日本のインド評価は市場も軍事も過大に過ぎ異常に感じる 人口が多いだけのインド評価は冷静に
まず、インドは連邦国家である。
最近、異様に感じる事の一つに、インドへの過剰な期待と意図的な高評価がある。
一国としてのインドは、確かにインドである。
しかし国としてのインドを評価するには、当該地域の地政学を考えた上で冷静な評価をしなければならない。
いわゆるインド世界は、バングラディシュ、ネパール、インド、セイロン、モルディブ、パキスタン、を外して考えるワケにはいかない。
少なくとも、バングラ、インド、ネパール、パキスタンを含め、インド亞大陸を総合し捉える事が重要だ。
いわゆるインドは9億人の人口を抱えるのだから、確かに市場は大きく期待できる。
しかしながら、カースト制度により形成された社会における貧富の差は巨大で中国の比ではない。
加えて、宗教観を論じてみても、イスラムとヒンドゥの2極で捉え勝ちだが、イスラムの教義は一つであっても、その解釈を巡り沢山の宗派があり激しい対立を抱えている。
同様に、ヒンドゥの教義も解釈を巡りよく似た宗派対立を抱えている。何よりも民族対立も抱え込みながら、なんとなくインド亞大陸に棲む民を、取り合えずまとめているに過ぎない地である。よく言えばモザイク、悪く言えば、それぞれの星の下にそれぞれが転がっているのである。
ダイヤモンド構想、ダイヤモンド防衛戦略、実に理想的である。
これにロシアを加えれば完璧といえるかも知れない。
しかし、この構想や戦略は、音を立ててインドから崩れ去る事だろう。
インドの西側にはパキスタンがある。
インドの南西部にはムンバイがある。
いずれもイスラムの民が暮らす地である。
そして複雑怪奇な抗争を繰り広げる地でもある。
パキスタンの西にはアフガニスタンとイランが控えている。
パキスタン国内の西部地域は、既に中央政府の統制が及ばない地域で国土の半分以上に及び、いずれの地域も様々な反政府武装民族集団(米軍とも戦闘中)が統治している。
また、パキスタンは北東部(カシミール)地域の領有を巡り、インドとは軍事対峙し、いつでも戦闘する態勢にある。
この状況でインドは、ネパールやブータンを緩衝国にしながら中国とチベットを含め対立している。
これらの状況がインドに核兵器開発を急がせる事態になった。
インドの核実験成功を目の当たりにしたパキスタンも「核兵器開発」を急ぎ、核実験に成功しインドに次いで「核保有国」となった。
これを支えたのは、何よりも中国であり北朝鮮である。
インドの政治は複雑だ。
それはインドの社会が複雑なためである。
インドの中央政権なんて、いつ打倒されるか分からない。
潮目次第で、中国にも媚びを売るし、米国にも媚びを売る。パキスタンとも握手する。
これを繰り返しながら、インド連邦は独立して以来、70年近く中央政権を守ってきた。
そうしないと国を維持できないからだ。
核兵器を持つまでになったが、第一線の兵器は近代化されておらず体系化されているかについても疑問が多い。
インドを考えるポイントは幾つもある。
インドが防衛戦略の要諦である事について異論はない。
しかしながら、パキスタンが「破れ」となろう。
その混乱がインドの西部域を襲い破れが大きくなり、対中国を考える余裕もなくなるであろう。
もちろん、その破れを大きく工作するのは、何よりも「中国」である事は言を待たない。
この種の現実というか実際を詳細に把握した上で「ダイヤモンド戦略」を述べて貰いたい。
オーストラリア経済の枢要な部分は、既に中国依存にある。
中国市場を抜きにオーストラリア経済は成立しない状況でもある。
ならば、日本はTPPでオーストラリア経済を日本経済に組み込むか。
その覚悟を、日本は確固たる決意で持つのか、という事になる。
実に「言うは易し、行うは難し」である。
引用開始→ 日、豪、印、米で中国包囲網 安倍政権が掲げた「セキュリティー・ダイヤモンド構想」
(夕刊フジ2013.01.28)中国が、沖縄県・尖閣諸島強奪への野心をあらわにするなか、安倍晋三首相による“中国包囲戦略”が、関係者の注目を集めている。東シナ海や南シナ海における中国の覇権拡大を牽制(けんせい)するため、日本とオーストラリア、インド、米国ハワイといった民主主義国家・地域が連携して、中国を囲い込む「セキュリティー・ダイヤモンド」構想だ。その中身と実現の可能性とは-。
政府は25日の閣議で、民主党政権が2010年に策定した防衛大綱の見直しと、大綱に基づく中期防衛力整備計画の廃止を決定した。年内に新しい大綱をまとめる。中国が尖閣強奪を視野に、領海・領空侵犯や軍備拡大を進めていることが念頭にあるのは間違いない。
安倍首相は日本単独の防衛力強化だけでなく、海外との連携に向けた布石も着々と打っている。
具体的戦略の1つとして注目されているのが、安倍首相が首相就任直後の昨年12月27日付で、プラハに本拠を置く国際NPO団体「プロジェクトシンジケート」に英語で寄せた、「Asia’s Democratic Security Diamond(=アジアの民主主義 セキュリティー・ダイヤモンド)」という論文だ。
これによると、安倍首相は、中国が尖閣周辺の日本領海に公船を進入させて、東シナ海の領有権を既成事実化しようとしていると指摘し、自由航行が保障されるべき海上交通路(シーレーン)の一部である南シナ海についても、「北京の湖」とするために要塞化を進めていると警告。
「南シナ海には核弾頭搭載ミサイルを発射可能な中国海軍の原子力潜水艦の基地とするのに十分な深さがある」「間もなく中国海軍の新型空母が頻繁に見かけられるようになる」「中国の周辺諸国を恐れさせる事態」などと記したうえで、中国の海洋覇権を防ぐために、日本とオーストラリア、インド、米国ハワイが、インド洋から西太平洋に広がる海洋権益を保護するダイヤモンドを形成すべきだ、と主張しているのだ。
この構想を進めるためか、岸田文雄外相は13日にオーストラリアに飛び、同国のカー外相と会談。米国を含めた安全保障分野の協力を加速させる方針で合意した。
さらに、安倍首相は東南アジア歴訪の最後に訪れたインドネシアで18日、法の支配と自由で開かれた海洋の重視などを掲げた「日本外交の新たな5原則」を発表し、中国を強く牽制した。
注目の論文では、セキュリティー・ダイヤモンドを強化するため、英国やマレーシア、シンガポール、ニュージーランド、タヒチのフランス太平洋海軍との連携についても触れている。
安倍首相の大胆構想は成就するのか。
拓殖大学海外事情研究所の川上高司教授は「米国は国防費を削っており、同盟国に頼らざるを得なくなっている。(地域安全保障には)オーストラリアもインドも積極的とみられる。セキュリティー・ダイヤモンド構想は、実現する可能性は高いのでは。中国は、相手が強いと対話をし、弱いとみればかさにかかってくる国だけに、正攻法ともいえる。実現すれば硬いダイヤモンドになると思う」と語っている。←引用終わり
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