戦争は何れも相手を侮り自らが優位にあると安易な誤解で捉え考え信じ込む事で始まり誤謬を積み重ね自らの基盤を完全喪失するまで停戦しない
言うまでもなく戦争ほど悲惨なコトはない。
徹底的にモノを喪うし人心は荒廃するだけだ。
冷静に考えるなら、人は先ず避けようとするのが普通だ。
しかし、一度でも「妄想」に取り付かれた側は、それを実現する事で「夢想」ではないとの主張を証明しようとするのだ。
元来、ロシア人は周辺の諸民族を踏み従え収奪し奴隷化する事で君臨してきた。
とりわけ、文化、芸術、科学、兵力の領域で有能であった「ウクライナ人とその地域」はロシア社会を支える上で最重要のパートナーだ。
これが1991年のソ連邦解体に伴い、ロシアを離れ独立国家として自律的に主権国家を営み始めた。
それに恐怖したロシアの政権にまとわりつく塵ドモは様々な手法や手段を講じ、ウクライナを脅迫し、あるいは工作し、ロシアの意のままに従い続けるように手を尽くしたが、現代社会は「国民国家」としての認識が広く共有された事もあり、そうそうロシアの思うままにはならず工作には手を焼かされた。
反面、西側諸国は元の「ワルシャワ条約機構」の傘下に置いた国々を籠絡し、EUという経済幻想共同体に囲い込み、加えて「NATO(北大西洋条約機構)」という軍事同盟へ囲い込んだ。
クッソ~と、考え仕返ししてやると思っていた頃に、ウクライナがハッキリとロシア離れと西側志向を見せ始め、プッチン我率いるロシアは恐怖した。
NATOのミサイルがウクライナに配備されちゃ、モスクワもサンクトペテルスブルグも壊滅する、それどころかロシアも存続できなくなる。
よやくチェチェンを押さえ込んだのに、そんな勝手な事は許さないと10年ほどまえに「ウクライナ踏み潰し」を夢見シ、先ずは「クリミア」を簒奪する手に出た。
その後も、ウクライナへの工作を進めたが埒も開かず、大規模な軍事侵攻以外に政権打倒の手はないと考え、国境で軍事演習を繰り広げたものの効果も無く、それでは踏み潰そうと「侵攻・侵略」を始めたのだった。
元より、ロシア軍の精兵は「コサック人の部隊」であり、いわゆるロシア兵は戦闘終了後の占領要員で「蘭童狼藉」と「物品の略奪」に秀でても、戦闘には役に立たない頭も悪い腰抜けのヤクザ者だ。
「コサック兵」と称された勇猛果敢な部隊の大半はウクライナやカフカスの民族で形成組織されている事すらプッチンは理解の外だったのだ。
ウクライナは、平和を志向し武器を持たない方向で30年を過ごしてきた。
それをプッチンは甘く見た。
ウクライナに脈々と生き続ける「コサック兵の誇り」を、漠然と甘く捉えた。
ウクライナは、侵攻・侵略を受けるや否や、国際社会にロシアの傲慢を非難し武器の支援を求め、あくまで戦うと宣言し、多くの国がそれに応えた。
これは、プッチンには衝撃だっただろう!
これで当初は3日でウクライナを踏み潰すとした計画は頓挫した。
ロシアは、プッチンが、ありとあらゆる脅かしを駆使し、国際間で約束署名した様々な合意を一方的に破棄し、原因を相手側の理由にすり替えトンデモぶりを遺憾なく発揮し、世界からロシア人ほど信用に値しない者はないとの烙印を押され!
引用開始→ プーチン氏〝ストーカー的妄想〟が最大の失敗 3日でキーウ占領の前提が戦争計画を不十分に ロシア兵を苦しめる貧弱な兵站計画
(夕刊フジ 2022.10/31 06:30)ロシアによるウクライナ侵攻を、「認知戦」の観点で議論する人が増えている。認知戦とは、情報戦の一分野で、人間の脳などの認知機能に働きかけて、その人の考え方、行動、意思決定を自分たちに都合の良い方向に誘導する戦いだ。手段としては、偽情報、ナラティブ(=物語、お話)、脅し(=核による脅しなど)を使用する。
私は、ウクライナ侵攻は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の「ゆがんだ歴史認識」と「過剰防衛意識」が、彼の認知機能に作用して開始されたものだと思っている。
プーチン氏は、ロシアとウクライナの歴史的一体性を強調して、「ロシアとウクライナは本来、歴史を共有してきた不可分の存在である。しかし、現在のウクライナが西側の手先になっている。ウクライナはロシアとのパートナーシップを通じて真の主権を取り戻すべきである」と主張している。これが、まさしくプーチン氏のナラティブ、物語である。
ウクライナ人にとっては、「ウクライナとロシアは不可分な存在ではないし、ロシアと一緒にならなくても主権はウクライナにある」と主張するだろう。つまり、プーチン氏の物語は、ストーカー的妄想なのだ。
プーチン氏は「ウクライナの首都キーウを3日間で占領し、ウォロディミル・ゼレンスキー政権を打倒して傀儡(かいらい)政権を樹立し、ウクライナをロシアの支配下に置く」と妄想していたようだ。
この妄想が、ウクライナ侵攻におけるプーチン氏の最大の失敗原因だ。短期間でウクライナを占領できると思うから、戦争計画のすべてが不十分になったのだ。19万人という過小な戦力投入では、ウクライナ全域は占領できない。3日間程度の貧弱な兵站(へいたん)計画がロシア兵を苦しめている。
プーチン氏は9月30日、ウクライナ東南部4州をロシアに併合すると宣言した。彼の演説は、ウクライナの戦場で敗北を続けているという現実を無視し、「西側諸国が、ロシアを破壊しようとたくらんでいる」という陰謀論に基づくナラティブを展開している。
例えば、「西側諸国はロシアを攻撃し、ロシアを弱体化させ、破壊するための方法を探している。西側の覇権は打ち砕かれるだろう」「米国などの西側諸国がロシア恐怖症に駆られて、ロシアを植民地にし、ロシア人を『声なき奴隷』にしようと決意している」「米国が世界経済を崩壊させる計画である」などと妄想ともいえる物語を展開した。
プーチン氏のナラティブは「旧ソ連型のパラノイア」と「反西欧の憎悪」に満ちている。
防衛省・自衛隊は、認知戦を重要視し、認知領域を陸・海・空・宇宙・サイバー・電磁波の領域に次ぐ、7番目の領域に位置づけようとしている。だが、偽情報、ナラティブ、脅しを使用する認知戦が、自衛隊に適するとは私は思わない。 =おわり ←引用終わり
■渡部悦和(わたなべ・よしかず) 元陸上自衛隊東部方面総監、元富士通システム統合研究所安全保障研究所長、元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー。1955年、愛媛県生まれ。78年東京大学卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、第28普通科連隊長(函館)、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011年に東部方面総監。13年退職。著書・共著に『日本はすでに戦時下にある』(ワニブックス)、『ロシア・ウクライナ戦争と日本の防衛』(同)など多数。
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