日本の「ゼネコン・政策(建設・土木)」って本当に都合のよい勝手なハナシだ (長文)
東京オリンピックや、ラグビーワールドカップの開催を控える「日本・東京」で、都市政策としての都市整備(土木・建設)が活況になると喧しいが、その現場の担い手(労働力)は根本的に不足している。
" 人手が無いなら「外国人技能実習生」の制度を都合よく変更すればよい "。
都合が良いねぇ!?
カネに困っている国が周囲にあるのだから、その国から日本で働きたいと希望する者を
「カネのチカラで叩き倒して扱き使えば良いではないか、住み着かれると困るから、期限を設けて追い返すのだ」と、まぁ、なんとも都合の良い事だ。
日本の中で引き籠もりを含め、現場労働は元より働く事すらを拒否する「労働適正人口」も抱えているワケだけれど、それへの社会の対処は一向に進んでいない。
最も深刻なハナシは、「働きたくとも働き口がない」と主張する若年労働適正者がいる事実に、具体的な方法としてどう対処しているのか。
周辺国の労働人口を上手く(高度技術が身につくと)釣り上げ労働移動させて使い捨てる。
これは1990年代半ばから、「外国人技能研修実習生制度」として展開してきた。
本当に、その精神や目的に沿った業種や雇用主も少数ながらあったが、大半は制度創設の理念には程遠く、安価な労働力としての使い捨てだった。
ゆえに、結果は事件に発展したケースがあったのは記憶に新しいだろう。
その都度、悪いのは「外国人技能研修実習生」で、雇用主は悲劇の象徴として報じられるばかりだ。
確かに被害にあった雇用主は「善人」だったかも知れない。
しかし、犯罪に至った多くの場合を検証すれば、厳しい労働環境で少額の賃金だった記録が残されている。
トータルで支払賃金が多かった場合は、残業を含め就業時間が長かったりの場合だ。
何よりも「移動の自由」を制限し、殆どの場合「雇用主」の事業所および提供宿舎周辺域からの自由な移動を原則制限している。
そうなると「懲役刑」ではないか。
途上国から「外国人技能実習生」という名目で、下積み低賃金労働力としての人を集め扱き使い期間が来れば追い返す。
自らの意志で手を挙げ来日したとはいえ、本質的には人権上の課題も抱えている日本に都合のよい制度なのだ。
同様にシンガポールは、下積みの単純労働をASEAN内のフィリピンや、周辺国のインドから期間限定で移住させ扱き使ってきた。
その制度上の綻びが露呈し多数の問題を噴出させている。
2本の記事を引用紹介をするが、よくよく読み比べ現実の問題について理解を深めて貰いたい。
1本は東洋経済の比較的都合のよい記事である。
もう1本は産経新聞によるシンガポールからの現地ルポである。
引用開始→ 五輪インフラにも影響、深刻な建設の人手不足
(東洋経済オンライン 2014年01月26日掲載) 2014年1月26日(日)配信19.4兆円の経済効果を創出し、121万人の雇用を生み出す(森記念財団都市戦略研究所調査)ともいわれる2020年東京五輪。日本経済の牽引役として期待される一方で、深刻な問題が懸念される。施設建設に携わる労働者不足だ。
かつては本来の社会基盤整備機能のほかに、雇用の受け皿機能をも果たしてきた建設業だが、今やその実態は変容している。建設投資額は1992年度の84兆円をピークに、10年度には41.9兆円まで減少した。
大手ゼネコンで構成される日本建設業連合会(日建連)の有賀長郎事務総長は、その原因をこう話す。
「工事受注額が一気に落ち込んだのはリーマンショックのとき。そしてその後の民主党政権と重なる時期にどん底になった。そればかりではない。産業の空洞化で、製造業からの発注も減った」
建設投資の減少は建設業の労働環境を悪化させた。13年における建設業に従事する男性労働者の年間賃金総支給額は全産業男性労働者より26%も低く、社会保険や厚生年金の加入率も低い。29歳以下の若年労働者が全産業平均より少ないのも特徴だ。
最も深刻な問題は、鉄筋工や型枠工などの技能労働者の不足。こうした職種は短期間に技能を習得することが難しく、一人前になるまでに数年から10年はかかるといわれている。後継者不足は深刻で、97年に455万人いた技能労働者の数は、12年には335万人まで減少した。
■予備自衛官にも関心
