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2021/02/18

技能実習生を巡り生じる『収奪』を正しく理解しない「様々な誤解」は、両国にとり大変悲しいことです

基本的には、引用紹介する記事に触れるまでもなく、
30年前、制度設計を議論した際の公式な会議で、既に指摘した事ですが、当時も今も日本の側は楽観的で同情的で「脳天気」な姿勢は相変わらずで、日本側の都合の良い「個人の自覚」と簡単に片付け終えてヨイ事ではありません。


両国とも、中間に立つ「機関・組織」は、勿論ながら「受入れ事業者」には、人としての連帯責任があります。


何れの国も、一定の経済発展を得た後は、その国で「低賃金の単純労働」に就く事を忌避する傾向が高まり、その分野を支える様々な「低賃金労働力」を必要とするのです。
それを「低賃金単純労働者」と言わず(呼ばず)、最初は「技能研修生」と呼び位置づけ、1年後に「技能実習生」と、名目を置き換え「低賃金労働」を僅かに改善するものの、実態は「タコ部屋」労働と変わらない状況のままです。


安っぽい言い方の「人権」ではなく、人として正当に扱われていないため、技能実習生などと都合よく呼ばず、人として労働法を適正に適用し、正当な労働者として、必要な権利を認め与えて扱えと言っているのです。
日本は、このような酷い扱いのまま、低賃金を強い続けるなら、国際社会で孤立しますよ!


引用開始→ なぜ、ベトナム人実習生の入国ラッシュが起きたのか?
(WEDGE 2021年2月16日 出井康博 ジャーナリスト)

 コロナ禍の最中、政府が11カ国・地域の外国人に例外的に認めていた入国制限緩和措置を通じ、11月から1月後半までの3カ月弱の間に12万8625人が来日した。国籍別で最も多く入国したのが5万5754人のベトナム人で、中でも実習生は3万2305人に上った。

 ベトナム人実習生の入国は今年初めからさらに加速し、1万7000人以上が日本へ駆け込んだ。その数は、同じ時期に緩和措置で入国した外国人全体の6割にも達したほどだ。結果、昨年6月末時点で約22万人を数え、実習生全体の半数以上を占めていたベトナム人の数は、25万人前後まで増えたと見られる。

 なぜ、ベトナム人実習生の入国ラッシュが起きたのか。

 実習生は、現地の送り出し業者を通して日本へ派遣される。新聞やテレビでは「送り出し機関」と呼ぶが、実際には民間の人材派遣業者である。その送り出し業者の間で、昨年末からこんな噂が流れていた。

 「コロナ感染が拡大しているので、日本が3月末まで実習生の受け入れを止めるかもしれない」

 噂は現実となり、日本は1月後半に実習生などを対象とした入国制限緩和措置を一時停止した。その前に送り出し業者が、日本での就労先が決まっている実習生たちを急いで派遣したわけだ。業者関係者によれば、現地では航空券の奪い合いまで起きていたという。

 日本に行けるかどうかは、実習生にとっては大問題だ。彼らは送り出し業者に対し、多額の手数料を支払っている。借金に頼ってのことである。日本で働かなければ、借金は返済できない。

 実習制度は、実習生が金銭的な負担なく来日できるよう定めている。来日前に送り出し業者が実施する日本語などの研修、また渡航の費用にしろ、日本で実習生を受け入れる企業が負担する決まりだ。しかしベトナムでは、実習生は送り出し業者に金を払わなければ、日本へは行けない。

 ベトナム政府は送り出し業者に対し、実習生から「3600ドル」(約38万円)を上限に手数料を取ることを認めている。しかも、この上限が全く守られていない。数年前までは、日本円で100万円以上の手数料を徴収する業者も多かった。現在の相場は6000?9000ドル(約63万?95万円)程度だが、それでも政府が定める上限をかなり上回る。

 実習生として日本での出稼ぎを希望するベトナム人は、地方の貧しい若者たちが中心だ。たいていは農村部の出身で、月2?3万円程度の収入で暮らしている。業者へ支払う手数料は、家族の年収の2倍以上にも相当し、借金でしか工面できない。

 コロナ感染が拡大する日本での出稼ぎは、実習生にとっても不安が大きいことだろう。それでも借金返済のため、日本が入国を止める前に出発を急いだ。

 送り出し業者としても、1人でも多くの実習生を派遣したい。実習生の手数料は、業者と契約した時点で半分が支払われ、残り半分は日本への出発直前に収めることになっている。業者は実習生を送り出せなければ、手数料の半分を取りはぐれてしまう。

 さらにいえば、日本側で実習生を仲介する「監理団体」の事情もある。監理団体は実習生の就労先となる企業や農家から、1人につき月3万?5万円を「監理費」として受け取る。実習生が来日できなければ、そのぶん収入も減ってしまう。そのためベトナムの送り出し業者には、監理団体から「実習生の受け入れが止まる前に急いで送れ」という指示が相次いでいたという。

