サイゴン解放36周年とベトナムが歩んだ途 2025年への期待を込めて
ベトナムの解放戦争が幕を降ろしてから、今日4月30日で36年の歳月が流れた。
実に長いような短い歳月であった。
36年前も、いまも「火炎樹」が花をつけた。
解放後の1975年から1985年まで、ベトナムは苦難の途を歩んだ。
一つには、解放後の南部を急激に社会主義化させた事で様々な軋轢が起きた。
レ・ズアンに率いられ社会主義を急ぐ過程で、南部の経済基盤が破壊され、多くの失わないでよいモノを失った。
何よりも、この10年間で優秀な人材の多くを失った。
驚いた事には、解放戦争で「民族解放戦線」の主要な幹部であった人材をも難民として流出させた事であった。
二つには、解放戦争を勝利した直後から、隣国カンボジアを制圧した暴虐のポル・ポトによる南部国境地帯への軍事侵犯を受け続けた。
ベトナムの解放戦争が思いの外、早い集結をみた「中国」がカンボジアのポル・ポトを唆し南部への侵攻を急がせた。
度重なる侵犯に業を煮やしたベトナムは、カンボジアへ反撃し、僅か1週間ほどでプノンペンを占領すると共にタイ国境へポル・ポト政権軍を追い払った。
この結果、ポルポトが政権を握った後にカンボジア全土で引き起こされた「ジェノサイド(無差別大量殺戮)」が明るみに出た。
少なからず国際社会に重大な衝撃を与えた。
しかしながら、ベトナムは、カンボジアによる南部国境地帯への軍事侵攻を受けている事を国際社会へ十分にアピールしなかった(できなかった)。
また、カンボジアへの非難や反撃の可能性についても、国際社会へのアピールは十分ではなかった。
従って、国際社会はベトナムのカンボジアへの軍事侵攻を一方的な侵略と捉え激しい非難を加えた。
(中国の画策どおりに、国際社会とりわけ米国は、ベトナムへの経済制裁を実施)
ベトナムは、カンボジアでポル・ポトの政権を追い詰め、ヘンサムリンを軸とする政権樹立を後押しし、ヘンサムリン政権がポル・ポトに打倒されないよう経済援助を行うと共に軍隊を駐留させた。
三つには、中国(鄧小平)がベトナムを取り巻く国際情勢を奇貨として、「ベトナムに懲罰を加える」ろ宣言し、大量の軍事力をベトナム国境へ集結させ一気にベトナム北部へ軍事侵攻した。
(「中越戦争」と呼ばれる、中国の一方的な軍事侵攻である)
ベトナムは、1975年に念願の南部の解放と民族統一を達成したものの、このように国際社会から様々な圧力を受け、解放戦争で多くを失った事に加え、国際社会で孤立するという苦難の途を余儀なくされた。
1986年、ベトナムは、推し進めた社会主義政策を見直し刷新する事を宣言し「刷新政策(=ドイモイ政策)」への転換を模索し始めた。
この時点で、ベトナムは社会主義市場経済=改革開放政策の推進と、孤立を脱し国際社会へ復帰する=全方位外交の推進を柱に掲げた。
しかしながら、国際社会は「カンボジア」問題を重視し、ベトナムの政策転換を懐疑的な目で見ると共に米国主導の経済制裁を継続した。
1989年に、カンボジア問題を国際的に解決できる枠組み(UNTAC)が整い、徐々に国際社会へ復帰する途筋が見え、周辺諸国との交流が再開され、小規模な投資が始まった。
前年に米国が経済制裁を解除した事もあり、ベトナム南部解放20年の節目に当たる1995年以降のベトナムは、日本を始め欧米諸国からの投資も緒につき、経済を回復させ得る途筋が見え手に入れる事が現実になった。
2005年以降は、海外からの直接投資を活かした経済成長路線を鮮明にすると共に、2008年に一人当たりGDP1008米ドルを達成させた。
21世紀に入って以降、ベトナムは「ASEAN」の中で徐々に存在感を高めると共に、国際社会でも発言と地位を着実に高めてきた。
しかしながら、この過程で、新たな多くの問題を抱え込む事になった。
それはベトナム人が固有に保つ問題に起因するともいえるテーマでもある。
より大きな経済成長を手に入れると解決するとの指摘もあるが、長年ベトナムの友である”とらえもん”や”まるでのうそまろバカセ”は、そのような楽観的な見解は持てない。
ベトナムは、辛抱強い未完の国でもある。
その意味で「多様で深く限りない魅力」を抱えている。
同時に「深遠なる謎」の多い国でもある。
何よりも「小鳥のさえずり」のように聞こえる「ベトナム語」は最も不思議な言語である。
2011年、ベトナムは、1月にベトナム共産党の人事を大幅に変えた。
そして5月に、国会議員選挙を実施し、新しい議員による国会を7月に開催すると共に政府の首脳人事を確定させる。
2025年には、工業国として確固たるポジションを得る事を掲げ、それを達成する目的で動きを強める事であろう。
長年にわたり、ベトナムとの関わりを維持し応援してきた”とらえもん”や”まるでのうそまろバカセ”は、2011年の人事を静かに見守ると共に「ベトナムの適切で確実な発展」を願って止まない。
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