東電は、想定情報と想定見通しを、危険値として正直に示して貰いたい!
東電が福島原発第1の事故対応で強烈なバッシングを受けるのは、原発被災地区はもちろん日本中へ状況説明する「情報」が正確さを欠くためである。
正確さを欠くという表現は正しくないかも知れない。
分かりやすく言えば、
東電が発表する情報は、原発に対し、主として一定の知見を保つ研究者から「情報判断が甘い」、「説明は恣意的である」という、強い批判と「公表された事情より深刻な事態の指摘」がいつも加えられる。
それに対し、東電と保安院は、(相手にしない姿勢で)緩い反論を加える。
しかし一定の時間が経過すると、加えられた強い批判で指摘されたとおりの展開になり、東電も保安院も右往左往する姿を露呈する。
従って、東電や保安院の楽観的な発表は信用力が極端に低いと、受け止められ認識されている。
そのような事態を招いたのは、東電であり保安院である。
更に一歩踏み込み指摘すれば、経済産業省(原子力保安院は傘下の組織)である。
海外では、日本は政府(政治)と企業が一体化し、不誠実な見通しを無責任に述べていると、受け止められている。
3月下旬に滞在した国では、
「直ちに健康に害を及ぼす事はありません」という迷言は、
「タダチニ、ケンコウニ、ガイヲ、オヨボス、コトワ、アリマセン」とモノマネがでるまでの嘲笑を受けていた。
(従って、滞在者としては、とても恥ずかしかった)
直ちにというのは、
「どの程度、どのくらいの期間」を指すのか。
健康に害を及ぼす事とは、
「健康に害があるのは、どの程度なのか、どのような害を想定しているのか」。
及ぼす事とは、
「侵害するのか、(健康)被害の度合いを、どのように判断しての事か」。
ありませんとは、
「無いと判断する根拠を、『具体的』に示す必要がある」。
それを政府が示せないにも関わらず、日本人は(従順に)受け入れている。
これは不思議な事らしい。
東電も、政府も、日本人の穏やかで温和な国民性に安住し、欺そうとしているとまでは言わないが、「隠しきれる、知らさなくてもよい」と考えているフシがある。
それは、悪意ではないかと考えてしまう。
悪意はないと考えたいが、故意に伏せていると思っている。
東電は、繰り返し巷間で指摘されるとおり事態展開になっているのだから、最悪の事態を含めた想定を公表しておくべきだ。
最悪の事態は「これこれ」である。
最悪の事態が生じると「このような状態」になり、「このような被害が考えられる」と予め公表しておくべきだ。
しかしながら、現状は、ここまで抑えきっている。
と、順序立てた事前説明は不可避と考えるが。
3月11日の時点で、「炉心溶融(メルトダウン)」へ至る可能性は指摘されていた。
しかしながら、東電も保安院も、それは起きないと発表で全面否定した。
危険度レベルも、明らかに緩い段階にあるとし続けた。
しかしながら、海外から繰り返し「楽観的な判断」を批判され、
危険度レベルが「レベル7」だと、突然、前言を翻した。
このような状況を繰り返されて、「信用して貰いたい、信頼して貰いたい」と言われ続けても、自ずと「無理」がある。
引用開始→ 2、3号機もメルトダウンの可能性…東電認める
(2011年5月14日22時34分 読売新聞)東京電力は14日の記者会見で、2、3号機の原子炉について「最悪の場合、1号機と同様のケースが想定できる」と説明し、核燃料全体の溶融(メルトダウン)の可能性を初めて認めた。
1号機では、11日に水位計を調整した結果、炉内の水位が低く、燃料が冷却水から露出して溶けたことが確実となった。2、3号機の水位計はまだ調整していないが、1号機と同じ仕組みのうえ、もともと1号機より低い水位を示している。
ただ、東電は炉内の温度などから、2、3号機は1号機より燃料の損傷が少ないと推定している。←引用終わり
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【発送分離論こそ、日本が生き残る道!(3)】
世界的にはあたりまえの発電・送電分離論! 国民は原発の巨額の賠償をさせられるのに、経営に口を挟めない、ばかげた話。 欧米は1990年代に発送分離。
(1)経済学が教える最大の失敗=独占の弊害を解決できる。
(2)送電のみ社会的インフラなので公的機関(ISO)に移管。
(3)発電は自由競争で電力料金を下げられる。日本の世界一高い電力料金は、独占+原発の地元黙らせ金の利用者転嫁からくる。
(4)発電の独占をやめることにより、新エネルギーの技術開発が進み、脱原発で国民の命が救われる唯一の道。→ 携帯・インターネットの新技術は、電電公社→NTTの通信自由化により対応できた。まったく同じ原理。
(5)発電のうち、原発のみ国家的危険性のため規制と監督はする。
