イラクはテロ組織アルカイダとの戦闘で実質的内戦へ マリキ政権は反撃するが鎮圧できるか?
イラクの現政権が倒されると、中東は一気に押し止めようのない不安定になる。
シリアの内戦を主導しているのもアルカイダである。
アフガニスタンの反政府武装組織タリバン運動もアルカイダと密接不可分であり、タリバンはパキスタンで完全に根付き、次はウズベキスタンに根拠地を求めているという。
アルジェリアとリビアでは、アルカイダの影響を受けた武装組織が産油施設を狙い産油地域全体を収めようとしているようで、この度のイラク内戦についてもアルカイダが「石油利権」に目覚めた結果と言えなくもない。
これをイラクでマリキ政権が抑え込めるかどうかが当面の焦点だが、その過程で米国がどのような態度に出るか試されている。
オバマは、口先だけで幕引きを図る事だろう。
ロシアは、好機とばかりにシリアへの影響力を高めるだろう。
すると残されるのはレバノンとイスラエルだけか。
サウジもヨルダンも湾岸諸国も孤立させられる。
イランは、イラクのマリキ政権を支援すると表明している。
米国の動きを見ながら動くだろう。
もう、欧米はイスラエルと石油を守るためだけに軍事行動に出る事すら、イランによる強い制約を受ける事だろう。
結局は個人商店のサウジに代わりイランを中東の盟主として遇さなければならない状況を生むのではないか。湾岸諸国はイランへの叩頭外交を強いられるだろう。
米国の力量は低下し完全に落ちた。
CIAの能力低下とも言えるが、ITネットワーク化を進めすぎた結果というか報いと言えなくもない。
同じ状況は、東京を拠点にした「対中国、対ロシア」についても同じ事が云える。
日本は「集団的自衛権」などと寝言や戯言で騒いでいるが、米国を中心とする周辺の環境というか事態は、既に地球規模で大きく変わってしまっている。
これからは日本も国際テロ組織(例えばアルカイダ)と中国との戦略的対峙および小競り合いを強いられる。
イラクで生じている事態は、その萌芽ではないか。
引用開始→ イラク首相、国民に抵抗呼び掛け 過激派と衝突拡大も
(日本経済新聞2014/6/16 10:44)【カイロ=押野真也】イスラム過激派武装組織と政府軍との衝突が続くイラクで、同国のマリキ首相は15日夜(日本時間16日未明)に演説し、「国家を守るために立ち上がれ」などと、国民に抵抗を呼び掛けた。すでに民兵組織が戦闘に参加しており、一般市民を巻き込んだ衝突が拡大する可能性もある。政府軍と過激派の戦況は一進一退の攻防が激しさを増している。
イラクでは、イスラム教スンニ派の武装組織「イラク・シリアのイスラム国」が首都バグダッドへの進撃を目指していたが、15日までに政府側が空爆などでこれを阻止。バグダッド北方の都市サマラ近郊で両者が断続的に衝突している。
15日の演説で、マリキ首相は「国民は団結してテロリスト(イスラム国)を打倒せよ」などと述べた。ただ、同首相はイスラム教シーア派主導の政権を率いており、スンニ派系の国民は冷ややかだ。シーア派系住民は民兵を組織して戦闘地に赴いており、今後、シーア派とスンニ派との宗派対立がさらに激化する可能性がある。
15日にはサマラ近郊を政府軍が空爆。一時劣勢が伝えられた政府側は反転攻勢を強めており、戦果を強調している。ただ、スンニ派が多数を占める地域では武装勢力を歓迎する機運も高まっており、戦局の行方は不透明だ。
マリキ政権を支援する米国は空母やミサイル巡洋艦・駆逐艦をイラクに近いペルシャ湾に移動させ、過激派側をけん制している。ただ、オバマ米大統領は「(米国は)地上軍は派遣しない」と表明しており、本格介入に消極的な姿勢を示している。
米国は無人機による空爆などを検討しているとされるが、こうした作戦には誤爆のリスクも伴う。武装勢力側はこうした事情を理解しており、一般市民が集中する都市部に拠点を築くなどして米国が介入しにくい状況を作り出す可能性もある。←引用終わり
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