「大都市」についてシンプルに考える :(その3、その4)
「都市」が形成される時、最も重要な基盤は「公衆衛生」の保持、つまりそれは「上下水道」と「ゴミ処理」の整備確保です。
次に「食糧」の供給と、「貿易・交易」を維持するための交通路の建設が必要です。
更に「住民」が集まる「広場」が求められ、やがて中心の必要性が求められ「市庁舎」や「教会」を軸に都心が形成され、形が整い始めます。
「大都市」は、それらに従事する大量の人手を周辺地域に求めます。
多くは「焼却」や「埋蔵」処理を含め、古代から現代に至るまで、都市の「公衆衛生」の確保と保全は実に悩み深いテーマとして立ち塞がり続けています。
古代から大都市として維持し、これらの問題を課題化し解決を図れた大都市だけが、放棄される事なく現代まで引き継がれ維持されてきました。
エジプトのカイロ、イタリアのローマ、日本の大阪(難波)が古代から大都市として維持されてきました。
豊かな「大都市」は、以前にも触れましたが「付加価値生産性」が高く、集合する「住民(市民)」が産み出す「生産物」の付加価値が高いため、全体に「所得」を押し上げるのです。
当然ながら「課税」による「行政」が得る税収も高く大きくなります。
つまり「豊かな『都市』となり」ます。
また、それにより「行政機関」は「税の再投資」を行う事で、周辺地域との繋がりを強める「政策」を採る事もでき、広域が発展の恩恵(果実)を受けるようになります。
「大都市」が経済的発展に発展するに従い、都市計画を政策として立案する必要が生じます。
主として「住居」地域、また「商業」地域、あるいは「工業」地域、そして「商住」混淆地域や「住工」混淆地域が、自然発生的に分類されます。
やがて、より大きな「生産手段」の拡大が必要になると、今度は「大都市」の周辺地域へ「必要な規模の生産加工の場」を求め移動するようになり、いよいよ大規模化が始まり、人、物、金、情報、などの積極的な流通交流が重層的に活発化します。
「大都市」は、ほぼこのような途筋を辿りながら、まず「工芸的技法」から次に「工業的技術」へ発展させ、知恵を使い上手く転移させながら、より大きく地域全体を引っ張る役割を期待され応える事で維持されているともいえます。
「大都市」についてシンプルに考える
(その4)
「都市」に居住する人の多くは、他の地域から移り来て住む人だ。
それぞれの「価値観」も違えば、保持する「能力」や「技芸・技術」も異なり、生産手段も異なるのだから、全員が「幸福」を追究できても、個々人がそれぞれに実現を得て受け取る「果実」が異なるのも致し方がないのです。
従って、最初にも触れましたが当然にも「格差」が生じるのは防ぎようがありません。
しかしながら、巨大な「格差」が生じると、それは「怨嗟」の基になり、放置すると「都市」の社会安全が脅かされます。
従って、様々な「規範」や「規制」を設け、それらを「制度化」する方法で、「社会安全」の維持を図り「逸脱」を処罰するのですが、それは「誰が担当する」のかという課題が生じ、そのサービスを担う「行政府」が設置され委ねられる事になりました。
それを献身的に無償で奉仕する人はいないため、養うために「金銭」が必要になります。
その「金銭」を賄うのが「税金」であり、それを「都市」に集合する人の労働対価(所得)に課税し徴収する事を制度化したのです。
そこで「行政府」を代表し「執行権」を預かる人物を誰に任せるのが最適か?
様々な「議論」がありますから、その役割を担う人物を「投票」で選抜する「代理人(制)」を維持する「選挙制度」が設けられたのです。
また「行政執行の代表者」が「不正」を働く事を防止する目的で、行政権の執行に対する「検査検証」を「事前」また「事後」に行う役割の必要性が生じ「議会」が創設され、それを担う「代理人」としての「議員」をも「投票」で選ぶ「選挙制度」を設け、チェック&バランスの機能が保たれるように「議会の公開(傍聴制度)」も整備したのです。
これらは様々な紆余曲折を経る事で、それなりに「機能」を果たしてきましたが、現代社会は個々人の「個性」が明らかになり、個々の違いも明確になり、重要な情報を得るための技術も明らかに差異が生じ、それらが「知識」や「技芸・技術」の上で、更に明らかな「差異」として見えるようになり、「生産手段」「知識蓄積」「資本創出」など、より適切な組合せが必要になったとも言えます。
これらの急激な「環境変化」や「状況変化」に対し、「大都市」の「行政府」も対応を余儀なくされるワケで、一気に押し寄せた急激な行政条件の変化に必要にして十分な対応ができなくなり、様々な「社会的要求」への回答・解決に適正さを欠く場面も生じる事になり、それれらは「議会」は勿論「社会的不公正」に対する不満として爆発する要因にもなっています。
現在、日本の「大都市」が抱える行政課題は、それぞれの地域特徴を持ちますが、基本は「財政能力」として、「税収」と「支出」の不均衡が主な原因と言えます。
それは、同時に「大都市」を超えた「国」の問題でもあります。
次回「国が規定する " 都市問題 " を行財政」から考えます。
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