そうした中で、建設業界からは「五輪施設の建設ははたして間に合うのか」といった声が漏れ聞こえるようになっている。そもそも20年の五輪が東京に決定したのは、日本のインフラ力によるところが大きい。自民党五輪東京招致推進本部長を務めた馳浩衆議院議員はこう話していた。「20年五輪を東京に招致できると確信したのは、16年の開催地であるリオデジャネイロに視察に行ったとき。工事が大幅に遅れているのを見て、インフラ整備の重要性を痛感した。それができるのは日本だけ。だから東京しかないと思った」。
問題は競技場の建設ばかりではない。たとえば東京のインフラには課題が多い。都市計画道路の整備率は60%にすぎず、区部の混雑時の平均旅行速度は時速16.8キロメートルで、全国平均(時速35.1キロメートル)の約半分だ。インフラが十分に整備されず、円滑な輸送が行われないなら、国家の威信にかかわってくる。
そこで労働者不足を解消すべく、官民が一体となって取り組み始めている。国土交通省が13年度公共事業設計労務単価を全国平均で15.1%、被災3県で21%引き上げたのはその一例。大型車両の免許など建設関係の技能や資格を持つ予備自衛官にも「即戦力になる」として関心を寄せる。
建設現場での女性の活用も注目されている。大手総合建設会社における女性の比率は10%強で、うち技術職は4%にも満たない。そこで日建連は昨年11月に「女性技能労働者活用専門部会」を立ち上げた。女性を活用できる建設分野および女性を活用するための方策について検討を行い、技能労働者としての女性の活用に力を入れる。今年2月に中間とりまとめが行われ、同月下旬には報告書を発表する予定だ。
目玉は外国人の活用
さまざまな施策の中でも目玉になるのが、外国人技能実習制度の活用だ。政府の産業競争力会議は昨年12月26日、「雇用・人材分科会」の中間整理を発表し、実習期間の延長などを提案した。具体的には3年の実習期間を5年に延長し、実習生の再入国を認め、「受け入れ企業の常勤職員総数の20分の1」の制限枠の拡大などで、不足する労働力を確保しようとするものだ。規制緩和が必要に
だがこれには制約がある。同制度の本来の目的は、発展途上国の実習生に日本の技術を移転し、国際協力・国際貢献を図ることだ。日本国内の労働力不足を解消するためのものではない。習得に時間のかかる建設関係の技能労働についてはこれまでも期間延長を求める声が出ていたが、なかなか認められなかったのはこのためだ。
そこで緩和措置を被災地の復旧・復興事業や東京五輪関連施設の整備のための期間限定的なものにするなどの方法が検討されている。五輪まであと6年だが、実際にはその前年のラグビーワールドカップがメド。そうなるとすぐにでも期間延長が必要だ。現場からは「実習生の準備期間を考えると、一刻も早く実施してほしい」と早期の緩和措置を切望する声が多く聞かれる。日本に受け入れる技能実習生を技能検定の合格者に限定し、受け入れる企業も優良と認められるものだけに限定する方法も有望だ。
こうした動きに先んじるのが、サブゼネコンの向井建設だ。同社は12年、ベトナムに職業訓練校を開設した。年間240人のベトナム人研修生が現地で選抜され、日本語を習得しながら高所作業、鉄筋、型枠、内装の4種業の指導を受ける。4カ月の研修を終えた後に日本で長期の技能実習に入る。
この職業訓練校は、日本滞在を経て本国に帰国した後も見据えている。日本企業がベトナムで施工する際のリーダーとなる人材を育成することを主眼としているのだ。
13年3月、日本とベトナムは建設分野での国際競争力強化を図るために人材育成の覚書を取り交わした。これを足掛かりに日本が目指すのは、6億の人口と1.8兆円の名目GDP(域内総生産)を擁するASEAN共同体だ。
12年7月31日に閣議決定した日本再生戦略で20年度には2兆円以上の建設業の新規海外受注を目指す日本のゼネコンにとって、来年誕生する同共同体は極めて魅力のある市場になる。東京五輪の後、国内の建設需要は沈むため、ASEANが重要になる。そのカギが研修生の受け入れ強化。これをしっかりできるかどうかが、日本のゼネコンの将来を決めるかもしれない。←引用終わり
(週刊東洋経済2014年1月25日号<21日発売>核心リポート03を転載)
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引用開始→ シンガポールで40年ぶりの暴動 リトルインディアが映す出稼ぎ労働者依存政策のひずみ
