50年前に沖縄の施政権が返還されたが、その時以降「日本は米国の従属国家」に組み入れられ、今も無定見・無自覚が自国防衛にも無責任なままだ
対米観の基本は国力に応じ対等な「親米友好」で、無定見無原則な単純熱狂型の「親米売国」や従属ではありません。
主権国家として対等であるために「自主憲法」と「自律防衛力」を整え、米国が国際社会と自国に望むなら「傭兵」を規定し地位協定を結ぶ立場です。
しかしながら、現状は、日本は全体に「自覚が無く」それを許さない環境にあり、致し方なく緩い「政府の方針」を見守っています。
50年前の「沖縄の施政権返還」は、極めて米国に都合のよい展開で、それをまた推し進めても「佐藤栄作」は政治的メモリアルにしたいと邁進した。
結果的に、日本は「自立」のために「自律(日本国憲法の改正と防衛力整備に取り組まず)」を求めず、現在も自国防衛に無責任極まる為体で米国依存を強める結果を招いているが、それも自覚せず無定見なままで「主権国家」としての「恥」を考慮もせず情けない。
基本的には「米軍」は対等な立場であり、基本的には駐留傭兵であり、日本国内の基地は主権国家として全て借用料を課すべきとの立場だ。
引用開始→「沖縄密約」半世紀 90歳の西山太吉さんが語ったこと【news深掘り】
(時事通信 2022年04月04日09時30分)1972年の沖縄返還をめぐり、日本政府が米軍用地の原状回復費400万ドルを肩代わりするとした「密約」をスクープしながら、入手先の外務省女性事務官と共に国家公務員法違反容疑で逮捕、起訴された元毎日新聞政治部記者の西山太吉さん。あれから50年。90歳となった今、西山さんは事件をどう捉えているのか。北九州市の自宅で話を聞いた。(時事通信社会部 安田剛史、福岡支社編集部 森ちひろ)
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―そもそも密約の存在にどのように気付いたのか。
沖縄返還交渉の中で、米国は「1ドルも払わない」と言っているのに、日本側は「米国が払うべき性質のものだ」と言うので矛盾があり、変だなと思っていた。ただし、あれは氷山の一角。沖縄返還交渉全てが密約だった。
佐藤栄作内閣は沖縄返還を自分の業績にするために「4選が終わる1972年までに」と交渉の期限を切った。米国はこれを最大限に利用し、(日本に)条件をのませた。それが在日米軍の自由使用。どこに出動しようと日本政府と事前協議しなくていい。(日本は)国家としての主権を自ら放棄したのと同じだ。密約の400万ドルなんて小さな話で、最大の問題はそこにあった。
日本は結局全部のんだが、日米安保条約には事前協議がうたわれているので、自由使用にするとは書けない。第2の安保闘争になってしまう。そこで事前協議条項は残すが、実際には全部イエスにすると米国に約束したのが大密約。沖縄返還の最大のテーマは、この在日米軍の完全自由使用だ。
―外務省の女性職員から入手したものをそのままストレートにはニュースにしなかった。
あの時、毎日新聞の西山太吉は飛び抜けた特ダネ記者だと言われていて、外務審議官と兄弟みたいに親しかったので、書いたら審議官ラインと分かる。書いたらすぐ捜査されるので書けなかった。でも実際は、一面トップに事実上日本側が肩代わりすると書いた。なので、書いていないというのはうそ。書いたが、電信文をそのまま載せたら捜査の対象になるのでやめた。情報源を守るための手段だった。それが予想外に(女性事務官が)自首した。あのような結果を招いたのは自首したからで、自首なんて想定していなかった。
私が記事を書いて以来、西山が極秘情報を持っていると社会党がにらみ、毎日のようにやって来た。いつも帰れ帰れと断ったが、とうとう渡したのは「これは氷山の一角だ」という認識から。新聞には書けないが、問題にしなければいけないと思った。私としては断腸の思いだった。国権の最高機関である国会で審議させるべきという認識でやった。私は何も悪いことはしていない。
―結果的に情報源が特定されて女性と共に逮捕された。