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◎東電存続、前提とせず=「発送電部門分離も」-玄葉戦略相(時事2011年5月15日)
玄葉光一郎国家戦略担当相(民主党政調会長)は15日のテレビ朝日の番組で、東京電力の事業形態について「(福島第1原発事故の賠償支払いの)スキームが固まったからと言って、(存続を)前提としていない。発電・送電部門の分離など自由な議論を妨げてはいけない」と述べ、再編の可能性に言及した。・・・
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◎発電・送電部門の分離など検討 玄葉政調会長(日経2011年5月15日)
民主党の玄葉光一郎政調会長(国家戦略相)は15日のテレビ朝日番組で、東京電力から送電部門を分離するなど事業形態の見直しを検討する考えを表明した。玄葉氏は「(東電の存続を)前提としていない。発送電分離などさまざまな電力事業の形態(の議論)を妨げることはない・・・
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◎発電と送電、分離迫る産業界 東電再編で思惑交錯 電力10社は現体制に固執(日経2011年5月4日)
東京電力など電力会社の再編を巡り関係者の間で思惑が交錯している。産業界からは分散型電源の普及推進のため発送電分離による再編を求める声が出始めた。・・・さらに政府や有識者の間では原発事故の巨額賠償への国費投入をできるだけ少なくする観点から様々な再編案が浮上している。・・・
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◎東京電力:発電と送電の分離案 政府、大手と統合検討(毎日2011年4月4日)
福島第1原発で深刻な事故を起こした東京電力への公的支援に関連し、政府内で東電を発電部門と送電部門に分離し、送電部門を他の大手電力会社などに統合する処理案が浮上していることが4日、明らかになった。・・・
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◎発電と送配電、組織を分けよ 八田達夫・大阪大学招聘教授 電力10社体制の功罪 学者に聞く(日経ヴェリタス2011年5月15日)
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◎10年前に東電が政治力で潰した「発送電分離」案が電力業界を大変革する 原発と独占による高収益は表裏一体(講談社現代ビジネス2011年04月07日 伊藤博敏)
・・・だが、今回の「終わりなき事故」は、原発がいかに高コストであるかの証明で、東電国有化が避けられない見通しとなった今、原発は国家管理にして電力各社から切り離し、各電力会社の発送電一体を見直し、発電事業と送電事業に分離する案が浮上している。・・・この発送電分離案は、今回の事故でやむなく登場したわけではない。10年前にも、欧米で進められていた電力自由化の流れに沿って、日本の高コスト体質を見直そうと、経産相の諮問機関である総合資源エネルギー調査会で論議されたことがある。・・・電力は、初期に膨大な費用がかかるので新規参入が難しいのだが、それは送電事業に限ったことで、発電事業そのものは、規模の大小を問わず容易。風力や太陽光といった再生エネルギーの利用もある。電力自由化がなされても、現実には電力会社が地域独占、新規業者の参入を阻んでいるのは、送電事業も押さえているからだ。・・・送電網の開放が競争原理の導入に繋がり、それが割高な電力料金の値下げとなると同時に、新規産業を創出させる・・・。「電力は自己変革しない」
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◎浜岡原発停止の首相判断 71.2%が支持(日本テレビ系(NNN)5月15日(日))
NNNが13~15日に行った世論調査によると、「中部電力」浜岡原子力発電所(静岡・御前崎市)を停止する菅首相の判断について「支持する」と答えた人が71.2%に達した。浜岡原発を停止する菅首相の判断について、「支持する」は71.2%、「支持しない」は17.3%となった。また、今後の原子力発電について「徐々に減らしていくべきだ」が64.3%に上り、「今の水準を維持するべきだ」は24.0%にとどまった。・・・菅首相が首相を続けるべきかどうかについては「よくやっていて、続けるべき」が8.3%、「不満はあるが、続けるべき」が65.6%、「すぐに辞めるべき」は21.9%となっている。NNN電話世論調査 【13~15日に調査】 【全国有権者】2081人 回答率】51.6% http://www.ntv.co.jp/yoron/
投稿: 【発送分離論こそ、日本が生き残る道!(3)】 | 2011/05/16 03:12