「没後50年 藤田嗣治展」を改めて観る前に 葛飾北斎の肉筆画の細かさを比較する
小布施の北斎館:
企画展「北斎 VS 北斎」富岳36景✕富岳百景
没後50年 藤田嗣治展を、この夏に「東京都美術館」で観覧した際、藤田嗣治の細かな描き込みに、何故か葛飾北斎の肉筆画の細かさを思い出し、京都(MoMA K)で観覧する前に、葛飾北斎の肉筆画と比較したいと考える。
http://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2018/428.html?fbclid=IwAR2RPWfqi2_a-pgq4vbiuS0lbByWk7DevwIfnPmNIQh5mIZVlSnsL2CNYfM
葛飾北斎のタッチと藤田嗣治のタッチや技法は、大きく異なるが、自由な発想で、大胆に省略し、あるいはデフォルメするなど、イメージを膨らませながら、実は細かな描き込みを同時に行うなどは、共通項を窺う事ができた。
江戸の浮世絵(版画)がパリの画壇に驚きと共に迎えられ、それは「ジャポニスム」として、パリで「印象派」の画家達に大きな影響を与えたのと同様に、藤田嗣治の画風はまた別の「ジャポニスム」として、新鮮な影響を与えたのではないかと。
藤田嗣治の画風は、若くしてパリで客死した佐伯祐三が遺した写実的な代表作「郵便配達夫」とは異なり、実に「日本画」的で平板な中に、例えば油彩画にも、墨と筆を用い繊細に描き込み表現する藤田嗣治の独自の美しさを感じる。
ずいぶん昔に藤田嗣治の画を観た時は、(未熟にも)何だ日本画かと感じた浅さを、改めて思い出し恥じた。
画風として、葛飾北斎の肉筆画と藤田嗣治の油彩(例えば「白の肖像がシリーズ」に)は、何の共通項があるワケでもないが。
日本の画に底流にあると思われる平板の中に溢れる「大胆と繊細」による美しさを、強く感じさせられ意識させられる。
それは屏風絵や襖絵に遺した、モノクロ墨の濃淡だけで表した雪舟や等伯の水墨画(画風)の描き込みにも共通する大胆さや細かさがが秘められている。
改めて、忠実な写実作品を遺した佐伯祐三の作品を、大阪中之島美術館が2021年に開館した際には、ぜひ展覧させて貰いたいと考える。
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