 こうした実習生や送り出し業者、そして日本の監理団体の思惑が重なり合って、ベトナム人実習生の駆け込み入国が起きたのだ。

 ベトナム人実習生が多額の借金を背負い来日する問題は、新聞などでも頻繁に報じられる。その論調は、決まって「現地に悪質業者がいて、違法に手数料を取っている」というものだ。

 だが、悪いのは業者だけなのだろうか。そもそもベトナム政府が手数料の上限まで定めながら、なぜ全く守られないのか。そにには、ベトナム特有の〝事情〟が影響している。

 日本への実習生送り出しには、ベトナム労働・傷病兵・社会省海外労働局の認可が必要となる。日本側で実習制度を統括する公益財団法人「国際人材協力機構」(JITCO)によれば、ベトナムの認可業者は397社に上る。ベトナムでは、認可を取ることは容易ではない。

 ベトナムは汚職と賄賂が蔓延る国だと言われる。実習生の送り出しにも、汚職大国の壁が立ちはだかる。首都ハノイの大手送り出し業者で幹部を務めるグエンさん(仮名・30代)は、絶対匿名を条件にこう話す。

 「送り出し業者としての免許を取るには、当局とのコネと金が必須です。どちらが欠けても免許はもらえない」

利権となる許認可権
 業者はまず、コネを使って当局の担当者に近づく。そして担当者を接待しては賄賂を渡す。グエンさんの会社は、免許を得るまでに「日本円で1000万円以上は使った」という。官僚が認可権を利権にして、私服を肥やしているのである。

 認可権を握る官僚から賄賂を受け取るなど、日本で発覚すれば大問題となる。だが、ベトナムでは「常識」なのだ。

 接待や賄賂は、認可が取れて終わりではない。当局とのコネを維持するため、年に何度も接待しては賄賂を渡し続ける。グエンさんによれば、1回の額は「5万?10万円」程度だという。しかも相手は1人ではなく、何人もの官僚に渡す必要がある。

 官僚には、正規の月収以上の賄賂が接待のたびに手に入る。そして接待してくれる業者は、かなりの数に上る。官僚にとって、どれほど大きな利権であるかわかってもらえるだろう。

 官僚とのコネは、誰もが持てるわけではない。そのため実習生の送り出しには、ベトナムの特権階級が関与するケースも多い。グエンさんが続ける。

 「名前は出せませんが、(ベトナムで一党支配体制を敷く)共産党幹部の家族や親戚が、業者の運営に関わっているケースも多いのです」

 業者が実習生から徴収する手数料は、特権階級の「財布」にもなっているというのだ。これでは、政府が定める手数料の上限など守られるはずもない。

 日本への実習生の送り出しは、ベトナムでは「一大産業」だ。約22万人のベトナム人実習生が1人100万円の手数料を支払っていれば、総額で2200億円に上る。GDPの規模が日本の20分の1程度というベトナムでは、極めて大きなものである。しかも実習生以外にも、留学生も同様に送り出し業者に手数料を払って来日する。

 その後、実習生や留学生たちは日本で借金返済のための肉体労働に明け暮れる。そうやって借金を返済しながら、母国の家族へ仕送りを始める。

 在日ベトナム人の数は昨年6月末時点で約42万に上っていた。その多くが実習生もしくは留学生として来日し、母国へと金を送っている。1人が年100万円を送金していれば4200億円、年10万円でも420億円だ。彼らの送金は、ベトナム経済にとっては欠かせない外貨収入である。こうした経済事情もあって、ベトナムは11月以降だけで、実習生を中心に約5万6000人もの自国民を日本へ送り込んだ。

 その一方で、実習生たちが借金漬けで来日するシステムは全く改まる気配がない。実習制度のルール違反なのだから、本来であれば日本からベトナムに対し、実態を改めるよう強く要求すべき問題だ。しかし、そんな気配は全くない。

 実は、実習生が借金して送り出し業者に支払う手数料に群がるのは、ベトナムの腐敗官僚だけではない。日本側の受け入れ関係者の利権にもなっていることが疑われる。←引用終わり

引用開始→ ベトナム人実習生の背後にある深い闇 (WEDGE 2021年2月17日 出井康博 ジャーナリスト)

 コロナ禍で人手不足は緩和したとはいえ、一部の職種では低賃金の外国人労働者に対するニーズは依然として強い。その象徴が、外国人への入国制限緩和措置によって急増したベトナム人実習生たちである。

 ベトナム人実習生は昨年6月末時点で約22万人に達し、実習生全体の過半数を占めていた。そこに11月以降、緩和措置で3万2000人以上が新規に入国した。ベトナム人実習生には、1つの共通点がある。日本円で100万円近い借金を背負い来日していることだ。

 実習制度では、来日する人材に金銭的な負担を強いないよう定めている。事前の日本語研修の費用、また渡航費も、すべて日本で実習生を受け入れる企業が支払う決まりなのだ。だが、ベトナムでは政府が送り出し業者による手数料の徴収を認め、「3600ドル」(約38万円)という上限まで設定している。しかも、その上限を守っている業者はほとんどいないとされる。結果、実習生たちは借金をして、手数料を支払うことになる。

