日本経済は、工業生産が15%程度下落、消費は8%程度の落ち込みという
基幹産業に携わる知人の話によると、生産の回復は12月末に間に合うかという事らしい。
グローバル化が進んだ事により、世界の工業生産は互いに完璧なSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)で結ばれている。
日本国内でも「部品」の製造分担が進み、国内SCMにより支え合っている。
この度、東北を襲った「大震災と津波」により、部品生産や部品組み立てが停止した事もあり、最終製品の組み立てができない状態へ追い込まれ「生産」が停滞し、結果として15%程度の落ち込みとして現れている。
日本国内から海外各国へ送られる(輸出)部品や工業製品の出荷量(輸出量)は激減している。
やがて回復するのだろうが、「いや、そうじゃない」かも知れない。
代替品で間に合わせられる分野から、海外で製造される代替部品が取って代わり、本家本元の部品には声がかからなくなる事も十分に考えられる。
日本が貿易赤字国へ転落する日は遠くないかも知れない。
工業生産の低下に伴い、消費も思いっきり低下傾向を示している。
何よりも、生産力を素早く回復させる必要がある。
代替品に付け入らせないために。
日本国内の工業地域から他国の代替工業地域へ生産拠点を移させないために。
先端性の高い工業製品(部品)生産を確保し続ける必要がある。
モタモタしている間に、この分野を他の国に占有されてしまえば元も子もない。
その種の事を懸念しているのだが、日本が貿易赤字に転落する可能性を指摘する記事に出会った。
取り敢えず問題提起として引用紹介させてもらいたい。
引用開始→ 日本が貿易赤字国になる日
(2011年4月19日 読売新聞)日本の貿易収支が急悪化するとの見方が強まってきました。早ければ7-9月期にも赤字に転落、その後も中期的に貿易赤字が拡大するとの見方もあります。「円は安全資産」という神話の大前提である「日本は貿易黒字国」という評価が大きく変わる可能性が出てきたようです。
1995年に阪神大震災が発生した後は貿易黒字が急減に向かいました。阪神大震災前までは1兆円を越えていた黒字が1年程度で半減したのです。これは、輸入が急増したことが主因でした。
東日本大震災でも、今後は輸入の急増が予想されます。一方で、輸出製品の生産ラインへの打撃が大きかったことから、輸出の伸び悩みは今回の方がより顕著になると見られています。
そもそも、現在の日本の貿易黒字は、2月が6000億円で、1兆円を越えていた阪神大震災前のころに比べて半分程度にとどまっています。その上で、ここまで述べたように輸入急増は変わらず、輸出の伸び悩みがより深刻になるとすれば、貿易黒字から赤字へ転落に向かうとの見方が、より説得力を持つわけです。
このことは為替相場にも大きな影響を与えそうです。そもそも円は貿易黒字国通貨として評価されてきました。デフレが長期化し、世界一の低金利通貨、財政赤字大国であるにもかかわらず、リスク回避局面では安全資産として円が選好されるのは、貿易黒字と民間貯蓄超過が大前提となっていました。その大前提が変わるとなると、円安が進みやすくなる可能性が高いでしょう。←引用終わり
プロフィル
吉田 恒(よしだ・ひさし)
1962年、青森県生まれ。1985年、立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。2004年1月より同社の代表取締役社長就任。自身は為替の専門家として、執筆・講演などを精力的におこなっている。「わかりやすい、役立つ」情報を提供し、顧客満足度を高めることを重視している。<主な著書など>
書籍:「さよなら円高」(廣済堂出版)、「投資に勝つためのニュースの見方、読み方、活かし方」(実業之日本社)
DVD:「こうすればFX予想は当てられる!」(パンローリング)
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