クリミアを巡るウクライナ情勢 序盤戦はプーチン・ロシアの圧勝で幕を降ろす
これから、第二幕が始まるのだろうが、
ロシアが権益を守り切り、欧米はロシアの権益をどこまで切り崩すか?
かつて大英帝国がクリミア半島に目を付けてから、もう150年以上も熱冷を交錯させながら激突し続けているクリミア半島。
問題はフルシチョフがロシアからウクライナへ割譲し国境を変えた事を、直近の事実としてアタマに入れておかなければならない。
その上で、ロシア国会に於けるプーチンの演説である。
クリミアはタタール人の国である。
決してロシア人の国ではない、勿論エラそうな口を叩くウクライナ人の国でもない。
タタール人はトルコ系の民族である。
だからというワケではないだろうが、最初にクリミアに目を付け占領したのはオスマントルコである。
その処理が拙かった事で、いまに至る黒海を取り囲む西アジアからバルカン半島の政治的流動性が生じているのだ。
オスマントルコが衰退した後にイスラム世界の支配者を目指したのが大英帝国だった。
大英帝国はクリミア半島を占領しようとしてロシアとぶつかり「クリミア戦争」激しい戦いを行い、結果的には退けられロシアは帝政の時代からクリミア半島を権益勢力圏に納めた。
大英帝国は植民地とした地域の撤退に伴い稚拙な処理をした事で、現在に至る中東地域の不安定を形成している。
ロシアに言わせると、欧米社会がウクライナというロシアの前庭へ侵入し、勝手な泥棒行為を繰り広げるのは我慢ならないという事だ。
その余勢を駆って「クリミア自治共和国」をロシアから分捕ろうとの企図は粉砕の対象でしかなく、断じて受け入れられないという事だ。
これから、クリミアを巡る第二幕が上がるのであろう。
「経済制裁」という我慢比べに、どちらがどこまで辛抱し我慢するかである。
現在のところ「ロシア」は意気盛んなようだ。
米国は、財政的に疲弊している。
欧州連合は、ギリシャ、キプロス、イタリア、スペイン、ポルトガルの財政危機を抱え、旧東欧諸国の財政を、ほとんどドイツの工業力で支えている。表面の顔を演じたがるフランスは強すぎるドイツマルクベースの「ユーロ」ではやっていけないので、第二の通貨「フラン」の復活と厳粛な国境管理を求める声が日増しに強まっている。
この状況で、新たにクリミアを抱え込む事ができるのか?
プーチンのロシアは第二幕までの展開は想定し描いている事だろう。
引用開始→ ロシア大統領、クリミア編入を表明 欧米が追加制裁へ
(日本経済新聞2014/3/18 20:53)【モスクワ=石川陽平】ロシアのプーチン大統領は18日、ウクライナ南部クリミア半島の住民投票で「ロシアへの編入」が圧倒的に支持されたとして、編入の方針を表明した。欧米諸国がロシアに厳しい追加制裁を科すのは確実。日本も対ロ制裁の強化に踏み切る見通しだ。ウクライナ危機は世界経済と国際的な安全保障に深刻な影響を与える重大な局面を迎えた。
プーチン大統領は18日午後3時(日本時間同日午後8時)、クレムリンで上下両院議員や政府幹部、社会団体の代表らを集めた連邦会議で演説した。圧倒的多数で編入を支持したクリミアでの住民投票について「民主的で合法的だ」と主張。ロシアとクリミアは「同じ歴史と同じ誇りに満ちている」と述べ、ロシア議会に対しクリミア半島編入の国家間条約を支持するよう求めた。
編入するのはクリミア半島のクリミア自治共和国と特別市セバストポリで、編入の法的な手続きは約2週間から3カ月以内に終わる見通しだ。プーチン氏はクリミア半島の編入で保守的な国民の支持を固め、半島南部セバストポリにあるロシア黒海艦隊の基地を長期的に確保する構えだ。
プーチン氏はウクライナ危機打開に向け欧米諸国と協議を続ける方針も示す。だが、ロシア軍の即時撤収を求める欧米との溝は深い。プーチン氏は17日、ロシアに編入する国家間の条約案に署名する方針を示した大統領令も発令した。
ロシアはウクライナで2月22日に起きた政変で、親欧米派の新政権が発足したことに強く反発してきた。「ロシア系住民の保護」を理由に、3月初めまでにクリミア半島全域に軍を展開。9割以上が編入に賛成した16日のクリミア自治共和国とセバストポリの住民投票を誘導した。
ロシアが同半島を編入すれば、第2次世界大戦後の欧州で初めて武力を背景にした「併合」の事例となる。ロシアは住民の「自決権」を認めた国連憲章に従って合法性を主張するが、日米欧は戦後秩序を形成してきた「領土保全」の原則が侵害されたと批判する。
欧米も追加制裁に踏み切る。17日にクリミア編入に関与したロシア高官らの資産凍結とビザ発給停止など新たな制裁措置を決めたが、貿易制限の導入など一段と踏み込んだ制裁の検討に入った。6月にロシア南部で開かれる予定の主要8カ国(G8)首脳会議もボイコットすることが確実だ。ロシア議会も対抗措置を検討すると表明した。
世界有数の資源国であるロシアへの追加制裁の発動は、原油やガスの国際的需給や日欧米の企業による対ロ投資に悪影響を及ぼす可能性がある。ロシアの輸出は欧州向けが半分を占め、ロシア経済が打撃を受けるのも確実だ。1400億ドル(約14兆円)の対外債務を抱えるウクライナのデフォルト(債務不履行)の危機も続く。
安保面では、米ロが結んだ新戦略兵器削減条約(新START)を柱とする核軍縮の行方が不透明になる。欧米とロシア双方が欧州地域で軍備拡大に着手する恐れもある。米欧ロが協力するシリア問題やイランの核開発を巡る多国間交渉も一時停滞しかねない。米欧ロが常任理事国の国連安保理も機能不全の状態が強まるとの指摘もある。←引用終わり
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