 送り出し業者が実習生から上限を超える手数料を取っても、罰せられることはない。「政府当局の担当者に賄賂を渡し、結びついている」とされるからだ。ベトナムで一党独裁体制を敷く共産党幹部の家族などが、業者を運営しているケースも少なくないという。日本への実習生の送り出しが、特権階級の収入源になっているというのである。

 新聞など大手メディアは実習制度について取り上げる際、「悪質業者を排除すべき」と主張する。しかし、実習生の送り出しが国ぐるみのビジネスと化しているベトナムのような国では、「排除」は簡単なことではない。

 実習生が支払う手数料の一部は、送り出し業者から当局担当者に渡される賄賂となる。加えてもう1つ、手数料が増える原因がある。日本で実習生を斡旋する「監理団体」に支払われるとされるキックバックだ。

 ベトナムでは実習希望者は多く、日本側の「買い手市場」となっている。送り出し業者としては、何とかして監理団体に多くの実習生を売り込みたい。そのため不明瞭なキックバックが横行しているという。

 ベトナムの首都ハノイの大手送り出し業者で幹部を務めるグエンさん(仮名・30代)は、その実態についてこう証言する。

 「キックバックの金額は、実習生が日本で就く仕事の業種によって差があります。比較的楽な仕事とみなされ、実習生に人気の高い『食品加工業』などでは、1人の受け入れにつき25万円を要求してくる監理団体もある。『農業』や『水産業』で10万円、仕事が大変で、人気が低い『建設業』だと5万円というのが最近の相場になっている」

 「技能実習法」では、監理団体について「営利を目的としない法人」と定められている。だが、そのビジネスモデルは人材派遣業者と何ら変わらない。実習生の就労先となる企業から「監理費」という名目で、1人につき月3万?5万円程度を徴収する。監理団体の経営には民間の派遣業者などは関われないが、裏で関与していることもよくあるとされる。

 そんな監理団体が、ベトナムでは送り出し業者からキックバックまで得ているというのだ。キックバックは現金で渡されるため、表には出ず、もちろん税金の対象にもならない。団体関係者にとっては、実においしい「利権」である。

 しかも、監理団体が送り出し業者に要求する利益供与は、キックバックに留まらない。実習生の面接でベトナムを訪れる際の渡航費や宿泊費まで、業者に求めてくる団体もあるとされる。また、団体関係者に対する接待も慣例となっているという。グエンさんにも、これまで何度となく日本人を接待してきたと証言する。

 「監理団体の人たちがハノイで宿泊するホテルは決まっている。ホテル内にカラオケバーがあって、女性を連れ出せるところです。私は飲み代までしか払わないが、接待の一環で買春費用まで支払う業者がいても不思議ではない」

 監理団体関係者へのキックバックや接待は、かつて実習生の送り出しの中心を占めた中国で根づいていた。その習慣を、関係者たちがベトナムへと持ち込んだのだ。監理団体の間で、ベトナムが〝人気〟である理由、そしてベトナム人実習生が急増している背景がわかってもらえるだろう。

 送り出し業者から監理団体へのキックバックや接待の費用、またベトナムの官僚へ渡される賄賂にしろ、すべて出所は実習生たちが背負う借金だ。そのため彼らは多額の借金を抱えて来日することになる。

 実習生が日本で働いて得られる賃金は、手取りで10万円少々に過ぎない。ベースとなるのは各都道府県の最低賃金で、そこから住居費などが引かれるからだ。結果、手っ取り早く借金を返そうと、職場から失踪して不法就労に走ったり、犯罪を犯すベトナム人が現れる。

 同じ実習生でも、たとえばフィリピン人の場合、失踪や犯罪はほとんど問題になっていない。ベトナムと同様、フィリピンにも送り出し業者は存在する。だが、手数料は日本側で彼らを受け入れる企業が負担し、ベトナム人ように多額の借金を背負うことがない。その差が、来日後の生活に大きく影響する。

ベトナムと交渉するには今がチャンス
 ベトナム政府が送り出し業者に対し、実習生からの手数料徴収を認めていること自体、実習制度のルール違反なのである。その点に関し、なぜ日本政府は問題にしないのか。

 ベトナムには、特権階級の「利権」という事情があるのだろう。だとすれば、最低でもベトナム政府が定める手数料の上限「3600ドル」は守られるように、日本側は強く要求すべきである。

 ルールが守られないのであれば、ベトナムからの実習生の受け入れを一切停止する。ちょうど現在、緊急事態宣言によって実習生の入国は止まっている。だが、同宣言が解除されれば、入国もまた再開する。現状を改めるため、ベトナムと交渉するには今がチャンスだ。

 「悪質業者」を取り締まったところで実効性はない。経営者の多くは、複数の業者を運営している。また業者間の横のつながりも密接なので、抜け道はいくらでもある。

 仮にベトナムからの実習生送り出しが止まれば、人手不足の企業には一時的に混乱が生じるかもしれない。とはいえ、実習生が借金漬けで来日する現状を改めなければ、失踪や犯罪といった問題は今後も増えていく可能性が高い。

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