(産経MSN2014.1.26 12:00)シンガポールのリトルインディアで先月、同国では約40年ぶりの暴動が起きた。逮捕されたのは、低賃金で肉体労働を担うインドからの出稼ぎ労働者たちだった。海外からの人材に依存した経済成長のひずみが暴動の背景にあると指摘されている。(シンガポール 吉村英輝、写真も)
飲酒が原因か
暴動から約1カ月たった週末のリトルインディアを訪ねた。午後になると、多くの出稼ぎ男性が郊外から集まってくる。送金業者の窓口に列を作って本国の家族に給料の一部を送り、1週間分の食材を買い込む。周囲には柵が張り巡らされ、多くの巡回警官が買い物の後の彼らの“楽しみ”を厳しく監視していた。南インドから出稼ぎに来て6年になるという男性(28)は、定食店のテーブルで「同郷の仲間と週に1回、こうやって話し合うのが唯一の楽しみ。店で飲んでいる限りは尋問も受けない」と笑顔で語り、3本目のインド・ビール「ノックアウト」を空けた。
店では1本4シンガポールドル(約330円)だが、酒店で買えば3・5ドル。暴動前は近くの公園や路上で飲んで酒代を節約していたが、当局は飲酒が暴動につながったとして公共の場での飲酒を禁止した。
ある酒店の主人は、かき入れ時の週末は1日に約600ドルあった売り上げが、暴動後は10分の1に落ち込んだという。「酒以外の雑貨販売だけでは子どもの学費も払えない」と訴えた。
社会からの断絶
12月8日の暴動は、リトルインディアから郊外の寮に戻る送迎バスに乗り損ねたインド人男性が、そのバスにひかれた事故が発端となった。周囲にいたインド人ら約400人が、中国系運転手と車掌を責めてバスを取り囲み、暴徒化した。ひかれた男性も暴徒も酒に酔っていたとされる。だが、暴動について米紙ニューヨーク・タイムズは12月27日付の社説(電子版)で、「評価されずに不当に安く働かされている出稼ぎ労働者の不満の高まりに、シンガポールは対応できていない」と論評した。シンガポール政府は1月14日、同紙が言う「出稼ぎ労働者への不当な評価や抑圧」はないと反論した。
テオ・チーヒエン副首相は20日、この問題に関する国会での集中審議で「多くの出稼ぎ労働者はシンガポールでの仕事に満足している」と主張。付近では暴動前から飲酒によるトラブルへの苦情も多く、すでに警備強化などの治安対策を強化したと説明した。
一方、リトルインディアで2008年から出稼ぎ労働者への食料の無料配給を行っている非営利法人(NPO)「TWC2」のデビー・フォーダイスさんは「経済的な搾取から来る労働者の被差別意識と社会からの断絶が暴動の背景にある」と指摘する。
建設ブーム支える
厳格な移民政策で知られるシンガポールでは、出稼ぎ労働者の永住は認められない。建設計画が中止になれば滞在資格は失われ、借金を抱えたまま帰国するケースも絶えない。食料支援を受けるバングラデシュの男性(29)は、昨年4月にけがをして仕事を失った。休業補償もまだ認められないため、「あきらめて帰る」という。シンガポール経済は近年、外国人労働者に頼って成長を遂げてきた。1990年の外国人は人口の10%の32万人だったが、2013年には29%の156万人に拡大した。政府は国籍の内訳を公表していないが、インド、バングラデシュだけで建設労働者の過半を占めるとみられる。彼らが建設ブームを支えている。
安価な労働力の流入による所得格差の拡大で、国民の不満も高まっている。リー・シェンロン首相は昨年8月の演説で、経済発展の恩恵の公平な配分を掲げたが、その対象に外国人も含まれるかは不透明だ。
政府は今回の暴動に関する査問委員会を2月19日に開き、関係者から意見聴取するという。リー首相も「教訓を得て、暴動の再発を防ごう」とフェイスブックで呼びかけた。良好な治安や好調な経済から「東南アジアの優等生」と称されるシンガポール。今回の議論が、外国人労働者に頼る成長モデルの見直しにつながるか、注目される。
◇
リトルインディア暴動
シンガポールのリトルインディアで昨年12月8日夜に発生。インド国籍の労働者(33)がバスにひかれて死亡したのをきっかけに、警察車両など25台を横転させ、一部に放火する暴動に発展。鎮圧に当たった警官ら39人がけがをした。当局は暴動容疑でインド国籍の25人を起訴。57人を国外退去処分にした。シンガポールでは、1960年代に民族対立などによる暴動が多発したことを教訓に、民族融和や治安規制を推進。69年の華人とマレー人の対立以来、大きな暴動は起きていなかった。←引用終わり
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