あの事件は私は無罪。あの時の検事が逆に逮捕されるべきだ。機密漏えいではなく、密約の暴露。しかもあの時は、外務省アメリカ局長だった吉野文六氏が偽証した。後に吉野氏は私の裁判でうそだったと証言した。うそだから機密ではない。「米国側が払う」とうそをついた。暗黒裁判だ。日本の民主主義がいかにレベルが低いかを如実に示したのがあの事件だ。
―起訴状に「ひそかに情を通じ」と女性との男女関係を書かれたことで、スキャンダルの方に注目が集まった。
ああいう起訴状を書いて陥れようとしたが、あれは全部国家の犯罪。裁判で偽証してやっつけようなどというやり方は民主主義国家では絶対にない。あれは事件ではない。ないことを作り出した国家犯罪。実際の問題を暴露したのは密約開示請求訴訟の一審の大勝利だ。あれで実態が分かった。勝利以外何もない。負けたのは国家だ。
―当時を振り返って、こうすればよかったというのは。
あれ以外ない。あの時に取った方法はあれでいい。あれ以外どういう方法がある? 最後までうそをつき通したのが国だ。私は犠牲者だけど勝利者だ。今は赫々〔かっかく〕たる戦勲だと思っている。(女性事務官が)持ってきてくれただけの話で、強要なんて一切していない。
吉野氏が出てきて、うそでしたと言った。それで終わり。それよりも国家の犯罪を指摘しなくてはいけない。日本の情報公開がどんな体たらくで、欺瞞(ぎまん)に満ちたもので、いつも国家の不当な秘密を隠すために権力を乱用しているか。安倍内閣の公文書改ざんで立証された。私の事件はその原点だ。
―安倍政権では特定秘密保護法が制定され、集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法が成立した。森友、加計学園問題や桜を見る会の事件では、公文書や国民への説明を軽視する姿勢が目立った。
集団的自衛権は完全な憲法解釈の曲解だ。一連の流れに共通するのは、権力によって真実をゆがめ、都合のいい文書に改ざんして国民に示すということ。それは完全な民主主義の否定であり、その原点は佐藤内閣にある。
―今の岸田内閣の評価は。
私は宏池会の黄金時代を知っている。それに照らすと、こんなスケールの小さい総理はいない。(岸田文雄首相は)宏池会と言いながら安倍晋三元首相にべったり。縮小再生産でどんどん小さくなっていく。昔は気風が違うタイプの人がそれぞれ派閥、政策を持って切磋琢磨(せっさたくま)し、その中から調整されて出てきた。今は命令一下。面白くない。
―野党は。
ますますいない。みんな小粒になってスケールが小さくなった。そういう政治を生み出しているのは、国民の主権者としての問題意識が低いから。大衆のレベルが上がらないと政治のレベルが上がらない。
―沖縄返還50年を迎えるが、米軍基地が集中する現状は変わっていない。密約をスクープした記者として、日米の基地負担の在り方をどう見ているか。
在日米軍基地は日本の防衛ではなく米国の対中けん制、対中抑止のための基地になっている。「日本の沖縄」ではなく、「米国の沖縄」が実態だ。辺野古にしても、普天間が危ないから辺野古に基地を持って行くという理屈だが、あれはうそ。辺野古は米国の極東における大戦略拠点で、「米国の沖縄」であって「日本の沖縄」ではないということのシンボルだ。米中の対立がある限り、日本はそれに巻き込まれる。「米国の沖縄」から「日本の沖縄」にしなければいけない。そのためには日本と中国が共存共栄の関係を作り出さなければ。そうすれば沖縄は戦争の島から平和の島に変わる。
―沖縄が返還された当時、50年後はどうなると思っていたか。
米国は辺野古、嘉手納、北部演習場は絶対手放さないから基本的に変わらないと思っていた。グアム(米領グアム・米海軍基地)を補完するところだから絶対手放さない。沖縄は台湾防衛の拠点でもあり、米国にとって重要だからだ。
―最後に、今のメディアやジャーナリズムに言いたいことは。
権力批判をきちんとすること。権力に対して問題点を指摘し、提言や提起を徹底的にやるべきだ。今のメディアを見ているとそれが非常に不足している。(2022年4月4日掲載)
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