日本、ベトナムでも敗退」と報じたのだ。ベトナムは南部ニントアン省の2カ所で計4基の原発の建設を計画中だが、ロシアがその第1期工事(原発2基)の受注を確実にしたという。この案件は、日本とフランスが最有力候補と見られていたが、割って入ったロシアに「油揚げ」をさらわれたのだ。

日本の関係者には衝撃だった。だが、この逆転劇には予兆があった。

昨年12月15日、ベトナムのグエン・タン・ズン首相がモスクワを訪問して、ドミトリー・メドベージェフ大統領、ウラジーミル・プーチン首相と会談した。そのあとズン首相は記者団の前で、潜水艦、航空機などのロシア製兵器を購入する契約を結んだと発表したのである。

ベトナムは中国海軍に対抗

具体的な中身は明かさなかったが、報道によると、20億ドル相当のキロ級ディーゼルエンジン型潜水艦6隻を含む大型契約という。12月17日付のサウスチャイナ・モーニングポスト紙によると、35年前のベトナム戦争終結以降、ハノイが行った最大の兵器購入である。ベトナムが潜水艦を保有するのは史上初となる。

また同時期、ベトナムのフン・クアン・タン国防相も米国、カナダ、フランスを歴訪。ズン首相がモスクワでロシア製兵器購入を発表した15日には、ワシントンでロバート・ゲーツ国防長官と会談している。国防相の訪米は03年以来2回目である。

ベトナムがかつての同盟国のロシアを筆頭に、冷戦時代に戦火を交えた米仏などとも軍事分野での関係強化に動き出した背景には、急拡大する中国の海軍力への懸念がある。

ベトナムと中国はともに、南シナ海の南沙諸島などの領有権を主張し、対立している。ここ数年は小康状態にあるが、中国は着々と海軍の軍備を増強しており、ベトナムも本格的な海軍力の強化に乗り出すことになったのだ。

そんなベトナムの要請にいち早く応えたのが、冷戦時代にはカムラン湾を租借していたロシアだった。ソ連軍のカムラン湾租借には当時、フィリピンに駐留していた米軍に対抗する意味合いがあった。が、米軍もフィリピン側の要請で91年にクラーク空軍基地とスービック海軍基地から完全撤退、ロシアも02年にカムラン湾の租借契約を打ち切っている。

それがベトナムに潜水艦6隻を売却するとともに、それに伴う海軍基地や補修・メンテナンス施設、通信センターを建設するなどのインフラ整備のほか、ベトナム人専門家の訓練まで請け負ったのだ。ロシアは再びベトナムの安全保障に深く関与することになった。

ロシアによるベトナムへの潜水艦売却は、「東アジア共同体」構想を掲げる鳩山政権にとっても、無視できない意味があった。

まず、日本が石油輸入の90%近くを依存する中東からの輸送ルートがこの南シナ海を経由するという意味で、同海域の安定維持がシーレーン防衛の観点から重要なのは言うまでもないが、それだけではない。

ズン首相の訪ロ時に、ロシア国営原子力企業ロスアトムがベトナムの電力会社EVNとの間で、ベトナム初の原子力発電所建設に協力する枠組み合意書に調印しているのだ。それはベトナムの原発建設受注をめざす日本にとって、フランス以外にも強敵が出現したことを意味していた。

しかし、昨年末、新興国での原発建設ビジネスの獲得競争の初戦ともいうべき、アラブ首長国連合(UAE)で、日立・GEの日米連合が、伏兵の韓国企業連合体に手痛い敗北を喫した(本誌2月号「隗より始めよ」参照)。東アジア共同体構想を掲げる鳩山政権にとっても、このベトナムの案件は何としても負けられない戦いだった。それが連敗である。

もはや日本は万事休すなのか。「軍事援助を絡められたら勝ち目はない」とサジを投げるのか。いや、まだ挽回のチャンスはある。

ただし、それには日本政府が高度な国内調整と外交を展開する必要がある。まず日本政府の主導で、ともすれば足を引っ張り合う東芝、日立、三菱重工3社の利害を調整し、原発オペレーターとして東京電力を加えた「オール・ジャパン」体制を構築することだ。提携先のウェスチングハウスを東芝に買収されて以来、フランスの国営原子力企業アレバとの提携に走った三菱重工と東芝の反目は、国益を損なうだけだ。

そしてもうひとつ、奥の手が必要だろう。ベトナム原発第1期工事の受注を確実にしたロシアに戦略提携を呼びかけることだ。昨年11月に来日したベトナムのズン首相のコメントに耳を澄ますがいい。11月8日付の日経1面に掲載されている。

ズン首相は原発発注について「原子力発電の分野では、日本もフランスも大国だと認識している」と述べたうえで、パートナー選考の条件として、①先進性と安全性で検証済みの高い技術を持つ、②資金支援を実施できる、③核燃料の安定供給が可能、④安全で効率的な原発運転に向けた人材育成面で協力できる――の4点を挙げている。

フランスはアレバを中心に、プラント建設から核燃料供給、使用済み核燃料の再処理までの一貫したサービス供給が可能だが、日本の原子力産業には、核燃料供給や使用済み核燃料の再処理といった核燃料サイクル分野で国際競争力のあるサービスを展開する能力がない。つまり日本単独では③の条件を満たせない。

とすれば、今後、第2期工事(原発2基建設)の受注競争もあるベトナムの原発案件では、世界最大のウラン濃縮能力を持つロシアとの戦略的提携が、日本の原子力産業にとって唯一最良の選択肢と思える。

日ロが組めば「近攻遠交」

勝ったロシアの側にも、12年にウラジオストックで開催する予定のアジア太平洋経済協力会議(APEC)を前に、政治・経済両面でアジア太平洋地域への関与を深めていきたいという事情がある。

今回のベトナムへの潜水艦売却と原発建設の受注もその延長線上にあり、そこには「アジア太平洋地域における戦略的パートナーを中国以外に求める」との政治的シグナルも含まれていよう。ロシアにも「近攻遠交」の地政学的戦略があるのだ。

外交に疎い鳩山政権も、米中間の等距離をめざすのであれば、少しは中国の肝を冷やす「近攻遠交」思考に立ったらどうか。

中国の頭越しにベトナムの原発建設で、日ロが組む。ウラジオAPECを2年後に控えた今、このような戦略提携の呼びかけに、ロシアが応ずる可能性は十分にある。←引用終わり
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