イノベーションの要諦は、
最終消費市場の消費者を想定した「商品開発と設計」が重要なので、その2点を押さえた開発者が利益を得るワケで、例えばGAFAと呼ばれる側も、もっと言えばアップルを創り上げたスティーブ・ジョブスも、テスラを創り上げたイーロン・マスクもマイクロソフトのビル・ゲイツも同様に、基本的にその種のクリエイティブ・パーソンなのです。
(図は、筆者「とらえもん」が2007年に作成)
図の赤いカーブ(スマイルカーブ)が、
それぞれの段階での「獲得利益」を示します。
製品の組立は、先進工業国、工業国、中進国、途上国、後発国、
いずれの地域でも発展発達段階に関係なく、生産加工に必要な設備を整え、単純作業に就く人を確保すると、いずれでも可能です。
ポイントは、
製品の開発と設計能力(技術)であり、
部品の設計と製造調達です。
それを、消費市場の流通販売事業者が製品として扱う事で利益を得ます。
その製品を得た消費者は利便性により大きな経済的利益を得ます。 製品の組立を担う側は、時間と個数だけで得る利益は小幅です。
日本の製造業で、
水面下に沈み苦しむ側の皆さんは、この本質をどう捉え考え、
脱却に向け、どのような戦略を立て、戦術を考え、作戦を展開するか、それに懸かります。
現場を担う人員、その技術、技術を支える機械、それらを支える資金、これらの総和が競争に立つ上での原点です。
少し理解が違うようですが、
左の製品の開発と設計を衣料品に置き換えますと、
いわゆるアパレル製品では企画者(アパレルメーカーと称される)に当たります。
部品の設計に当たるのは、例えば「商社」などで、完成に必要な減量や素材や副資材の容量を組み立てを担当するワケで、内製化している事もあります。
部品の製造に当たるのが、紡績であり、織布であり、染織整理であり、副資材の製造業です。
製品の組立に当たるのが、縫製や網立ての加工作業工場です。
供給事業者に当たるのが、完成製品の出荷業で、以前は産元商社などがありました。現在は工場が直接担当する事が多いようです。
販売事業者は、ホールセラーであり、リテーラーであり、ネット提供者などが該当します。
最後の消費者は、市場のエンドユーザーです。
*日本のアパレル製品での製造と流通で重要な事は、
企画者(アパレルメーカと称される)の多くが、いう処の「口先アパレル」で、クチは立つがノーリスクで最終的な製品にも事業にも責任を負わず取らない点に集約されるために、加工作業に協力し生産を担当する工場が多くの皺寄せを受け、殆ど儲からない立場を強要される点に特徴があります。
例えば同じ製造業を考えて見ましょう。
自動車の「トヨタ」は、自社で新車の企画を行い、製品開発に向けた設計を行います。
(この過程で、製品の目標に合わせ、主力事業者との間で設計・開発・技術を擦り合わせます)
次に、デンソーやアイシンは部品の設計製造(擦り合わせを含め)を裾野の協力工場を含め行います。
裾野に拡がる傘下に拡がる協力会社が中堅・中小・零細も含め協力し合い部品を造ります。
トヨタの組立工場は、計画されたとおりに部品を組合せ、最終的に完成車を組み立てます。
次に、完成車をデリバリーし輸送するロジスティックに任せ必要とする販社の店頭へ送付します。
販社は抱える顧客で求めるユーザーへトヨタの車を販売します。
*例えば、トヨタは開発車が不評で売れ行きに支障が出ても、基本は企画した自社の責任で処理します。それが真っ当な事業では普通の姿です。
*アパレルは企画者が責任を取らず、協力工場か店頭が損失を押しつけられる異常さが際立ちます。
この図で示したいのは、
製品の開発と設計をする者(側)は、明確なセグメントに基づき、狙う客層が明らかなら、部品の設計や、部品の調達、あるいは製品の組立は、全く信頼できるパートナーに全面的に任せ、製品の出荷などのロジスティックも外部委託で、有力な販売者の手があれば、間違いなく狙った消費者に「自社製品」を届けられ、それにより消費者は利便性の高い「製品」を入手し、多くの利益を得る事ができるという一つの流れです。
モチロン、途中や過程での利益を巡る攻防は生じるのが普通ですが、アパレルの流通ではリテーラーが横暴か、企画者が横柄か、いずれかで最も弱体な加工生産の作業を担う工場が最終的な損失を押しつけられる異常なケースが未だに目立ちます。
その理解に向け、
マイクロソフトのビル・ゲイツを挙げ
アップルのスティーブ・ジョブスを挙げ、
テスラのイーロン・マスクを挙げているワケです。